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白き使い魔への子守唄 第6話 武器を求めし者

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ルイズがコモンマジックを成功させた翌日、虚無の曜日。
朝食後ルイズは唐突に言いました。
「武器を買いに行きましょう」

   第6話 武器を求めし者

理由その1、ワルキューレから槍を奪ってギッタンバッタンやっつけたのすごかった。
理由その2、キュルケの元カレがハクオロ狙ってくるかもしれない。
「――という訳で武器あった方が便利じゃない」
「確かに武器があれば心強いが、決闘の際の治療代が高くついたのではなかったのか?」
「無駄遣いはしないけど、必要な物はちゃんと買うわ」
こうしてハクオロはルイズと一緒に、街まで買い物に行く事になった。
馬に乗る必要があったが、ハクオロは難なく馬を乗りこなしルイズを感心させる。
自分はどこで乗馬経験を積んだのだろうと、ハクオロは己の過去に思いを馳せた。

と、その光景をルイズの部屋に不法侵入したキュルケが見ていた。
「部屋にいないと思ったら、ルイズとお出かけ?」
どうすべきか一瞬の思案で答えを導き出し即座に行動実行突撃。
行き先は親友タバサの部屋であった。
青髪青眼で、ルイズ同様発育のよろしくなく、無口で読書を愛する雪風の少女。
虚無の曜日を謳歌すべく彼女は自室で黙々と読書にふけっていた。
ドアを激しく叩きつけるノックらしき音がしたので、
音を遮断する風系統の魔法『サイレント』で静かにして読書を続ける。
すると鍵のかかっているはずのドアが開いてキュルケが入ってきた。
学院内の『アン・ロック』は校則違反である。
ルイズの部屋に不法侵入した際にも使った、恋は規則より優先される。
キュルケはタバサの隣まで来ると大声で何事かを叫び始めた、
仕方なく『サイレント』を解いて事情を聞く。

ルイズが使い魔と一緒に出かけた、使い魔のハクオロは私の運命の人、追って。

唯一の親友キュルケの頼みとあらば、タバサは聞かない訳にはいかなかった。
自身の使い魔、風竜シルフィードを口笛で呼んで、窓から外に飛び降りる。
キュルケも後に続いて、窓の外に来ていたシルフィードの背中に着地。
タバサはシルフィードに馬二匹を探して後を追うよう指示すると、
尖った背びれを背もたれにして読書を再開するのだった。

トリステインの首都トリスタニアに到着したハクオロは、
白い石造りの街を見て、やはり自分は異邦人だと自覚する。
ルイズと一緒に市を歩き、五メイルもない道の狭さに当惑しながらも、
活気ある街並みに懐かしさを感じていた。
國は違えど市の雰囲気はどこも似たようなものなのかもしれない。
しばらく歩いて武器屋を見つけると、さっそく二人は店に入る。


