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ゼロの登竜門-05

ゼロの登竜門 第二章 『土から鉄、そして鋼へ』後編


翌朝、ギーシュは一足先に礼拝堂へと来ていた。
礼拝堂に入った途端、ヴェルダンデはその背中から飛び降りて、壁をカサカサと上った。
そしてその場でピタリと止まって微動だにしなくなった。
「やぁ、もう来てたのかい」
皇太子の礼服を身に纏ってウェールズが現れる。
紫のマントが王族の象徴、そして頭に載せた帽子には王家の象徴たる七色の羽がついている。
「君は………よかったのかい?」
「………はい?」
ウェールズから声をかけられてギーシュは素っ頓狂な声を上げた。
「ミス・ヴァリエールは、君の恋人だったんじゃないのかい? それが結婚するということになって……」
「ぼくとルイズはただの友達ですよ。特別な感情はありません」
ギーシュの言葉に、ウェールズは驚いた表情でじっとみつめてきたがやがて納得した様子で「そうか」と言った。
「どうやら君には心に決めた人が居るようだね」
ウェールズの言葉にギーシュは応えず、視線をそらして壁に張り付いているヴェルダンデを見やった。
身じろぎしないヴェルダンデの様子がきになったが、丁度ルイズとワルドが入ってきたので扉へと視線を向けた。
ギーシュから見て、ルイズは相当まいっているように見えた。
昨日あれだけ話したのにまだへこんでいるようだ、この調子で結婚式なんてまともに出来るのだろうか、不安に思う。
顔を俯かせたまま、ワルドに促されるままにブリミルの像の前に立つウェールズに向かい合った。
ワルドがルイズに何かを囁き、ウェールズから新婦用の冠を借り受けてそれをルイズの頭の上に乗せる。
魔法の力によって永久に枯れることのない花があしらわれている、簡素ながらも美しく、清楚な冠だ。
そしてワルドはルイズの学生用の黒いマントを外し、純白のマントを纏わせる。
これも王家から借りた新婦用の乙女のマントだ。
しかしルイズは着飾られているというのに反応が薄い、いまだに心の中では葛藤が渦巻いているようだ。
所がワルドは、そんなルイズの様子を肯定の意思表示と受け取ったようだ。

すこし、ギーシュは眉を顰めた。

ブリミル像の前に立つウェールズに向かい合い、ワルドは一礼した。
ワルドの格好はいつもと同じ、魔法衛士隊の制服。
「では、式を始める」
ウェールズの声はルイズの耳にも届く。
しかし彼女にとっては、はるか遠くで鳴り響く鐘楼のように現実感のない響きだった。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名においてこの者を敬い、愛し、そして妻とすることを誓いますか」
ウェールズの詔を、ギーシュは椅子に深く腰を沈めたままぼんやりと聞いていた。
ウェールズの言葉にワルドは即座に答えた。誓う、と。
そして次はルイズに向かって、同じように唱える。
自分の名を呼ばれ、ルイズはようやく今結婚式を行っていることに気付いた。
相手は幼い頃憧れていたワルド。お互いの父が交わした結婚の約束。
幼かった頃ぼんやりと夢想していた未来。それが今現実となろうとしているのに。なぜ嬉しくないのだろう。
滅び行く王国を目にしたからだろうか。
愛するものを捨て、死に向かう王子を目の当たりにしたからだろうか。
なぜこんなにも心が痛いのだろう。好きな人と結婚できるのに、友達が見守って居てくれるというのに。
ちらりと、椅子に座るギーシュに視線を向けると、笑顔を返してくれた。
そう、心の底から祝福してくれていることがわかった。
薔薇の造花の杖を取りだして、ギーシュはそれを振って薔薇の花弁を吹雪かせた。
友の門出に、今日というめでたきに日に。そう、それは太陽の光をたっぷり浴びた、麗しき一輪の華。

