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封仙娘娘異世界編 零の雷 第零章 その一

第零章  くちづけよりも熱い左手

  一

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは今まさに、人生の転機を迎えようとしていた。
サモン・サーヴァント。すなわち使い魔召喚の儀式である。
召喚された使い魔は主人と一生を共にするのが定め。
使い魔次第で、主人のメイジとして、また貴族としての人生はどうにでも左右するのだ。
失敗は、許されない。

「宇宙の果てのどこかにいる、私の下僕よ! 強く、美しく、そして生命力に溢れた使い魔よ!
 私は心より求め、訴えるわ。我が導きに応えなさい!」

――呼びかけに応えたのは、いつもの爆発だった。
周囲を包むのは「あぁ、やっぱりな……」という空気と、言うまでもないが爆発による煙。
だが、失敗ではない。
ルイズは確かに、いつもとは違う手応えを感じていたのだ。

煙が、晴れる。

……そこには何も無かった。
――いや、よく見れば一振りの剣が転がっている。黒い鞘に納められた、細身の長剣。
それ以外は、何もない。
「さすがゼロのルイズだ、生き物ですらないとはねぇ! くっくっ」
「使い魔の分も自分で働けって事じゃない? あの剣使って」
「逆に考えるんだ。実は召喚に成功したんだけど今の爆発で吹っ飛んでしまった、と考えるんだ」
そんな嘲笑混じりの野次が飛び交うも、当事者たるルイズは涼しい顔で聞き流していた。

生き物ではない? だからどうした。
使い魔の分も自分で働け? 大いに結構!
――この剣は、紛れもなく私が召喚したものなのだ。
『ゼロのルイズ』などという不名誉極まる異名で呼ばれるのも今日で終わり。
とにもかくにも、この私が初めて魔法に成功したのだ。
それで出て来たのが剣だと言うのなら、私はこのハルケギニアで最強の剣士にだってなってやる!
剣などほとんど触れたこともないが、今から習い始めることだって今の私には苦にはならないだろう。
あぁ、いっそメイジなどよりそちらの方が向いているかもしれない。

表情とは裏腹に、彼女の心は激しく高揚していた。
一分一秒でも早く契約してしまわなければ、血管が破裂しかねないほどに。
しかしそれでも、何故か声だけは冷静そのものだった。
「ミスタ・コルベール。使い魔は生物でなければならない、という規則は有りませんでしたよね?」
禿頭の教師は即答した。
「もちろんだ。君の召喚にその剣が応え、この場に現れた以上、その剣が君の使い魔となる。
 その剣は紛れもなく君の使い魔だよ、ミス・ヴァリエール」
ルイズは満足げに微笑んだ。
「では、コントラクト・サーヴァントを行います」
悠々と剣に歩み寄り、拾い上げた。
ルイズの口からほう、と溜息が漏れる。
遠目では気付かなかったが、黒い鞘には目立たないように複雑な模様が彫り込まれている。
製作者の優れたセンスを感じさせる、素晴らしい物だった。
これは蛇……いや、竜の一種だろうか? 架空の幻獣か、それとも――
(……まぁ、いいわ。後で調べてみましょう)
本の虫のタバサなら何か知っているかもしれないし。
ともかく、今は契約が先だ。
静かに、しかし力強く、ルイズは呪文を唱え始めた。

「我が名はルイズ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール」

右手に杖、左手に剣。鞘を掴み、柄の方を上に。

「五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔と為せ」

杖の先で柄に軽く触れ、ゆっくりと顔を近づけ――

唇が触れる。


――そして、ルイズは爆煙に包まれた。

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