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宵闇の使い魔 第拾肆話

混乱している。
頭も、心も全てが戸惑っている。
だが、それでも唯一つ確かなのは―――
トラゾウが助けに来てくれたという事だ。


宵闇の使い魔
第拾肆話:《閃光》の末路


「悪いね、子爵。お前さんにゃ、毛程も恨みはねえが―――こいつを守るのが俺の"役目"でね」

虎蔵はぽんぽんとルイズの頭を撫でると、始祖ブリミルの像の方へと押した。
あまりの急展開に唖然としていたルイズはたたらを踏むが、何者かに柔らかく受け止める。
見上げるルイズの視界に入ってきたのは、ラ・ロシェールで別れた仲間たちであった。

「お待たせ」
「ルイズ。王女殿下からの任務は果たせたかい?」

太陽の様に笑みを浮かべるキュルケに、いつもの様にバラを出して格好付けるギーシュ。
その向こうには身長よりも長い杖を構えるタバサと―――

「え、ミス・ロングビル?」
「あー、まぁ、色々あるの。後で説明するわ。とりあえずは味方。オーケー?」

オスマンの秘書である筈の彼女を見て驚くルイズに、キュルケが人差し指を立てて言い聞かせる。
色々な衝撃でまだ軽い混乱状態を抜け出せないで居るルイズは、ただこくこくと頷いたのだった。


一方、ウェールズも予定外の乱入者に、わずかながら戸惑っていた。
虎蔵がつれてきた以上、味方だとは思うが―――

「君達はいったい―――」
「不本意だけどアンタの味方さ。今だけはね。どうせ今日中におっ死ぬ身だろ?深くは気にしないことだね」
「下がって。人質にされると困る」

杖は収めぬままに問うウェールズに、マチルダは随分と刺々しい口調で答えた。
貴族嫌いの彼女にしても、少し過剰な刺々しさである。
それを聞いたルイズが注意しようとするが、状況が状況なので飲み込んだ。
ピリピリとした空気が感じられる。

既に作戦を立てているのか、虎蔵が一人前に出て、その後ろにマチルダ、タバサ、キュルケが並ぶ。
ギーシュはワルキューレを3体出して、ルイズとウェールズの前を固める。
何時ものよりも粗雑な造りに見えるが、頑丈そうで、盾には向いているだろう。
準備万態である。

「くッ―――随分と用意が良いじゃないか、使い魔君。一対五かい?」
「いやいや、ネタは割れてんだよ。ほれ、さっさと遍在とやらを使うんだな―――」
「なるほど。《土くれ》がそっちに付いたとなれば―――」
「違う。最初からこっちだ」

虎蔵に言葉を遮られ、ふん、と不機嫌そうに立ち上がるワルド。
なぜか背後から「むぅ」とキュルケの不満げな声が聞こえたが、理由が分からないのでおいておく。
ワルドは青白い光の消えた杖を再び構え、呪文を唱えた。

「―――ユビキタス・デル・ウィンデ」

ワルドの身体が陽炎に包まれたかのようにぶれると、一人、二人と分裂していく。
最終的に、本体を含めて五人にまで増えたワルドが杖を構える。
油断は一切無い。
ワルドはラ・ロシェールでの手合わせから、
虎蔵一人を押さえ込むのに少なく見積もっても二人は必要であるということを理解していた。
二人でも長時間抑え続けるのは難しいだろう。


「五人か―――ちょっと考えて動く必要がありそうだね」
「二人の守りは任せんぜ。俺ぁどうも、攻める方が性にあっててな」
「見てれば分かるよ。後ろは任せて好きにやんな。
 貴族を守るのは不本意だけど、ラ・ロシェールでの詫び分は働かせてもらうからね」

五人のワルドを見てマチルダがぼやくものの、虎蔵は自分勝手に指示を出す。
だが、マチルダは言わなくても分かっているといった感じで頷いた。
遍在のワルド四人が同時に《エア・ニードル》を唱えると、それぞれの杖が青白く光る。
杖を包む空気の流れが、なによりも鋭利な針となって敵を貫く魔法だ。

