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とある魔術の使い魔と主-06


当麻が案内されたヴェストリの広場には、風の噂を聞き付けた生徒たちで溢れかえっていた。
「ギーシュが決闘するぞ! 相手はルイズの平民だ!」
誰かが叫び、周りのテンションがどんどん熱を上げていく。
見ると、ギーシュは腕を振ってその歓声にこたえている。
チャンピオンに挑戦するチャレンジャーな気分になった当麻は、人込みを突き破り広場の真ん中に立った。
「ようやくのお出ましだね」
「あぁ、いつから始まるんだ?」
「いつでも僕は準備万端さ」
そうかよ、と当麻は呟くと、身を低く沈める。
距離は大体十数メートル、全力で駆ければ七、八歩でたどり着く。
当麻は足に全身の力を集中する。
「テメエの言った言葉、撤回さしてやるからな!!」
ドン! と爆発したかのように、ギーシュ目掛けて駆け出す。
一方のギーシュは、ただ無鉄砲に突っ込んでくる当麻を見下すように笑みを浮かべると、手にもっている薔薇の花を振った。
フワフワと、重力に引っ張られるように花びらが舞ったかと思うと――
甲冑を着た女戦士の形をした人形へと変貌した。
「……なっ」
当麻がその姿を確認した時には、もう遅い。
女戦士の形をしたゴーレムがギーシュの代わりに突進してきた。
当麻は完璧に虚をつかれ、防御の態勢も攻撃の態勢もとれない。
それでも、咄嗟に両腕を前に出したが、敵の拳はいともたやすくかい潜り、当麻の胸を直撃した。
「がっ……、はっ……ッ!」
肺の中から全ての酸素が吐き出し、文字通り宙を舞った。
背中から地面へと着陸し、ズササササ、と土煙を起こしながらなんとか動きを止めた。
「忘れていたが……僕はメイジだから魔法で戦わして貰うよ。もちろん文句はあるまいね? それとももう終わりかい?」
ギーシュは起き上がらない当麻を見て、呆れた声で言った。すると、人込みの中からルイズが飛び出してくる。
「ギーシュ! 決闘は禁止されてるはずよ!」
「それは貴族同士、さ。平民と貴族の間での決闘はなんら問題ない」
予想外の反論にルイズは言葉に詰まる。
「そ、それはそんなこと今までなかったから……」

「気にすんな、今更とまらねえよ」
ようやく口を開いた当麻に、ルイズは安心と悲鳴が込められた声で叫ぶ。
「トウマ!」
「あんだよ?」
ふらふらと立ち上がった当麻を見て、ルイズの肩は震えだした。
「おいおい、やっぱりゼロのルイズが召喚した使い魔だな」
「あぁ、無能の主にお似合いだな」
どこからか声がしてくる。ルイズは周りを囲んでいる貴族達に向かって怒鳴った。
「何いってるの! 平民は絶対メイジに勝てないじゃない!」
「ルイズ、君は庇っているがそこの平民が好きなのかい?」
ルイズの顔が、赤く染まる。
「誰がよ! そうじゃなくて、自分の使い魔がみすみす怪我するのを黙って見ていられるわけないじゃない!」
「俺も同じだ」
当麻は必死にこの決闘を止めようとするルイズに、伝える。
「俺も自分の主が馬鹿にされたのを黙って見ていられなかっただけさ」
ルイズはきょとんとした目つきになり、その後慌てて、
「だ、だからってこんな事しなくていいのよ! 平民じゃメイジに絶対勝てな――

