あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ワイルドの使い魔-4(2)

「君の使い魔、実に面白いよ・・・全力で叩かせてもらう。何、殺しはしないさ。少し多めに血を抜いてしつけるだけさ」
「こ、この判らず・・・「ルイズ」「っ!」

更に怒鳴ろうとするご主人様を、僕は止めた。
振り返って、笑って。

「・・・大丈夫。負けないよ」
「馬鹿・・・勝てるわけ、無いじゃない。武器はもう、無いのよ・・・」

確かに、武器は無いけどね。
代わりに確信はあるんだ。

「面白い!どう負けないのか見せてくれたまえ!」

ギーシュの声に答えるように一斉に襲い掛かってくるゴーレム達を見ても、負ける気がしないんだ。
何故だろう?
ほら、銀色の刃が幾つも、無機質な仮面が揺れて、女の子の悲鳴・・・あの時もこんな感じだったけど、負けなかったし。


・・・あの時?

瞬間、僕の脳裏に無数のビジョンが爆発的に浮かんでは消えていった。

『蠢く塔』『異形の怪物』『時の止まった町』『かけがえの無い仲間』『泣き黒子の少年』『機械の少女』
『親しい友人達』『無数の出会い』『失った仲間』『裏切り』『絶望』『恐怖』『希望』『審判』『死』『宇宙』『封印』

(それは君が歩んだ道のり。歩むべきだった道のり)
この声は?・・・前にも聞こえた気が・・・君は?
(それはまたおいおい、ね。それよりも、今はやることがあるはずだよ)
そういえばそうか。まだ決闘の途中だった。引き伸ばされたような意識の中、一団をなしたゴーレム達を見る。
それは、奇妙なほどゆっくりとした動きに見えた。

(君には、力がある。思い出してみてよ。『あの時』の記憶を)
・・・言われるままに思い出す。無数の銀色の刃を持った異形の怪物が襲い掛かってくる光景・・・僕は、こいつにどうやって勝った?
たしか・・・何か銃のようなものをこめかみに当てて・・・
(今の君なら、そんなものを使わなくてもあの力を引き出せるよ。あの、最後の戦いでそうしたみたいに)
心の声に導かれるように、もう一つのビジョンが浮かび上がる。
それは、死そのものが形を成した概念存在。僕はそれに正対して天を指差して・・・
(思い出したみたいだね。じゃぁ、頑張って)
僕が納得する前に、心の声が消えてゆく。待ってよ、君にはまだ・・・!
(大丈夫、また会えるよ。僕たちは何時も、いっしょだから・・・)
その声を最後に、心の声は聞こえなくなった。代わりに、心の奥底から浮かぶものを感じる。
これは・・・そうか。

「・・・ぺ・・・ル・・・ソ・・・ナ!」

正体を認識すると同時、僕は天を指差し、その名を呼んでいた。
無数に心にたゆうもう一人の僕を。

その日、ヴェストリ広場に集まった全ての者たちが、それを見た。
無数のゴーレムたちの刃が平民の少年に届くかと思われた矢先に溢れた光を。
今まさに少年を貫かんとした刃の数々を弾いた光は、少年を取り巻いて一つの幻像をなした。
件の少年の顔を持ち、竪琴を手にしたゴーレムのような姿をした幻影を。

『我は汝、汝は我。我は汝の心の海より出でし者』

耳ではなく、心に直接響く声がその場の全員へ届く。
その事に驚く間もなく、竪琴を手にした幻影が更なる名乗りを上げる。

『我は幽玄の奏で手、オルフェウスなり・・・』

同時に、竪琴をかき鳴らす。
瞬間、ゴーレムたちは巨大な槌に弾かれたかの様に吹き飛んだ。

「な、何だあれ!?あの幻影は何なんだ!?」
「それよりも今アイツ魔法を使わなかったか?つ、杖無しで!」

驚愕する生徒たち。無理も無い。
今までは精々ちょっと剣の腕が立つ平民くらいにしか思っていなかった存在が、謎の存在を呼び出しあまつさえ魔法のような力を振るったのだ。
だが、彼らの驚愕はまだ終わりはしなかった。
吹き飛んだゴーレム達に追い討ちをかけるように幻影が再度竪琴を奏で、正体不明の力を振るったのだ。

「・・・音」

それが、何なのか。瞬時に察したのは只一人。水色の髪の少女だけ。
そうオルフェウス・・・古の神話にて神さえも聞きほれさせる奏で手は、つまりは音を操る。
先にゴーレム達を吹き飛ばしたのは集中した音による衝撃波。そして今振るわれているのは・・・

「な、なんだ?ゴーレム達が崩れていくぞ!?」

物質の根源を振動させて崩壊させる魔の旋律。
ひとつふたつ呼吸する間に、ゴーレム達は金属の砂となり崩れ去った。

「ぼ、僕のワルキューレが!?」

驚くギーシュにむけて、幻像を呼び出した少年が一歩づつ近づいてゆく。
頬に一筋の紅をつけたままに。

「く、来るな・・・くるな・・・ワルキューレ!!」

恐怖に駆られたギーシュが、新たなゴーレムを呼び起こそうと薔薇を振るう。
だが、こぼれた花弁はゴーレムとなる前に魔性の旋律で崩れ去ってゆく。
遂には手にした薔薇さえも崩れ去ってしまう。
ギーシュ本人に、薔薇を持っていた手に一筋の傷もつける事無く。

「・・・!・・・そ、そんな!?」

反撃の手段を失ったギーシュの前に、幻像を伴った少年が立った。
その顔には、怒りも憎しみもなく、只静かに。

「僕の、勝ち。それとも・・・続ける?」

ギーシュは首を横に振るしかなかった。
杖である薔薇を失った以上戦う術はなく、またそれ以上に戦意を失っていた。

「参った・・・僕の負けだ」

こうして、前代未聞の貴族と平民の使い魔との決闘は幕を閉じた。
無数の人々に強烈な印象を刻み込んで。

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