「ちょっと、ミス・ロングビル。貴女、ダーリンと話す時はやたらと饒舌じゃない?」
「黙ってな。来るよ―――」

こんな状況でも余裕を忘れないのが彼女の信条なのか、キュルケがぶーぶーと文句を言ってくる。
マチルダはそれを黙らせながら、精神を集中させる。
一度は倒した相手だ。

「行けッ!」
「――ッ」

杖を構えた遍在が飛び掛る直前に、ワルドが《エア・ハンマー》でけん制してくる。
距離は離れているが、まともに喰らえば体勢は崩れるだろう。
だが、ワンテンポ遅れてタバサも同じ《エア・ハンマー》を放ち、相殺する。
威力負けはしたが、殆ど無効化できた。

ワルドは殆ど戦力にならないと踏んでいた小娘――タバサの予想外の機転に驚くが、
遍在は構わずに青白く光る杖を構えて飛び掛ってくる。
四人がかりで虎蔵を押さえ、あわよくば倒しきるつもりなのだ。
しかし―――

『甘いッ!』
「なんだとッ!?」「嘘ッ!?」

虎蔵もまた二人に分身しては、それぞれがスリーブガンよろしく袖から刀を両手に取り出して、遍在の杖を受け止めた。
その場に居る誰しもが驚愕の声を上げる。
それもそうだ。
いかに"手品"と称して妙な業を持つにしても、遍在らしき真似事までするとは思いもしないだろう。

「遍在だと?馬鹿な、奴はメイジだと言うのか!?」
「いやいや、こちとらただの百姓生まれだぜ?」

驚愕に顔を強張らせるワルド。
しかし虎蔵はニヤリと笑って答える。

「さぁて―――お返し、だッ!」

虎蔵は見かけ以上の怪力を発揮し、鍔競り合う遍在達を弾き飛ばす。
彼らは見事に着地するが、虎蔵はすぐさまに追撃にうつった。


刀と杖がぶつかり合う音が礼拝堂に響く。

《エア・ニードル》を纏った杖は折れこそしないが、素早さと重さを兼ね備えた出鱈目な剣戟に、
遍在は防戦一方に押し込まれる。
そこに別の遍在が斬りかかるのだが、虎蔵は独楽のように回って《エア・ニードル》による突きを回避。
更に隙が出来たその遍在の背後に回ると、蹴りで最初に鍔競り合っていた遍在とまとめて吹き飛ばした。


もう一方では、遍在の一人が果敢にも息が上がるほどの猛烈な勢いで連続して斬り掛かってきている。
虎蔵は軽々と往なし続けるのだが、その背後から詠唱を終えた遍在が《エア・ハンマー》を放った。
しかし―――

「―――哈ッ!」

目の前の遍在の勢いが弱まってきた所で彼を薙ぎ飛ばすと、
背中に目でも付いているのかという絶妙なタイミングで振り返る。
そして、ラ・ロシェールでの時のように数珠による不可視の盾によって《エア・ハンマー》も防がれた。
更に呪文を防ぎきれば、その数珠を軽く振り回して投げつける。
まるでチャクラムかなにかのように空を切り裂き飛来する数珠を、遍在は横っ飛びに避ける。

「戻れッ!」
「―――ガッ!?」

だが、虎蔵の一言でカクンと軌道を変えて数珠が虎蔵の元へと向かい、
その間に無防備な背中を晒していた遍在がしたたか打ち付けられる。
切り裂かれこそしないが、どれほど恐ろしい威力なのか、血反吐を吐きながら壁面まで吹き飛んだ。


その向こうでは遍在二人が素早く《ウインド・ブレイク》を詠唱、発動させた。
左右から虎蔵を挟みこんでの同時攻撃である。
だが虎蔵は礼拝堂の壁と天井を使い、高速の三次元移動でそれを避わすと、片方の遍在へと肉薄。
流れるよな動作で両腕と首を斬り飛ばし、消滅させた。
のこり三人。