「新婦?」
ウェールズが心配そうに顔を覗かせると、慌ててルイズは顔を上げる。
もはや式はルイズの与り知らぬ所まで進んでいる。どうすればいいのだろう。こう言うときはどうすれば……。
椅子に座る友を見るが、答えは既に出ている。
女性を守る棘は既に役目を終えている。
後はどうするか、どう進めるかはルイズの判断に委ねられるのだ。
「緊張しているのかい? 大丈夫、初めての時はどんなことであれ緊張するモノだからね」
ルイズを安心させるように、にっこりと笑った。
「コレは儀礼に過ぎぬが、儀礼にはそれをするだけの意味がある。では繰り返そう。汝は始祖ブリミルの名においてこの者を敬い、愛し、そして夫として………」
誰も応えてくれない、ならば自分で応えるしかない、自分で決めるのだ。
一人じゃない。一人だけ先に進むわけにはいかない。
友が居る、仲間がいる。それを置いていくことは出来ない。
傍らに咲いている薔薇を、見逃す事なんて出来ない。
「新婦?」
「ルイズ?」
怪訝な顔でルイズの顔を覗き込む。ルイズはワルドに向き直って悲しげな表情を浮かべ、首を振った。
「どうしたんだ。ルイズ、気分でも……」
「違うの、違うのワルド。ごめんなさい……」
「具合が悪いなら改めて……」
「そうじゃない、そうじゃないの。ごめんなさい。わたし貴方とは結婚できない」
そう、自分はまだ蕾ですらない。
貴族としての誇りのみ立派で、魔法も使えない、強い使い魔を得て有頂天になっているだけ。
そんな自分が、結婚して、妻となることに、どうしても納得がいかない。
「新婦はこの結婚を望まぬのか?」
ウェールズの言葉にルイズは向き直って、力強く頷いた。
「お二方には、大変な失礼をしたす事になりますが、私はこの結婚を望みません」
突然の自体に、ギーシュも目を丸くする。気を利かせて薔薇の花弁を舞わせたのに。
ワルドの顔にさっと朱が差したのを、ギーシュは見逃さなかった。
「子爵………真に気の毒だが花嫁が望まぬ式を続けるわけにはいかない……」
ウェールズのその言葉を無視し、ワルドはルイズの手を取っていった。
「緊張して居るんだ。ルイズ、きっとそうだ、君が僕との結婚を拒むわけがない」
「ごめんなさい。ワルド、憧れだったの。もしかしたら恋だったのかもしれない。でも、今は違う」
そう、ルイズが憧れているもの、それは孤高の内に咲く花のような高貴さ。


ワルドの視線が一瞬だけギーシュに走ったかと思うと、突然ルイズの肩を掴んだ。
その目がつり上がり、表情が優しかったいつものモノから冷たい、爬虫類を思わせるノに変わった。
「世界だ! 僕は世界を手に入れる! その為に君が必要なんだ!」
ワルドの豹変に怯えながらルイズは首を振る。
「……わたし、世界なんていらないもの……」
欲しいものは、女性を守るためにあると胸をはって言った、彼のような誇り高さ。
「アイツか! あの小僧が!君をたぶらかしたのか! 君を!」
ワルドの豹変に、敵意を向けられたギーシュも怯える。
いったい何が起こっている、子爵は一体、何を考えているのだ。
「ギーシュは……関係ないわ。わたし個人の問題よ」
「僕には君が必要なんだ!君の力が! 君の能力が!」
ワルドの剣幕にルイズは恐慌する。優しかったワルドがこんな顔をして叫ぶなんて夢にも思わなかった。
「ワルド………あなた……」
「子爵……君は振られたのだ、いさぎよく……」
ルイズに詰め寄るワルドの剣幕にウェールズはとうとう見かね、間に入って取りなそうとする。
しかしワルドはその手をはねのけた。
「黙っておれ!」
ワルドの言葉に驚き、ウェールズは立ちつくす。
ワルドはルイズの手を握る。その手つきは、まるでヘビが絡み付くような嫌悪感をルイズに感じさせた。
「ルイズ! 君の才能が僕には必要なんだ!」
「わたしそんな立派なメイジじゃないわ! まともに成功させたのはサモン・サーヴァントとコントラクト・サーヴァントくらいだもの」
「だからそれは君が自分で気付いていないだけなんだ!」
ワルドの手をふりほどこうとするが、凄い力で握られていてそれもままならない。苦痛に顔を歪めるがワルドに構う様子はない。
「わたしの才能? 冗談じゃないわ。そんな結婚死んでも嫌。今わかったわ、貴方わたしをちっとも愛して居ないじゃない。貴方が愛しているのはアリもしないわたしの魔法の才能だけ……そんな理由で結婚しようなんて、こんな侮辱はないわ!」
握られた手をルイズは渾身の力を込めてふりほどく。
そしてウェールズがワルドの肩に手を置いて引き離そうと試みる。が、今度は突き飛ばされた。
苦痛に表情を歪めたが、即座にウェールズの顔が怒りに赤が走る。
そして立ち上がり、杖を抜いた。
「なんたる無礼! なんたる侮辱! 子爵、今すぐラ・ヴァリエール上から手を離したまえ! さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
ウェールズの脅し文句に、ワルドはやっとルイズの手を離した。


