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男達の使い魔 第四話

土くれのフーケは、否マチルダ・オブ・サウスゴータは一つ溜息をついた。
ついに念願がかない、トリステイン魔法学院の宝物庫に押し入る、という段になってだ。
平民のメイドでありながら、圧倒的な力を持つはずのメイジに決闘を挑み、ついには打ち勝ってしまった少女。
潔く負けを認め、謝罪した少年。

あの時、マチルダ・オブ・サウスゴータの周りには、そんな素晴らしい人々は誰一人としていなかった。

そしてー

最後に故郷で待っている家族と、どこかそれに似たメイジと使い魔たちを思い浮かべ、

思いを打ち切った。

「行くよ!土くれのフーケ、一世一代の大仕事だ!」

そう言い切って宝物庫の方へとマチルダ・オブ・サウスゴータは、土くれのフーケは足を進めた。



あの決闘騒ぎからおよそ一週間の時が過ぎた。
回復したシエスタは、マルトーや同僚のメイドから英雄扱いされ多少困惑している。
向こうに悪意がないため、強くは出られないのがほほえましい。
ギーシュはあの後、一号生の宿舎やシエスタのところに頻繁に顔を出しているようだ。
あの戦いは彼なりに思うところがあったようだ。
そういったギーシュの姿は下級生に人気があるらしく、きゃあきゃあ言われている。
一度、モンモランシーがその様を鬼のような形相で見つめていたのを見た時、ルイズは本気で引いた。

(見なかったことにしよう。)

生存本能に基づいた、的確な判断である。
キュルケとタバサもまた、シエスタとルイズの使い魔のところへやってくるのを見かける。

(宿敵ツェルプストーの女が何をたくらんでいるのよ!)

当初はそ思っていたルイズであったが、ただ熱心に話を聞くだけの姿に拍子抜けした。
もっとも、田沢や松尾、富樫などの鼻の下が伸びていたのは気にくわないが。
そして、これが一番意外だが、ミス・ロングビルの姿も見かけるようになった。
……一番最初に見た時は、建物の男臭さに多少引いていたようだが。
慣れって怖い、ルイズは真剣にそう思った。



そしてルイズは……

日が暮れ、皆が寝静まったころ、一人学院外の草原へと向かう姿あった。
ルイズである。
あの決闘騒ぎでもっともショックを受けたのは、間違いなくルイズだ。
少なくとも、本人はそう思っている。
ただの少女が(ルイズ主観)、決闘でメイジを破ったのだ。
ならば、自分ももっと修行を積み、高みに至らねばならない。
そう考えたのだ。



10分ほど歩いたところでルイズは足を止める。
そこには、とても学院の近くとは思えない、見事な草原が広がっていた。
ここがルイズの秘密の特訓場所である。
今日は珍しくそこに先客がいた。

(桃で良かったわよね?)

使い魔たちのリーダー役であるその男を見止めたルイズは、声をかけることにした。

「こんな時間にそんなところで何をやっているの?」

桃と隣にいた生物はゆっくりとルイズの方を向いた。
この時になって初めてルイズは気がついた。
一緒にタバサのシルフィードがいることに。

「今日は月が綺麗なのでね。
 こいつからお誘いを受けたのさ。」

そう言って桃はシルフィードをさした。
ルイズの顔に?マークが浮かんでいることに気がついた桃は、もう少し詳しく説明することにした。

初日に一緒に月を眺めてから、時々シルフィードのお誘いを受けるのだ、と。

「そういうヴァリエール嬢はどうしたんだい。」

こいつらは、そろいもそろってそういう風に言うわね。
ルイズはそう思った。
子供扱いされているようで気にくわないのだ。
そうは言っても、相手は答えた。
今度はこちらが答えるのが筋だろう。

