あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

アナザーブラッド

 ルイズの呪文と共に新たな爆煙が上る。
彼女、ルイズ・フランソワーズが魔法を使うと一例の違いも無く爆発が起こる。
もちろん、サモン・サーヴァントもその例外にはならずこうして爆発が起こっている。
取り巻きの生徒達から笑い声が起こったのは最初の三回までで、それを過ぎてから苦笑に変わり、いつの間にか悲痛な視線を向けるようになっていた。
そして、いよいよ慰めの言葉でもかけてやろうか。と考える生徒が出始めた回数になった今、初めて爆発以外の現象が起こった。
 初めは紅い霧だった。そしてそれは渦巻くように霧からしずく、しずくから水滴に。
水滴から血液の塊、血液の塊から人の形へと姿を変えていった。

「いったい誰よぉ。こんな時間に私を呼び出したのは」
 どこか甘ったるい口調の声が血の人型から発せられると同時に、それは紅い少女の形を取った。
紅い少女が辺りを少しの間キョロキョロとした後に、自分を呼び出した少女に向かい合う。
「あなたね。こんなところに私を呼び出したのは。いったい何のようなの?」

 ルイズは、目の前の紅い少女に少々圧倒されながらも、何度も繰り返し読んだ『使い魔との付き合い方』の最初の項目にかかれていたことを忠実に再現してしまった。
「わたしの名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。あんたを使い魔にするために召喚したメイジよ」
 最初の項目に書かれていた内容。
それは『自分の召喚した使い魔には、自分がいかに壮大で優秀であるかを見せ付けながら、今から与えようとしている役割を伝えなくてはいけない』。
普通の使い魔相手だったら、この方法は正しいのかもしれない。
だが、ルイズの召喚した紅い少女は"普通の使い魔"ではなかった。

「なんですって?」
ルイズのその一言で紅い少女があからさま過ぎるほど、不機嫌になったのが分かる。
その場を包む空気も、張り詰めたものに変わった。
「使い魔?それって私を支配するってこと?」
 紅い少女が怒りに染まった声で、わなわなと振るえながらも言い捨てる。
辺りには紅い霧と共に殺気が満ちていく。
「私はようやく、私の物語を手に入れたんだ!それを邪魔させたりなんかさせたりしない!」
 紅い少女の叫び声と共に、巨大な血の魔法陣が形成される。
その場に居合わせた生徒たちは、ある者は臨戦態勢を取り、ある者はその場から逃げ出そうとした。
だが、それらの行為を実行するには、あまりにも遅すぎた。
「さぁ、悪徳に捻じ曲がれ!世界よ!!」
 紅い少女の声と共に、血の魔法陣が発動し、悪夢が現実を包み込む。


……
………
-またあの子は魔法に失敗したわね
-流石はゼロと言ったところか
-あいつ、本当はメイジなんかじゃないんじゃないか?
 自分のよく知る級友たちの姿をした影が口々に自分のことを貶す。
なぜかわたしだけ、他の級友たちと違って魔法が使えない。
わたしは魔法を使えるようになるために、必死になって勉強をしている。
 だけど、今起こっていることを認めたくない。
呪文を唱え、杖を振るってもなにも起こらなくなってしまった。
あの忌々しい爆発すらもだ。
なんで?なんでなの?なんで爆発すらも起きなくなっちゃったの!?

-やっぱりあの子は駄目でしたね
-このような子はヴァリエールの家にはふさわしくないな
-あら、今頃そんなことに気づかれたのですか?お父様
待って!
捨てないで!!
わたしを見捨てないで!!
 わたしは去っていくお父様を、お母様を、お姉さまたちを必死なって追いかけるが追いつかない。
涙が頬を伝い、息は切れ、足はもうとっくに動かないが、それでもわたしは追いかけようとしている。
………
……


……
………
誰か、誰か助けてくれ!!
僕がいったいなにをしたって言うんだ。
僕はなにも悪いことはしていない。
ただ香水を拾った給仕をしかっただけじゃないか。
それなのにあいつらは僕を執拗に追いかけてくる。