優しい笑みを浮かべてワルドはルイズに話しかける。
「ここまで僕が言ってもダメかい? ルイズ。僕のルイズ」
とても優しい微笑みだったが、それは石膏で塗り固められた嘘の仮面だと、その場にいる誰もが理解できた。
「イヤよ。誰が貴方と結婚なんかするもんですか」
はぁ、と溜息をついてワルドは天を仰いだ。
「この旅で君の心を掴むためにずいぶん努力したんだが………」
ワルドの視線がギーシュを睨み、ギーシュは思わず身をすくませる。
ウェールズが杖を抜いているため、ギーシュもその薔薇の造花をワルドに向けている。
「こうなってしまえば仕方ない。ならば目的の一つは諦めよう」
「目的ですって?」
ルイズの言葉に、ワルドは唇の端を釣り上げてどす黒く邪悪に染まった笑みを浮かべた。
「この旅における僕の目的は三つあった。その二つが達成できただけでもよしとしなければな……」
「目的って………ふたつ? どういう言う事よ」
なおも笑みを絶やさないワルドの不気味さに心をかき乱されながらもルイズは尋ねた。
ワルドは右手を上げ、人差し指をピンと立てた。
「まず一つは君だ。君を手に入れることだ。しかしコレは果たせないようだね」
「当たり前よ!」
次にルイズは中指を立てる。
「二つ目はルイズ、君のポケットの中のアンリエッタの手紙だ」
その言葉にルイズははっとする。
「ワルドあなた……!」
「そして三つ目は……」
ワルドの『アンリエッタの手紙』という言葉で全てを察したウェールズが、杖を構えて呪文を詠唱した。
それはほんの僅かな逡巡。
ドットでしかないギーシュが為す術もなく成りゆきを見守るしかできなかったのは、誰にも責められることではないだろう。
視界を眩い光が覆い、ワルドは即座に己の杖を引き抜き、自らの二つ名『閃光』に相応しき速度で呪文の詠唱を完成させた。
ワルドは風のように身を翻らせ。ウェールズの胸を青白く光るその杖で………貫けなかった。
ワルドとウェールズの間に己の身を滑り込ませていたのは、ギーシュの使い魔『ヴェルダンデ』の姿。
ヴェルダンデは己の身を以てワルドの凶刃を防いでいる。
しかしワルドはヴェルダンデの体を貫通したまま、そのままウェールズの心臓を貫いた。
ぐふ、とウェールズがうめき声を上げる。
「ヴェルダンデ! よくも!」
己の使い魔が場に介入した事で、ギーシュはようやく現状に追いついた。
杖を振ってワルキューレを召喚しようとするが。それはワルドが放った風によって阻まれる。
エア・ハンマー、風系統の中でも初歩の呪文だ。
しかし、スクウェアクラスのワルドが放てばそれは圧倒的な破壊力を持つ。
礼拝堂の椅子ごと吹き飛ばされ、ギーシュは壁に激突しげふっと息を吐いた。
「薄汚い小僧が。この僕の邪魔をするのは許さん……虫けら共々粉微塵にしてくれる」
この間、十秒にも満たないやり取り。
「ヴェル……ダンデ………」
朦朧とする意識の中。刺し貫かれたヴェルダンデの体は、まるで空気に溶けるようにすう、と消えていった。
ギーシュの頭の中に在るのは、使い魔に対する申し訳なさだった。
あと少し速く動ければ、あと少し、もう少し速く子爵の策略に気付けば、ヴェルダンデを死なせずに済んだのに。王子を、友を死なせずに済んだのに。
「………!?な、なんだこれは!」
驚いたようなワルドの言葉にギーシュは何事かとまぶたを開けた、朦朧とする頭を叱咤し、必死で脳に情報を取り入れる。
すると、ヴェルダンデの体と同様に、空中にすう、と消えるウェールズの肉体があった。


