あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

デュエルモンスターズZERO-06

遠見の鏡に決闘者 ルイズが映っている。
彼女が失血し地面に倒れると同時、赤い髪を持つ生徒と黒い髪のメイドの少女がルイズを介抱しどこぞへ連れて行くのが見えた。
おそらく医務室へと連れて行かれるのだろう。

オスマンはため息をついて杖を振った。
鏡が跡形もなく空に溶けて消えてゆく。
鏡が消えると同時、教師 コルベールが鬼気迫る表情で学園長に詰め寄る。

「見ましたか? オールド・オスマン」
「見たとも。ミスタ・コルベール」
「でしたら……!」
「彼女らしい、清純な『白フリル』じゃ。あとでモートソグニルに頼んで……っあだ!!」
「真面目にやってください! オールド・オスマン! ミス・ヴァリエールは悪魔を召喚しました。彼女をこのままにしておくのは危険すぎます!」

額にたんこぶをこさえながら、オスマンは自分のあごひげをしごいた。

「確かにのう。だが、わしが見る限り ミス・ヴァリエールはあの魔獣たちを使いこなしているようじゃったが」
「それが、そもそもおかしいのです。ミス・ヴァリエールは努力家ですが、実技の成績は決して良いとは言えません。その彼女がいきなり、あんな高位の魔物を召喚し、あまつさえ『融合』させるなどと……」
「彼女の頑張りが、先ほどの決闘で才能を開花させたというのは――」
「そんな都合の良すぎることがありますか! 大体、彼女が彼らを使い魔にしたというのなら、何故 ルーンが出現しないのです!」

最もな言葉である。
目頭を、親指と人差し指で押さえオスマンは重く呟いた。

「しかたない。ミスタ・コルベール 少々鬼畜な手段になるが、手伝ってもらうぞい。生徒を守るためじゃ」

コルベールは黙って頷く。
鬼気迫るモノが、2人の顔に表れていた。


ルイズはマントをつけ、制服を着たまま闇の中にいた。
ちなみに黄金錘もデュエルディスクもつけたままだ。
周囲のどこにも光は差していないのに自分がどんな服を着ているのかが見えるというのは不思議であった。

「私は……どうしたのかしら」
「よくやったな。相棒」

声のした方に振り向く。

夢で幻視した姿がそこにあった。
自分とは違う派手な髪に意志の強そうな瞳。
自分とは対を成す真っ白いマントと自分が身につけたものと同じ錘と円盤。

肘を組み、何も無い空間に仁王立ちする少年。
ルイズ自身の肉体を借りず具現化した自分の使い魔。

彼の姿を見た瞬間、ルイズはいままで何をしていたのか思い出し、ここがどこかを使い魔に問うた。

使い魔は答える。
ここは、ルイズの『心の中』だと。
何もないこの『虚無』の空間こそが、少女が何者であるかを示す部屋なのだと。

ルイズと使い魔は、足場はおろか 高低の感覚すらないその場所でしっかりと足を付け会話をしている。
二人は知らない。ルイズの心の中にとどまり続けることがどれだけ過酷なことか。
『虚無』の中では息をすることすら常人には筆舌しがたい苦痛だというのに。
そんなことは露とも知らず、使い魔は主の労をねぎらった。

「やったじゃないか相棒」
「………すごいのはあなたの方じゃない。あのカードを自在に操るなんて」

台詞だけならば照れ隠しにも聞こえなくも無いだろう。
育った環境ゆえか、賞賛されると、彼女は素直に喜べない。

だが、今ルイズが放った台詞は、照れ隠しではなかった。
彼女は心底、目の前の使い魔に畏怖を抱いているのだ。

「私はキマイラを召喚するだけで精一杯だった」
「始めて決闘したんだ。無理も無い」
「……前にも言ったわよね。私、あなたのことを夢に見たの。貴方はこのカードに眠る僕たちを使いこなしていたわ」
「最初の決闘であれだけ使いこなせればたいしたものだと言っただろう。それに、俺はデッキを使いこなしているわけじゃない。デッキが俺に応えてくれるだけさ」

少年はひと息ついた。



「第一、相棒がデッキを使いこなせないのは当たり前なんだ」
「……なによそれ! アンタ 私が下手くそだっていうの!?」

使い魔の言葉を挑発と受け取り食って掛かるルイズ。
食って掛かられた方は冷静に釈明した。

「そうじゃない。言っただろう相棒。アレは『俺』のデッキなんだ。俺のデッキを使いこなせるのは俺だけだ。例え体を共有していてもその事実は変わらない。俺には俺の、相棒には相棒の、信じるべきカードが、デッキがある」

「バカを言わないで。アンタが使っている札は今まで見たことも聞いたこともないわ。手に入れるなんてどうやってよ」

口を開き、何かを語ろうとするルイズの使い魔。
だが、彼は伝えようとした言葉を飲み込み、別の事項を伝えた。

「相棒、そろそろ目を覚ました方がいい」
「なんで? 私、もっと聞きたいことが……」

だが、ルイズにも聞き取れた。上から響く何者かの声が。

「………かね。起きているかね?ミス・ヴァリエール」
「呼んでいるぜ。相棒」
「仕方ないわね。また来るわ」
「ああ、次は……」

次の瞬間、とうとつに景色が断線した。
思わず目を閉じるルイズ。
一瞬、真の暗闇が移り、まぶた越しに明かりが差し込む。
少女は目を開けた。

気づいたとき、そこはやけに薄暗かった。

「目を覚ましたかね? すまんのう。そんな窮屈な所に閉じ込めてしまって」

自分はベッドに仰向けに寝かされていた。
視線の先には2人の教師、

だが、教師たち――オスマンとコルベーは危険を避けるがために、ルイズとの間に鉄格子を隔てている。彼女が手足を動かすたびに――否、動かそうとするたびジャラ……と鎖の音が聞こえた。

