ある森に、二つの種族が暮らす小さな集落があった。
一方は紫の鱗を持つ毒蛇。もう一方は、宙に浮き、体内に有毒の気体を孕む歪な球体。
毒を共通点に持つ二つの種族は、それぞれの長のもとに互いに支え合い、助け合いながら暮らしていた。
一方は紫の鱗を持つ毒蛇。もう一方は、宙に浮き、体内に有毒の気体を孕む歪な球体。
毒を共通点に持つ二つの種族は、それぞれの長のもとに互いに支え合い、助け合いながら暮らしていた。
「「…………」」
時刻は早朝。集落の皆がそろそろ目覚め始めようという時間だ。そんな時間だというのに、集落の中央にある広場に一体の異形の球体種が浮かんでいる。
二面三身の異形。他の球体種よりも大型の身体を持つ彼こそは、球体種の長である。
数時間前にすでに目覚めていた彼は、担当している朝の見回りを終えて休憩しているところであった。
二面三身の異形。他の球体種よりも大型の身体を持つ彼こそは、球体種の長である。
数時間前にすでに目覚めていた彼は、担当している朝の見回りを終えて休憩しているところであった。
「シャボォー……」
その彼に向かい、集落の隅から一匹の大蛇が姿を現した。
その大蛇こそ、彼の盟友であり、共に集落を支える毒蛇種の長である。ちなみに、この大蛇は夜の見回りの担当である。
大蛇は、朝の挨拶を言うため彼のもとへ向かっていたのだが、その途中で彼の背後に謎の物体が出現するのを目撃した。
その大蛇こそ、彼の盟友であり、共に集落を支える毒蛇種の長である。ちなみに、この大蛇は夜の見回りの担当である。
大蛇は、朝の挨拶を言うため彼のもとへ向かっていたのだが、その途中で彼の背後に謎の物体が出現するのを目撃した。
「シャボォッ!?」
「「ドガ……?」」
「「ドガ……?」」
彼も自身の背後の異変に気づき、そしてその物体を目撃した。
一見すると鏡のようにも見えるその物体はしかし、鏡などではなかった。何とその物体は彼の身体を吸い込み始めたのだ。
一見すると鏡のようにも見えるその物体はしかし、鏡などではなかった。何とその物体は彼の身体を吸い込み始めたのだ。
「シャッ、シャボォォオッ!!」
「「ド……ガ…………ッ……!?」」
「「ド……ガ…………ッ……!?」」
それを食い止めようと、大蛇が彼に向かって疾走する。だが、間に合わない。
「シャボォォッ!!」
「「…………ガ…………ッ……!」」
「「…………ガ…………ッ……!」」
最後に、『皆を頼む』とだけ言い残して、彼はその世界から消失した。
「シャ………シャボォォォォォオオオオオッ!!!」
森の中に、友を失った大蛇の叫びが木霊した。
「「………?」」
謎の物体に吸い込まれた彼が次の瞬間に目にした物は、見たことのない広場だった。
彼は四つの目で周囲を見渡し、二つの頭脳で自身の置かれた状況を理解しようとする。
周りは、それぞれ同じ服を着た多数の人間の子供たちに取り囲まれている。一人大人もいる。
と、子供たちのうちの一人が彼に向かって歩いてくる。彼には、その桃色の髪の少女が、ひどく緊張しているように見えた。
その少女は彼の前に立つと、懐から取り出した木の枝のような物を振り、何か呪文のような言葉を唱え始める。
彼は四つの目で周囲を見渡し、二つの頭脳で自身の置かれた状況を理解しようとする。
周りは、それぞれ同じ服を着た多数の人間の子供たちに取り囲まれている。一人大人もいる。
と、子供たちのうちの一人が彼に向かって歩いてくる。彼には、その桃色の髪の少女が、ひどく緊張しているように見えた。
その少女は彼の前に立つと、懐から取り出した木の枝のような物を振り、何か呪文のような言葉を唱え始める。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」
「「……?」」
「「……?」」
そして、唱えきったと同時に、少女はいきなり彼にキスをした。
「「…………ッ!?………ガ…ッっ――!!?ッ!?!?」」
少女の突然の行動に戸惑うこと数瞬、自身の左側面に異物感。全身に焼け付くような激痛が走り、
彼の意識は、そこで途絶えた。
サモン・サーヴァントの儀式でこの私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが呼び出したのは、見たこともない生き物だった。
紫色のボールが三つ繋がったような身体。そのうち二つには顔があり、髑髏のような模様が刻まれている。
身体にあいた無数の穴からは、刺激臭のするガスのような気体が漏れ出ていた。
いきなり呼び出されて混乱しているのか、二つの顔で周囲をきょろきょろと見渡している。
あまり美しくも力強くもなさそう、というかぶっちゃけかなり醜悪な姿だが、今まで見たどんな図鑑にも載っていなかったということは、相当希少な生物のはず。当たりには違いない。
とにかく、私は今からこの生き物を使い魔にしなければならない。意を決して近づく。
と、近づく私に気がついたのか、二つの顔が同時にこちらを向く。
紫色のボールが三つ繋がったような身体。そのうち二つには顔があり、髑髏のような模様が刻まれている。
身体にあいた無数の穴からは、刺激臭のするガスのような気体が漏れ出ていた。
いきなり呼び出されて混乱しているのか、二つの顔で周囲をきょろきょろと見渡している。
あまり美しくも力強くもなさそう、というかぶっちゃけかなり醜悪な姿だが、今まで見たどんな図鑑にも載っていなかったということは、相当希少な生物のはず。当たりには違いない。
とにかく、私は今からこの生き物を使い魔にしなければならない。意を決して近づく。
と、近づく私に気がついたのか、二つの顔が同時にこちらを向く。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ!」
コントラクト・サーヴァントの呪文を唱え、口づけをする。
口を離すと彼の身体にルーンが刻まれ、同時に強い痙攣を起こし始めた。
私が使い魔のルーンが刻まれているだけだから大丈夫だと言おうとすると、突如、彼の身体の穴や口から、大量の黒煙が猛烈な勢いで吹き出した。
至近距離にいた私は、突然のことに驚いて煙を吸い込んでしまった。
煙の中、彼の身体が地に落ちる。同時に、私の視界が暗転した。
口を離すと彼の身体にルーンが刻まれ、同時に強い痙攣を起こし始めた。
私が使い魔のルーンが刻まれているだけだから大丈夫だと言おうとすると、突如、彼の身体の穴や口から、大量の黒煙が猛烈な勢いで吹き出した。
至近距離にいた私は、突然のことに驚いて煙を吸い込んでしまった。
煙の中、彼の身体が地に落ちる。同時に、私の視界が暗転した。
Smoky Servant
to be continued...