「くッ―――」

あっという間に目論見が破綻したワルドは唇を噛む。
四対一ならばどうにか出来ても、二対一では抑えるので精一杯だ。
現に遍在達は虎蔵に次々と攻撃を繰り出しているが、全て往なされては反撃を受け、一人が消えた。
残りの三人のうち一人は倒れ、なんとか立っている残りも四肢から血を滴らせている。
このままではジリ貧どころの話ではない。
ならば――――

「貴様を倒すよりも、優先せねばなッ!」

ワルド本人が詠唱をしながら虎蔵と遍在の間を走り抜ける。
阻もうとする虎蔵は、逆に遍在によって阻まれた。

「もはや手段は選ばんッ!」

《ウインド・ブレイク》を地面に放ち、土煙を巻き上げるワルド。

「くッ―――前が!」
「任せて――――」

遮られる視界にキュルケが怯むが、タバサが風を起こして吹き飛ばす。
しかし、土煙が晴れた時にはレイピア状の杖を構えたワルドが跳躍し、
三人を飛び越してウェールズの元へと向かおうとしていた。

「貰った!」
「やらしゃしないよ!」

マチルダが天井から土壁を伸ばしてそれを遮ると、ワルドは舌打をして壁を蹴り、《フライ》を使って着地する。
そこにキュルケの火球が襲い掛かり、風で軌道をそらした瞬間にタバサが疾風で追撃する。
切り裂かれるワルド。四肢から血が吹き上がるが、致命傷ではない。

「ぐぅッ――――貴様らッ!!」
「どうだい、お得意の数で攻める手を奪われた気分はッ」

三対一で押され気味のワルドをマチルダが笑いながら、ゴーレム創造の応用で彼の足元の土を錐状にした突き上げる。
ワルドは跳躍し、風で受け流し、致命傷を避けてはいるのだが、三人の絶妙な波状攻撃に着実に追い詰められていった。



彼ら、彼女らの戦いをワルキューレに囲まれながら見ていたルイズ達三人は、
そのあまりにもハイレベルな攻防に息を呑んでいた。
ウェールズもかなりの使い手で、実戦経験も積んでいるが、虎蔵ほどの実力者は始めて目にしたといってもいい。

「――本当に平民、百姓の出なのかい?」
「いえ、わかりませんが――正直、信じられません」
「僕もだよ」

ウェールズの素朴な問いに、ルイズとギーシュは呆然と呟いた。
遍在が使える位のメイジだとでも言うのだろうか?と。
虎蔵"達"は確実に遍在にダメージを蓄積させていき、
マチルダ、キュルケ、タバサも見事な連携でワルドの攻撃を防ぎきってからは、
波状攻撃で逆にて傷を負わせて行っている。

「私も戦う必要があるかとも思ったが―――ラ・ヴァリエール嬢。君の仲間たちは見事だな」
「はい―――頼もしい仲間です」

ウェールズの言葉に、ルイズはしっかりと頷く。
ただ壁役にワルキューレを呼び出しただけのギーシュであったが、
ルイズのその言葉を聴けただけでも、役得はあったかなと感じたのだった。



「仁義八行、彼宿の霊玉、天風矢来の豪雨と成りて―――疾く彼の辣奸を撃ち射抜け!喝ッ!!」

戦いはどんどんと終結に近づいていく。
ルイズ達が聴いたことの無い呪文を虎蔵が唱えたかと思えば、数珠の珠がバラけてふわふわ宙にと浮かびあがる。
それぞれが不規則な軌道で飛び回りながら、物凄い勢いでワルドを打ち付けた。
四方八方から珠によって殴打されボコボコにされた遍在は、見るも無残な姿でがくりと膝を突く。
更に虎蔵は刀を投擲。遍在の頭を壁に縫い付けた。
容赦など皆無である。
一瞬血飛沫を上げるが、すぐに掻き消えた。
あと二人。