店内には壁や棚に所狭しと剣や槍が乱雑に並べられていた。
パイプを咥えていた店主がルイズに気づいて顔をしかめる。
「貴族の旦那。うちはお上に目をつけられるようなこたぁしてませんぜ」
「客よ。こいつに武器を持たせるの」
客と解ると店主の態度は一転、愛想たっぷりの笑顔で応対した。
「へい、こちらの……従者が武器をお求めで?」
ハクオロの服装と仮面を奇妙に思いながらも、店主はそれを顔に出さずに言う。
ルイズはというと、どうでもよさげに店の真ん中で突っ立っていた。
「私は武器の事はよく解らないから、適当に選んでちょうだい」
その言葉を受け、ハクオロはとりあえず手近にあった槍を取ってみる。
店主の方は高く売りつけてやろうと商品を取りに店の置くに行く。
まず最初に持ってきたのは一メイル程度の長さの細身剣だった。
「昨今は宮廷の貴族の方々の間で、下僕に剣を持たすのがはやっておりまして。
 その際にお選びになるのが、このようなレイピアでさあ」
「貴族の間ではやってるの?
「へえ、最近トリステインの城下町を『土くれのフーケ』ってメイジの盗賊が有名で、
 貴族のお宝ばかり盗みまくってるそうでさ。それを恐れて下僕にまで剣を」
「ふーん。ねえハクオロ、これでいい?」
ハクオロは手に取っていた商品を元の場所に戻すと、
カウンターまで来てきらびやかな模様がついた美しい剣を見定める。
「いや……これは装飾用の剣だろう。ルイズが見栄えを気にするならこれでもいいが、
 こんな得物では実戦でどれだけ持つかどうか解らん」
「そう? それじゃ別の、そうね、槍なんかどう?」
「槍? なぜ槍なんだ?」
「だってあんた、決闘の時に槍で戦ってたじゃない」
「それはあのゴーレムが槍を持っていたから奪っただけだ。
 槍でも別に構わないが、どうも槍が得意という訳でもないような気がしてな」
「ふーん。ならやっぱり剣がいいかしら?」
「そうだな、できるだけ丈夫な物がいい」
その話を聞いて次に店主が持ってきたのは両手持ちの見事な大剣だった。
所々に宝石が散りばめられ、鏡のような両刃の刀身が輝いている。
「店一番の業物でさぁ。貴族のお供をなさるなら、くれくらいでないと」
「おいくら?」
「こいつを鍛えたのはかの有名なゲルマニアの錬金魔術師シュペー卿で。
 魔法がかかっているから鉄だって一刀両断でさ」
「だからいくらなのよ?」
「エキュー金貨で二千。新金貨なら三千」
「立派な家と、森つきの庭が買える値段じゃない」
「名剣は城に匹敵しますぜ。屋敷ですんだら安いもんでさ」
「そうなのか?」
ルイズが文句を言おうとしたが、それより早くハクオロが口を開いた。
そして大剣を手にとって、刀身や宝石などをジロジロと見る。
「この剣が高いのは、お飾りの宝石をたくさんつけてるからじゃないのか」
「まさか! 先ほども申し上げました通り、シュペー卿の造った……」
「一般的な剣の相場は?」
「まともな大剣なら、どんなに安くても二百はします」
「つまりこれは十倍の値か。確かに業物なら解らんでもないが……」
刀身を拳でコンコンと叩いたり、軽く剣を振ってみて、ハクオロは唸る。
「そんなにいい剣には見えんな。シュペーという鍛冶師は有名なのか?」
「そりゃあもう! この業界でシュペー卿作となりゃ、値段が跳ね上がりますぜ」
「平民の鍛冶師が鍛えた剣などはいくらぐらいの値になる?」
ハクオロの何気ない質問に、店主は笑い転げた。
「平民の鍛冶師? 馬鹿言っちゃいけませんぜ。
 錬金も使えない平民が、どうやって剣を作るっていうんですか」


先日マルトーと鍋の話を聞いた時から予感はしていたが、
やはりこの國では錬金で鉄製品等を製造しているらしい。
となると剣を鍛えるというのは、単に錬金の魔法を集中してかけるだけなのか。
確かに錬金は素晴らしい魔法だが、それで本当にいい物が作れるのか不安になる。
職人が汗水垂らして鉄を熱し、打ち、鍛え上げた物の方が彼には信頼できた。
(製鉄技術が無いから、錬金頼りという事か。
 魔法が便利すぎるせいで、他の技術が発展していないようだな。
 それに貴族社会のこの國では、果たして実力が正当に評価されるだろうか?
 単にシュペー卿とやらの家柄がいいだけとか、そういうオチもありえる)
考えれば考えるほど今手にしている美しい大剣が胡散臭く見えてきた。
「とにかく、こんな見栄えばかり気にしているような剣はいらん。
 ルイズ、ちょっと相談したい事が――」
とりあえずどの程度の値段までなら出せるのかを、
店主に聞こえないよう訊ねようとしたら、突然店内に大声が響いた。
「どうやら仮面の旦那は剣を見る目があるようだな!
 これじゃ高いだけで斬れねえ剣なんざ売れねえぜ!」
「だ、黙ってろデル公!」
店主が店の隅に向かって怒鳴ったので、ハクオロとルイズは視線の先を追う。
だが安そうな剣が適当に積まれているだけで、人影は無かった。
「……誰かいるのか?」
「何でえ、なかなかいい目をしてると思ったが実は節穴か!?」
声は、錆びの浮いたボロボロの剣から発せられたように聞こえた。
ハクオロは聞き違いかと思ったが、ルイズは声の主の正体に気づく。
「もしかしてインテリジェンスソード?」
ルイズの問いに店主が答える。
「そうでさ。意思を持つ魔剣、インテリジェンスソードでさ。
 いったいどこの魔術師が剣を喋らせるなんて思いついたのか。
 こいつは口は悪いは客に喧嘩を売るわで……。
 やいデル公! これ以上失礼があったら、貴族に頼んで溶かしてもらうぞ!」
「おう、やってみやがれ! どうせこの世にゃ飽き飽きしてたんだよ!」
剣としてはともかく、意思を持っている点に興味を持ったハクオロは、
デル公と呼ばれたボロ剣に近づいてみた。
錆びの浮いた刀身は細く、大剣というより長剣である。
「ふむ。なかなか使いやすそうだが、錆びてるしなぁ」
これと同じような型で、錆びてない剣はないか訊ねようとすると、
デル公と呼ばれた剣は店主に聞こえないよう小声で問いかけてきた。
「……ん? おめーさん、何者だ?」
「私か? 私はハクオロというものだが」
「俺はデルフリンガー。……って、名前を訊いてるんじゃねえよ。
 しかし何だか解らんが、面白そうだ。お前、俺を買え」
「……お前をか? 錆びだらけだぞ」
「磨けば光らぁ。それにそこいらの剣よかよっぽど丈夫だぜ」
確かに、錆びているなだ研げばいいし、その方が安上がりですみそうだ。
ただでさえルイズには、秘薬の代金とやらで面倒をかけてしまっている。
ハクオロは手招きをしてルイズを呼び寄せると、小声で相談した。