ありえない、いったい何が起こっているんだ!?
死んだモノの肉体が消えると言うことなど有り得ない。虫けらは使い魔だからだと思っていたが、ウェールズも同じ反応するとは常識では考えられない。
ZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZI………
それは、単なるノイズに感じられた、音源は、上空!
「エア・ハンマー!」
上空から放たれた魔法、一瞬反応がおくれワルドは吹き飛ばされた。
そして魔法を放った物は着地する。
「ウェールズ様!?」
そう、ウェールズだった。一体いつの間に上空へといったのか。それは頭上を見ればそこに答えがあった。
ZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZIZI
高速で奏でられるは透いた四枚羽根の多重奏。
赤く見下ろすその瞳は限りなく無表情。
「ヴェル………ダンデ…………なのかい?」
ふと、さっきまでヴェルダンデがひっついていた壁に視線を向けると、そこには抜け殻だけがあった。
さっき貫かれたあのヴェルダンデは一体何だったのだろうか。そう思うがすぐに打ち払う。
ヴェルダンデが生きている、ただそれだけでギーシュはよかったのだ。
色彩は頭部が黄色く胴は濃紺。
胸から伸びた灰色の爪はとても鋭い。
ギーシュの問いに応えるように、それはゆっくりと降りてきて、顔の位置で止まった。
そっとギーシュはその顔に顔を触れると、嫌がるそぶりもなくそれは受け入れた。
「君………なんだね、ヴェルダンデ……よかっ、よかった………生きて……」
使い魔が生きていてくれたことに感極まったギーシュは思わずヴェルダンデに抱きついた。
高速で羽ばたいている背中の羽が、その腕をばしばしと叩いた。
「うぬぅ………何をしたのかわからんが……殺す順序が変わっただけだ。一人ずつ仕留めてくれる!」
瓦礫の中から起きあがったワルドが宣言しながら魔法を放つ、エア・カッターだ。
それに反応したのは、同じ風系統のウェールズ。ではなく、ヴェルダンデだった。
両腕、爪となっているそれを交差させ、ワルドの放ったカッターに対抗する。
鋭く研ぎ澄まされたエアカッターは、スクウェアがはなったともなれば人の骨すらも断ち切る!
ところがそんな魔法を、ヴェルダンデはその細い爪二本を交差するだけで耐えたのだ。
「バカなっ! 虫けら如きに防げる魔法じゃないぞ! 僕は『閃光』のワルドだ。風のスクウェアメイジなんだぞ!!?」
ワルドの宣言に、ヴェルダンデはそれがどうしたとばかりに腕を払った。
文字通り無傷。
背中にあるは主とその友。
ここは引かぬと宣言するかのようなその後ろ姿に、ギーシュは涙ぐむ。
透き通ったその羽は、ノイズのような音を立てて羽ばたき、目視すらかなわない。
しゅん、と音を立てたかと思うとヴェルダンデは10mはあるワルドとの距離を詰めていた。
「なっ………」
驚愕に声を上げる暇もなく、その爪を振り上げる。
ワルドはかろうじてレイピアで防ぐ。
「素晴らしい速さだな……なるほど、ではこっちも本気を出そう。なぜ風の魔法が最強と呼ばれるのか、その所以を教育致そう」
ヴェルダンデが斬りかかるが、今度は軽やかに避けて呪文を唱える。
「ユビキタス・デル・ウィンデ………」
呪文が完成すると、ワルドの体がいきなり分裂する。
「ふはははははは、どうだ。コレが風のユビキタス。風は遍在する。風の吹くところ何処と無く迷い現れ、その距離は意思の力に比例する」
突然分身したワルドにルイズが怒鳴る。
「桟橋で襲ってきたあの白マントも貴方だったのね!」
『いかにも。君の心を掴むため一芝居打たせてもらった』
合計五人に増えたワルドが一斉に喋るため、サラウンド効果が発揮される。
戸惑っているのだろうか、ヴェルダンデの動きがすこしぎこちなくなっている。
「所詮貴様は虫けらに過ぎんのだ! メイジに刃を向けることがどれほど愚かなことなのか、その身に教えてやろう」
五つに増えた分身、しかしただの分身ではない。
風の遍在は一つ一つが意思と力を持っている。
実質的には5対1の状態だ。
そしてその五つの遍在が、同時にエア・カッターをヴェルダンデにはなつ。
しかし、当たらない。
何一つ、ヴェルダンデを傷つけられない。
羽化したばかり、まだ本調子でない。

外でキングが咆吼している。
あの巨体はこの礼拝堂には入れないからだ。
その咆吼は、悲しみか、怒りか。
「………キングが怒っているわ。わたし達を騙したワルド、貴方への怒りよ」
ルイズの脅しを、ヴェルダンデの攻撃を捌きながらワルドは鼻で嗤った。
「図体ばかりでかくてここに入ってこれない木偶など怖れるに足らぬ」
ワルドのその言葉にルイズの怒りが燃え上がる。
「その言葉、死ぬまで後悔させてあげるわ」
「まぁ、まちたまえ。ミス・ヴァリエール。子爵、イヤ、裏切り者へはぼくが先約だよ」
ギーシュが一歩前に出て造花の杖を高らかに振り上げた。
「我が唯一無二の使い魔に対し『虫けら』と宣ったその狼藉、断じて許せない。その性根、ヴェルダンデが叩き直してくれよう!」
ギーシュの宣言、そして。ヴェルダンデは応える。
「んなっ!?」
目の前のヴェルダンデの動きが速くなったことにワルドは慌てて反応を早くする。
ヴェルダンデの爪が、ワルドの服を、杖を斬る。
『チィッ……うっとうしいわぁっ!』
ステレオで、ワルドは連激を加えるヴェルダンデへウィンド・ブレイクを放つ。
その魔法はヴェルダンデどころか、椅子の残骸を吹き飛ばし、窓も、ドアも吹き飛ばす。
丁度吹き飛ばされたヴェルダンデがドアから外へと投げ出された。
それを三体の遍在が追い、残る二体がギーシュに相対する。


くるん、と空中で体制を整えてヴェルダンデは三体の遍在と向かい合う。
遍在は誰もが杖を構えて完全な戦闘態勢である。
それに対しヴェルダンデは、羽ばたいたまま、ほぼ宙に静止状態で腕を垂れ下がらせているだけ。
ヴェルダンデに気付いたキングが咆吼を上げるが、なぜか襲いかかると言うことをしなかった。
ヴェルダンデの表情のない紅い瞳が、その複眼がキングをじっと見上げる。
それはほんの数秒の意思の疎通。
たったそれだけ瞳を合わせただけで、キングはヴェルダンデの意図をくんだ。
一人で闘う。主を侮辱したこいつを絶対に許せない。
その思いはキングも同じだった。そしてキングはそれを譲った。
対峙する遍在とヴェルダンデ。
お互いに準備運動は既に終えた。
これからが本番だ。
方や風のスクウェア。方や羽化したばかりの使い魔。
勝負の行方は、既に決まっていた。

