あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの皇帝5

次の日の朝、ジェラールは目を覚まして周りを見渡し、これからはこの生活に慣れなければ無いことを
実感し活動を始める。ちなみに未だルイズは夢の中のようだ。まあ今までも一人でやってきただろうから
大丈夫と判断してジェラールは彼女の洗濯物を抱えて外へ出かけていく。自分でできない(ことにしている)
のだから、適当な人物を探すのが先である。まさかすべての使い魔が家事一般をこなせるとは思えないので、
使用人もちゃんといることだろう。そんなことを考えていると、向こうから昨日部屋にいた-キュルケといったか
-少女というよりも、ご立派な女性がこちらに向かってくる。

(アレで年は大して変わらないのだから、残酷だな…)

などとルイズにばれたらタダではすまないことを思っていると、キュルケもこちらに気付いたらしい。


「あら、おはよう。ジェラール…だっけ?」
「そうだよ、キュルケさん」
「キュルケでいいわよ、ジェラール。朝早いのね、あなたの主人とは大違い」
「やらなければならないことがあるからね。そうだ、コレを頼める人はどこにいるのか教えてくれないかい?」
「それならさっき向こうに一人メイドがいたから頼むと良いわ」
「ありがとう。そっちの…えーと名前は…」
「きゅうきゅう」
「ああフレイムだったね、君も元気そうで何より」
「あれ?私この子の名前説明したかしら?」
「今、彼?が教えてくれたじゃないか」
「ちょっと、何であなたがこの子の喋ってることが分かるの?」
「こういうことだよ。ゴホン、あーあー。グゴゴンゴン、グゴゴ、ゴングゴン」
「きゅう!?きゅきゅ、きゅう!」
「……あなた、なんなの?知り合いにサラマンダー評論家でもいるの?」
「実は…ひいじいさんがサラマンダーなんだよ。こっちと向こうでは微妙にアクセントが違うだけみたいだから会話に大した支障は無いみたい」

間をおいて、キュルケが笑い出す。

「あはははは!面白いこと言うわね!分かったわ、そういうことにしといてあげる。それにあなた、よく見ればかなり男前だしね。これからもよろしく、ジェラール」
「きゅう~♪」


そういうとキュルケとフレイムは去っていった。実際、ジェラールは嘘はついていないわけだが
いきなり先祖が爬虫類ですといって、信じろというほうが無理だろう。まだルイズのように
機嫌を悪くしないだけ有難い。

「ふう、物分りのいい人で助かる。いっそあっちが主人になって…う!」

そういった途端に左腕から力が抜けていく。まるでサルの妖怪が頭にはめている輪か、犬の半妖が
している首飾りのような効果が、このルーンにはあるようだ。

「主人がその場にいなくても効果が変わらない…遠隔操作型か?うぅ、とにかく本題に戻るから
もう勘弁してくれ」

ジェラールがそう言ってキュルケが教えてくれた方向に歩き出すと、そこに一人のメイドがいた。
どうやら彼女も他の貴族から頼まれた洗濯物を持っているが、あまりの量の多さにどうやって運ぶか
思案中のようである。

「あの、ちょっといいかい?」
「はい?」

彼女=シエスタが振り向くと、そこには見覚えの無い若い男が一人。見た目は貴族のようだが、わざわざ
貴族が自分で洗濯物を持ってくるはずはないし、来ているものは自分たちとそう変わらない(無論メイド服ではない)
そこでシエスタは昨日同僚から聞いた、あのゼロのルイズが召喚した使い魔の話を思い出した。


「あの、もしかしてミス・ヴァリエールさんが召喚した使い魔というのはあなたのことですか?」
「ああ、そのとおりさ。ちなみに名前はジェラール」
「あ、これは失礼しました。私の名前はシエスタといます。ところでご用件は何でしょうか?」
「コレを洗っておくように頼まれたんだけど、この手の生地はやったことがないんでね。できれば
お願いしたいんだけれど…」
「はい、わかりました。でも…これだけあるので多少時間がかかりますが、それでもよろしいですか?」
「もちろん。そうだ、せめて荷物運びぐらいは手伝うよ」
「そんな!大丈夫ですよ!」
「いいんだよ、これぐらい。それに女性が困っていたら手伝うのは当然だしね」
「あ、ありがとうございます…」

シエスタは、自分の顔が赤くなっている事に気付き、それがジェラールにバレていると思うと
余計に赤くなっていった。

(聞いた話と全然違ってすごくいい人じゃない…それにすごくカッコいいし、優しいし…こんな人が
あんな噂…デリカシーの無い人だなんて信じられないわ!どうせこの人の見た目に嫉妬した貴族の
誰かが嫌がらせで言っているのよね、きっと)

