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ゼロHiME~嬌嫣の使い魔~ 第四話


 「この学院で教えているのは魔法だけじゃないわ。メイジはほぼ貴族で『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を受けているの。だから、ここも貴族の食卓に相応しいものでなければってことね」

 寄宿舎から学院で一番高い中央の本塔にある食堂につくと、物珍しそうに食堂を見回す静留に向かってルイズは得意げに説明する。

 「凝った内装やらテーブルの上にある豪華な料理からしてそんな感じやね……ほな、うちは外で待ってますわ」
 「えっ、なんでよ?」 
 「テーブルの上の豪勢な食事は貴族さん達のためのものですやろ。平民でしかも使い魔のうちが同席するわけにはいかんと思いますよって」

 静留の言葉にルイズはしまったという表情を浮かべる。昨日は召喚に成功したことで頭がいっぱいで静留の食事の手配を忘れていたのだ。まともに使い魔の食事も用意できないなんて主人としての沽券に関わる。

 「どうしたらいいかしら……そうだ、ちょっとそこのあなた!」

 ルイズは少し思考した後、配膳のために傍を通ったシエスタに声をかける。

 「はい、なんでしょうか? あ、シズルさん」
 「仕事中どすか、シエスタさん」

 静留が気づいて駆け寄ってきたシエスタに声をかけると、ルイズが怪訝な表情でたずねる。

 「ん? シズル、なんで名前知ってるの?」
 「ルイズ様を起こす前、洗濯しにいった時に知りおうたんどす」
 「ええ、そうなんです。それで何のご用でしょうか、ミス・ヴァリエール?」
 「実はシズルの食事のことなんだけど。厨房の方に話して手配しておくのを忘れてしまって……悪いんだけどシズルに何か食べさせてあげて欲しいの」

 シエスタに用件を尋ねられ、ルイズが言いずらそうに答える。

 「ああ、それなら余り物で作った賄いでよろしければ」
 「それでいいわ。お願いね、シエスタ」
 「はい、お任せください。では、シズルさん、こちらへ」
 「ルイズ様、食事終わったらすぐ戻ってきますさかいに」

 ルイズに一言断ると、静留はシエスタの後について厨房に入っていった。


 「ごちそうさんどす、シエスタさん」
 「いえ、どういたしまして。食事の際は遠慮なくおいでくださいね、シズルさんの分をちゃんと用意しておきますので」

 厨房で出されたシチューとパンを平らげた静留が礼を言うと、シエスタは照れたようにはにかむ。

 「コック長のマルトーさんどしたか、このシチューや食堂の料理といい、ええ仕事してはりますな」
 「おっ、うれしいこと言ってくれるじゃねえか、お嬢ちゃん! 気に言ったぜ、飯以外にも何か困ったことがあったらいつでも来な」

 静留の賛辞に恰幅のいい中年のコック長のマルトーが、上機嫌で笑って答える。

 「そうどすか。そんの時はよろしゅう」
 「おう、いいってことよ。平民は平民同士、助けあわねえとな!」
 「そうどすな。ほな、うちはルイズ様のとこに戻りますわ」

 静留はマルトーの言葉に答えて一礼すると、食事が終わったルイズと合流して教室へと向かう。


 ルイズが静留を連れて教室に入ると、先に来ていた生徒達から一斉に無遠慮な視線が飛んできた。
 あからさまな嘲笑や囃し立てる声が沸き起こるが、ルイズはムッとしたように顔をしかめただけで、そのまま無視して席についた。その横に静留が立って控える。

 (しかし……ほんに使い魔いうんは化け物やら動物しかおらへんのやね)

 周囲の使い魔を見回し、改めて自分が召喚されたのは普通ではないのだと静留が思っていると、教室の扉を開いて教師が入ってきた。

 「みなさん、春の使い魔召喚は大成功のようですね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみなのですよ」

 中年のふくよかな女性教師――シュヴルーズが教室を見回して満足そうな表情でそう言うと、ルイズは気まずそうにうつむく。

 「おやおや、また変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴェリエール」

 シュヴルーズが静留を見てとぼけた声でいうと、教室中から笑い声がおきる。

「おい、ルイズ! 召喚できないからってその辺に歩いていた平民の女を連れてくるなよ」
「違うわよ、きちんと召喚したもの! 喚んだのがたまたま平民だっただけよ」
「嘘つくな、『サモン・サーヴァント』ができなかっただけだろう?」

 からかった生徒とルイズとの間でたちまち言い争いになるが、シュヴルーズはからかった生徒の口を塞いで強引に場を収め、授業を再開させた。


 「シズル、魔法の授業なんか聴いてて楽しいの?」
 授業中、シュヴルーズの講義を興味深そうに聞いている静留を見て、ルイズが不思議そうに尋ねる。
 「そやね、自分が知らん知識を見聞きするんは楽しいおすな。まあ、元のとこでも学生どしたから、懐かしいんのもあるかも知らんけど」
 「そう……」

 どこか遠い目をして答える静留にルイズは何も言えず黙り込む。

 (そういえば恋敵に好きな人を託して死んだって言ってたっけ……その人のことでも思い出してるのかしら)

 そんなことをルイズが考えている間にも授業は進み、錬金で小石を金属にする実習が行われることになった。

 「……では、ミス・ヴァリエール、あなたにやってもらいましょう」
 「え、私ですか?」
 「そうですここにある石ころを、金属に変えてごらんなさい」

 突然、指名されたルイズがうろたえて視線を彷徨わせていると、キュルケがシュヴルーズに声をかける。

 「先生、危険です。やめといたほうが……」
 「錬金に何の危険が? それに失敗を恐れていては何も変わりません。さあ、ミス・ヴァリエール、やってごらんなさい」
 「やります」

 キュルケの忠告は聞き入れられず、実習をすることになったルイズは硬い表情で石の置かれた教壇の前に向かう。周囲の生徒が一斉に慌てて机の陰に隠れる。

 「ミス・ヴァリエール、緊張せずに錬金したい金属を思い浮かべばよいのです」
 「はい」

 シュヴルーズに後押しされたルイズは呪文を唱え始めると、小石に眩しい光が収束していく。

 「これは……あかん!」

 小石の発光に危険を感じた静留が『殉逢』を実体化させ、その刃先をムチ状にしてルイズに放った瞬間、爆発が起こった。


 爆発に驚いた使い魔達が暴れ出し、逃げたり噛みついたりして教室は悲鳴が入り混じる阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

 「だから言ったのよ、ルイズにやらせるなって! あれ、ル、ルイズは!?」

 キュルケはそう言って教壇を指差すが、そこにルイズの姿はなかった。

 「そんな、うそでしょ……」
 「ここやよ、キュルケさん」

 キュルケは最悪の状況を想像して呆然していたが、教室の後ろの方から聞こえてきた声に反応して振り向くと、そこにルイズをお姫様抱っこした静留の姿があった。

 「この通り、ルイズ様は無事どす。安心してや」
 「ちょっと失敗したみたいね」

 無傷のまま静留の腕に抱かれた格好でルイズが憮然としてそう言うと、教室中の生徒から非難の声が巻き起こる。

 「どこがちょっとだよ! ゼロのルイズ!」
 「いつだって成功の確率、ほとんどゼロじゃないか!」

 (なるほど、それでゼロいうんやね)

 本人の表情と周囲の反応から、静留は何故ルイズがゼロと呼ばれているのかを理解したのだった。



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