あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの答え-06


「うぅ、腰が痛い……」
そう呟きながらルイズは街を歩いていた。
なにせ馬に乗ったことはあるものの、あんな速度で走り続けた経験はない。
なのに初めて馬に乗った上にルイズ以上の速度で駆っていたデュフォーは平然としていた。
恨めしげに横目で睨むものの、文句は言えない、馬で行こうと言ったのは自分である。
まさか初めて乗る馬ですら、あんな完璧に扱うとは思っていなかった。
そのデュフォーはというと、初めて街にきたはずなのにルイズの先を歩いていた。しかも迷いなく。
「ちょっと待ちなさいよ。あんた武器屋の場所わかってるの?」
「お前、頭が悪いな。武器屋はどこだ?の答えも出せるからアンサー・トーカーだろ」
ルイズはその場で深呼吸をして怒りを静めた。街中でキレるわけにはいかない。
「ふぅ……ま、まあそれはいいとしてスリには気をつけ」
ギロリ。そう言いかけた所でデュフォーが横を睨んだ。
「きゃっ!な、なによ急に?」
デュフォーが睨んだ方を見ると一人の男が恐れをなした表情でこそこそと退散するところだった。
「……もしかして今の」
「スリだ」
「……あっそ」
その後、数回同じことがあり、デュフォーに対してスられる心配は杞憂だったとよくわかった。
そうこうしている内に武器屋にたどり着いた。本当に場所がわかっていたことに今更ながらルイズは驚いた。心底得体の知れない使い魔だと思う。

武器屋に入るとルイズはまず店の主人のところに向かった。一方デュフォーはちらりともそちらを見ず、乱雑に積み上げられた剣のところに行った。
そして主人とルイズが話している間にその中から一本の大剣を掴み出した。
「おでれーた!いの一番に俺を選ぶなんていい目をしてるじゃねーか坊主」
デュフォーが掴み出すと同時に剣が叫んだ。が、デュフォーはまったく動じず、まだ話をしている最中のルイズと主人のところへ持ち込んだ。
「おいおい無視すんなよ。てかその体で俺を扱えんのか?悪いことは言わねぇからもっと体に合った武器にしろよ。いくら俺が名剣でもよー」
「ルイズ。この剣でいい」
「へ?ってあんた何勝手に決めてるのよ!それになによその剣は!錆が浮いてボロボロじゃない!みっともない!」
「若奥さまの言うとおりですぜ。そんな剣よりもっと良い剣がうちには」
「この剣以上の物はないだろう?」
「へへっ、その通りだぜ。だけど坊主、お前の体じゃ俺を扱うのはちーとばかし……」
そう剣が喋ったところでデュフォーが左手を見せた。
「これなら問題はないだろ」
「おでれーた!おま『使い手』か!流石俺を一目で選ぶだけのことはあるぜ!俺の名前はデルフリンガーだ。これからよろしくな、相棒!」
何かに引っかかったのかぴくりとデュフォーの眉が動いた。だがデュフォーが口を開くより早くルイズが怒鳴った。
「だーかーらー、勝手に話を決めるなって言ってるでしょうが!何よ、その変なインテリジェンスソードは!」
しかしデュフォーと変な喋る剣は一向に話を聞こうとしない。疲れた溜息を吐くとルイズは主人に告げた。
「……あの剣はいくら?」
「へぇ、あれなら百で十分でさ」
デュフォーはルイズの財布を懐から出すと、その中からきっちり百枚をカウンターに置いた。
「毎度」
鞘に入れられたデルフリンガーをデュフォーは受け取った。肩から提げるようにして身に着ける。
そんなデュフォーを横目に主人とルイズが話をしていた。
「若奥さま。俺がこういうのもなんですが下僕の躾はちゃんとしたほうがいいですぜ」
「……できるならとっくにやってるわよ」

こうして無事(?)目的の剣を購入し、店から出て、学院へと戻るデュフォーとルイズ。
その様子をキュルケたちが見ていた。
「ふふっ、これはチャンスね。あんな剣よりもっと良い剣を買ってあげれば一気に好感度アップよ」
「それはないと思う」
「む、何でよタバサ」
「彼、まったく迷いもせずにあの剣を選んでた。きっとよっぽど気に入ったんだと思う。他の剣をプレゼントしてもあれ以上に気に入られる可能性は低い」
「う、そう言われると。……うーん、確かにあなたが言うとおりね、他の剣を贈っても気に入られなきゃ意味がないわ」
そう言うとキュルケは大きく溜息をついた。せっかく親友に無理やり付き合ってもらってまで街にきたのに収穫は何もないのだ。
タバサごめん、と謝るとキュルケは学院に帰ることにした。勝負は夜だと考えて。


