あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのちグゥ-1

「あー、ミス・ヴァリエール?」
木の杖を持ち、真っ黒なローブに身を包んだ中年の男性が、微妙な表情で、近くにいる桃色の髪の少女に声をかけた。
辺りは既に薄暗い。

「はぁはぁ・・・何でしょう、ミスタ・コルベール?」
少女が荒い息を吐きながら答える。
「少し、休憩した方がいいのでは?そんなに息を荒げていては、成功するものも成功しないぞ」
しかし、少女は首を振った。
「いえ!このルイズ・ヴァリエール、まだまだやれます!」

コルベールはやれやれ、と溜め息をついた。
生徒が、自分で“やれる”と言った以上、教師としては止めるわけにもいかない。
まったく、この根性と熱意だけは、皆に見習わせたいものだ。
ただし、他の生徒はこの課題・・・“春の使い魔召喚の儀式”はとうに済まし、辺りで欠伸や雑談をしているのだが。
「そうかね。では頑張りたまえ」

「はい!」
少女は、一言返事をすると気合を入れなおし、こんどこそはと杖を構えた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
 五つの力を司るペンタゴン。我の運命に従いし、使い魔を召喚せよ」
目の前の地面に、本日35回目の爆発、それも特別大きなやつ・・・が起こった。
今度こそは手ごたえがあったと思ったのに。


「ああ、またダメなのかしら・・・え?え?」
土煙の中、天を突くような巨大な影がトリステインの夕日をバックに起ち上がる。
辺りで談笑していた生徒たちがざわめく。
コルベールは何事かと杖を構えた。

が、次の瞬間その巨大な影は気配ごと消滅し、ワンテンポ遅れて、何か軽いものが地面に落ちるような音がした。

煙が晴れると、そこには辺りを不安そうに見回している、色白でピンク色の髪をした少女が立っていた。

途端、ざわめきが爆笑に変わる。
「おい、平民だぞ、しかも子供だ!」
「さすがはゼロのルイズ!」
「でも、今の巨大な影は何かしら?」
「きっと失敗の効果だぜ、ギャハハ!」

ルイズと呼ばれた、先ほど爆発を起こした少女は頬を膨らせて答えた。
「ちょ、ちょっと間違っただけよ!・・・ミスタ・コルベール、これはさすがにやり直しできますよね?」
「残念だがそれは無理だ、決まりだからね。二年生に進級する春の使い魔召喚は、何よりも神聖な儀式なんだよ」
コルベールは即答した。ルイズは唖然とした。
「え、いやでもあの、この子と・・・?」
コルベールは諭すように言う。
「要するに、例外は認められないという事だよ、ミス・ヴァリエール。契約したまえ」


ルイズは、爆発の跡が残る地面にぼーっと立っている少女を観察した。
同年齢では色々と小さい方であるルイズより、更に小柄で痩せている。
おそらく五,六歳は年下だ。顔のつくりは整っていて、かなり可愛い。
唯一つ妙なところがあるとすれば、体に黄色の布を巻き、ピンク色のスカートという、不思議な服装だろう。
一体呼び出される前はどこに住んでいたのだろうか?

「さあ、契約の儀式を」
コルベールがルイズを急かした。
「・・・すぐ終わるから、静かにしてなさいよ」
「はい」

少女は素直に頷いた。うわ、可愛い。
平民でもこれはこれでまた・・・契約すれば留年しないことは確定するんだし、まあいいかしら。
手に持った小さな杖を再び振る。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
少女は、微動だにせずルイズを見つめている。
二人の唇が重ねられ、そして離された。
「ふぇ?」
少女は不思議そうな顔をした。

「終わりました」
誇らしげなルイズの様子を見て、コルベールが嬉しそうに答える。
「“サモン・サーヴァント”は何回も失敗したが、“コントラクト・サーヴァント”はきちんとできたね・・・む、何だ?」


直後、少女が輝きだし、ルーン文字が全身に現れる。
コルベールが目を見開く。使い魔のルーンは普通体のどこか一箇所である。
長い方である教師経験の中でも、こんな事はいまだかつて無かった。
しかし光が収まったとき、それらのルーンは完全に消失していた。

「おや、気のせいだったかな?」
きっと本来の使い魔の印は、服で隠れた部分にでも刻まれたのだろう。
コルベールはそう自分を納得させた。

「なんだぁー?ゼロはやっぱり“契約”も失敗か?」
「それも平民の子供に!」
その野次に、ルイズはすごい剣幕で怒鳴った。
「失礼ね、ちゃんと契約できてるわよ!ねー?」
「こらこら、貴族はお互いを尊重しあうものだ」
コルベールが溜め息混じりに皆を宥める。
少女が、いつのまにかルイズのマントの裾を掴んで横に立っていた。

「さあさあ、予定よりずいぶんと時間がかかってしまった。皆寮に戻り、しっかり明日に備えなさい。今呼び出した使い魔とも、できる限りコミュニケーションを取っておくように」
自身もいい加減疲れているコルベールが生徒達を追い散らした。
ルイズと少女を除いた全員が宙に浮き、建物の方に向かう。
ルイズは大きな溜め息をひとつ吐くと、側の少女に向かって口を開いた。
「わたしについてきなさい、話は部屋に戻ってからね。それと、できればその、マントを握り締めるの、やめてもらえないかしら?しわになっちゃうわ」
「わかりました」
少女がにっこり笑って頷く。
ああもう何でこんなに可愛いのこの子!まるで妹ができたみたい。

いつの間にか空には大きな二つの月が出ている。
てくてくと歩く、二人のピンク髪少女の影法師が長く延びた。

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