瓦礫の中ユーノは空を見上げる。
白い雲がだぶって見えた。
頭を振るとようやく視界が元に戻る。
「ルイズは?」
いた。
蔓がさらに巻き付き、2階建ての建物より高く持ち上げられていた。
(ルイズ、魔法を使って)
念話を使う。
もがくルイズからの応答は少し時間がかかった。
(無理よ。集中できないわ。きゃっ)
ルイズが魔法を使うには集中と呪文が必要になる。
まだ即座に使用できるほどの技術を身につけてはいない。
なら……
「僕が助けないと」
ユーノは再び空へ飛ぶ。
また地面を掘り起こして根が無数に伸びた。
それらは寄り集まり、壁のようになってそびえ、ユーノの行く手を遮った。
「うわあっ」
突如出現した壁にぶつかりそうになったユーノは慌てて止まる。
すると、壁になった木の根は新たに枝分かれを始めた。
枝は鞭となってユーノに降りかかる。
「うわ、このっ」
滝のように降り注ぐ鞭を右に避ける。
そこには別の鞭が右から迫っていた。
「くっ」
シールドで防ぐ。
動きが止まったユーノに下からさらに鞭が飛ぶ。
「チェーンバインド!」
光の鎖で絡め取り、地面に縛り付ける。
次は左上から。
右のシールドを解除して腕を上げる。
が、間に合わない
「あうっ」
頭をしたたかに殴られたユーノは回転しながら再び瓦礫に突っ込んだ。
煉瓦が吹き飛び、剣の形をした看板がへし折れる。
砂煙がもうもうと上がった。
白い雲がだぶって見えた。
頭を振るとようやく視界が元に戻る。
「ルイズは?」
いた。
蔓がさらに巻き付き、2階建ての建物より高く持ち上げられていた。
(ルイズ、魔法を使って)
念話を使う。
もがくルイズからの応答は少し時間がかかった。
(無理よ。集中できないわ。きゃっ)
ルイズが魔法を使うには集中と呪文が必要になる。
まだ即座に使用できるほどの技術を身につけてはいない。
なら……
「僕が助けないと」
ユーノは再び空へ飛ぶ。
また地面を掘り起こして根が無数に伸びた。
それらは寄り集まり、壁のようになってそびえ、ユーノの行く手を遮った。
「うわあっ」
突如出現した壁にぶつかりそうになったユーノは慌てて止まる。
すると、壁になった木の根は新たに枝分かれを始めた。
枝は鞭となってユーノに降りかかる。
「うわ、このっ」
滝のように降り注ぐ鞭を右に避ける。
そこには別の鞭が右から迫っていた。
「くっ」
シールドで防ぐ。
動きが止まったユーノに下からさらに鞭が飛ぶ。
「チェーンバインド!」
光の鎖で絡め取り、地面に縛り付ける。
次は左上から。
右のシールドを解除して腕を上げる。
が、間に合わない
「あうっ」
頭をしたたかに殴られたユーノは回転しながら再び瓦礫に突っ込んだ。
煉瓦が吹き飛び、剣の形をした看板がへし折れる。
砂煙がもうもうと上がった。
「おい、おい!」
目が半分しか開かない。
青い空が見える。
うまく考えがまとまらない。
頭がぼーっとしてる。
「おい、おい!しっかりしろ。ぼうず」
ユーノは痛む頭で考える。
倒れているのはわかるが、なんで倒れているんだろう。
なんでこんな所にいるんだろう。
耳の中に入ってくる言葉の意味がわからない。
「いいかげんに起きな!ぼうず!」
目が覚める。
言葉が頭の中で意味を持っていく。
同時に、バラバラだった記憶が元に戻っていった。
「そうだ、ルイズを助けに行って……上から叩かれて……」
「ようやく起きたか。死んじまったかと思ったぜ」
誰かが起こしてくれたみたいだ。
「その……ありがとう」
ユーノは辺りを見回した。
だけど周りには瓦礫だらけ。
人は誰もいない。
「あれ?……空耳……かな?」
「空耳じゃねえよ。だいたい、いつまで俺をてめぇの尻に敷いているんだ!」
「わ、ごめんなさい」
飛び退くが、今まで寝ていた場所には誰もいない。
かわりに建物の残骸とそれに混じって剣や槍が転がっていた。
でも人はない。
「どこ見てんだ。ここだ、ここだよ」
声が聞こえる方をみてみる。
その先には人はおらず、錆びたユーノの背と同じくらいの長さの剣が一本あるだけだった。
「こ……れ?」
「そうだ。それが、俺だよ。ようやく見つけたか」
錆びた剣から声がする。
「デバイス?」
「デバイス?なんだそりゃ。俺はデルフリンガーってんだ。まあ、いいや。それより、あの化け物みたいな木は周りにあるモンを片っ端から殴って行ってるみたいだぜ。ここまで生えてこねえうちに逃げたほうがいいとおもうがね」
「だめだよ。逃げられない」
「なんでぇ?」
ユーノは空中で蔓に絡まれながらもがくルイズを指さす。
「ルイズを助けないと」
「なんだ、おめえあの娘っ子を助けてえのか」
「うん」
ユーノは迷うことなく答えた。
