あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

虚無の王-05


 “空”は風が積み重なって出来ている。空気の密度差、気流の隙間。その境界面に力が作用する時、風はいとも容易く、その流れを変える。
“翼の道〈ウイング・ロード〉”の走り手は、常人が決して気付く事の無い、僅かな兆しを頼りに風の流れを読み、面で捉え、“空”を掴む。
本塔の食堂へ向かう道中だ。空に向かって、小石が飛んだ。
 マントを羽織った少年が二人、下卑た笑みを交わしている。一人の手には、短い杖。性悪の餓鬼はどんな階級にでも居る者だ。やれやれ――――空は手を翳して、風を操作する。“空”は柔らかい壁へと形を変え、小石を受け止める。
 悲鳴は数秒遅れて聞こえて来た。声を上げたのは、“レビテーション”で小石を飛ばした当人では無かった。
「何?ねえ、何か有った?」
「なーんも、あらへん」
 体調を崩したのだろうか。生徒が一人倒れている。まあ、既に何人か駆け寄っている様だし、大丈夫だろう。この時、ルイズは少年の額に突き刺さった小石に気付かなかった。
 一方、空は無言で左手を見つめる。
 悪餓鬼に少しばかりお灸を据えてやるつもりだった。軽く石をぶつけようと、風を押し出した。所が、風に乗った小石は、弾丸に化けた。控え目に見ても、あの小僧の頭蓋骨には罅が入っただろう。
 手背部の文字列を撫でる。一瞬、左手のルーンが見せた輝きを、空は見逃していなかった。


 食堂の豪華さは、空を驚かせるよりも、寧ろ呆れ返らせた。その表情を都合良く解釈したルイズは、自慢気に講釈する。曰く、この学院で教えるのは魔法だけでは無い。『貴族は魔法をもってして、その精神となす』のモットーの下、貴族たるべき教育を存分に受けるのだ、と。
「で、その精神ちゅーのは体重の事か?」
「え?」
「ま、肥満は富と偉大さの象徴、なんて社会は別段珍しゅうないけど、朝にこの量はえげつ無いわ。胸焼けがしよる」
「貴族としての作法を身につける為に、必要なのよ」
「太るで?それとも、まさか、とりすていんは太ってる程美人、なんて悪夢の国やないやろな。もし、そうやったら、ワイ耐えられへん。今、この瞬間にも、ヨソに亡命させて貰う」
「ふ、太らないもん。魔法はエネルギーを使うんだから」
 ルイズに椅子を引いてやりながら、改めて食堂を一瞥する。学年別の、豪奢な長テーブルには、巨大な鳥のローストや、鱒形のパイ、果物を山と盛った籠が、所狭しと並んでいる。
 ルイズは二年生だ。一年、この食生活を続けて来て、この体型。なるほど。魔法は莫大なエネルギーを消費する、と言う御主人様の言葉には極めて説得力が有る。ハルケギニアも質量保存則に縛られている点では、変わりが無いのだろう。
「胃腸が弱いと貴族は務まらんのやな。相撲部屋の新弟子みたいな話や」
「あんた、何言ってるの?」
 と、給仕に飛び回るシエスタが目に止まった。混み合う食堂を、飛翔の靴でスルスル走り抜ける姿は必要以上に目立つ。男子生徒が次々と振り向き、後から脚を覗き込む。
「あんたも、あー言うの好きなの?」
「あの娘が履いとんのと、よー似た物がワイの国にあってな。ちょい、気になっとる」
「あんたの国、て、聞けば聞くほど、ヘンだわ」
「あれ、なかなかいい腕持っとるで」
「玩具でしょ。ただの。あんな物に皆はしゃいじゃって。馬鹿みたい」
 そうこう話している間にも、シエスタは飛ぶ様に近付いて来た。なるほど、飛翔の靴とはよく言った物だ。手にする盆には、丁度、ホテルの朝食に並ぶ様な料理が乗っている。
「はい、どうぞ」
「おう。さんきゅー」
 クルリと一転、料理を盆ごと手渡すと、シエスタは笑顔で走り去った。
 アルヴィーズの食堂に平民の席は無い。空は盆を膝の上に乗せて、食事を始める。
「使い魔の食事としては、贅沢が過ぎるんじゃない?」
「この体を維持するには、こん位は要る」
 そんな風にして肉体を鍛えて、どうするのか――――ルイズはそう聞こうとして、止めた。最後には、空の脚に言及せざる得なくなりそうな気がしたからだ。
 一方、しつこく追求されなかった事に、空は安堵した。例え、元の世界に戻った所で、その時、戦える体でなければ意味が無い。十分な食事は、決して譲る事の出来ない一線だった。


