「そういえば、あなた名前は?」
召喚した少女を連れて自分の部屋に戻ってきたルイズは、ドアを閉めて大きく伸びをすると、少女に向き直った。
儀式を失敗し続けたせいで疲れきっていたため、すぐにでも寝たかったが、やっぱり名前ぐらいは聞いておくことにしたのだ。
召喚した少女を連れて自分の部屋に戻ってきたルイズは、ドアを閉めて大きく伸びをすると、少女に向き直った。
儀式を失敗し続けたせいで疲れきっていたため、すぐにでも寝たかったが、やっぱり名前ぐらいは聞いておくことにしたのだ。
「・・・なまえ?」
少女は澄んだ瞳でルイズを見つめている。
「いくら平民でも、名前ぐらいある・・・わよね?」
一応“使い魔”なので、ルイズが自分で名づければいいのだが、本名も知っておくにこしたことはない。
呼びやすいものならそのまま使えばいいし。
「グゥです」
「グゥ?一応聞くけど、それってあだ名とか二つ名じゃなくて、本名?」
「はい」
“グゥ”がにっこりと笑って返事をする。
ルイズは何故かその笑顔にドキッとした。
少女は澄んだ瞳でルイズを見つめている。
「いくら平民でも、名前ぐらいある・・・わよね?」
一応“使い魔”なので、ルイズが自分で名づければいいのだが、本名も知っておくにこしたことはない。
呼びやすいものならそのまま使えばいいし。
「グゥです」
「グゥ?一応聞くけど、それってあだ名とか二つ名じゃなくて、本名?」
「はい」
“グゥ”がにっこりと笑って返事をする。
ルイズは何故かその笑顔にドキッとした。
ちょ、調子狂うわね・・・
変わった名前、語呂はともかく二文字って短すぎない?平民だから?
変わった名前、語呂はともかく二文字って短すぎない?平民だから?
「わたしはルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。ルイズって呼んでくれていいわよ、グゥ。
あなたはわたしの使い魔として“サモン・サーヴァント”で呼ばれたの。
今日からはここ、トリステイン魔法学院女子寮のこの部屋があなたの家よ」
あなたはわたしの使い魔として“サモン・サーヴァント”で呼ばれたの。
今日からはここ、トリステイン魔法学院女子寮のこの部屋があなたの家よ」
「ルイズ・ド・ラ・・・ヴァリエール・・・・・・ルイズ・・・・・・よろしく、ね」
「ええ、よろしく」
「ええ、よろしく」
ルイズは改めてグゥを眺めた。どう見ても子供だ。おガキ様だ。しかも平民の。
それにしてもいきなり召喚されたというのに、そのはにかんだような笑顔からは悪意も動揺も感じられない。
実は凄く剛胆な性格なのかもしれない。
そしてやたら可愛い、まあ可愛いのはもちろんいいんだけど。
それにしてもいきなり召喚されたというのに、そのはにかんだような笑顔からは悪意も動揺も感じられない。
実は凄く剛胆な性格なのかもしれない。
そしてやたら可愛い、まあ可愛いのはもちろんいいんだけど。
この子、使い魔としては何ができるのかしら?
