「「幻想殺し(イマジンブレイカー)?」」
二人の女性の声――シエスタとルイズの声がシンクロする。
「そういう事です。異能の力なら例えどんな事でも打ち消しちゃう右手なのです」
その持ち主、当麻が補足として加えた。あの後ギーシュは当麻に対して降伏し、決闘は誰しもが予想出来なかった結果にへと終った。
その為、当麻の知名度は『ルイズの使い魔の平民』から『メイジを倒した使い魔の平民』へとランクが上がった。
また、あの広場でのルイズに関する発言もあってか、ルイズに向かって馬鹿にする声がかなり減った。恐らく、ギーシュのようになりたくないという思いからであろう。
そして授業が終った後、部屋へと戻った二人は、先のとある騒動の一因であったシエスタを迎えて、先のギーシュのゴーレムをどのようにして倒したかを当麻は説明したのであった。
二人はあまりの事に驚きを隠せなかったが、本人がそう言うのだから、と思って無理に納得する。と、ルイズはある事に気付く。
「待って、つまり右手で触らなかったら意味がないのよね?」
「そ、その辺がこの能力の欠点もあるんだよね」
「じゃあアンタはそれだけを頼りに決闘を挑んだの!?」
突然のお怒りのルイズに、当麻は面を食らったように目をパチパチさせ、
「え……なんかおかしい?」
と、あくまで素の疑問を浮かべた当麻。ビキィ! とルイズのこめかみから変な音がした。
「あ、当たり前じゃないの! 今回はたまたまよかったけどもしかしたら大怪我を負ったのかもしれないのよ!?」
「いやまぁその辺は上条当麻様の緻密でかつ完璧なる作戦通りの展開を行った結果がこうであり、……気にしなくてもいいんじゃね?」
「気にするわよ! アンタは私の使い魔なんだから!」
うがー、と下手したら襲い掛かってくるルイズを半ば流すようにして、先程から俯いているシエスタに話し掛ける。
「ん? シエスタ大丈夫か?」
「すみません……」
小さく泣きそうな声にルイズと当麻は耳を傾ける。
二人の女性の声――シエスタとルイズの声がシンクロする。
「そういう事です。異能の力なら例えどんな事でも打ち消しちゃう右手なのです」
その持ち主、当麻が補足として加えた。あの後ギーシュは当麻に対して降伏し、決闘は誰しもが予想出来なかった結果にへと終った。
その為、当麻の知名度は『ルイズの使い魔の平民』から『メイジを倒した使い魔の平民』へとランクが上がった。
また、あの広場でのルイズに関する発言もあってか、ルイズに向かって馬鹿にする声がかなり減った。恐らく、ギーシュのようになりたくないという思いからであろう。
そして授業が終った後、部屋へと戻った二人は、先のとある騒動の一因であったシエスタを迎えて、先のギーシュのゴーレムをどのようにして倒したかを当麻は説明したのであった。
二人はあまりの事に驚きを隠せなかったが、本人がそう言うのだから、と思って無理に納得する。と、ルイズはある事に気付く。
「待って、つまり右手で触らなかったら意味がないのよね?」
「そ、その辺がこの能力の欠点もあるんだよね」
「じゃあアンタはそれだけを頼りに決闘を挑んだの!?」
突然のお怒りのルイズに、当麻は面を食らったように目をパチパチさせ、
「え……なんかおかしい?」
と、あくまで素の疑問を浮かべた当麻。ビキィ! とルイズのこめかみから変な音がした。
「あ、当たり前じゃないの! 今回はたまたまよかったけどもしかしたら大怪我を負ったのかもしれないのよ!?」
「いやまぁその辺は上条当麻様の緻密でかつ完璧なる作戦通りの展開を行った結果がこうであり、……気にしなくてもいいんじゃね?」
「気にするわよ! アンタは私の使い魔なんだから!」
うがー、と下手したら襲い掛かってくるルイズを半ば流すようにして、先程から俯いているシエスタに話し掛ける。
「ん? シエスタ大丈夫か?」
「すみません……」
小さく泣きそうな声にルイズと当麻は耳を傾ける。