 魔法学院の教室は、大学の講義室を思わせた。ルイズと空を、失笑が出迎える。嫌な笑い方だった。ハウス名作劇場なら、不幸な境遇から一転、幸福を掴んだヒロインを、臍を噛みつつ見送らねばならない、そんな端役の臭いがする。
 生徒達は各々の使い魔を連れている。カラスが居る。フクロウが居る。窓の外には大きな蛇。キュルケのサラマンダーが、机の下で眠っている。

「本日未明、トリステイン魔法学院に通う二年生ソレナンテ=エ=ロゲ君が、使い魔である熊に襲われ死亡しました――――」
「……何言ってるの、あんた?」
「大抵の使い魔はケダモノやろ。そないな事件起きても不思議やないなあ、て……」
「あんた、馬鹿?使い魔が主人を襲う訳が無いでしょ」
「なんで?」
「なんで、て……そう言う物なの!召喚した途端、暴れ出されたら大変でしょ。だから暴れ無い状態で呼び出すの」

 なるほど。自分は失神状態で召喚された。だが、その後は?見た所、使い魔は必ずしも知性が期待出来る生き物ばかりでは無い。どうやって主人の安全を保証する?
 左手のルーンを見つめる。どうも、これには色々と秘密が有りそうだ。
 その点に付いて尋ねようとした時、教師と思しき女性が現れた。紫のローブに帽子を被った女性だ。
 ミス・シュヴルーズは教室を満足そうな笑顔で見回した。春の新学期、生徒の新たな使い魔達を目にするのは、彼女の大きな楽しみなのだ。
 その目が、空で止まった。劣等感に駆られて、ルイズは俯く。だが、中年女性教師が見せた反応は、彼女の想像を絶した物だった。

「あ……お、おはようございます。ミスタ・空」
「ん。おはよーさん」

 シュヴルーズはポっと顔を赤らめ、目を逸らした。教室にどよめきが走る。

「あ、あんた、ミス・シュヴルーズと何時知り合ったの?」
「今朝」
「で、一 体、何 を し た の?」
「なーんも」

 シュヴルーズは生徒の様子に気付いて、一つ咳払いをすると、教室に向き直った。

「み、皆さん。春の使い魔召喚は、大成功の様ですわね――――特に、ミス・ヴァリエールはす、素敵な使い魔を……――――」

 また、顔を赤らめて口籠もるシュヴルーズ。生徒達のどよめきが大きくなる。なんだ、何事だ、何が起きている。

「あああ、あんた、いい一体、何したのよっ!」
「だから、なーんも。なーんもしてへん」
「うう、嘘おっしゃい!だ、だってミス・シュヴルーズの様子、ヘン!完全にヘンよ!ヘンじゃない!」
「言うたやろ。ワイも年食って落ち着いたさかい。ガキとおばはんには興味あらへん」

 昔は法律家が卒倒する様な年齢から、米寿まで、ストライクゾーンが球場全体よりも広かったのは秘密だ。

「ここ、子供です、て!い、言うに事欠いて子供です、て!ドサクサに紛れて何言うのかしら、この使い魔は!」
「ミス・ヴァリエール。私語は慎みなさい」

 シュヴルーズは態とらしく咳をする。生徒達のどよめきと、囁き声は、物理的に収まっていた。右も左も、生徒と言う生徒の口に、赤土が詰まっている。


 何とも表現し難い空気の中で、授業が始まる。赤土が外された後も、生徒達がそろって無言だったのは、決して彼等が真面目な優等生揃いだから、と言う訳では無かった。
 まず、魔法の四代系統について簡単なおさらい。社会における、土の系統の役割と、その重要性。そして、自ら練金の魔法を実践。小さな石コロが、ピカピカと光る金属に変わる。