使い魔になれば普通、ちょっとした集中で視聴覚等の共有ができる(と教わった)が、少なくとも今は全くできない。
使い魔になれば普通、ちょっとした集中で視聴覚等の共有ができる(と教わった)が、少なくとも今は全くできない。
秘薬とかの材料を集めてくるとか・・・集め・・・あつ・・・。
いくらなんでもそれは無理がある。
いくらなんでもそれは無理がある。
そして、使い魔は主人を守ると聞く。
現状どちらかと言えば、ルイズの方がグゥを守らないとまずそうな雰囲気である。
現状どちらかと言えば、ルイズの方がグゥを守らないとまずそうな雰囲気である。
ならわたしの身の回りの世話でもさせてみようか。
ちゃんとできるのかしら?この子、10歳?それとも9歳なの?うう・・・。
ちゃんとできるのかしら?この子、10歳?それとも9歳なの?うう・・・。
・・・明日以降、ゆっくり考えよう。
ルイズはとりあえず考えることを放棄してグゥに声をかけた。
ルイズはとりあえず考えることを放棄してグゥに声をかけた。
「今日はもう疲れたし、寝ましょうか。このベッド一応ダブルだし、わたしの隣でいいわよ。
そうそう、わたしより早く起きたら、起こしてね。じゃ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
そうそう、わたしより早く起きたら、起こしてね。じゃ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
相変わらずの笑顔で頷いたグゥは、すぐに軽い音を立ててベッドに滑り込んだ。
ルイズもパジャマに着替え、それに続いた。
ルイズもパジャマに着替え、それに続いた。
翌朝。
誰かがルイズの頭をぺしぺし叩いている。
「うーん、何よ、もう朝?っていうか誰?」
そういえば、昨日使い魔を召喚したんだっけ、なんかやたら可愛い子を。
「ふぁあ、おはよう、グゥ・・・」
「ふぁあ、おはよう、グゥ・・・」
「おはよう・・・」
背後から子供にしては妙に低い、呟くような声がする。
グゥってこんな声だったかしら?
グゥってこんな声だったかしら?
「ぎゃーーーーーーーーーーーーーー!あ、ああああああ、あんた誰よ!」
ルイズが振り返ると、そこにはなんとハの字眉に三白眼で、その上強烈な威圧感を全身から発する謎の子供が立っていた。
ルイズが振り返ると、そこにはなんとハの字眉に三白眼で、その上強烈な威圧感を全身から発する謎の子供が立っていた。
「グゥだが」
そそそそんなわけあるか、昨日の子とは何もかもが違う。
それ以前にこいつどこから入ってきたの?ねえここの警備ってザル!?
それ以前にこいつどこから入ってきたの?ねえここの警備ってザル!?
「いやあんたマジで誰!グゥはどこ行ったの!ねえ!ねえってばあああああ!」
ルイズは絶叫した。
ルイズは絶叫した。
途端、部屋のドアが猛烈な勢いで開き、燃えるような赤い髪の女が飛び込んできた。
「ルイズあなたねえ、何早朝から叫び声上げてんのよ!迷惑にも程があるわ!」
「なな、何でキュルケがわたしの部屋に?」
「自分のその小さな胸に聞いてみなさいよ。それより何、どうしたの?」
「小さなって失礼ね!あんたのが無駄に大き・・・」
「なな、何でキュルケがわたしの部屋に?」
「自分のその小さな胸に聞いてみなさいよ。それより何、どうしたの?」
「小さなって失礼ね!あんたのが無駄に大き・・・」
はっ、今はこいつの軽口にかまっている暇はないんだわ。少しでも情報を。
「わわわわたしの召喚した使い魔がいないのよ!」
「わわわわたしの召喚した使い魔がいないのよ!」
「何を言っているの?あなたが昨日召喚した子はそこに居るじゃない。
いくら平民を召喚したからって、現実逃避はよくないわ“ゼロのルイズ”?」
ルイズの頬が怒りで朱に染まった。
「あんたこそ何言ってるのよ、“これ”と昨日呼んだ子は全ッ然!何ひとつ一致してないわ!!!」
いくら平民を召喚したからって、現実逃避はよくないわ“ゼロのルイズ”?」
ルイズの頬が怒りで朱に染まった。
「あんたこそ何言ってるのよ、“これ”と昨日呼んだ子は全ッ然!何ひとつ一致してないわ!!!」
キュルケがかわいそうなものを眺めるような表情でルイズを見つめる。
「じゃあ、あなたの言うところの昨日召喚した使い魔ってどんなのよ?」
「じゃあ、あなたの言うところの昨日召喚した使い魔ってどんなのよ?」
「えーと、肌が白くって」
「白いわね、透けるみたいに」
「白いわね、透けるみたいに」
「あんまり見ない顔でー」
「そうね、少なくともトリステイン人じゃないわね」
「そうね、少なくともトリステイン人じゃないわね」
「小柄で痩せてる・・・」
「小柄で痩せてるわよ?いい加減現実を見なさい」
「小柄で痩せてるわよ?いい加減現実を見なさい」
ああ・・・でも違う・・・違うのよ・・・
ルイズが頭を抱えてうずくまる。キュルケは溜め息をついた。
ルイズが頭を抱えてうずくまる。キュルケは溜め息をついた。
そのとき、キュルケは昨日ルイズが召喚したという少女がドアの外、自分の背後を興味深そうに見つめていることに気づいた。
そこには、キュルケの使い魔である幻獣サラマンダーが待機している。
「あなた、お名前は?」
「・・・グゥです」
「ふうん、変わった名前ね。わたしは“微熱のキュルケ”。グゥちゃん、わたしのフレイムが気に入ったの?」
グゥはこくこくと頷く。
「もしかしてあなた、主人よりものを見る目あるんじゃない?