左手にルーンを刻んだ平民が喋る剣で僕に切りかかろうとしている。
あの恐ろしい雷獣が巨大な雷で僕を焼こうする。
学ランを来た赤髪の男が3つのしもべをけしかけて来る。
韻龍を引き連れた剣士が笑みを浮かべながら近づいてくる。
右腕に鎧を纏わせた反逆者が殴りかかろうとしている。
師匠が僕の頭を輝く右手で握りつぶそうとしている。
ヤクザみたいな魔術士が僕から金を巻き上げようとしている。
高名そうなメイジが僕に灰色のクマをけしかける。
金色の獣が魔道書を片手に迫ってくる。
月の精霊が7人の僕(しもべ)を従えて僕を消そうとしている。
錬金術士を名乗る少女が僕にウニを投げつける。
他にもたくさんのヤツらが僕を追い詰めてくる!
誰か、誰か助けてくれぇぇぇええええ!!
………
……


……
………
-それを食べちゃ駄目!お母様!!
心を壊す薬を盛られた料理を、自分の身代わりに食べようとする母親を止めようと必死になる少女がいた。
だが、無常にもその想いは届かず、母の心は壊れてしまった。

-お母様の心は壊れてしまった。
自分と同じ姿をした少女が冷酷な事実を告げる。
-お母様の心はもう戻らない
決して信じたくなかった事実を、目の前の自分が言ってしまった。
-お母様をこんな目に遭わせたのは誰?
自分が私を見つめながら質問をしてくる。
-お母様の心を壊したのは誰?
目の前の自分は私。
きっと彼女は私の認めたくない事実を言ってしまう。
-お母様をこんな風にしたのは・・・
ダメ。やめて。そこから先を言わないで!!
-お母様の心を壊したのは・・・私(あなた)
私の言った言葉に、私は足元から崩れ落ちた。
………
……

「あ、あなた。何者なの?ルイズたちに何をしたの?」
 ルイズの呼び出した紅い少女に、怯えながらもキュルケは訪ねる。
彼女以外の生徒たちは全員昏睡しており、時折うなされている。
「あらぁ、あなたは悪夢にうなされていないのね」
紅い少女がキュルケのほうを向くと、妖しげな微笑みを向けてきた。
彼女からはもう殺気は放たれていない。
あるのはただ、妖しげな雰囲気と血の霧のみ。
「彼女たちは眠っているだけ。ただ、悪い夢を見ているだけ」
彼女は笑いながら辺りに倒れている生徒たちを見回しながら続ける。
「行き成り私を呼び出して、しもべにするなんて言うんですもの。これくらいのペナルティは当然でしょ?
回りで倒れている連中は・・・運がなかっただけね」
 さも当然と言わんばかりのその一言に、キュルケは気力を振り絞って少女に杖を向け、怒鳴る。
「今すぐルイズたちを元に戻しなさい!!」
気の小さいヤツなら失神してしまいそうな程の殺気をキュルケは放った。
だが、紅い少女はその殺気を受けてもおどけてみせている。
「あらあら、怖いこわ~い。この子たちは眠っているだけだから、すぐに起きるわよ」
 紅い少女の回答に、キュルケは少し安心しつつも戦闘態勢を解こうとはしなかった。
今、自分もやられてしまっては回りにいる級友たちを守る者がいなくなってしまうからだ。

「ふふふ、かわいいわねぇ。そんなに虚勢を張って」
 紅い少女の妖しい笑い声が広場に響く。
「でも、あなたと遊ぶことはできないの。私は用事があるから帰るわ。明日は、九朔と一緒にお父様とお母様に会いに行くの」
そう言うと、辺りを包んでいた紅い血の霧は晴れ、彼女の前には魔法陣が形成される。
「じゃあね。ばいば~い」
紅い少女はフレンドリーに手を振りながら消えていった。
その瞬間、キュルケの張り詰めていた警戒心が切れ、その場に倒れこんでしまった。


その後、その場に居合わせた者は精神崩壊、もしくはなんらかの強いトラウマを追ってしまっていたことは記述する必用もないだろう。

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