「ぐぅぅぅぅ。あたしの使い魔がよりにもよって……」
自分の後ろでちょろちょろと走り回る男に、ルイズはあまりの情けなさから泣きたくな
って来た。
「いやぁ、これは立派な建物だ。ルイズ様、ここはさぞ歴史のある建物なのでしょう。い
やいや、言われなくともそれ位はこの私めにも分かりますぞ」
小柄の中年男は辺りを見渡しながら、声を上げる。
「しかも、魔法なんてものがこの世にあるとは。いやぁ、私は始めて見たのですが便利な
ものですね。あんなに簡単に空を飛べるとは、いや、驚きました」
この田舎者まるだしの台詞を口にしているのが自分の使い魔だということが、ルイズの
心に重くのしかかった。
「しかし、ルイズ様はなぜ飛んでいかれないので?」
何気ない男の言葉に、ルイズの足が止まる。
「そ、それは……」
言い淀むルイズを見て、男はポンと手を叩く。
「なるほど。この辺りに不慣れな私のため、あえて歩いて案内をして下さっているのです
ね。いや、さすがルイズ様。わざわざこの使い魔めと一緒に地べたを歩いてくださるなど
光栄の極みです。いよッ、日本一ッ」
最後の掛け声の意味はルイズには分からなかったが、少なくともルイズの体面が守られ
たのは確かだった。
「そ、そうよ。さあ、私がわざわざ付き合ってあげているんだから、とっとと歩きなさい」
「はい。直ぐに参ります」
つかず離れずの絶妙な距離を保ってついてくる使い魔に、ルイズは尋ねる。
「ところで、あなたの名前はなんて言うの?」
「おお、これは失礼しました。ご主人様から尋ねられる前にお答えするべきでした。私、
ジャスティ・ウエキ・タイラーと申します。タイラー、と呼んでいただければ結構でござ
います」
さえない中年の男は、手揉みしながらそう答えたのだった。
自分の後ろでちょろちょろと走り回る男に、ルイズはあまりの情けなさから泣きたくな
って来た。
「いやぁ、これは立派な建物だ。ルイズ様、ここはさぞ歴史のある建物なのでしょう。い
やいや、言われなくともそれ位はこの私めにも分かりますぞ」
小柄の中年男は辺りを見渡しながら、声を上げる。
「しかも、魔法なんてものがこの世にあるとは。いやぁ、私は始めて見たのですが便利な
ものですね。あんなに簡単に空を飛べるとは、いや、驚きました」
この田舎者まるだしの台詞を口にしているのが自分の使い魔だということが、ルイズの
心に重くのしかかった。
「しかし、ルイズ様はなぜ飛んでいかれないので?」
何気ない男の言葉に、ルイズの足が止まる。
「そ、それは……」
言い淀むルイズを見て、男はポンと手を叩く。
「なるほど。この辺りに不慣れな私のため、あえて歩いて案内をして下さっているのです
ね。いや、さすがルイズ様。わざわざこの使い魔めと一緒に地べたを歩いてくださるなど
光栄の極みです。いよッ、日本一ッ」
最後の掛け声の意味はルイズには分からなかったが、少なくともルイズの体面が守られ
たのは確かだった。
「そ、そうよ。さあ、私がわざわざ付き合ってあげているんだから、とっとと歩きなさい」
「はい。直ぐに参ります」
つかず離れずの絶妙な距離を保ってついてくる使い魔に、ルイズは尋ねる。
「ところで、あなたの名前はなんて言うの?」
「おお、これは失礼しました。ご主人様から尋ねられる前にお答えするべきでした。私、
ジャスティ・ウエキ・タイラーと申します。タイラー、と呼んでいただければ結構でござ
います」
さえない中年の男は、手揉みしながらそう答えたのだった。
End