「ゴゴ、ゴールドですか?ミス・シュヴルーズ!」

 キュルケが身を乗り出す。女は光り物に弱い。これはどんな世界でも、変わらない様だ。

「違います。ただの真鍮です。金を練金出来るのはスクウェア・クラスのメイジだけです。私はただのトライアングルですから……」

 さて、次は誰かに実践して貰いましょう――――ルイズは嫌な予感がした。他の生徒達もそうだった。授業が始まってから、シュヴルーズは殆ど一箇所しか見ていない。すると、指名されるのは……

「そうですね。ミス・ヴァリエール。貴女にやって貰いましょう。この石ころを、望む金属に変えてごらんなさい」

 予想通りの一言に、生徒達は騒然となった。

「先生!止めた方がいいと思います!寧ろ、止めて下さい!」
「危険です!」

 血相を変える生徒達に、シュヴルーズは怪訝な顔をした。ルイズは努力家と聞いている。メイジとして優秀か、と言うと、コルベール辺りは、「というか、むしろ無能というか……」と、言葉を濁すフリをして、かなり酷い事を言う。
 だから、なんだ。失敗を恐れていては何も出来ない。コルベールの教師にあるまじき言い種への反感も有って、シュヴルーズは再度ルイズを促した。

「ルイズ。止めて」

 顔面蒼白のキュルケに、空は訝しむ。今朝の様子からは、信じられない態度だ。ルイズが立ち上がり、教壇へ進むと、生徒達は銃撃戦にでも備えるかの様に、机に身を隠す。どうなっている?我が御主人様は馬鹿にされているのか、恐れられているのか……

「ミス・ヴァリエール。練金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」

 生徒達の様子に、空は念の為、左手を翳し――――右手に変えた。左手は動かさず、ルーンを目の片隅に捉えておく。
 ルイズが杖を手に、呪文を唱えている。

 祈り……詠唱……囁き……念じろ……

 石が光り――――爆発が教室の窓を突き破った。


 平和な教室は、一転、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。爆発にただ驚いたのか、その衝撃で野生を取り戻したのか、大人しかった使い魔達が次々と暴れ出す。火炎の吐息が飛び交い、紫電が走り、突風が狭い教室を駆け抜ける。

「目が!目がぁーっ!」
「誰か来て!お願い、誰か……!」
「俺のラッキーが!俺のラッキーが蛇に食われた!」
「落ち着け!クヴァーシル !落ち着け!」
「眼鏡、眼鏡……」

 なるほど――――風の壁により、唯一人惨事を免れた空は、生徒達の不可解な態度に納得した。魔法が成功しないから馬鹿にされる。惨事を引き起こすから、恐れられる。よく二年に進級出来た物だ。
 どうも自分は、とんだババを引いたらしい。空は失笑した。
 もう一つ、気付いた事が有る。右手で風を操った時も、やはり左手のルーンが光った。一体、これはなんだろう?

「だから言ったのよ!だから言ったのよ!あいつにはやらせるなって……!」
「誰か、あいつを退学にしろ!」

 粉塵の中で蠢く影が、次々と罵声を上げる。まあ、無理も無いだろう。苦笑を浮かべた時、一つの声が耳朶を打った。

「ゼロのルイズ!」

 召喚されてから、何度も聞いた言葉だ。今まで、意味が判らなかった。

「ゼロ!」
「ゼロのルイズ!」
「ゼロ!」
「ゼロ!」
「ZERO!」

 生徒達は口々に叫ぶ。空の顔から、表情が消えた。


 SA-503Bは“研究所”で生まれた。そこだけが、世界の全てだった。
 SA-503Bは名を持たなかった。そんな物は必要と認められなかった。
 SA-503Bは人間では無かった。そう見なされていなかった。
 研究には莫大な費用がかかる。成果の出ない研究に資金は出せない。実験体の“選別”が決まった。出来損ないは処分する。