「ルイズ。金貨何枚までの剣なら買ってもいいんだ?」
「新金貨で百よ。それだけしか持ってきてないもの」
「百か……解った。こいつを買おう」
「これを? もっといい剣ならいっぱいあるじゃない」
「使いやすそうな形をしているし、錆びは落とせばいい。
 それに記憶喪失の私にとって、意思のある剣というのは便利だ。
 ルイズが側にいない時でも、この國の常識などを教えてもらえる」
「うーん、それもそうだけど……」
「では商談は任せてもらおう。私が何を言っても、君は黙っていてくれ。
 それからデルフリンガーも、少々悪口を言わせてもらうが我慢を頼む」
そう言うとハクオロはデルフリンガーを手に店主へと向き直った。
「店主。新金貨でこいつの値段は?」
安物を手に取られ、店主は嫌そうな顔をして答える。
「そいつを買うんですかい? 別に構いませんが、まあ百ってとこですね」
百、と聞いてルイズの手が財布へと動いた。
「百なら――」
丁度手持ちと一致する、と言いかけて、ハクオロが横目で見つめて黙らせる。
「こんな錆びの浮いたオボロボロボロな剣が百だと?
 貴族相手だからといってぼったくるんじゃない」
ボロボロと言おうとしたのに、なぜオボロボロボロと言ってしまったのか、
それは解らなかったがともかく、その点は店主も特に気にしなかった。
「お客様。そんななりでも立派な剣でさあ、剣は剣ってだけで価値がありやす」
「五十だ。五十でこいつを売ってくれ」
「五十!? 冗談はよしてください、それじゃ赤字になっちまいます」
「大剣の相場が二百だったな。だがこいつは大剣というほど大きくない。
 ならば相場は二百より下がるはずだ。それにこんなに錆びている。
 さらにこれはどう見ても売れ残りだろう、いや売れるはずがない。
 さっきこいつを魔術師に頼んで溶かしてもらうとまで言っていたな?
 それほどまでに売れないゴミ同然の剣を五十で買うと言っているんだ。
 メイジに金を払って溶かしてもらうよりマシだと思うが」
「しかし仮にもそいつはインテリジェンスソードって希少品でして」
「インテリジェンスソードを馬鹿にしていたのはあなただし、
 それにこんな口の悪い剣では、逆に買い手は減るだろう。新金貨五十だ」
「……八十! 新金貨八十枚でお売りしやす。これ以上は負かりません」
「七十だ。それで駄目なら我々はもう帰らせてもらおう」
デルフリンガーを棚に戻したハクオロは、
ルイズの肩を抱いて店から出て行くとばかりにドアノブに手をかけた。
すると観念した店主が叫ぶ。
「へえ! 七十で結構でさあ!」