☆★

『あのような虫けら。三人で十分だ』
「おや。裏切り者はその虫けらに三人も手を裂くのかい、周到なことだね」
ギーシュの挑発に、ワルドの顔がさあっと赤くなる。
『図に乗るなよ小僧!』
「図に乗ってるのは君の方じゃないかな。君がスクウェアとは言え、ぼくら三人を相手に勝てるとでも?」
ギーシュの言葉を否定したのは、あろう事かウェールズの言葉だった。
「い……いや、ミスタ・グラモンどうやら違うようだ」
予想外な人物からの言葉にギーシュは怪訝そうに振り返る。
そしてウェールズがその杖で何かを差しているのを見てそちらへ視線を向ける。
その先には、なおも壁に張り付いているヴェルダンデのぬけがら………が?
抜け殻が、ふるふると震えている。
小刻みに、そんなばかな、抜け殻は抜け殻のはず。羽化したヴェルダンデは飛び去った、動くはずがない。
しかし動いているそれが現実。次第には抜け殻の頭の上にくるんと白く光る輪が浮かび上がる始末だ。
それはその抜け殻が既に死んでいると証明する、数多の画家が『幽霊』を想像するときに与えたエンジェルリング。
ぱきぱきと音を立て、抜け殻の背中が翼のように広がる。
そしてゆっくりと壁を離れ、まるで幽鬼のようにゆったりと振り返った。
ふわふわと空中を漂う煙のように、抜け殻はギーシュに向かい合う。
虫の表情を汲み取ることなど、ギーシュには出来ない。
それ以前に、抜け殻が動く事など想像だにしていなかった、言葉も出ない。
ZiiiNN。
抜け殻が小さく鳴いた。
そう、四対二だ。
ただの抜け殻に過ぎなかったそれに魂が宿る。
それが、そう言うモノだと言うことをギーシュ達は知らなかった。
相変わらずその抜け殻の中は空洞だ、だが宙に浮いてギーシュに向かい合うそれは紛れもない現実。
ギーシュがおそるおそる手を伸ばしてそれを抱き上げる。
飛び去ったヴェルダンデと体長こそは一緒だがずいぶん軽く感じた。
常に背負っていた幼虫の頃と比べても、とても軽い。
「小癪な。殺す数が一体増えただけだ」
ワルドが憎々しげに言ってウィンド・ブレイクを放つ。
それを相殺したのがウェールズだった。
ワルドは風のスクウェア、ウェールズは風のトライアングル。
クラスこそは劣るウェールズだが、遍在によって精神力を裂いているワルドの魔法を防ぐことぐらいは可能だった。

☆★

ふぅ、と小さく息を吐いて、ギーシュが言った。
「ルイズ下がってくれたまえ。ここはぼくと殿下。そしてこの………」
抜け殻をみて言葉に三秒ほど詰まったが、続けて言った。
「ヴェル……が引き受ける。君は何も心配しなくて良い。お茶でも飲んで……あぁここにはなかったね」
己を無視するような言い方に、二人のワルドが激昂して魔法を放つ。エア・カッターだ。
ウェールズはそれを相殺。そして抜け殻、ヴェルがギーシュの前に躍り出て向かい合った。
『まもる』
鋭い風の刃は、薄いその殻をいとも絶やすく裂くだろう。だれもがそう思った、ギーシュですらそう思った。
しかしそうはならなかった。ヴェルは無傷、一瞬ヴェルのみを守る薄い何かが見えたのは、錯覚だろうか?
ヴェルは爪を持ち上げることすらもしない、ただ幽霊のようにその場に浮いているだけ。
ギーシュがヴェルの体をつつくと、コツコツとしてはいるモノの、抜け殻の域を出ない、相応のモノだ。
火が付けば燃えてしまうだろう。岩に当たれば潰されてしまうだろう。風に吹かれたら飛ばされてしまうだろう。
ならば、そうだ………錬金は使えるだろうか?
生き物、有機物には使えない錬金だが、抜け殻となってしまえばそれは後は土に還るのみのはず。
ギーシュの心は決まった。
薔薇の造花の杖を軽やかに振り、土系統の初歩の初歩の初歩『錬金』を己の使い魔。『抜け殻』のヴェルにかけた。


ひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅんひゅん…………。
際限なく繰り広げられる空気を裂く音、大空を縦横無尽に飛び回るのは、ヴェルダンデ。
いや、抜け殻が『ヴェル』ならば、こちらは『ダンデ』とギーシュは呼ぶだろう。
もはや戦況の打開は不可能の域にまで達している。
一体何処からおかしくなったのか、三体の遍在はボロボロになったその身で必死で考える。
対峙していた、その時までは良い。赤い複眼に睨まれた、そこもまだ良い。
動き出してからが異常だった。最速、最高、最強を自負するその風が、動き回る蝉の動きを捕らえられないなど!
有り得ない、有り得ない事態にワルドの頭は混乱している。
その光景を、キングも驚いた様子で見つめている。その紅い瞳をきょろきょろと必死で動かし、ダンデの動きを捕らえようとしていたのも、ついさっきまでのこと。
捉えるのを諦めキングはみるみる内に裂傷が増える三体のワルドの様子だけを見ていた。
「くそっ、くそっ、ふざけっ、ふざけるなっ! 僕は『閃光』のワルドだぞ! 風のスクウェアメイジのこの僕が、たかが虫けら如きにいいいィィイイイッ!!」
ワルドが『閃光』とするならば。ダンデに付けるとするならば『加速』だ。
そう、加速。速くなること、それこそがダンデの持つ力の真髄、そしてあらゆる力を凌駕する最も強きモノ。
速く、もっと速く、速く、速く、速く速く速く速く!
「クソッ」
もはやワルドに出来ることは悪態をつきながら魔法を無駄打ちすることしかできない。
『かげぶんしん』
視界に見えるダンデの数はすでに20を超える。
それらの中で本体は一つだけ、しかし本体は常に動き回っている、判断する術もない。
スクウェアたるワルドですら、その速さを捉えられない!
パン……バン………パンッ。
空気中に弾けるよな異音がワルドを襲う。
そうそれは瞬間的だが音の壁を突き抜けるときの音。
まったく捉えられず、増え続けるダンデの姿。
そして次第に鋭く、重く、強くなるダンデの攻撃。
遍在が一つ、切り倒された。
慌ててワルドは己の使い魔、グリフォンを口笛で呼んだ。

☆★

薄き茶褐色の体が、ゆっくりと輝き始める。
みるからに硬質化していくのが傍目にもわかる。
背中に広がった羽にその硬化の侵蝕は襲い来る。
しかしそれを被っているヴェルは、涼しげな顔でふよふよとういているだけ。
もっとも、抜け殻でしかないヴェルの表情は読み取れるようなモノではなかったが。
全身を金属質な輝きが覆いきったとき。ギーシュは確かな手応えを感じた。
土と土。二つの属性を足すことで可能になる『クロガネ』の錬成だ。
クロガネは手軽で重く、そして硬い。
さまざまな雑貨に使われるのは、耐久性の高さと手軽さがその理由だ。
クロガネはその硬さのイメージが必要なのだが、それでも土のラインメイジで可能なレベルなのだ。
ZiiiiiiN。
その鳴き声は、歓喜に満ちあふれていた。
ワルドは無言でウィンド・ブレイクをはなつ。
しかしそれはもはやヴェルに取ってはおそるるに足らぬ攻撃になった。
抜け殻となり、そして魂が宿り再び活動が可能になったこの身。
その体には、今。ふしぎなまもりが取り巻いている。

☆★

不思議な不思議な生き物。
動物図鑑には載っていない。
ポケットモンスター。縮めて『ポケモン』
この世界には存在しなかったはずの異質な生き物。
小箱から『技』を覚え、そして時を経てその体を別のモノへ『進化』する。
かつての世界には全てのポケモンにはルールがあった。
『タイプ』と言われる。一種のポケモンにつき。最大二つまで付加される『属性』に良く似た概念。
覚えられる『技』は最大四つ。そして各々に一つだけ保有する『特性』と言う能力。
しかし今いるこの場所では、そのルールは通用しない。
本来彼らが持つスペックと、能力が遺憾なく発揮される。


加速、プラス、複眼。
それがグリフォンを打ちのめすダンデに備わった特性。
徐々に速くなる、そしてその速さを持ってしても確実に相手を捉えるその命中力。
不思議な守り、プラス、耐熱。
それがワルドの攻撃を防ぐヴェルに備わった特性。
弱点以外の攻撃の全てからその身を守る、そして弱点たる炎に対する耐久力。
人の反応速度を上回る攻撃速度と、並外れた命中精度。
全ての弱点をカバーし無効化する、桁外れの防御性能。
いまここに。最強の矛と、無敵の盾が誕生した。