残念ながらシエスタ、噂通り自分の主人に対して暴言を吐き、フルボッコにされた阿呆は
君の目の前にいるその男で間違いないんだよ。

この後、ついついシエスタと談笑していたジェラールがルイズを起こすのを忘れてしまったり、
それと昨夜の事とが相まっていつもより寝坊したルイズがジェラールと揉めているのをキュルケに
笑われて豪快に廊下で喧嘩を始めたり、その間にジェラールとフレイムがお互いの世界の
サラマンダー事情について知識を深め合ったりしていたが、それはまた、別の、お話。


「はいジェラールさん、よければこれもどうぞ」
「ありがとう、シエスタ。でも、こんなに貰っていいのかい?」
「いいんですよ、貴族の人たちはお喋りに夢中でせっかくの料理を残したり、手をつけないことも
あるから料理長もむしろ喜んでくれていますよ」
「じゃあお言葉に甘えて。うん、このスープもうまい!後で料理長にも御礼を言っておかないと」
「そうですか、きっと喜びますよ、料理長。御礼を言われるなんてめったに無いことですから」

ここは食堂内、厨房の片隅。なぜこんな所にジェラールがいるのかというと、今朝の一件(自力で
起きれないルイズが悪いのだが)でルイズから朝食抜きといわれ途方にくれていたところ、シエスタに
「じゃあこっちへ」と言われ案内されたのが厨房だったというわけである。その頃ルイズは、
周りから昨日の召喚の儀式の件で冷やかされて口論の真っ只中であるが、そんな声が聞こえるほど
食事時の厨房は静かではない。仮に聞こえたとしても空腹のジェラールからしたら知ったことではない。
腹が減っては何にもできぬ、である。そこへ一人の体格のいい壮年の男がやってくる。
見たところ、この人が料理長のようだ。


「よお、兄ちゃん!どうだいここの料理は!なかなかうまいだろう?」
「ええ、とても美味しいです。特にこのスープ、コンソメはかなり手間のかかる物と聞いていますが、
この大人数に振舞うのは大変ではないですか?」
「おお、分かるかい兄ちゃん!確かにこれだけのコクと透明感を両立させるにはそれなりに手間がかかっちゃいるが、
貴族の連中はそんなことも知らずイチャモンばかりつけて、挙句の果てに一口も手をつけない奴までいやがる!
ったく、すこしは兄ちゃんを見習えってもんよ」
「いや、このレベルの料理を毎日食べているからこそ気付かないのかもしれませんよ。人はその環境に慣れていくのですから」
「はっはっは!兄ちゃん口もうまいねぇ、乗せられておくとするか。おいシエスタ、お前もなかなかいい人を
連れてきたじゃねえか、お前に頼まれて許可したが、最初は見た目にやられたのかと思ったぜ」
「ちょっ…料理長!」
「なんだシエスタ、顔が赤いぞ。当たらずとも遠からず、って所か?」
「なっ……ほ、ほらそろそろデザートの準備をしないと!料理長早く戻って!」
「はいはい、おっさんは戻るとするか。じゃあな兄ちゃん、ゆっくりしてけよ!」

そう言って料理長=マルトーはまた持ち場へ戻っていった。彼の表情からは久しぶりに
味の分かる相手に料理を作れたと言う満足感がにじみ出ていて、ジェラールも安心する。


「もう本当に…すいませんジェラールさん」
「いやいい人じゃないか、気さくな感じで。それと、シエスタが頼んでくれたんだね。どうも
ありがとう、何か御礼をしないとね」
「そんな…御礼だなんて…わたしはたいした事はしてませんから…あ、デザートを配る用意が
できたみたいです。すいませんこれで失礼します、後片付けは私がやりますからそのままでいいですよ」

そう言ってシエスタは小走りで向こうへと去っていく。しかし少しフラフラしていたり、
時折ボーッとしているようにも見受けられるが、その元凶はシエスタの予想とは異なり
まるで艶っぽくない事を考えていた。

(しかしああは言ったものの、今の私には物も金も無いしな…何か役に立ちそうな物は…
そうだ、一つ護身術でも教えてあげようか、少なくとも全くの無意味にはならないだろう。
それに体を動かせば息抜きぐらいにはなるだろうし)

このジェラールの行動と、数年後に悪徳貴族達
を襲撃する謎のメイド戦士との関連性については分からない。
その人物の決めゼリフが

「ジェラール様の名に誓い、すべての不義に鉄槌を…!」

というのも、偶然の一致である。…多分。

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