「そういうことかよ……よし、なら坊主。俺を使いな」
「え?」
ユーノは剣を掴もうとした手を、すぐに引っ込めた。
「僕は剣を使ったことがないんだ」
「使ったことないったって、おめえ使い手だろ?」
「使い手?ううん、僕は魔導師だけど」
「あーーっ、そういうことじゃなくってな。使い手ってのはな……俺もよくしらねえが、おめぇは使い手だから俺を使えるんだよ!」
「で、でも」
「いいから、俺を持ちやがれ!!」
「あ……うん」
ユーノはあわてて剣の束を持つ。
デルフリンガーと名乗る喋る長剣は長さはユーノと同じくらい、幅も広く、分厚いしっかりした作りだ。
錆は浮いていてもかなりの重量になる。
よく考えたら持ち上がるはずがない。
だが、ユーノはその剣が羽であるかのように軽々と持ち上げる。
左手に刻まれたルーンが光を放っていた。
「あ……」
「な、言ったとおりだろ?」
身長ほどもある剣が手になじんでいる。
今まで感じたことにない感触をユーノは扱いかねていた。
「おっと、そこでぼけている暇はないぜ。あの娘っ子、ますますまずいことになってるぜ」
ルイズの手足は蔓に覆われて見えなくなってしまっている。
ここからだとルイズは親指くらいにしか見えない。
なのに、ルイズが苦痛で顔をゆがめているのがはっきり見えた。
「行きな!小僧」
「ルイズっ!!」
ユーノは3度、空に体を舞わせた。
目が半分しか開かない。
青い空が見える。
うまく考えがまとまらない。
頭がぼーっとしてる。
「おい、おい!しっかりしろ。ぼうず」
ユーノは痛む頭で考える。
倒れているのはわかるが、なんで倒れているんだろう。
なんでこんな所にいるんだろう。
耳の中に入ってくる言葉の意味がわからない。
「いいかげんに起きな!ぼうず!」
目が覚める。
言葉が頭の中で意味を持っていく。
同時に、バラバラだった記憶が元に戻っていった。
「そうだ、ルイズを助けに行って……上から叩かれて……」
「ようやく起きたか。死んじまったかと思ったぜ」
誰かが起こしてくれたみたいだ。
「その……ありがとう」
ユーノは辺りを見回した。
だけど周りには瓦礫だらけ。
人は誰もいない。
「あれ?……空耳……かな?」
「空耳じゃねえよ。だいたい、いつまで俺をてめぇの尻に敷いているんだ!」
「わ、ごめんなさい」
飛び退くが、今まで寝ていた場所には誰もいない。
かわりに建物の残骸とそれに混じって剣や槍が転がっていた。
でも人はない。
「どこ見てんだ。ここだ、ここだよ」
声が聞こえる方をみてみる。
その先には人はおらず、錆びたユーノの背と同じくらいの長さの剣が一本あるだけだった。
「こ……れ?」
「そうだ。それが、俺だよ。ようやく見つけたか」
錆びた剣から声がする。
「デバイス?」
「デバイス?なんだそりゃ。俺はデルフリンガーってんだ。まあ、いいや。それより、あの化け物みたいな木は周りにあるモンを片っ端から殴って行ってるみたいだぜ。ここまで生えてこねえうちに逃げたほうがいいとおもうがね」
「だめだよ。逃げられない」
「なんでぇ?」
ユーノは空中で蔓に絡まれながらもがくルイズを指さす。
「ルイズを助けないと」
「なんだ、おめえあの娘っ子を助けてえのか」
「うん」
ユーノは迷うことなく答えた。
「そういうことかよ……よし、なら坊主。俺を使いな」
「え?」
ユーノは剣を掴もうとした手を、すぐに引っ込めた。
「僕は剣を使ったことがないんだ」
「使ったことないったって、おめえ使い手だろ?」
「使い手?ううん、僕は魔導師だけど」
「あーーっ、そういうことじゃなくってな。使い手ってのはな……俺もよくしらねえが、おめぇは使い手だから俺を使えるんだよ!」
「で、でも」
「いいから、俺を持ちやがれ!!」
「あ……うん」
ユーノはあわてて剣の束を持つ。
デルフリンガーと名乗る喋る長剣は長さはユーノと同じくらい、幅も広く、分厚いしっかりした作りだ。
錆は浮いていてもかなりの重量になる。
よく考えたら持ち上がるはずがない。
だが、ユーノはその剣が羽であるかのように軽々と持ち上げる。
左手に刻まれたルーンが光を放っていた。
「あ……」
「な、言ったとおりだろ?」
身長ほどもある剣が手になじんでいる。
今まで感じたことにない感触をユーノは扱いかねていた。
「おっと、そこでぼけている暇はないぜ。あの娘っ子、ますますまずいことになってるぜ」
ルイズの手足は蔓に覆われて見えなくなってしまっている。
ここからだとルイズは親指くらいにしか見えない。
なのに、ルイズが苦痛で顔をゆがめているのがはっきり見えた。
「行きな!小僧」
「ルイズっ!!」
ユーノは3度、空に体を舞わせた。