「ふざけるなっ!!勝手につくっておいて、いらなくなったら捨てるのかっ!!」

 誰かが叫んだ。重力子〈グラビティ・チルドレン〉随一の能力を持つ仲間が体を張った事で、選別は阻止された。
 その様子を、SA-503Bは壁陰から見ていた。一人の男が気付いた。無闇にガタイの良い男だ。カタギでは無いだろう。
 男はさも、つまらない物を見つけた顔で言った。

「Hey!zero boy〈よう、チンカス〉」


 至近で爆発を浴びたルイズが立ち上がるには、少し時間が必要だった。顔は煤でまみれていた。ブラウスは破れていた。スカートは裂けていた。白い肩と、白い下着が覗いていた。
 ルイズは教室の惨状も、着衣の乱れも意に介した様子を見せず、ハンカチで顔の煤を拭き取った。

「ちょっと失敗したみたいね」

 淡々と言いながらも、内心で身構える。ここで罵声が飛んで来る。続いて嘲笑だ。その展開には慣れている。だからと言って、悔しさに慣れる訳では無い。どうしても、情けない気持ちになる。
 予想に反して、罵声は無かった。聞こえて来たのは、愉快そうに手を打つ音と、笑い声だけだ。異様な沈黙の中で、その両者はいやに高らかに響いた。

「ハ、ハ、ハ……!サイッコーや、ルイズ!」

 空だ。嘗ては机だった木材が散乱する真ん中で、陽気に手を叩いている。

「これで失敗、て。成功したらどないな威力になるねん。建物吹っ飛ぶで!」

 空は大げさに両腕を開く。使い魔が自分の失敗をあげつらい、笑っている。普段のルイズなら怒り狂い、存分に“躾”をしてやる所だ。
 だが、今は“普段”とは違った。ルイズでは無く、教室の様子が違った。口を揃えて自分を侮辱する筈の生徒達は、皆、一様に目を伏して、顔を逸らしていた。使い魔達まで信じられない程、大人しい。

 一体、どうなってるの――――?

 茫然としている間に、空が目の前までやって来た。

「あーあー。髪、ぐしゃぐしゃやんか」

 ルイズに前屈みをさせると、取り出した櫛で桃色の髪を整える。事態が飲み込めないメイジの少女は、使い魔のされるがままに身を任せた。

「今、着替え持ってくる。待っとき」

 空は笑顔で教室を去る。重苦しい沈黙だけが、後に残された。


 ルイズが爆砕した教室は、どこから片づけて良いのか、判らない有様だった。罰として魔法の使用は禁止されたが、どの道、室内を破壊的な意味で一掃する気が無い限り、どうでも良い事だ。

「魔法、苦手なんか?」

 その問いに、ルイズは答えなかった。無惨に変わり果てた教室の後片づけを始めてから、一言も発していない。

「虚無とか言うんは、失われてる。今有るのは、土、水、火、風。今朝の姉ちゃんは火が得意やってな――――ルイズは何が得意や?」

 ルイズは答えない。振り向きもしない。空は嘆息した。

「しっかし、一度の失敗でこの有様か。一年の教室とか、大変な事になってそうやな。街から離れた所に建ってるのも、よう判るわ」
「随分、遠回しな嫌味ね」

 背中越しに、冷たい声がした。感情を押し殺した声だ。それきり、またルイズは黙り込んだ。

「なるほど。こないな事になるのは、お前だけか。ま、そやないかと思ったわ――――」

 失敗=爆発なら、実習は必ず屋外で行うだろう。他の生徒達がルイズを嘲りながら、恐れる態度にも説明がつかない。

「そいで、多分、四つの系統はどれも得意や無い。もっとはっきり言うと、どれも使えない。違うか?」

 沈黙――――空は肯定と判断する。系統を一つも足せないからゼロ。成功確率ゼロ。どちらが二つ名の根拠かは判らない。両方かも知れない。どちらにしても、出来損ないの烙印だ。子供と言う奴は純粋故に、平気で残酷な事をする。

