その一:ルイズの場合
「First kissからっ始まる~ 二人の恋のHistory~♪ ルルル~ララ~ララ~ラララ~…」
趙公明が召喚されて、はや三日。ルイズは得意(デレ)の絶頂にあった。例えばこんな調子だ。
趙公明が召喚されて、はや三日。ルイズは得意(デレ)の絶頂にあった。例えばこんな調子だ。
「僕の爵位かい? 僕は金ゴウ島の麗しき貴公子(プリンス)! つまり最高位の『公爵』ということになるのかな?
もっとも、王様というより『教主』の下だったけれどね。
……ほう、キミも公爵家令嬢とは奇遇だ!(くるくる) では、気軽に『ルイズ』と呼ばせてもらっても、いいかな?(ドン)」
「ああ! プリンス、なんと光栄なのでしょう! けれどこんなむさ苦しい一人部屋では、息が詰まってしまいますわ」
「そうだねルイズ! 素敵なお部屋だけれど、早速模様替えと拡張工事に取り掛からせよう!(パチン)」
もっとも、王様というより『教主』の下だったけれどね。
……ほう、キミも公爵家令嬢とは奇遇だ!(くるくる) では、気軽に『ルイズ』と呼ばせてもらっても、いいかな?(ドン)」
「ああ! プリンス、なんと光栄なのでしょう! けれどこんなむさ苦しい一人部屋では、息が詰まってしまいますわ」
「そうだねルイズ! 素敵なお部屋だけれど、早速模様替えと拡張工事に取り掛からせよう!(パチン)」
趙公明が指を鳴らすと、どこからともなくエレガントなスーツの一団が現れ、瞬く間に部屋を改装・拡張していく。
「まぁ、召喚魔法? いいえ、きっとプリンスには不可能はないのですね」
もうルイズは彼にメロメロだ。ワルド? ああ…そんな人もいましたね。
「まぁ、召喚魔法? いいえ、きっとプリンスには不可能はないのですね」
もうルイズは彼にメロメロだ。ワルド? ああ…そんな人もいましたね。
ルイズと趙公明の身の回りの世話一切は、趙公明がどこからか呼び出す執事とメイドたちに任されている。
なにしろ趙公明一人でも、一日最低七回はお召し換えがあるので大変なのだ。
なにしろ趙公明一人でも、一日最低七回はお召し換えがあるので大変なのだ。
食事や授業には、趙公明もルイズについて来る。
しかし食堂や教室には、巨大でゴージャスな『テーブルと椅子のセット』……と、いいますか、
ティールームそのものを持って来させて、優雅に最高級の紅茶を味わっている。無論、各々メイドつきだ。
しかし食堂や教室には、巨大でゴージャスな『テーブルと椅子のセット』……と、いいますか、
ティールームそのものを持って来させて、優雅に最高級の紅茶を味わっている。無論、各々メイドつきだ。
「ああ、美味しい。どうだねルイズ、このクックベリーパイは甘みが控えめで、キミの口にも合うと思うんだが」
「少し頂いておりますわ、プリンス。でも今は、ダイエットしておりますの、ヲホホホホホ」
「おやおや、そんな事をしなくたって、キミは小鳥のように軽やかじゃないか!(ヴァヴァアアン)」
「まぁお上手ですこと、コロコロコロ」
「少し頂いておりますわ、プリンス。でも今は、ダイエットしておりますの、ヲホホホホホ」
「おやおや、そんな事をしなくたって、キミは小鳥のように軽やかじゃないか!(ヴァヴァアアン)」
「まぁお上手ですこと、コロコロコロ」
と、いいますかお前ら、授業中だぞ。
しかし、『プリンス』とゼロのルイズには誰も逆らえず、黙認するかたちとなったのであった。
しかし、『プリンス』とゼロのルイズには誰も逆らえず、黙認するかたちとなったのであった。
その二:キュルケの場合
ある日の深夜。趙公明が一人で、踊り場の窓辺で双月を眺めている。
「あ~ら、プリンス・チョウ・コウメイ。今晩は、お元気ですかしら?」
「やあ、ミス・ツェルプストー! 御機嫌よう! いい月夜だね!(ンドヴァズピプォー)」
なんちゅう擬音だ。だが別に気にせず、呼びかけられた赤い髪の女性は妖艶に微笑む。少しダッキを思わせた。
「うふふふ、お気軽に『キュルケ』とお呼び下さいな。二つ名は『微熱』ですわ。
ルイズはおねむのようですから、少し私の部屋でお話いたしません?」
「あ~ら、プリンス・チョウ・コウメイ。今晩は、お元気ですかしら?」
「やあ、ミス・ツェルプストー! 御機嫌よう! いい月夜だね!(ンドヴァズピプォー)」
なんちゅう擬音だ。だが別に気にせず、呼びかけられた赤い髪の女性は妖艶に微笑む。少しダッキを思わせた。
「うふふふ、お気軽に『キュルケ』とお呼び下さいな。二つ名は『微熱』ですわ。
ルイズはおねむのようですから、少し私の部屋でお話いたしません?」
キュルケに誘われるまま、趙公明は彼女の部屋に入る。一応仙人(神)なので、性的なことはなしだ。
「…まぁ、プリンスには御妹君が三人もいらっしゃるの? きっと素敵な令嬢方なのでしょうね」
「フフフ、キミに勝るとも劣らない美人姉妹さ! ぜひ会わせたいところだが…この写真で勘弁願いたい(べっ)」
「写真? それは、何ですの?」
「まあ、小さな肖像画みたいなものかな。おお、これは丁度三人一緒に写っているよ、ほら」
「どれどれ………おうげっ!?」
「…まぁ、プリンスには御妹君が三人もいらっしゃるの? きっと素敵な令嬢方なのでしょうね」
「フフフ、キミに勝るとも劣らない美人姉妹さ! ぜひ会わせたいところだが…この写真で勘弁願いたい(べっ)」
「写真? それは、何ですの?」
「まあ、小さな肖像画みたいなものかな。おお、これは丁度三人一緒に写っているよ、ほら」
「どれどれ………おうげっ!?」
一人目は、身長2メイル強はある、全身ビリーの如き黒光りする筋肉で固めたマッスル☆ナース☆エンジェル。
二人目は、童話に出てくる魔女そのものの鷲鼻を持ち、大きなリボンをつけたロリータ・ファッションの小人の老婆。
三人目は…凄まじく肥満してソファーに寝そべり、駄菓子を貪り食っている超絶巨大コニー(小錦デブ)。
しかも各々がグロスを塗った唇を光らせ、セクシーポーズをキメている!!