しかし、遍在達も一方的にやられていたわけではない。

「ッぐ―――貰ったぞ!」

先ほど数珠によって吹き飛ばされていた遍在がなんとか立ち上がり、
ふらふらになりながらも虎蔵の背中へと詠唱した呪文を放ったのだ。

《ライトニング・クラウド》
必殺の電撃呪文である。
しかし―――

「ガッ―――」

衝撃に軽く吹き飛ぶ虎蔵。だが―――

「悪ぃが――効かんなッ!」

自らの身体から放電するような存在だ。
電撃では致命傷になりえない。
虎蔵は身をひねって着地し、瞬時に遍在に肉薄してボディブローを放つ。
既に数珠で痛めつけられた所に追加の打撃を貰って、遍在は身体をくの字に折り曲げる。
更に虎蔵はその遍在の頭をガシッと片手で掴み、アイアンクローを仕掛けながら宙に持ち上げた。

「ぐッ!?」
「お返ししてやるよ―――くたばれ」

虎蔵はニィッと犬歯が覗く笑みを浮かべると、言葉のままに自らの身体から放電し、遍在を黒焦げにした。
不気味なほどに痙攣する遍在から、肉の焦げる嫌な匂いが漂う。
だがそこへ、最後の遍在が切り結んでいたもう一人の虎蔵を《ウインド・ブレイク》でけん制してから、
雄たけびをあげて杖を構え、突撃してきた。

「うおおおぉッ!!」

杖が青白く光る。
《エア・ニードル》だ。
ずぶりと改心の手応えだが―――

「なんだとッ!?」

突き刺したのは黒焦げになって消滅寸前の遍在。
ラ・ロシェールでは見せなかった空蝉である。
黒焦げの遍在は《エア・ニードル》がトドメとなって消滅した。
あと一人。

「カカカッ!詰めが甘いぜ、子爵様よ」

そして最後の遍在の背後に現れる虎蔵。
その手には左右共に刀が三振り。
ギーシュとの決闘時にやったアレだ。
しかし、今回の相手はワルキューレ六体ではなく―――人間が一人!
ゾクリと背筋が凍るような笑みを浮かべて―――

漸ッ――!

「―――ッ!?」
最後の遍在が一瞬にして細切れにされて、掻き消えた。




虎蔵が遍在を全て片付けた頃、マチルダ達三人とワルドの戦いも終結しようとしていた。
遍在が次々と消滅していくのを見たワルドが、作戦の失敗を覚って逃亡を試みたのだ。
彼は素早く見切りを付けるとマントを翻し、《ウインド・ブレイク》で扉を壊した。
だが、その向こうには分厚い土壁。
マチルダとギーシュが事前に作っておいた物である。
退却など許しはしない。

「なんだとッ!?」
「逃がしゃしないよ―――お嬢ちゃんたち!」

マチルダが《アース・バインド》でワルドを拘束すると、
タバサとキュルケが《ウインディ・アイシクル》と《ファイアー・ボール》を放つ。
顔を庇う腕がボロボロに炭化し、無数の氷の矢に全身を貫かれた。

「ぅっ―――あぁっ、がッ―――」

血を吐き出しながら崩れ落ちるワルドの手から、ぽろりと杖が落ちる。
死んではいないようだったが、戦闘不能は確実である。
ウェールズの「終わったか――」という呟きが、静寂を取り戻した礼拝堂に響いた。



「ワルド―――」

瀕死のワルドに近づいたルイズが、彼の杖を拾い上げた。
魔法衛士隊の制服も、凛々しかった顔立ちも、壮絶なまでにボロボロである。

「貴方――――なんでこんな事を」
「どーでも良いだろ。さっさと楽にしてやろうぜ」
「トラゾウ―――やっぱり、殺しちゃう、の?」

いつの間にか分身を消して一人になった虎蔵が近づいてくる。
流石に激しい戦いをしただけあってスーツが破れていたり、焦げていたりはするが、怪我はほぼ皆無のようだ。

勿論ルイズにだって、彼が裏切り者なのは良く分かっている。何せ一番裏切られたのは自分なのだ。
そしてウェールズの命を狙い、アンリエッタをも裏切っている。
許せるものではない。
だが、だからといって簡単に命を奪えるほど、知らない仲でもないのだ。

