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ゼロのしもべ15


15話

4人はミス・ロングビルを案内役に早速出発した。
今行けば到着は深夜になるが、この際構っている場合ではない。それに夜ならばフーケ一味も油断しているかもしれない。
うまい具合にルイズたちは黒いマントである。それを頭からかぶっていくことにした。
移動手段は屋根なし馬車である。襲われたとき、すぐに外に飛び出せるほうがいいだろうということで、このような馬車になった。
ミス・ロングビルが御者を買って出、手綱を握っている。
フーケ一味の可能性のあるものを消去して選ばれた5名である。無駄に御者などつける余裕はない。
手綱は交替で握ろう、という話にまとまりかけたが、「場所を知っているのは自分である」というロングビルの申し出により、この様な形となった。
妙にやる気満々。むしろ血相を変えているロングビルであったが、誰もそのことは指摘しない。
むしろ「王族暗殺犯を必死で追うロングビルはなんと愛国的な女性だ。」と賞賛されていた。
別にそんな気は毛頭ないのだが言うわけにもいかず、しかたなくその演技を続けている。
車上では対フーケ戦の作戦会議となった。
「小屋ならばアタシの魔法で火をつけて、いぶりだしてやればいいわ」とキュルケ。
「風の魔法で火をあおれば立派な火計よね」と風系統のメイジであるタバサの肩を揉む。
とうのタバサは『虚無戦記』なる本を熟読している。どんな内容か気になったバビル2世が尋ねてみると、
「ドワオギャンああ。」
という短い声が返ってきた。実にダイナミック。
とにかく全員が一致していたのは「ゴーレムを使わせない」ということであった。
あの威力を見れば誰もがそういう反応になるだろう。バビル2世ですら勝てるかどうか危ういと思っていた。
というわけで決定した作戦は、
1、周囲を警戒しつつ小屋の中にフーケがいるか確認
2、もしいたら、小屋に魔法で火をつける。
3、風の魔法で火をあおり、火事を起こす。
4、全員で「火事だ!」と叫ぶ。びっくりしたフーケは思わず外に出てくるだろう。
5、そこを捕まえる。
というシンプルなものであった。「もし出てこなくても焼け死ぬわね!」と息巻いていたルイズが多少気になるところである。
そして、馬車に乗っている間中、バビル2世はなにか祈るようにただ座っていた。


「ここがあの盗賊のハウスね…」
かえしてー、杖を返してー、と続けそうなルイズの問いかけにロングビルはこくりと頷く。
月が2つ、森の中の広場を照らしている。
森の中の空き地、とでもいうべきぽっかりとあいた空間。広さはだいたい学院の中庭程度か。真ん中に確かに廃屋があった。
5人は気づかれないように森の茂みに身を隠したまま、廃屋を窺う。
「情報によると、あの中に入っていくのを見たと……」
うーん、と唸る一同。人が住んでいるような気配はない。
やはり情報は欺瞞だったのか?
「とりあえず、中を確認してみては?」
「ひょっとすると私たちに気づいて外に出たのかもしれないわ。炎の魔法を使う人間がいれば、逆に中に入った私たちが火攻めにあうかも。」
「なら周囲を警戒するチームと、中を確認するチームに分かれましょう。」
結果、中にいればそのまま火をつけれる、ということでキュルケとタバサ、そして捕まえるには力の強いほうがいいだろうと、バビル2世が選ばれた。
外の警戒はルイズとロングビルが任された。
ロングビルは3人が小屋に向かうと、「ちょっとお花を摘みに…」と、物陰へ消えた。


「見る必要はない。誰もいない。」
と言って、バビル2世は2人を連れて裏側へ回った。
「中に宝箱らしいものがある。その中に破壊の杖が入っているんだろう。」
「な、なんで――」中を覗かないでわかるのか。そう訊こうとしたキュルケだったが、突如頭に響いてきた声に驚き、口が止まる。
『なぜ中が見えるのに、わざわざこんな芝居を?』
『すこし、ある人物に教えてもらいたいことがあったからだ。ひょっとすると、破壊の杖の盗難よりも重大なことになるかもしれない。』
近くの森の茂みに3人が身を隠した瞬間――小屋が跡形もなく吹っ飛んだ。
ルイズの叫び声が森に響き渡る。
闇夜を切り裂いて現れた無数の岩の砲弾に吹っ飛ばされたのだ。
岩の砲弾は見る間に組み合わさり、まるで人のような姿になる。
「やはりな――。」
バビル2世が呟いて頷く。
「思ったとおりだ。あれとぼくは以前戦ったことがある。前の世界でだ。つまりあれは偶然ではないということだ。」
『前の世界?』『偶然ではないって何が?』疑問が思念波に乗ってやってくるが、バビル2世は答えようとしない。
バビル2世が祈るように眼を閉じる。キュルケとタバサが、天空を見上げた。大きな影が森を覆った。
完成した岩の巨人に土が巻きつき、さらに巨大な岩と土の怪物が誕生した。
その姿は、まるで巨大な仏像のようであった。


