あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

スクライド・零-21


スクライド・零 21


『あぁ、これは夢なんだな』
まどろみの中でルイズが思ったのはまずそれだった。
見知らぬ街で文字通り投げ出されていたルイズの姿は、自身が知るものよりさらに
一回りは小さく、服装も顔も見知らぬものであったからだ。

【そこ】は荒野。学院の塔や王宮にも匹敵するような建物だったと思われる巨大な残骸が
そこかしこに林立する中、そこでの【私】はぼろ布のような服にこれまたぼろぼろの
ぬいぐるみを抱きしめて、ただ奪われ泣き嘆くだけの子供。
あるとき、雨宿りをしている【私】の前に、同じく雨宿りなのか、私は知っているが
【私】は知らない男が現れた。
『カズマ…』
【私】は恐怖に震え、身を縮こまらせる。
私は知らなかったが【私】は知っていたのだ。“何も持たない者ですらここでは
【奪われる】”のだということを。

でも私は知っている。

「一緒に来るか?」

カズマが【私】を守ってくれることを。


どうやらカズマは【私】にはアルターのことを黙っているようだ。舞踏会の夜には
そんな話はしていなかったが、なんとなく【私】に対する優越感のようなものを感じて
しまう。
【私】の前で見せるカズマはどちらかというとお調子者で、私の前でいつもムスっと
しているカズマとは大分違う感じがする。【私】の尻に敷かれているカズマというのは
ある意味新鮮な驚きだ。私の前の姿とどっちがいいとは言いにくいけど。
仕事のできないダメ人間を装って、かと思うとふらっといなくなって、帰ってきたときには
食料やお土産などを持っているカズマ。おそらく“アルターの必要な仕事”をしていた
んだろう。たまにボロボロになっていたりするが、帰ってこなかったことはない。
馬に引かれてもいないのに走る馬車(っぽいもの)でカズマを連れ出すキミシマとか言う
カズマの唯一?の友人は、なるほど、今のギーシュとちょっと似ているかもしれない。

平穏でも豊かでもないこの生活は私では耐えられないだろうが、【私】には満足できるもの
だったらしい。
奪われてばかりだった【私】に得ることができた場所。【私】とカズマの暮らしは
そう言うものだった。



ある日、いつものようにキミシマがやってきた。また“仕事”の誘いだろう。
そして、いつものように帰ってくることを待っていた【私】に、キミシマは「カズマが
消えた」と告げたのだ。
そう、私がカズマを召喚してしまったために…。

そのとき初めてキミシマは【私】に、カズマがアルター使いであること、時々荒っぽい仕事を
依頼していたことなどを告げる。もっとも、【私】は充分に聡い子供のようで、
「なにか危ないことをしているんだな」ということはうすうす気づいていたようだ。

そしてキミシマに向かってニッコリと笑うと力強い意志をもってこう告げる。

「大丈夫。カズくんはきっと帰ってきます。
だから、私も帰ってくるまで待ちます。
何年かかっても、諦めることに反逆して」

そのときの【私】、いや、かなみの『やり遂げる自信に満ちた』目に、私は否応なく
カズマを奪ってしまった後ろめたさとかなみのカズマへの信頼に敗北感を感じてしまう。
…、ならば私はカズマをかなみの元に送り帰す。勝ち負けの問題じゃないのは確かだけれど、
それだけが私に思いつくかなみに“勝つ”方法。

私、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは己に誓う。
「わたしは~、かずまを~、ぜったいにぃ~…、なんだっけ?」
「寝ボケてんじゃねぇ」
気がつくと、ベッドの上に体を起こして杖を振り回している私を、カズマが呆れた
顔で見ている。
「あれ?」
「『あれ?』じゃねぇ」
「いや、すっごく大事な夢を見ていたような気がするんだけど…」
「知らん。とっとと起きろ」
何かが頭からスポーンと抜けた私には、この後何が起きるのか全く予想できなかった。


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