この子は火竜山脈のサラマンダー。強いし、高いのよ」
「・・・すごいですね」
「・・・すごいわよ。さて、ルイズも静かになったみたいだし、わたしはもう少し寝るわ、お先に失礼。またね」
キュルケはひらひらと手を振ると、パタンとドアを閉め自室に戻っていった。
「さよなら」
グゥも手を振った。しかし。
そこには、キュルケの使い魔である幻獣サラマンダーが待機している。
「あなた、お名前は?」
「・・・グゥです」
「ふうん、変わった名前ね。わたしは“微熱のキュルケ”。グゥちゃん、わたしのフレイムが気に入ったの?」
グゥはこくこくと頷く。
「もしかしてあなた、主人よりものを見る目あるんじゃない?
この子は火竜山脈のサラマンダー。強いし、高いのよ」
「・・・すごいですね」
「・・・すごいわよ。さて、ルイズも静かになったみたいだし、わたしはもう少し寝るわ、お先に失礼。またね」
キュルケはひらひらと手を振ると、パタンとドアを閉め自室に戻っていった。
「さよなら」
グゥも手を振った。しかし。
「ふぅ」
グゥがいきなり溜め息をつき、無愛想に戻る。
そのやりとりを呆然と眺めていたルイズは開いた口がふさがらない。
「あなたが確かにグゥだってことはわかったわ」
「・・・」
それが判ったところで、神経をすり減らすような無言の威圧感が軽減されるわけではまったくなかったが。
使い魔として何ができるか以前に、どうコミュニケーションを取るかということが当面の課題となりそうである。
グゥがいきなり溜め息をつき、無愛想に戻る。
そのやりとりを呆然と眺めていたルイズは開いた口がふさがらない。
「あなたが確かにグゥだってことはわかったわ」
「・・・」
それが判ったところで、神経をすり減らすような無言の威圧感が軽減されるわけではまったくなかったが。
使い魔として何ができるか以前に、どうコミュニケーションを取るかということが当面の課題となりそうである。
「ね、ねえ、なんで顔・・・変わるの?」
グゥの変貌度たるや、水+風の魔法“フェイス・チェンジ”に匹敵する。
しかし、少なくともルイズにとっては魔法を使っているように感じなかった。
グゥの変貌度たるや、水+風の魔法“フェイス・チェンジ”に匹敵する。
しかし、少なくともルイズにとっては魔法を使っているように感じなかった。
「これ?」
再びグゥの顔が愛想のいい美少女に変化する。
「そう!それよ!」
「特技。・・・営業用?」
瞬時に顔を戻したグゥがぽつりと呟いた。
「そ、そう。あんまりにも怪しいから、できるだけやらないでね・・・」
再びグゥの顔が愛想のいい美少女に変化する。
「そう!それよ!」
「特技。・・・営業用?」
瞬時に顔を戻したグゥがぽつりと呟いた。
「そ、そう。あんまりにも怪しいから、できるだけやらないでね・・・」
起き抜けにひどい精神ダメージを受けたルイズには、そう言うのが精一杯だった。