あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ZONE OF ZERO4


逃げてしまってすみません、自分のせいで迷惑をかけた、と平謝りするメイドにひらひらと手を振って、
ルイズはその場をふらつきながら去っていった。
魔力残量を示すゲージは見事にすっからかんだ。最早シールド一枚展開する事も叶わないだろう。
やっとの思いで辿り着いた自室で、精神の消耗による偏頭痛に辟易しながら、ルイズはADAに問い掛けた。
「魔力を消費しない攻撃方法って無いものかしら?」
『原始的な白兵用武器の使用を提案。この時代で言うなら、剣や槍などを推奨します』
速攻で返ってきた答えにルイズは眉を顰める。
「剣って……あんなの平民が扱う物よ。貴族が使う物では無いわ」
『発言の意図不明。接近戦において魔法の詠唱は隙が大き過ぎます。
それは前回の戦闘から、貴女にも理解して頂けたと思いますが』
それはそうだった。ゴーレムの攻撃をかわしながらの魔法詠唱は、困難を極めた。
今思えば、よくあんな真似が出来たものだ。
『もう一つ、白兵武器の使用を推奨する理由があります。
前回の戦闘の最後、貴女が杖を構えた時、突如身体データが大きく上昇しました。
解析の結果、どうやら貴女は武器と認識したものを手に取る事により、
身体機能が戦闘形態へと移行する事が判明しました。あれは私の機能によるものではありません』
言いながらADAが、決闘の最後、ギーシュの杖を弾き飛ばした時の戦闘映像を展開する。
剣には詳しくなど無いが、我ながら一流の剣士のような動きだった。
あの時は勢いに乗っていたため意識していなかったが……。
「……どういう事?」
『推測ですが、使い魔のルーンに関係するものと思われます』
使い魔のルーン。
そういえばルイズにもどこか見覚えがあった。確か何かの伝承の文献を漁っているときに――
しかし記憶が朧気でよく思い出せなかった。
「……うーん、まあいいわ。今度ミスタ・コルベールにでも尋ねてみましょう。
 でも剣なんかいつもぶら下げるなんて……嫌だわ。またみんなにからかわれるに決まっているもの」
『圧縮空間への格納を提案。これならば平常時は持ち歩かず、戦闘時にのみ装備する事が可能です』
「そんな事が出来るの?」
『はい』
しばしルイズは黙考していたが、やがて決心したように頷いた。
「……わかった。ADAの提案に乗ってあげるわ」


そして虚無の曜日。
ルイズはメイドと共に城下町に繰り出していた。
あの決闘騒ぎ以来、妙に懐いてくるシエスタというメイドが、
何処から聞きつけてきたのか、町へ繰り出そうとしていたルイズに追従を申し出てきたのだ。
以前単独で買い物に乗り出したルイズは盛大にぼったくられ、以来、必要最低限の
買い物しかしてこなかった。しかしメイドがいるなら何かと心強いだろう。
剣の購入のみが目的だったのだが、日用品などの消耗品も補充する事に決め、
シエスタの申し出を受諾したのだった。
「しかしミス・ヴァリエール、それ便利な魔法ですね」
購入した物を次々と圧縮空間に放り込むルイズを見て、
ブルドンネの大通りを行きながらシエスタが感嘆したように言う。
「魔法……じゃないみたいなんだけどね」
「そうなのですか?」
首をかしげるシエスタにADAが説明する。
『系統魔法とは異なりますが、ルイズの魔力を用いた現象ですので、
概ね魔法と定義して頂いて構いません。もっとも、このような使い方は不本意ですが』
あくまで『戦闘用AI』であるADAはいまいち釈然としないらしい。
いっぽうシエスタも、よくはわからないけどそんなものか、と相槌を打った。
最初はADAの存在に面食らったシエスタだったが、その一貫して謙虚で礼儀正しい態度に、すぐに打ち解けた。
「それにしても私、何の為にお供しに来たのかわかりませんわ」
荷物持ちの必要が全く無い買い物に、シエスタが冗談めいて苦笑して、ルイズも苦笑を返した。
「そんな事無いわよ。おかげで全然ぼったくられずに済んだし」
入学したばかりの頃、ちょっとした冒険のつもりで一人で城下町に繰り出し、
そして今と同じくらいの買い物をして十倍以上の出費を叩き出した事を話すと、
シエスタは引きつった顔のままで硬直した。さすがに噴き出すのは拙いと思ったらしい。
そんな彼女にルイズが肩をすくめる。
「笑っていいわよ。今回の結果を見たら、ぶっちゃけ私も笑えてきたし」
それで二人は顔を見合わせると、示し合わせたように笑い出した。
そして本来の買い物である武器屋に辿り着いた。