ルイズは少しいらいらしていた。
自分が小屋の偵察に選ばれなかったことに腹が立っていた。
もちろん、今回の作戦では、火と風の魔法を使うメイジであるあの二人が適切だろう。
周囲に万一隠れているかもしれないフーケを警戒するのも重要な仕事だ。
だが、なぜかむかむかする。
それはビッグ・ファイアだ。
作戦のためではあるが、本来は自分の使い魔である以上、あくまで主人のみを守ることを優先させるべきである。
にもかかわらず、ご主人様に一言も言わずにあちら側にまざるとはどういう了見だ。
せめて「申し訳ありませんが、作戦の都合上分かれてしまいます。どうぞご自愛を。」ぐらいにいたわりの言葉はあってもよいはずだ。
まあ、あの私を敬っているのかそうでないのかよくわからない使い魔では仕方ないか。
ふん、と杖を振って構える。
よく考えれば何も問題はない。自分が魔法でフーケを捕まえればいいのだ。そうすればあの使い魔の態度も変わるだろう。
何より級友のあの蔑んだ視線とおさらばできる。家族の冷たい視線を変えることができる。ちいねえちゃんの喜ぶ顔を見ることができる。そして―――ワ…
「あら?」
ルイズが眼を擦る。つい妄想に夢中になりすぎたのか、地面が揺れて歪んだように見えたのだ。あるいは緊張のせいだろうか。
いけない、今はフーケを捕まえることに集中しなくては。そう考えて小屋を見た刹那―――
「きゃぁああああああ!」
小屋が突然降ってきた岩に潰された。
ビッグ・ファイアが!キュルケが!タバサが!
岩は巨人となり、土の鎧に身を固め、あのときの土のゴーレムに変形した。
思わず、ルイズは杖を振ってルーンを呟いていた。みんなの敵だ!考えることなく行動していた。
ゴーレムの表面で何かが弾ける。爆発――ルイズの魔法だ!その魔法で気づいたのかゴーレムが振り向く。
周囲が暗くなる。どごごぉおおおおおん、と大地を揺るがす音。まるで地震のように森が揺れる。
なんて巨大な足音だ。こんなものに踏み潰されればとても生きてはいないだろう。
せめてもう一太刀、と思い杖を持ち上げようとするが、身体がすくんで動かない。
ゴーレムが踏み潰そうというのか、ルイズに向かって足を踏み出す。
ああ、ここで死ぬんだわ。そう覚悟を決めたルイズ。その目に飛び込んできたのは……


ゴーレムが突然伸び上がった地面に絡みつかれてもがいている。溶けたゴムに飛び込んだネズミのようだ。
ミス・ロングビルの魔法だろうか!?そう思うルイズの視界に飛び込んだのは、逃げろと手を振るビッグ・ファイアたち。
生きていたんだ!ほっとするも、ここでひるんでなるものかという思いが沸きあがる。だが、自分の攻撃は通用しそうにない。
別の地響き。背後だ。振り返るとそこには鉄のゴーレムがいた。
フーケはまだ隠し玉を持っていたのか。あるいは仲間のうちの一人のゴーレムなのだろうか。
さすがにこちらまでミス・ロングビルは手が回らないだろう。ルイズを一気に絶望が覆う。
鉄のゴーレムが拳を振りかぶる。背後で土のゴーレムの気配。
ああ、もう駄目だ。覚悟を決めてぎゅっと目を閉じる。

ズ ウ ン

拳が、土のゴーレムを貫いた。

空中に吹っ飛び、地面でバウンド。そのまま数十メートルも気をなぎ倒しながらすべる。
「ロプロォォォォォォス!」
バビル2世が大きく叫ぶ。
突風がへし折られた木を吹き飛ばしながら、ビッグ・ゴールドに迫る。
キ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ェ ン
巨大な翼が、耳をつんざく奇音を響かせながら、ビッグゴールドをその両爪で捉えた。
そのままビッグ・ゴールドを抱え揚げ、天高く舞い上がる。
高い。
そのまま2つの月に届いてしまうのではないだろうか。
「ロプロス!そいつを突き落としてしまえ!」
命令に従いロプロスはビッグ・ゴールドを突き放した。
なすすべなく自由落下し、地面に激突するビッグ・ゴールド。腕が吹っ飛び、足が砕け、全身が粉々になる。
「どうだ。これでもう動けまい。」
あとはフーケを捕らえるだけだ、とローブをかぶって変装したロングビルを睨みつけるバビル2世。
ロングビルはあっという間の出来事に、腰が抜けてへたり込んだ。


「な、なんなのよ……あれは……。」
「教えてやろう。」
天空を舞っていた巨大な鳥が、ビッグ・ゴールドの残骸の上に踏み潰しながら舞い降りた。
「空の覇者、怪鳥ロプロス。」
鉄のゴーレムが、キュルケとタバサを守るようにその眼前に歩を進める。
「海の支配者、ポセイドン。」
ルイズの足元が盛り上がって、大きな黒豹に変身する。
「そして黒豹ロデム。」
「とうとう出たな……」
その光景をわずかに離れたところから見る奇妙ないでたちの男が呟いた。
「3つのしもべ!」



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