寮に帰るとすぐにルイズはベッドの上でうつ伏せになって枕に突っ伏した。帰りも行きと同様に馬に乗ってきたため、更に腰を痛めたらしい。
患部に水でぬらしたタオルを置いて冷やしてながら恨みがましい目でデュフォーを睨みつけていた。
だがデュフォーはそんなルイズを無視して、さっそく鞘からデルフリンガーを抜いて話しかけた。
「おい」
「なんだ相棒?」
「いつまでその姿でいる気だ」
「は?何言ってんだあいぼぐっ!」
デュフォーは問答無用でデルフリンガーを石造りの壁に叩き付けた。
「思い出したか?」
「いきなり何しや―――」
再び壁に叩きつける。
「思い出したな?」
「は……はい。思い出しました……」
「そうか、なら次だ。ガンダールヴという名前に聞き覚えは?」
「ん、あー……なーんか頭の隅に引っかかる名前だな」
それを聞くとデュフォーは呆れた表情になった。
「……忘れていることが多すぎるな。仕方がない、思い出させてやる」
「お、おい、ちょっと待てよ、相棒。ら、乱暴はよ……」
「この角度で強い衝撃を与えると思い出しやすい」
しばらくの間、金属を石に叩きつける音とデルフリンガーの悲鳴が響いた。

―――そして小一時間後。

「思い出したな?」
「あ、ああ。ばっちりだぜ相棒……だからもう石に叩きつけるのはよして……お願い……」
ボロボロになったデルフリンガーがそう懇願するのを聞いてデュフォーはこう告げた。
「なら早く元の姿に戻ったらどうだ?」
「わ、わかった。今すぐ戻るぜ!だ、だから岩に叩きつけるのはもう勘弁して……」
デルフリンガーがそう叫ぶと、突然その刀身が光り出した。
そして光が収まるとそこには錆の浮いた大剣ではなく、まるでたった今、研がれたばかりのように光り輝く大剣があった。
「これがほんとの俺の姿さ。ど、どうだい相棒、おでれーたか?」
多少びくびくしながらデュフォーの反応を見るデルフリンガー。だがデュフォーは無反応。
「くぅ~。相棒、そんなんじゃガンダールヴとしちゃ役立たずだぜ!良く聞け!ガンダールヴの力はな」
「心の震えで決まるんだろう」
「なっ!?知ってるのか、相棒。だったら俺の言いたいことも」
「問題はない。心の力を込めることなら慣れている」
「へ?慣れてるってどういうこった」
「他に言いたいことはあるか?」
「いやだからちっとは俺の話を……」
「ねえ、デュフォー。さっきからあんたがこの剣と喋ってるガンダールヴって何?」
デルフリンガーの言葉をさえぎるようにしてベッドの上からルイズがデュフォーに話しかけた。
「名前なら聞いたことがあるはずだが?頭が悪いから忘れてたのか?」
「っの!始祖ブリミルが使役していた伝説の使い魔の一人でしょ!それくらい知ってるわよ!わたしが聞きたいのは何であんたが『ガンダールヴ』とか言ってるのかってこと!」
「お前、頭が悪いな。俺が『ガンダールヴ』だからに決まっているだろ。この使い魔のルーン。これが『ガンダールヴ』の証だ」
そういうとデュフォーはルイズに左手のルーンを見せる。
そしてルイズに対してガンダールヴについての説明を始めた。


デュフォーの説明に対し、最初はうさんくさげな顔をしていたルイズだったが、話が進むにつれ、徐々に顔色が変わってきた。
「理解できたか?」
一通り説明を終えると、デュフォーがそう訊ねる。
「……証拠」
「お前、頭が悪いな。証拠なら」
「違う。ルーンじゃなくて、実際にそんな力を持ってるって証拠を見せて!でないと信じられないわ!」
強張った表情でそう叫ぶルイズ。
仕方ないなと言ってデュフォーはデルフリンガーを持って立ち上がった。
「ついてきて、中庭に行くわよ」
そういうとルイズはドアを開け、部屋の外に出た。
「きゃっ!?」
ちょうどデュフォーに会うためにルイズの部屋の前に来ていたキュルケが、目の前でいきなりドアが開いたことに驚いて悲鳴を上げた。
「ちょっとルイズ!急にドアを開けないでよ、びっくりするじゃない!」
キュルケがルイズに対して文句を言うが、ルイズはそちらを向こうともせず表情を強張らせていた。
それに訝しげな表情を浮かべるキュルケ。だがルイズに続いてデュフォーが出てきたのを見ると相好を崩し、ルイズのことは頭から消え去った。
「あら、ダーリンじゃない。こんな時間に部屋から出るなんて……ひょっとして私の部屋に来る気だったとか?」
デュフォーは違うと一言でキュルケを切って捨てるとルイズの後を追った。


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