あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無界行-2

第1章 虚無邂逅

ここ、トリステイン王国トリステイン魔法学校では、学生による春の使い魔召喚の儀式が行われていた。
自分の一生の使い魔を呼び出し契約する、呼び出すことが出来なければ留年という、
メイジとしても学生としても非常に重要な儀式と言えた。

そんな中、学生の1人―――――名門のヴァリエール家の令嬢、
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが呼び出した使い魔は、
あまりに場違いな存在であった。
今日、彼女は数えきれないほど召喚に挑み、それと同じ数だけ爆発を起こした。
―――――彼女は、歴とした貴族でありメイジでありながら、魔法成功率『ゼロ』として
しばしば他人から嘲笑を浴びていたのである。

ルイズの失敗に野次を飛ばしていた他の学生達も、いい加減飽きて何も言わなくなった頃、
ようやく何かの召喚に成功したのであるが―――――

それは気を失っている人間であった。とりあえず貴族には見えない・・・・平民、か?平民だろう。

再度巻き起こる学生の爆笑と嘲笑。
無論ルイズは教師のコルベールへと再召喚を懇願した。
だが答えは無情なる「NO」。
完全に逃げ場を塞がれた中で、ルイズは眠ったままの男の傍に寄って行った。

(うぅ~・・ファーストキスが・・・人間の使い魔だなんて・・・しかも平民・・・)
絶望と幾らかの諦観を持って、ルイズは男を改めて眺めた。

上下ともに黒色の、見慣れぬ服装をした男。
背が高い。180は軽く超えている。スラリと長い足が印象的だ。
目を閉じた顔立ちは、端正と言ってもいいだろう。
年齢は―――――30代とも、もっと年上とも見える。

うん、少なくとも不細工じゃない。でも使い魔となると話が別だ。

「―――――感謝しなさいよね。
貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから。

 我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ・・・・」

ルイズは意を決して契約の呪文を唱えると、眠る男の顔に自分の顔を近づけ―――――
軽く、唇にキスをした。直後、男の左手の甲に刻まれ始めるルーン。
そのキスと、ルーンの刻まれる痛みが眠りを覚ます魔法だったかのように、
男―――――南雲秋人の意識はゆっくりと覚醒を始めた。

南雲秋人はバイオニック・ソルジャーである。
その存在意義は戦う事にある。
そして彼は人知を超えた戦場に居た。つい先刻まで。
バイオニック・ソルジャーの名にふさわしく。
魔戦の、その僅か一欠片。憎しみと、殺意と。
纏わりついていたそれらの気の残滓が―――――意識と同時に浮かび上がっていた。

ギリィィィィィイイッ・・・!
左手が僅かに浮き、手が握り締められる。
その手の中に物が差し込まれていたなら、鉄であってもねじ曲がっただろう。
直後―――――南雲秋人の両目が見開かれた。

全身から噴出した、鬼気と共に。

それは南雲自身も意識したものではない。
それゆえ放出は一瞬であり、また及ぶ範囲もごく狭いものだった。
ルイズと南雲を遠巻きにして見ていた他の生徒達は気付かなかった。
ルイズから幾分距離をとり、儀式を見守っていたコルベールも同様だ。

ルイズだけが、その気を受け取った。
ルイズだけが、目を見た・・・・見てしまった。



吹き寄せた気は、一瞬で彼女の全身を包み込んだ。
地獄の業火のように熱く、魔界の吹雪のように冷たい。
雷を浴びたかのように痺れ、大地全てが圧し掛かったかのように圧迫される。

そして、その瞳よ。
生も死も、そこには無い―――――完全なる『虚無』。
かつて南雲自身が語ったモノ。死よりも不気味なものがそこにあった。

「あ・・・・あっ・・・・!」
ルイズはその場にへたりこんだ。全身に力が入らない。
自分が、まるで無力な赤ん坊に戻ってしまったかのような感覚。

その黒瞳は、ただ一人―――――ルイズを見つめたまま、
ゆっくりと上半身を起こしていく。

「ここは・・・何処だ」
錆を含んだ低い声は何故か、此処ではない―――――
奈落の底から聞こえてくるかのようだと、ルイズはかき乱される意識の中でそう感じた。

ハルケギニア大陸・トリステイン王国・トリステイン魔法学校。
今ここに、虚無同士は邂逅した。


第1章―――――了

新着情報

取得中です。