「得意な系統は無し。出来る魔法は一つだけか」
「……―――― 一つも無いわよ」
「有るやろ。召喚、契約抜きで」
「何が有る、て言うの?」
「爆発が有るやろ」

 乾いた音が鳴った。振り向き様に、繊手が空の頬を張っていた。

「ああ、あんた、どどどどこまで人を馬鹿にすれば……――――っ」

 怒りのあまりに、声が震えている。再び、手が振るう。空はその細い腕を、正面から受け止めた。

「は、放しなさいよっ!」
「言うとくけどな。ワイは一つも馬鹿にする気なんてあらへんで」

 そのまま、強引に引き寄せられた。息が届かんばかりの距離だ。間近から目を覗き込まれて、ルイズは身を強張らせる。

「他の連中は爆発起こさへん。いや、起こせへん。なら、それはお前にしか出来へん、お前だけの魔法やろ。お前だけの“道”やろ」
「何が私だけの魔法よ……」

 小さい頃から、誰も自分には期待しなかった。誰もが自分を馬鹿にした。そんな物が、自分の唯一の特性であり、道だと言うのなら、そんな物は要らない。平凡でも良いから、きちんとしたメイジになりたい。

「ワイの国の伝承、お前には話した事無かったな。“トロパイオンの塔”の頂に、八人の“王”と八つの“玉璽〈レガリア〉”が揃う時、伝説の“空の王”が降臨する――――」
「また、“王”?――――あんたが元王?そんなの、信じられない」
「誤解すんの当然やけど、“王”ちゅーのはお前が考えとる様な、“国王様”やない。“道”を極めた者の称号や。この国に譬えるなら、それぞれの系統でハルケギニア一番の使い手が、“王”てことや」
「あんたの国には、系統が8つ有るの?」
「それや――――なして、“王”は八人やと思う?」
「だから系統……その“道”が8つだからでしょう」
「そないな事、別に誰が決めた訳でもあらへん。ソイツの特色と、極めようとする意志さえあれば、それが“道”や」

 極端な事を言えば、ライダーの数だけ“道”が有り、“王”が居る、と言って良い。では、何故、八人なのか。

「“道”は数有れど、“塔”の頂の更に上、“空”にまで至る“道”を持つ“王”は、今ん所、八人しか居らん。それだけや」

 それは、系統も同じではないのか。系統魔法が生まれたその瞬間から、現在の形であった筈が無い。成立の過程で、必ず試行錯誤があり、取捨選択が行われた筈だ。最終的に4ついずれかに統合され、或いは廃棄された魔法・系統も存在しただろう。

「メイジかてそうや。同じ系統、同じクラスのメイジは全く同じ物や無いやろ。個々で特色は違う筈や。ただ、大抵の奴らの特色は、4つの系統に収まる程度の物で、お前はそうや無い。それだけの話や」
「だから、何よ……そんな物が何になるの?得意気に爆発を起こしたって、馬鹿にされるだけよ……誰も認めてくれないわ」
「なら、認めさせればええ。“道”を“塔”の上まで伸ばせばええ。お前の爆発が、四系統に匹敵すると証明すればええ。六つ目の系統にすればええ」
「そんな事、出来る訳無いじゃないっ!」
「小さい頃から言うたな。今まで、四系統練習しとって、一度でもピンと来た事あるんか?」

 得意な系統を唱える時、体の中に何かが生まれ、循環し、リズムとなる。両親は、姉達はそう言っていた。自分に、そんな体験は一度も無い。

「その面見れば判るわ。無いやろ。今まで10年かけて、何一つ成果上がっとらん物が、これから10年やったかて巧く行くかい。コッパゲもシュヴセンセも、お前が努力家やて褒めてたけどな、身にならん努力なんて、ただの“フリ”やで」
「!――――放して!」

 ルイズは空の手を振り払った。手首に痛みが残った。情けない気分になって、ルイズは目を伏せた。

「お前、めっちゃナメられとんで。悔しないんか?」
「……あんたなんかには、判らないわよ――――」
「ワイ、魔法の事はなーんも、判らへんけどな。爆発には詳しいで。その原理、応用技術。その気になったら言えや――――」

 空はルイズを真っ直ぐに見据えたまま、天を指す。

「ワイが“空”の飛び方、教えたるっ」


 ――――To be continued


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