「そりゃお前、人様に刃物向けた時点で殺されても文句は言えまい」
「ルイズ、あんたの気持ちは分からなくは無いんだけどね―――
 それに、もう助かりはしないわ。楽にしてあげるのも優しさよ」

キュルケがやってきては、ルイズの手をそっと握った。
ルイズが母親にでもするかのように、キュルケに抱きついて泣きじゃくる。
タバサも思う所があるのか、沈痛な視線をルイズに向けていた。

「後、頼むわね―――」

キュルケは虎蔵にそう告げると、ルイズを伴って忍び込んできた裏口から出て行った。





一方、マチルダは杖を収めようとして、ふと何かに気が付いたかのようにウェールズを見た。
四年前のある事件を―――自らの父が死に、貴族の名を捨てることになった事件を思い出し、手に力が入る。
その視線にウェールズが気づき、見詰め合う。
片方は憎しみの視線だが。

「―――君は、まさか――――」
「ふんッ―――」

ウェールズはハッと何かに気づいたようだが、マチルダはギリギリと歯が鳴るほどに噛み締めると、杖を収めた。
踵を返して、キュルケと入れ違いに虎蔵の元へと向かう。
ウェールズもそれに習った。
最後は見届ける義務がある。



「お前たちも行った方が良いんじゃね?」

虎蔵がタバサとギーシュに視線を向ける。
ギーシュは蒼白になり、タバサも無表情な中にわずかな抵抗を感じる。

「大丈夫」
「ぼ、僕も軍人の子だからね――――これ位の覚悟は、ひ、必要だと思うんだ」

マチルダとウェールズもやってきた。
虎蔵は一度ウェールズに視線を向ける。

「――――頼む」
「あぁ――――――あばよ」

虎蔵はウェールズの言葉に頷くと、たいした感慨も無く別れを告げ、心の臓を一突きした。
自らの野望のために祖国を、許婚を裏切った男の、哀れな末路であった。





全てが終わった。
一行は礼拝堂の外に出てきていた。
ワルドを葬っている時間は無い。
今にも戦いが始まりそうな時間である。

「それでは諸君、色々と助かったよ。特にトラゾウ―――君のお陰で最後の戦いに挑むことが出来るようなものだ」
「気にすんな。半分はこっちの都合だしな」

本当に死地に向かう直前であるにも拘らず、穏やかに笑うウェールズ。
虎蔵はひらひらと手を振って肩を竦めた。
マチルダだけがつまらなそうにそっぽ向いている。

「殿下―――――」
「ラ・ヴァリエール嬢。すまないが、最後に一つだけ、頼みを聞いてもらえるだろうか」
「―――はい」

最後という言葉に、唇を噛むルイズ。
ウェールズは彼女の頭を優しく撫でると、自らの指に嵌めていた《風のルビー》を手渡した。

「これをアンリエッタに。ウェールズは勇敢に戦ったと、伝えて欲しい」
「畏まり―――ました―――ッ」
「無事に帰ってくれたまえ。では」

涙が零れそうになるのを、ギリギリで堪えながら《風のルビーを》受け取った。
ウェールズは全員の顔を眺めると、軽くアルビオン式の敬礼をしてから去っていった。
貴族である学院生の四人は、見よう見まねで敬礼をして見送る。

「ほら、そろそろ逃げるよ―――」

マチルダはウェールズの背中に舌打を一つすると、彼らに声をかけて穴へと飛び込む。
虎蔵、タバサ、キュルケも続いた。
ルイズは暫く礼拝堂を眺めていたが、ギーシュに「さぁ、帰ろう――」と促されると、

「さよなら―――ワルド」

そう小さく呟いてから穴へと飛び込んだのだった。

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