「ゲフゥ!!!(ズーン)」
キュルケは、あまりの『視覚への暴力』に、喀血して倒れた!!
二人目は、童話に出てくる魔女そのものの鷲鼻を持ち、大きなリボンをつけたロリータ・ファッションの小人の老婆。
三人目は…凄まじく肥満してソファーに寝そべり、駄菓子を貪り食っている超絶巨大コニー(小錦デブ)。
しかも各々がグロスを塗った唇を光らせ、セクシーポーズをキメている!!
「ゲフゥ!!!(ズーン)」
キュルケは、あまりの『視覚への暴力』に、喀血して倒れた!!
「この背の高い子が長女ビーナス。小さな子が次女クイーン。おやつを食べているのは三女マドンナさ!!
…おや、どうしたんだいキュルケくん? まさか僕の可愛い妹たちのセクシーな美しさに、自信を喪失してしまったのかい?
おお…美しさは、罪……(くらり)」
まあ、破壊力は抜群のようだ。むしろ直接出会わなくて助かったといえよう。
…おや、どうしたんだいキュルケくん? まさか僕の可愛い妹たちのセクシーな美しさに、自信を喪失してしまったのかい?
おお…美しさは、罪……(くらり)」
まあ、破壊力は抜群のようだ。むしろ直接出会わなくて助かったといえよう。
極上ときめきロマンシングタクティクスVer.2.改「趙・貴公子君臨!!」ZERO通’XTURBO++64TWEI ~そして伝説へ~ :ギーシュの場合
「なあギーシュ! お前、いま誰と付き合ってるんだよ! 教えろって色男!」
「付き合う? フッ、僕にそのような女性はいないのだ。バラは、多くの人を楽しませるために咲くのだからね(キラキラ)」
趙公明・弐号機…もとい、もう一人の気障な優男ギーシュ・ド・グラモンが、取り巻きたちと食堂でだべっている。
ルイズたちは、少し早いアフタヌーン・ティーの時間だ。優雅な時間が流れていく。
「付き合う? フッ、僕にそのような女性はいないのだ。バラは、多くの人を楽しませるために咲くのだからね(キラキラ)」
趙公明・弐号機…もとい、もう一人の気障な優男ギーシュ・ド・グラモンが、取り巻きたちと食堂でだべっている。
ルイズたちは、少し早いアフタヌーン・ティーの時間だ。優雅な時間が流れていく。
と、ギーシュのポケットから硝子の香水瓶が転がり落ちた。それを近くにいたメイドが拾い、そっとテーブルに返す。
「ん? …いや、これは僕のではないよ。キミ、とっておきなさい」
「え? あ、でも、こんな高価な物……」
小声でのやりとりを、取り巻きが目ざとく見つける。
「ん? …いや、これは僕のではないよ。キミ、とっておきなさい」
「え? あ、でも、こんな高価な物……」
小声でのやりとりを、取り巻きが目ざとく見つける。
「おや? その香水はもしや、モンモランシーの香水じゃないか?」
「そうだ! この鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「つまりお前は今、モンモランシーと付き合っている。そうだな? ギーシュくん」
「しかもそれをメイドにあげるなんて、何股かける気だ?」
「ちっ、違う! いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……あっ、ケティ!?」
「そうだ! この鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「つまりお前は今、モンモランシーと付き合っている。そうだな? ギーシュくん」
「しかもそれをメイドにあげるなんて、何股かける気だ?」
「ちっ、違う! いいかい? 彼女の名誉のために言っておくが……あっ、ケティ!?」
ギーシュは何とか弁明しようとしたが、後ろのテーブルに座っていた栗色の髪をした少女が近づき、涙を流し始める。
「ギーシュ様……やはり、貴方はミス・モンモランシーと……」
「待て、彼らは誤解しているんだよケティ。いいかい、僕の心の中には、君だけ……(パン)」
二股(三股?)発覚だ。ギーシュの頬をケティの平手が打つ。
「さようなら!!」
「ギーシュ様……やはり、貴方はミス・モンモランシーと……」
「待て、彼らは誤解しているんだよケティ。いいかい、僕の心の中には、君だけ……(パン)」
二股(三股?)発覚だ。ギーシュの頬をケティの平手が打つ。
「さようなら!!」
ケティが去ると、今度は遠くの席から一人、金髪ロールの少女が立ち上がった。こちらもギーシュに歩み寄ってくる。
「も、モンモランシー! 誤解だ! 彼女とはただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りしただけで…勝手に」
口をへの字に結んだモンモランシーは、無言でワインの瓶を掴み、ギーシュの頭の上に振り下ろした!
