あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの大魔道士-4


シャナク――破邪呪文の一種で、アイテムや武具、もしくは生命体にかけられた呪いを解除する魔法である。
解除の成功率、そして解除後の影響に関しては使い手の力量がそのまま影響する。
呪いとは何か?
ポップの世界において呪いという言葉の定義はない。
何故なら、原因がわからない不都合を起こす現象はほぼ全て呪いとされているからだ。
ただ、一説によれば呪いとは総じて魔法の別に形ではないかと言われている。
不思議な現象に魔法が絡んでいなければおかしいというのが根拠だった。

コントラクト・サーヴァント――術者と受術者の間にルーンを刻むことによって主従契約を生み出す魔法である。
始祖ブリミルが生み出したとされるこの魔法はメイジであれば大抵のものが扱える。
いわゆる初級魔法に分類されるこの魔法は、ある種の強制力を持つ。
ルーンを刻まれ、使い魔とされた生物は主人に対するある程度の忠誠心を代表とする色んな能力が強制的に付加されてしまうのだ。

さて、ここで話は本題に戻る。
前述の通りシャナクは呪いを解除する魔法だ。
そしてコントラクト・サーヴァントは魔法ではあるが、その効力上呪いといっても差し支えはないものだろう。
つまり、シャナクはコントラクト・サーヴァントに対して十分効力を発揮すると言っても良いのである。



(くっ!? 思ったより強固な…っ!)

話を聞く限りでは初級魔法のようだから解除も簡単だろうと臨んだポップだったが、意外な苦戦を強いられていた。
効力は外道といえども、そこは始祖ブリミルの魔法である。
戒めという呪いを砕かんと襲い掛かるポップの魔力を押し返さんとばかりに抵抗力を発揮する。

(こりゃ、師匠のアレ並だな…)

アレ、つまりポップがマトリフのお下がりでもらった、バックルにマトリフの顔が彫ってあるダサいベルトのことである。
装備すると外れなくなるという呪いがかかっていた恐るべき一品。
なお、バーン打倒後ポップが必死にシャナクの修得に励んだ理由がここにあるのは言うまでもない。



「ちょっとアンタ、何してるの!?」

ポップが悪戦苦闘しているその時、ルイズがその様子に気がついた。
流石に契約を解除しようとしているとは気がついていないが、ルーンが激しく光り輝いているとなれば主人としては気になるのは当然。
同様の心境のコルベールと共にルイズはポップへと近づいていく。
と、その瞬間。

「こっ…の……消えろぉぉーっ!!」

ポップの渾身の叫びと共に後押しされた魔力がルーンへと襲い掛かる。
シャナクの力がルーンよ砕けろと奔流。
しかしこの瞬間、ルーンが自己防衛とも言うべき力を発した。
始祖ブリミルが使役したといわれる伝説の四なる使い魔の一体の力は、己の存在の消滅を防がんと動いたのである。

バシュゥッ!

そして次の瞬間。
ルーンは砕け散ることなく、ポップの体から出て行き――そして『乗り移った』



「なっ…!? ぐっ、ぐあ…!?」

ここで不幸だったのは、彼が一番位置的にポップに近かったということがある。
周囲の生徒たちは既に彼自身の言によって解散していたということも不幸の一因だっただろう。
ルイズも同程度の位置だったのだが、彼女はコントラクト・サーヴァントの行使者。
条件的には当てはまらなかった。
それはつまりどういうことかというと――

「こ、コルベール…先生?」

炎蛇のコルベール。四十二歳。独身。
ポップから追い出されたルーンをその体で受け止める羽目になった彼は

――この日、この時を持って教え子の使い魔になることが確定した。



『………』

痛いほどの沈黙が場を包んでいた。
場にいる人間は五人。
ぽかん、と口を大きく開けて固まっているルイズ。
自身の左手をまるで悪夢を見るかのように眺め続けるコルベール。
とある事情によりこの場に残っていた微熱と雪風の二つ名を持つ二人の生徒。
そして、どうコメントしていいのかわからず目をそらすポップだけだった。

「じゃ、そういうことで!」

キッカリ三秒後、最初に動き出したのはポップだった。
ぶっちゃけ、ルーンが砕けずに他人に移ったのは予想外の出来事だった。
しかし話の限りでは命にかかわることではないらしいし、そもそも自分は火の粉を払っただけである。
自己欺瞞を完成させたポップは素早く身を翻すと飛翔呪文を唱え

「あ、ま、待ちなさい!」

背に降りかかるルイズの罵声を無視して逃走を開始するのだった。



「随分と…め、珍しいルーンだね。私の左手にあるルーンは…」

ひゅうう、と風がコルベールの少なくなった髪の毛をなびかせる。
彼の目の前には罵声を上げ続ける桃色の少女の姿がある。
ミス・ヴァリエール。
いや、ご主人様?
どちらで少女を呼ぶべきかコルベールは闇に染まりそうな思考の中、他人事のように考えるのだった。



「さて、これからどうしたもんだか…」

ポップは一度ルイズ達の視界から消えた後、こっそりと身を隠しつつ近くに戻ってきていた。
まだ完全に確信したというわけではないが、ここが異世界である可能性が高い以上無闇に動き回るわけにもいかない。
言葉が通じて人間がいる以上、町なども存在はしているであろうが、法律や常識が大幅に違う可能性は大いに高い。
となると下手すればうっかり犯罪者になってしまうということも考えられる。
現時点ではハルケギニアの知識がないに等しいのだから。

「お、移動するようだな」

ポップの視線の先には、宙に浮いて移動を開始するルイズ達の姿があった。
何故かコルベールがピクリとも動かないルイズを抱えて飛んでいたのだが、そこは気にしてはいけない部分だろう。

「トベルーラ…じゃないよなぁ。やっぱ異世界となると魔法体系も違うのか?」

少なくともポップの知る限りではサモン・サーヴァントやコントラクト・サーヴァントなどという魔法は存在しない。
類似している魔法や現象はあるにはあるのだが、彼らの様子を見た感じでは広く浸透している魔法のようだ。
となると、自分の知る魔法と、ルイズらの扱う魔法は全く別のものである可能性は高いといえる。

「とりあえず、あいつらに着いて行ってみるか。まずは情報を集めないことにはどうしようもないしな」

またぞろ厄介なことになったぜ、とポップは髪をガシガシとかきむしりながら飛翔呪文を唱える。

(ま、流石に大魔王を倒すよりはマシだろ)

そうポジティブに考えることができたのはポップの成長の証だったのかもしれない。
それが楽観的な考えだったのかは、未来のポップのみが知ることではあったのだが。


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