手足に鎖が巻かれ束縛されていることに気づくと同時、自分の身につけていたデュエルディスクがなくなっていることにも気がつく。
慌てて胸元を確認するもそこにあったはずの黄金の三角錐も消えていた。
自分の宝ともいえる使い魔たちを視線だけで探すルイズ。
コルベールの手に少々大きい革袋が握られている。
そこからは自分のデュエルディスクが顔を覗かせていた。
彼女は叫んだ。

「どういうことなんですか!? 先生方!!」

鉄格子に、手枷と足枷。
荷物は没収。
まるで囚人に対する扱いだ。
というよりも。

自由を奪われた少女は、辺りを見回した。
ベッドをのぞけばそこは牢屋そのもの。

「すまない。生徒の安全を考えてのことなんだ」
「ミス・ヴァリエール 実はのう、先ほど君が悪魔を召喚したことで邪教の信者ではないかとの噂がたっておるのじゃ」
「そんな! 誤解です!!」


なんとか体を動かし、コルベールとオスマンに嘆願するルイズ。
2人はそれに答えない。コルベールは黙って詠唱を開始した。
呪文の名はディティクト・マジック。

事の真偽をあらためる事の出来る呪文。
禿頭の教師はそれを教え子に施し、尋問を開始した。

「ミス・ヴァリエール。貴方はゲルマニアで謎の新興宗教が流行していたのはご存知ですか?」
「いえ、知りませんでした」

問1はシロ。ルイズは嘘をついていない。

「では、あの黄金の三角錐は何なのか貴方は知っていますか?」
「あれは私の使い魔です」
「では、あの札に封じられていた幻獣や悪魔は?」
「あれは私の使い魔の使い魔です」

問2、問3もルイズは嘘を言っていない。

「……最後の質問です。ミス・ヴァリエール。あなたは、召喚した悪魔や三角錐に封じられたというあなたの使い魔と、【死後の自分の魂を明け渡す】などのような契約はしていませんね?」
「していません!」

オスマンは安堵のため息をつく。
大雑把ではあるが、とりあえず自分の生徒が邪教の信者でないことは確認できた。
老いた魔術師は杖を振った。
がちゃりと音を立て、ルイズを縛りつけていた枷が破壊される。


「ミス・ヴァリエール すまんのう。もう少しだけこの狭い牢で我慢してほしい。君の所持していた、黄金錐と札の解析が終わったらすぐにここから出すからの」
「そんな。待ってください! オールド・オスマン!!」

切羽詰った表情で2人を見つめるルイズ。彼女は鉄格子にしがみつき、必死に手を伸ばす。
ギーシュとの決闘以来、デッキと黄金錐が彼女の中で己の一部となっているのは明白であった。

「お願いします! ソレは私にとって命より大切なものなんです! デッキと黄金錘を奪われたら私は……!!」

最後の声を聞くことなく2人は牢を後にする。
後にはやりきれない罪悪感だけが残った。

「一刻も早く彼女に、ソレを調べて、返してやらねばなるまい。ミスタ・コルベール」
「はい」

2人は、それきり無言のままそれぞれの部屋へと戻る



コルベールは、自分の部屋の扉を開けた。

通常の貴族の部屋からはしない、鉄錆と油の匂いが鼻につく。
他の人は顔をしかめるかもしれないが、中年のメイジはこの匂いが気に入っていた。

何故なのかはコルベール自身にもよく分からない。
ひょっとしたら何かを生み出すことで、破壊しか出来なかった過去を忘れられるような気がしたからかもしれない。

そこまで考えて彼は自嘲気味にわらった。

「バカなことを。 さぁ、早く解析を終えてコレをミス・ヴァリエールに返してあげなくては」

机に載っていた無骨な鉄の塊を横に除け、彼はまず、円盤に差し込まれていたカードを一枚、一枚手にとって調べてゆく。
だが――

「そのカードを返すのは、あのガキじゃねぇ。この盗賊王よ!」

女性とも、少年とも取れる少々低い声を背後に感じ、コルベールはバッと身を翻した。返す力でどこから出したのか、杖を相手に向ける。
彼の眩い額の先には黒いローブに身を包んだ怪しい人物。
その胸には邪教のシンボルとされている、黄金の円環。
そして腕にはルイズフランソワーズがつけていた物と同じ、円盤が。

コルベールは思い至る。
『闇の救い』を壊滅させた一人の盗賊を。

「土くれのフーケか!」
「ご明察。千年錘と神のカード。戴くぜ!」

警告するより先に、コルベールは炎の呪文を詠唱する。

(油断していた。まさか、学院内に忍び込んでいたとは)

「ハッ! これだからメイジって奴は楽でいい! さぁ『闇のゲーム』の始まりだぜぇ!」

教師 コルベールの命を掛けた決闘が行われようしている。
彼を見守る者は……誰もいない。

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