(ガッ)「ギャ――――ッ!!!」
「この、嘘吐き! 絶交よ!!」
ちょっと血が出たギーシュにそう怒鳴り、モンモランシーも大股で去っていった。
「も、モンモランシー! 誤解だ! 彼女とはただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りしただけで…勝手に」
口をへの字に結んだモンモランシーは、無言でワインの瓶を掴み、ギーシュの頭の上に振り下ろした!
(ガッ)「ギャ――――ッ!!!」
「この、嘘吐き! 絶交よ!!」
ちょっと血が出たギーシュにそう怒鳴り、モンモランシーも大股で去っていった。
気まずい空気が食堂の一角を支配する。
ギーシュはハンカチでゆっくりと血を拭いた。そしてやれやれ、と肩をすくめ、口を開く。
「ふぅ、あのレディたちは、バラの存在の意味を理解していないようだね……それはそうと、キミ」
メイドは突然指差され、ビクッとした。
「キミの機転が利かなかったおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。この始末、どうしてくれるんだね?(ビッ)」
……理不尽だ。責任をメイド一人に押し付けるなど、色男の風上にも置けない。
しらけた空気の中に、BGM付きで近づく怪しい影が一つ。
ギーシュはハンカチでゆっくりと血を拭いた。そしてやれやれ、と肩をすくめ、口を開く。
「ふぅ、あのレディたちは、バラの存在の意味を理解していないようだね……それはそうと、キミ」
メイドは突然指差され、ビクッとした。
「キミの機転が利かなかったおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。この始末、どうしてくれるんだね?(ビッ)」
……理不尽だ。責任をメイド一人に押し付けるなど、色男の風上にも置けない。
しらけた空気の中に、BGM付きで近づく怪しい影が一つ。
(ラアーーーイイヤーーーアライヨラ ルーララララルラルラララルーラーー)
「げぇっ、コウメイ! …もとい、プリンス・チョウ・コウメイ!」
そう、我らが麗しの貴公子、趙公明だ。彼は騒ぎの種が大好きな、困った人でもある。
「待ちたまえギーシュくん! 今のキミの行いは、到底貴族子弟の、ジェントルマンの行いではないよ!
キミがバラのように美しく、またバラの花には愛多きことは認めよう!
しかし美しく香るバラも、醜い棘だらけになっては誰が愛でてくれるというんだね!?(ビッシ)」
そう、我らが麗しの貴公子、趙公明だ。彼は騒ぎの種が大好きな、困った人でもある。
「待ちたまえギーシュくん! 今のキミの行いは、到底貴族子弟の、ジェントルマンの行いではないよ!
キミがバラのように美しく、またバラの花には愛多きことは認めよう!
しかし美しく香るバラも、醜い棘だらけになっては誰が愛でてくれるというんだね!?(ビッシ)」
「え、いや、あの、プリンス」
「はっ、そうか! キミは僕との華麗なる戦いを、決闘(デュエル)を望んでいるというワケだね?
よろしい!(パン) その挑戦、お受けしよう! イヤだというなら、僕が申し込んであげるよ!
僕が直々に、貴族とは何たるかを叩き込んであげよう!(キラキラキラキラ ジャジャアアアン)」
「はっ、そうか! キミは僕との華麗なる戦いを、決闘(デュエル)を望んでいるというワケだね?
よろしい!(パン) その挑戦、お受けしよう! イヤだというなら、僕が申し込んであげるよ!
僕が直々に、貴族とは何たるかを叩き込んであげよう!(キラキラキラキラ ジャジャアアアン)」
趙公明は嬉しそうに宣言すると、いそいそと白い手袋を取り出し、呆然とするギーシュに投げつけた。
「僕は『ヴェストリの広場』で待つ! 準備が出来たらいつでもおいで!」
「……え? あの、プリンス? …えええええ?!」
本日一番災難なのは、やはりギーシュ・ド・グラモンであった。
「僕は『ヴェストリの広場』で待つ! 準備が出来たらいつでもおいで!」
「……え? あの、プリンス? …えええええ?!」
本日一番災難なのは、やはりギーシュ・ド・グラモンであった。
(つづく)