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男達の使い魔 第十一話

その日もアンリエッタは祈っていた。
自分の為に行ってくれた友人とその仲間達のことを思って。
そして……

言葉には出さなかったが、ウェールズのことを思って。

ふと外が騒がしいことに気がつく。
その中にルイズの声が混ざっていることに気がついたアンリエッタは、
少しだけ顔をほころばせると、騒ぎの起こっている場所へと向かった。


「ルイズ!」

アンリエッタがそう言って駆け寄る。

「姫さま!」

ルイズも同じく一声あげてアンリエッタの方へと向かった。
そうしてルイズと抱き合ったアンリエッタの目からは、一筋の涙がこぼれていた。

そんな様子を、虎丸は貰い泣きをしながら、Jと桃、ギーシュは暖かい目で、
キュルケとタバサはよくわからないという表情で眺めていた。

「くそ!目にごみが入っちまったぜ。」

虎丸の照れ隠しの台詞で、ようやくルイズとアンリエッタは我に帰った。
アンリエッタは一度咳払いをすると、詳しい報告を聞くために、ルイズとその使い魔達を中に通すことにした。




一通り報告を受けたアンリエッタは、一瞬目の前が暗くなったのを感じた。
自分がつけたワルド子爵が、最愛の人の命を奪い、この得がたい友人とその使い魔達まで危機にさらしてしまったのだ。
無理もないことだろう。

そんな自分の不甲斐なさを友人に詫びようとして、ルイズ達の顔を見たアンリエッタは気づく。
彼女達は、そんな自分を恨むどころか、顔色が悪くなったことをたいそう心配しているのだ。
アンリエッタのやることは詫びることではない。
そうと思ったアンリエッタは、はっきりと言うことにした。

「ルイズ、そしてその使い魔の方々。わたくしのために動いていただいて、怒っていただいて、本当にありがとう。」

万感の思いを込めたその言葉に、場が静かになる。
そんな中アンリエッタが発言を続けた。

「それで、…ウェールズ様は、…その王大人という方が、…故郷に葬って下さる、…とのことでしたわね?」

その途切れ途切れの言葉からは、アンリエッタがいかに感情を押さえつけているかがわかる。
最初からそうなると見越していたアンリエッタであったが、実際にウェールズが死んだという報告は胸にこたえたのだ。

そんなアンリエッタの様子に応えるかのように、虎丸が言葉を発した。

「姫さま。俺には難しいことはわかりません。ただ、ウェールズ王子さまは、」

そこで、虎丸はアンリエッタの方をしっかりと見る。
アンリエッタがこちらを見つめていることを確認した虎丸は、話を続けた。

「自分は幸せだ、と言ってました。自分の惚れた女性のために命を張れるのは男子の本懐だ、とも。」

虎丸の言葉は短い。
だが、そこに込められた思いは、紛れもなくウェールズのそれであった。

「姫さま。これを。」

そう言ってルイズは、アンリエッタにウェールズのつけていた風のルビーを差し出した。

そうして夜は、静かに、そして優しくふけていった。
ただ、アンリエッタのウェールズとの思い出話を話す声と、それに相づちを入れるルイズの声だけが響いていた。




「……これは、凄いな。」

大司教、否アルビオン皇帝オリヴァー・クロムウェルの声がむなしく響く。
隣に立っていたワルドの口から、歯をかみ締める音が聞こえる。
そう、ワルドは生きていたのだ。
顔はひどく焼け爛れ、失った左目には眼帯をしている。そして左手の袖は力なく揺れていた。

そんな二人に目の前には、かつてのニューカッスル城の礼拝堂後が『あった』
そう、そこは、まるで初めから何もなかったかのように綺麗に消失していたのだ。

(これでは、ウェールズの遺体も見つかるまいな。)

そう思ったクロムウェルだが、すぐに忘れることにした。
どうせ手はまだまだあるのだ。手札の一枚程度失ったところでどうというほどでもない。

「そう言えば子爵、余が思うにその手と目は無理にしても、その火傷は治せると思うのだが。」

意識を切り替えたクロムウェルは、気になっていたことを尋ねる。
その台詞に、ワルドは背筋の寒くなるような笑みを浮かべてから答えた。

「閣下のご温情痛み入ります。ただ、この傷は戒めです。
 少なくとも、あの者達を倒すまでは消すつもりはありません。」

その台詞に興がそがれたクロムウェルは、ワルドを伴いその場を離れることにした。
最後にワルドが、礼拝堂後をちらっと眺めたことに気づくことはなかった。

ワルドは気がついていた。多分に直感的にではあるが。
これがメイジの仕業ではないことに。




「「「「「「桃(シエスタ)(J)(虎丸)(ギーシュ)!」」」」」」

アンリエッタの所に、ルイズを残して桃達は退出した。
途中、疲れたというキュルケとタバサは、自分の部屋へと戻っていった。
そんな桃たちを出迎える声が響く。

その様子に、思わずギーシュは涙ぐむ。
ぼやけた視界でよく見れば、モンモランシーとケティもこちらに近づいて来るのが分かる。
そして、

マリコルヌが力強い笑みを浮かべているのが分かった。
その手には、大きな、とても大きな幻の大塾旗がそびえていた。

これほどの友情はない。

抱きついてくるケティとモンモランシーの感触を堪能しながら、ギーシュはそんなことを思っていた。
そんなギーシュの様子を視界におさめたマリコルヌの体がぐらりと揺れる。
慌てて秀麻呂たちは、それを支える。重さ三百キロを優に超える大塾旗だ。意識のないまま倒れては、ただではすまない。