☆★

「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だっ!!!!」
半狂乱になってエアカッターを放つ二体のワルドだが。それは立ち塞がるヴェルの体によって悉く阻まれる。
何かをしている様子など無い。
ただ常にワルドからの攻撃を遮るようにふよふよと浮かんでいるだけ。
しかしワルドの攻撃は全てヴェルの眼前で弾けるように消滅する。
「なにが……起こってるの?」
唖然としてその光景を見ている三人だったが、ルイズが耐えきれずに発言した。
驚くことが多すぎて、もはや唖然とするしかなかったが、目の前で繰り広げられる光景は群を抜いていた。
鋭く研ぎ澄まされた風の刃が、ワルドの放つ風の攻撃が一つ残らず防がれて消されている。
余波すらも後ろに届かない。
その時、まったく動く様子の無かったヴェルがゆっくりと前進する。
今が三人に向かって攻撃するチャンスだったのに。ワルドはあろう事か己の魔法の全てを防がれたことに恐慌して後じさった。
「ひっ……く、くるな、くるなくるなくるなっ!」
精神力の限りにエア・カッター。ウィンド・ブレイク。エア・ハンマーを放つが、全くの徒労に終わる。
もはや今のヴェルを傷つける事が出来るモノなどこの世に存在しない。
「ひっ……」
その時、外の戦闘が終わったのがわかった。
そしてその直後、礼拝堂の天井をぶち抜いてグリフォンが落下してきた。
全身はズタズタ、右の翼は中程から斬り飛ばされ。左前足は手首、右後ろ足は膝の位置から切断されていた。
ZIZIZIZIZIZIZIZZIZIZIZIIZIZIZ。
ぶち抜かれた天井から、青空と白い雲を背景にしてダンデが顔を覗かせている。
落下の衝撃で埃が舞い、グリフォンは小さく鳴いた後、力尽きた。
アラート。ワルドの魂が警鐘をならす。
天井から視線を正面に向けると、ギーシュの隣に既にダンデは居た。
降ろす前までは確実に屋根の上にいたのに。速すぎる。
上から下へ、ただそれだけ首を動かすよりも速いなどと。
もはや、ワルドの頭の中にはウェールズの命とか、ルイズの持つアンリエッタの手紙など毛頭にもなかった。
ただ、悪魔の如きこいつらの前から、逃げ出したかった。
そうと決めるや、行動は有り得ないくらい速かった。
残された二人のワルドの内、一人が一歩前に出たかと思うと、その体が爆散してとてつもない突風が狭い礼拝堂に吹き荒れる。
ダンデはそれに吹き飛ばされ、ヴェルは何もなかったかのように平然と浮かんでいる。同一の存在だったとは思えない対称的な反応だ。
みんなが突風に顔を覆い、そしてそれが止んだときには、そこにはワルドの姿は無かった。

外に出るが、そこにも既にワルドの姿はなかった、完璧に逃げてしまったようである。
ルイズの姿を認めると、キングが嬉々として降りてきてすり寄る。ルイズはそれをいつものように両手を広げて迎えた。
「よく我慢したわね。偉いわキング。あなたが攻撃したらわたし達きっと潰されてたもの」
褒められていることがわかるのだろう、キングはいつもにましてすり寄っている。
そんなキングの様子にルイズも満足そうに笑みを浮かべ、優しく撫でている。
「うおっ」
唐突に背中に乗った重さにギーシュは変な声を上げる。
「ヴェルか……鉄だと重いね、今すぐ戻すよ」
そう言って再度錬金の呪文を唱えると、ヴェルの金属質な輝きが失せ、抜け殻に相応しき褪せた茶褐色に戻る。
「行くわよ。ギーシュ」
キングの背に乗ったルイズがギーシュに手を伸ばす。
「あぁ……そうか、もう行くのかい。アンリエッタによろしく頼むよ」
ルイズの言葉にウェールズが察して伝言を頼む。
そしてその指から風のルビーを抜き取ってルイズに渡す。
「コレは………?」
「私から君達へのお礼だ。ありがとう。例を言っても言い尽くせないな……」
アンリエッタからの思いを伝え、そして今ワルドからも命を救われた。
遠く怒号と砲撃音が聞こえる。もう既に戦は始まって居るみたいだ。
「私も行かなくちゃならない。私が居なくては彼らに申し訳ないからね」
皇太子が、リーダーたる彼が居ないのでは王軍は瞬く間に負けてしまうだろう。
そう言ってウェールズは踵を返そうとするが。それの手をギーシュが掴んだ。
「行くのならこちらから速いですよ。殿下」
ギーシュの言葉にルイズが頷く、そしてキングはしっぽをウェールズの目の前に差し出した。
「………あぁ、お言葉に甘えさせてもらうよ」
ウェールズを乗せると、キングはゆっくりと浮かび上がった、そして、なぜか戦の始まっている場所ではない方角へと向かい始めた。
それに驚いたのはウェールズだった。
「ど、何処へ行くんだい? 戦場はあっち……」
「先約を先に済ませることをお許し下さい、殿下」
ウェールズの言葉にルイズが陳謝する。
「先約?」
「ワルド……いえ、裏切り者はわたしの使い魔を侮辱しました……そしてウェールズ様を。アンリエッタ姫殿下を。我が祖国を、侮辱しました。その報いを、受けさせます」
ルイズの隣では、ダンデがキングに捕まることなく同じ速度で走っている。
そしてダンデは、その爪でキングの蒼い鱗をトントン、とノックした。
『バトンタッチ』
キングの飛行速度が一瞬で加速。ウェールズが振り落とされ、ダンデが拾いに行った。