やはり従者などに持たせるというならともかく、貴族自身が剣を求めるというのは珍しいようだ。
慌ててへりくだる店主のお愛想を聞き流し、多種多様な武器防具を見て回る。
シエスタも、初めて入る類の店に、恐々としながらも興味しんしんに品物を見回した。
ルイズは妙に斧槍と篭手が気にかかるのを怪訝に思いながら、ADAに話し掛けた。
「どうADA、この中で何か気に入ったのはある?」
『少しお待ちください。材質と強度を測定します』
そうしてADAが周囲のオブジェクトを解析しようとルーンを光らせたその時、武器屋の片隅から声が聞こえた。
『こいつはおでれーた! 貴族の娘っこ、おめ、使い手か!』
「誰!?」
シエスタが飛び上がって驚く。
声のほうを向いても誰もいない。
しかしルイズのセンサーは、そこから確かな魔力反応を感知していた。
ルイズが店主を問い質すと、デルフリンガーとかいう銘のインテリジェンスソードだと判明した。
興味が沸いたルイズは、ADAに解析させてみた。
『材質は鋼鉄と思われますが、刀身から不可解な魔力反応を感知。断定は出来ません』
「ADAでも特定できないか……面白そうね」
ADAの存在に気付いたデルフリンガーが、愉快そうに声を上げる。
『ますますおでれーた! おめー、ひょっとして俺の同類だったりするか?』
『一緒にしないで下さい』
即答するADA。ルイズは、割とひどいと思った。
だがデルフリンガーは気にした様子も無く、ルイズに自身を売り込んだ。
ルイズはしばし悩んだが、厄介払いしたかったらしい店主があまりにも格安な値段を告げると、心は決まった。
斧槍と篭手も気になったが、どちらもそれなりの業物らしく、大枚をはたいてまで手に入れる決心はつかなかった。
金貨を必要枚数分払い、少し口が悪く錆び付いたインテリジェンスソードを手に取った。
――その瞬間。
『なな、なんだこりゃあ!?』
左手のルーンとデルフリンガーが激しく発光し、熱を放った。
「ちょっ、ええ……!?」


のみならず、剣は発光しながらルイズの右腕に溶け込んでゆき、
形状を変えて肘から後方へと、錆一つ無い輝く刀身を露わにした。
その場の全員がしばし呆然とし、いち早く我に帰ったのはシエスタだった。
「だ……大丈夫ですか、ミス・ヴァリエール!」
その声にルイズも我に返る。
「え、ええ……。ちょっと熱はあるみたいだけど痛みとかは特に無いわ。ADA、説明できる?」
『詳細不明。使い魔のルーンに関係があるとしか推測できません』
相も変わらず冷静な声に、デルフリンガーが同意した。
『見えない娘っこの言うとおりだぜ、貴族の娘っこ。そいつぁガンダールヴのルーン、あらゆる武器を使いこなせる力を持っている。
 ……けど、こんな風に使い手と一体化しちまうって言うのは、この六千年のあいだ、ちと憶えがねえなあ』
ガンダールヴのルーン。
それだ。引っかかっていた記憶が解けたのは良かったが、今はそれどころではない。
『落ち着きな娘っこ。何でかはわからねーが、俺がこんな風に形を変えちまったのは、多分娘っこがそれを望んだからだ』
「私が……!?」
『この形状が、娘っこにとって一番扱いやすいんじゃないかって事さ』
『……ぎく』
そこで非常に珍しく、ADAが僅かにとはいえ動揺するような反応を返した。そしてルイズはそれを見逃さなかった。
「……ADA?」
『……はい』
「説明なさい」
『恐らく、昔の戦闘データから『私にとって』最も理想とする形状を無意識に形成してしまったものと思われます……申し訳ありませんでした』
「謝罪はいいわ。元に戻せるんでしょうね?」
『はい。圧縮空間への格納は可能です』
よかった。ルイズは心底安堵した。
幾らなんでも、肘から剥き出しの刃を突き出した状態で人前を歩くのは遠慮したい。
『へー見えない娘っこ、おめ、色々な事ができるんだなあ……って、ちょっとまて娘っこ! ちょ、おい!』
どっと疲れが出たルイズは、即座に、デルフリンガーの抗議を黙殺して
圧縮空間に放り込むと、騒がせた事を店主に詫びて、シエスタを伴って店を後にした。



――――新たな武装『ブレード』を取得しました。


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