「私があの時香水を拾わなければよかったのですよね……ミス・ヴァリエール、トウマさんを怒らないで下さい。私のせいです……」
「あ、いや別に……」
どう返事をしたらいいか言葉に詰まったルイズに、当麻はため息を吐いた。
「あー気にするなって、ていうかシエスタは何も悪い事してねぇだろ? それなのに悪者扱いされる方がおかしいっての」
「でも……」
「だー! でももへちまもかかしも何でもないっての! いい事をしたの、学園長さんから表彰されちゃったよ、ラッキー、みたいないい事をしたの!」
「はい……」
「あーもう何ですかそのラストのラストでバッドエンドへいってしまったような落ち込み具合は! こっちまで悲しくなっちゃいますよ」
「トウマ、あんた言ってる意味がわからないよ」
なぬ!? はっ、ここは日本文化(オタク)ではないのかー! と二人には理解出来ない単語を発してる当麻に、シエスタは笑みを取り戻す。
「はい、そうですよね。トウマさん! ありがとうございました!」
「お、おう。というか感謝されちゃったって事はなんか不幸フラグが立てられたようなー!?」
何か起きるのではないかと危惧してる当麻に、ルイズはあ、そうだ。と思いだし、洗濯物を渡した。
「あ、いや別に……」
どう返事をしたらいいか言葉に詰まったルイズに、当麻はため息を吐いた。
「あー気にするなって、ていうかシエスタは何も悪い事してねぇだろ? それなのに悪者扱いされる方がおかしいっての」
「でも……」
「だー! でももへちまもかかしも何でもないっての! いい事をしたの、学園長さんから表彰されちゃったよ、ラッキー、みたいないい事をしたの!」
「はい……」
「あーもう何ですかそのラストのラストでバッドエンドへいってしまったような落ち込み具合は! こっちまで悲しくなっちゃいますよ」
「トウマ、あんた言ってる意味がわからないよ」
なぬ!? はっ、ここは日本文化(オタク)ではないのかー! と二人には理解出来ない単語を発してる当麻に、シエスタは笑みを取り戻す。
「はい、そうですよね。トウマさん! ありがとうございました!」
「お、おう。というか感謝されちゃったって事はなんか不幸フラグが立てられたようなー!?」
何か起きるのではないかと危惧してる当麻に、ルイズはあ、そうだ。と思いだし、洗濯物を渡した。
ギーシュとの決闘からはや一週間が経ったとある日。
当麻はいつも通り(といっても一週間しか経っていないが)の朝を迎えた。床という最低ランクから、シエスタから貰った藁を敷いてのグレードアップを果たした当麻の寝心地は悪くない。
まぁ、彼にはとある日からの『思い出』の記憶がないのだが、硬い岩場で寝たという『感覚』を持っているので、むしろ全く苦ではなかった。
普段から当麻は学校へ早めに登校していた為、ルイズより先に起きるのはごくごく自然な事である。
軽く欠伸をして、体を覚醒させようとストレッチをした後、ネグリジェ姿でスゥスゥという、小さな吐息を立てて寝ているルイズを起こす。
当麻はここに来る前に同じような経験を毎日体験していたのだが、やはり慣れるものではない。が、これは不幸ではないのでオールOKと自分に言い聞かせる。
起こされたルイズは下着をつけ、制服を当麻に着さしてもらう。これもやはり慣れようがない。が、これもまた不幸ではないのでオールOKと自分に言い聞かせる。
その後、ルイズは朝食を食べに、当麻はルイズの洗濯物を洗う事になっている。もちろん洗濯機がないこのご時世、普通の人間なら手洗いなどしないのだが、
当麻は違った。
どういった『思い出』があったかはわからない(大方不幸の一環だろうと理解はしているが……)。しかし、これまたどのように手洗いをすべきか『知識』は得ているので、これまた苦ではならない。
くどいかもしれないが、これも女性の下着を洗う事に抵抗感はあるが、これまた不幸ではないのでオールOKと自分に言い聞かせてる。