☆★

かろうじて残った精神力でフライを唱え、ワルドは一目散に逃げる。
虫けらにコケにされた屈辱は心の中でメラメラと燃え続け、その瞳は激情に歪んでいる。
「この『閃光』をコケにして………ゆるさん、ゆるさんぞ小僧。必ず八つ裂きにしてくれる。そしてルイズ、ルイズ貴様もだ。四肢を引き裂いて慰み者にしてくれる!」
だが今は無理だ。まずは帰って傷を癒さねばならない。
ワルドの頭の中では、どうやってルイズらを痛めつけるかを周到にシュミレーションしていた。
それはとても残虐で、どす黒く、邪悪の極みに達そうとしていた。
そう、それが『不可能』であると言うことを除けば。
蒼い竜の姿を遥か彼方に確認できたその時、ワルドは森に紛れて逃げようと下降し始めた。
ところが、キングから青白い光線が発射され、それは外れることなく命中する。
あんな遠いところから、しかし距離など関係なかった。
狙うモノが決まっている以上、見えてさえ居るならば、『こころのめ』は敵を捕らえて逃がさない。
蒼い光はワルドの足に当たり、瞬く間に氷に包む。
人体の70%は水、冷気を当てられたら即座に凍る。
「しまっ………」
ラ・ロシェールで手合わせした際に、キングが放った蒼い光線だ。
『れいとうビーム』
氷は既に腰、腹、胸へと達しようとしている、しかもワルドはフライを唱えて空を飛んでいるため他の呪文を唱えられない。
「ばか………な………ルイ……ズ……僕は……君………の……婚…約…者……に……」
瞬く間に氷は手の指先、そして頭のてっぺん、髪の毛、帽子に至るまで包み込んだ。
「ワルド子爵。君には足りないモノが多すぎた」
薔薇の杖を振って、ギーシュは言った。
「子爵。貴様に足りないモノ。それは、情熱思想慧眼気品計画性将来性包容力優雅さ思慮深さ。そしてなによりも………」
頭の先から足のつま先まで凍り付いたワルドは、フライの効力が切れて落下しようとする。
そのワルドへキングは追いつき、ぐるんと体をねじらせ、打ち砕いた。
ワルドだったモノはその衝撃で粉々になり。はるか眼下、森の中へと落下していった。
溶けた後は森の獣の食料になることだろう。
「速さが足りない」
そう、逃げるなら逃げるだけの速さが圧倒的に不足していた。

「さよなら、ワルド……」
粉々になったワルドに向け、ルイズはほんの少し寂しそうな顔をしたが、涙は一切見せなかった。
そしてぐっと前を向いて、キングを戦場へと飛翔させる。
「………ミス・ヴァリエール……ミスタ・グラモン……」
裏切り者とは言え、共に旅をしたワルドへの無慈悲な一撃に呆然としながら、かろうじてウェールズはそう言った
「裏切り者に制裁を与えるのは当然のことだと存じ上げます、ウェールズ皇太子殿下」
ギーシュの言うとおりだ。ウェールズはそれ以上何も言えなくなった。
キングの飛行速度は他を圧倒していた。しかしそれに追従するダンデも相当なモノだが。
眼下に戦場を望み。ウェールズは礼を述べて飛び降りようとする。
しかしその手を取ってルイズは制した。
「ウェールズ様………わたし、一生懸命考えたんです………他の人に迷惑をかけられないとか。王族の誇りを見せつけるとか、それは殿下にとっては大切なのかもしれません。
ですがそれでも、姫様の思いをわたしは優先させます。殿下、わたしは殿下を必ず姫様の元へ連れていきます」
真摯な目で見つめられ、ウェールズは非常に驚いた様子を見せたが首を振った。
「ありがとう……だけどダメなんだ。彼らを見捨てることは出来ない」
「では、勝てばよろかろうなのですよね?」
「……何?」
ルイズから発せられた言葉を、一瞬ウェールズは信じられなかった。
勝つ?王党派は300。貴族派は50000、どうしたらそんな兵力差を埋められるというのか。
「キング………好きなモノを使いなさい。でもすこし手加減、してね」
ルイズの言葉にキングは従う。そして、口の中に収めていた小箱を、四つ同時に起動させた。


「わざマシンを起動します………中には『あまごい』が記録されています。『あまごい』をポケモンに覚えさせます。よろしければもう………」
「わざマシンを起動します………中には『かみなり』が記録されています。『かみなり』をポケモンに覚えさせます。よろし………」
「わざマシンを起動します………中には『ふぶき』が記録されています。『ふぶき』をポケモンに覚えさせます。よ………」
「わざマシンを起動します………中には『じしん』が記録されています。『じしん』をポケモンに覚えさ………」






「『あまごい』をおぼえました」
「『かみなり』をおぼえました」
「『ふぶき』をおぼえました」
「『じしん』をおぼえました」



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