ルイズと、錆びた剣を背中に背負ったハクオロが武器屋から出てくる。
「いやー、しかしおでれーた。あの親父からああも値切るたぁな」
「ルイズには自分のせいでお金をかけてしまったからな。何事も節約だ」
「おかげで新金貨三十枚余ったわ。寄り道してクックベリーパイでも食べましょ」
和気藹々と歩いて行く二人と一本を物陰から見ていた二人は、
すぐさまルイズ達が出てきた武器屋に入ると、シュペー卿作の剣を持って出てきた。
「うふふ。あんなボロ剣なんかプレゼントして、ルイズったら情けないわ。
 ねえタバサ。ダーリンはこの剣、気に入ってくれるかしら?」
有頂天のキュルケだったが、タバサはハクオロの服装と仮面を思い出して呟く。
「多分、合わない」
あの白い仮面といい、あの突起のある仮面といい、あの変質者のような仮面といい、
彼のエキセントリックな仮面の趣味を考えると、
もっと狂ったデザインの贈り物が喜ばれるに違いないとタバサは思った。


「おでれーた、相棒は記憶喪失なのかい。奇遇だね、実は俺も昔の記憶がねーんだ。
 なんせ六千年くらい生きてるからなー……」
「それはただの物忘れではないのか?」
喫茶店でクックベリーパイをおかわりしてご機嫌のルイズの向かい側で、
紅茶を飲みながらハクオロはデルフリンガーと雑談していた。
「ところで金属の類いはすべてメイジの手による錬金で作られているのか?」
「いや、金なんかは天然のを掘り出して加工するのが普通だな。
 つか金の錬金ってできたっけ? 覚えてねーや」
「できるわよ」
クックベリーパイを食べる手を止めて、ルイズはフォークを杖のように振るう。
「土系統のスクウェアメイジなら、精神力を使い切る覚悟でやれば、
 そうね、月に一度くらいは微量な金を錬金可能よ。割に合わないから誰もやらないけど」
確かに月に一度、ほんの少量の金しか錬金できないなら、別の金属を錬金した方がマシだ。
「では、金や……そうだな、宝石の原石などは人の手で掘り出されているのか」
「そうよ。それを腕のいい土系統のメイジが加工するの」
「宝石の錬金も負担が大きいのか? 紅玉(ティ・カゥン)や青玉(ワゥ・カゥン)とか」
「そうでなきゃ宝石として価値がないでしょう?
 ルビーなんて国宝級の物もあるわ。サファイアはさっきの剣に埋められてたわね。
 ガラスだって錬金が難しければ宝石扱いされてたかもしれないわね」
「ガラスが宝石か……。ガラスを金剛石(アムル)と偽って売る者もいるかもな」
「そんな事をしたら首を刎ねられても文句は言えないわね。
 ダイヤモンドを買うとなったら当然相手は貴族だろうし」
「そうだな。……ん?」
ふと、会話に違和感を覚えてハクオロは口ごもった。
自分はルビーの事を紅玉(ティ・カゥン)と言った。
サファイアは青玉(ワゥ・カゥン)と。
ダイヤモンドは金剛石(アムル)だ。
それがルイズに対して、ハルケギニアの言葉に聞こえるのはいい。
だがなぜ自分はルビー、サファイア、ダイヤモンドといった単語を聞き取れるのか。
自分の言葉がこの國の言葉で話され、この國の言葉は自分の元いた場所の言葉で聞こえる。
だったら彼女が『ルビー』と言えば、自分には『紅玉(ティ・カゥン)』と聞こえるはず。
そうでないという事は、自分はルビーという単語を元々知っているという事か?
そもそもハルケギニアの言葉では『ルビー』と発音しないのかもしれない。
自分は元々異なる幾つかの言語を習得していている?
例えば東方では言語統一が成されておらず、國によって言葉が違うとか。
「う~ん……」
いくら考えたところで、記憶喪失である自分には答えを出せないのかもしれない。
「どうかした?」
「いや……何とかして記憶を取り戻せないものかと思ってな」
正直に話すと何だかややこしそうなので、ハクオロは言葉を濁した。

こうしてルイズ達は休日の街を存分に満喫してから帰路についた。
ちなみにキュルケ達はというと。
「ねえタバサ。早く帰りましょう? ダーリンに剣をプレゼントしたいわ」
「もう少し」
タバサが本屋めぐりをしつつ、はしばみ草専門店で食事をしたがったため、
日が暮れてからようやく魔法学院に帰り着くのであった。

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