当麻はいつも通り(といっても一週間しか経っていないが)の朝を迎えた。床という最低ランクから、シエスタから貰った藁を敷いてのグレードアップを果たした当麻の寝心地は悪くない。
まぁ、彼にはとある日からの『思い出』の記憶がないのだが、硬い岩場で寝たという『感覚』を持っているので、むしろ全く苦ではなかった。
普段から当麻は学校へ早めに登校していた為、ルイズより先に起きるのはごくごく自然な事である。
軽く欠伸をして、体を覚醒させようとストレッチをした後、ネグリジェ姿でスゥスゥという、小さな吐息を立てて寝ているルイズを起こす。
当麻はここに来る前に同じような経験を毎日体験していたのだが、やはり慣れるものではない。が、これは不幸ではないのでオールOKと自分に言い聞かせる。
起こされたルイズは下着をつけ、制服を当麻に着さしてもらう。これもやはり慣れようがない。が、これもまた不幸ではないのでオールOKと自分に言い聞かせる。
その後、ルイズは朝食を食べに、当麻はルイズの洗濯物を洗う事になっている。もちろん洗濯機がないこのご時世、普通の人間なら手洗いなどしないのだが、
当麻は違った。
どういった『思い出』があったかはわからない(大方不幸の一環だろうと理解はしているが……)。しかし、これまたどのように手洗いをすべきか『知識』は得ているので、これまた苦ではならない。
くどいかもしれないが、これも女性の下着を洗う事に抵抗感はあるが、これまた不幸ではないのでオールOKと自分に言い聞かせてる。
そう、つまるところ普通に使い魔として仕事をしているのだ。この時、当麻は今までの『不幸な体験』が役立ったなーと純粋に思えた。
働かざる者食うべからず、一生懸命朝から働く当麻は、平民用の朝食では圧倒的足りなかった。また、ルイズから朝食を貰おうにも朝は時間の都合上あわない。
その為、どうしよかなーと悩みを抱えていたが、それはすぐに解決された。
どうやら、ギーシュの決闘のおかげで厨房で働いている平民から大人気を得たのだ。やはりと言うべきか、彼らも貴族に対して不満はあったらしく、スカッとしたらしい。なのでよく訪れてはご飯を貰ったりする。
その中にシエスタが作った手料理もあるが、特に気にせず当麻は食べっちゃったりする。
とまぁ厨房で本当の朝食を食べた後、当麻は授業中のルイズと合流し、お供を努める。が、補習万歳の当麻にとっては何を言っているのかさっぱりである。
時々隣にいるルイズに質問する事もあれば、簡単な昼寝をしたり、ペン回しに走ったりもする。
働かざる者食うべからず、一生懸命朝から働く当麻は、平民用の朝食では圧倒的足りなかった。また、ルイズから朝食を貰おうにも朝は時間の都合上あわない。
その為、どうしよかなーと悩みを抱えていたが、それはすぐに解決された。
どうやら、ギーシュの決闘のおかげで厨房で働いている平民から大人気を得たのだ。やはりと言うべきか、彼らも貴族に対して不満はあったらしく、スカッとしたらしい。なのでよく訪れてはご飯を貰ったりする。
その中にシエスタが作った手料理もあるが、特に気にせず当麻は食べっちゃったりする。
とまぁ厨房で本当の朝食を食べた後、当麻は授業中のルイズと合流し、お供を努める。が、補習万歳の当麻にとっては何を言っているのかさっぱりである。
時々隣にいるルイズに質問する事もあれば、簡単な昼寝をしたり、ペン回しに走ったりもする。
それが当麻の日常であった。
しかしながら、肝心の元の世界に戻る方法は見つからない。手掛かりの「て」の文字すら見つからない当麻は、内心どうやったら戻るんだーと泣いちゃったり。
尤も当麻の不幸はこんな程度では済まされない。
それは当麻の一日を紹介した今日の夜に起きた。
しかしながら、肝心の元の世界に戻る方法は見つからない。手掛かりの「て」の文字すら見つからない当麻は、内心どうやったら戻るんだーと泣いちゃったり。
尤も当麻の不幸はこんな程度では済まされない。
それは当麻の一日を紹介した今日の夜に起きた。