「よくやったぜ!マリコルヌ!」

秀麻呂がマリコルヌに笑いかける。マリコルヌの顔は、月明かりの中で、うっすらと笑みを浮かべていた。

「きゅいきゅい。私も混ぜて欲しいのね~。るるるー。」

歌いながらシルフィードが乱入してくる。
帰り際に、アルビオンに行ったメンバーとルイズの使い魔達だけという条件ではあるが、
タバサから人前で探す許可をもらったシルフィードはご機嫌だった。
そう、話好きな彼女は、本当に会話に飢えていたのだ。
……思わず、モンモランシーとケティの存在を忘れてしまうほどに。

「「「シルフィードがしゃべったーー!」」」

事情を知らない一号生達と、魔法学院の学生二名が声をあげる。
シルフィードは気がついていないが、明日タバサの説教が確定した瞬間であった。

そんな中一人の男が声をあげる。

「ぬう!あれは!」

「知っているのか雷電!」

思わず虎丸が合いの手を入れる。

「うむ。まさしくあれこそ古代中国において伝わる音言龍(ねげんりゅう)に違いない!」

「わたしはそんな変な名前じゃないのねーーーーーー!」

シルフィードの絶叫が響く。それにしてもこの竜、ノリノリである。
そんな即興漫才に、我に帰った塾生達が、シルフィードの前に押しかける。

桃は伊達と酒を酌み交わしていた。

Jは飛燕と何か会話をしている。

疲れている、というシエスタは、新男根寮自慢の巨大浴場に行っていた。
覗こうなどという不埒者は、警護の一号生たちに星にされるので安心だ。

そんな騒がしくも楽しい夜がふけていった。




(こ、ここは……?私は、生きているのか?)

ウェールズが意識を取り戻すと、そこは知らない天井であった。
そこに声がかかる。

「うむ。気がついたようだな。今、他の者を呼んでくるから少し待っておれ。」

王大人だ。もちろんウェールズとは認識はない。
そのことに気がついた王大人は、一言だけ告げてから席を立った。
自分はルイズの使い魔達の知り合いである、と。


(私は、生き残ってしまったのか。)

脱力感がウェールズを包む。
他の皆は当然死に絶えてしまっただろう。
それに、

(アンリエッタに迷惑をかけるかもしれない。)

そう思うと、気が気でなかった。
もし、今手元に自分の杖があったなら、風の魔法で自分の頭を吹っ飛ばしていたに違いない。

バタン

ドアを開け放つ音がする。
よほど勢いよく開けたのだろう。その音は建物中に広がっていた。

(誰だ?)

ウェールズがそう思うまもなく、飛び込んで来た人影はウェールズに抱きついてきた。

「……良かった。生きていてくれて。」

そう言って自分に抱きついたまま涙を流すような人物には心当たりがなかった。
これほど特徴的な人物を忘れろ、という方が無理である。
その時、窓から一陣の風が吹き、侵入者の被っていた帽子が舞い上がった。
そこに表れる特徴を見て、ウェールズは愕然とした。

「君は!ティファニア!」

そう、ウェールズの従姉妹、ティファニアであった。



フーケは、マチルダは外で寝転がって月を眺めていた。

「マチルダよ。復讐はしなくても良いのか?」

そこへ王大人が声をかける。内容こそ厳しいが、その目には限りない慈愛がこもっていた。
ゆっくりとマチルダは振り向く。そして

「妹が喜んでいるのを邪魔する姉はいないさ。」

そう言って窓に視線を向けると、ウェールズとティファニアが泣きながら抱き合っていた。
マチルダが外にいたのは、ティファニアを陰から見守るためであったのだ。

(それに、)

マチルダは思う。自分には、命よりも大切な者達がいるのだ。
復讐なんかにかまっている暇はない。
ただ、

マチルダは月を見上げる。今日も二つの月は互いを祝福するかのように輝いていた。

そっと王大人がマチルダの顔を胸に抱く。

「泣きたい時は泣くがいい。」


マチルダは泣いた。今は泣き父のことを思って。
父の無念を晴らせないことを思って。

そうして誓ったのは一つ。
必ずテファが幸せになるまで見届けることを。
父が最もやりたかった事だけは必ずやり遂げると。

月達は優しく見守っていた。
父のように。母のように。

男達の使い魔 第十一話 完






NGシーン

雷電「あ、あれまさか!」

虎丸「知っているのか雷電!」

雷電「あれぞまさしく古代中国において伝わる痕浄焼(こんじょうしょう)!」

かつて唐の時代、南浄寺と北浄寺という寺があった。
おのおの南浄拳、北浄拳という拳法を有し、その力を競い合ったという。
ある時、その寺を代表する二人の拳士が立ち会うことになった。
激闘の末に北浄寺の拳士は破れ、己の名誉も何もかもを失った。
しかし、その拳士はその後も修行を続け、ついには復讐を成し遂げたという。
なお、その際挫折しそうなときには、負けたときに付けられて焼印の痕を眺めて気持ちを高ぶらせたのだ。
そうして復讐を終えた彼は、己が痕は浄化された!と言うことで、己の痕を痕浄焼と名づけたという。
なお、この拳士の名前は今には伝わっていないが、そのあまりの脚力から暴走と言われていた。
この話が、日本とハルケギニアに伝わり、根性焼と暴走族に名を変えて言ったのは皮肉という他ないだろう。
民明書房刊 「暴走族の夜明け」(平賀才人著)



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