「絶対、だぁ?」
当麻のこめかみに血管が浮かび上がる。
「ざけんな! 今まで何人の平民とやらがメイジに挑んだかなんて知らねえし、興味もねえよ」
当麻は叫んだ。初めて、この世界で怒りを隠さずに、告げる。
「だけどな! だからって絶対とイコールで結ばれるわけねえだろ!」
当麻は言葉を止めない。周りの貴族達もただ黙るしか他なかった。
「お前だってそうだろ! いいか、そこまでの過程なんかいらねぇ、答えてみろ!」
当麻は息を吸って、
「お前はゼロのルイズと言われて何してきたんだ!?」
ルイズの息が一瞬止まった。
「ほとんど成功しない――絶対成功しない言われ続けて来て何をしてきた! ここにいる奴ら全員見返して、ここにいる奴ら全員より強いメイジになろうと決めたんじゃねえのかよ!」
当麻の体内で熱が暴走する。
「ずっと! 努力してきたんだろ、未来の為に! まだちっと他人より長いプロローグの上を歩き続けてるんだろ! 同じだろうが! 平民がメイジに勝てない歴史が少し長いだけの話じゃねえか!」

始まる。一人の人間と世界が交差するとき、一つの物語は始まる。
「お前がまだ何かに対して絶対無理だと思ってるならな」
今までギュッ、と握ってた拳をルイズに向ける。
「まずはその幻想をぶち壊してやる! そんでもって教えてやる! お前の幻想(努力)はこれぐらいじゃ壊れないって事を!」
再び駆ける。ルイズに、そんな当麻を止める術はなかった。
残り十数メートル。
「やるだけ無駄だと思うがね」
ギーシュは再びゴーレムを突っ込ませる。誰もが同じ展開になると予想したが……
「テメェのそれ、前と戦った奴よりよえよ」
当麻は手を差し出す。ゴーレムがそれ目掛けて拳を突き出してきた。
ルイズは恐怖のあまりぎゅっと両目を閉じる。予想される未来を現実として見たくなかったが、
何も音がしない。
いや、ピシリと何かに亀裂が走ったような音がした。
「なっ……」
ギーシュの初めてうろたえる声に、ルイズは恐る恐るまぶたを開ける。
ゴーレムの動きが止まっていた。当麻のその右手が、全てを受け止めたかのように。
ただ、それだけでゴーレムは崩れ去る。
「ったく、さっきはちょっと驚いただけだっつーの。っても十分痛かったけどな」
三度当麻は駆ける。後十メートル弱。
「うわぁぁぁあああ」
ギーシュは慌てて薔薇を振る。今度は合計六体ものゴーレムが生まれた。
そして間髪を置かずに、当麻の周りを囲みながら襲い掛かる。
マズ……と当麻は思う。それが異能の力であるなら全てを打ち消す幻想殺しを持っているが、効果範囲は右手のみ。
周りを囲まれて同時に攻撃されたら成す術がない。
しかし、だからと言って当麻は諦めない。例え一パーセントでも可能性が有る限り、縋り付くのが上条当麻だ。
ゴーレムが一斉に拳を振りかぶる。その瞬間、当麻は地面を舐めるような姿勢で、前へと飛び出す。幸運にも似たような場面に出くわした事があるからだ。

当麻の幻想殺しは右手しか有効範囲ではない。が、逆に言えば右手さえ触れば効果が発揮される。
前方のゴーレムに右手を思いっきり前に突き出す。拳が触れた瞬間、形が崩れ去り道が開かれる!
残り五メートル。が、当麻は距離を詰めようとしない。
くるっ、と後ろへと振り返り、全身をばねのように縮ませ、残りのゴーレムへと突っ込む。
一体を即座に土に戻すと、残りの四体が再び当麻を襲い掛かる。
が、最初と違う点を言うなら敵はほぼ一列、それこそ当麻の思い通りの展開。
敵の攻撃を右手で防ぎ、あるいはしゃがみ込んだりして避ける。
残りのゴーレムを倒すのに、数秒もかからなかった。
「なっ……」
ギーシュが言葉に表せない驚きを感じている間に当麻は目の前に立つ。
「歯食いしばれよ貴族」
「ひっ!」
「お前から歴史は変わるんだよ」
瞬間、ギーシュは顔を殴られた。


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