魔法の練習に来た。
そう告げてからルイズは練習に入った。
いつも通り全て爆発に結びついてしまったが、それを見る桃の目は不思議と優しかった。

そうして、(ルイズ主観で)無為に時間が過ぎてしまった。
桃とシルフィードの優しい時間を乱しているように感じたルイズは、少し予定を繰り上げることにした。
そうして彼女は帰途に着いた。
あとは寝るだけのはずだった。



「予想通り!」

土くれのフーケは思わず声を漏らした。
その手には一本の剣が握られている。

「とうとう盗賊にまで使われるとは、俺も落ちたもんだぜー。」

剣がぶつぶつとつぶやいている。
この剣こそ、魔法を吸収する意思持つインテリジェンスソード、デルフリンガーである。

ミス・ロングビルとしてオールド・オスマンに頼まれた買い物をしに、トリステイン王都に行った時のことだ。
何気なく入った武器屋で、彼女はこの剣に声をかけられたのだ。
正直、ろくな剣がないと判断していた彼女は、この剣を調べることにしてディテクトマジックを使った。
しかし、その魔法はこの剣に吸収されてしまったのだ!
この事実に店主は気づいていない、そう判断したフーケは、格安でデルフリンガーを譲り受けたのだ。

そして今に至る。
本来なら、盗賊に使われている状況では、もっと騒がしくしていてもおかしくないのがデルフリンガーである。
しかし、細かい愚痴こそ言うものの、騒ぎ立てる様子はない。

持ち手の感情が分かる剣、デルフリンガーには分かるのだ。
彼女の心が土くれのフーケとマチルダ・オブ・サウスゴータで揺れているのを。
だからこそ、今は大人しく使われているのだ。


デルフリンガーにて無事、固定化を解除した。
しかし、まだ強固な防壁が残っている。
フーケのゴーレムでは、一撃で破壊することは困難だろう。
しかし、不可能ではない!
もはや故郷とも言える場所で、唯一心の底からフーケに説教をしていた男のことを思い出した
フーケは、そう確信していた。
フーケは今、どうすればゴーレムにその男のような動きをさせることができるか、
と問いただした時のことを思い出していた。



「拳の理は一朝一夕には身につかぬ。ましてそのような土人形にさせるとあらば、なおさらだ。
 それならば、もっとも単純な。単純ゆえに間違わぬ公式を使わせたほうがいいだろう。
 すなわち……」

宝物庫から少し離れたフーケは、己の全霊を振り絞ってゴーレムを作り出した。
高さは30メイルといったところか。
今の自分にはこれ以上のゴーレムは作り出せない。
そう確信したフーケは、危険を顧みずゴーレムの肩に乗った。

―タイミングを取るためには必要なこと。

そう自分に言い聞かせたフーケは、ゴーレムで全力疾走を開始した。
肩の位置は、想像を遥かに超えて揺れる。
しかし、フーケの目線は揺るがない。
ついには宝物庫の近くまで戻ってきた!
走る勢いをまったく緩めずに、フーケはタイミングをはかった!

「破壊力 = スピード × 体重 ×

       握力!」

完璧なタイミングで握りこまれた拳が宝物庫の側面に突き刺さった!
そう、「突き刺さった」のだ。

こうしてフーケは魔法学院の宝物庫に侵入することに成功した。

『伝説の杖と伝説の旗、確かに領収しました。
              ――土くれのフーケ』



その様子を見ていた生徒は少数派であった。
彼らの多くは地響きが走った瞬間、ベッドの下に隠れてしまったのだから。
見物していた少数の生徒も、そのフーケのゴーレムの威容に見なかったことにしてしまった。
(中にはギーシュのように、泥のように眠りこけていた猛者もいたが。)

そう、ルイズにキュルケ、タバサを除いては。

この三人がフーケ討伐隊に志願するのは当然の理であった。


着いてこようとするメイドを、
今は病みあがりだし、今回は私の番だ、
という理由で断ったルイズは、キュルケ、タバサ、使い魔の伊達、
そしてミス・ロングビルと共に馬上の人となっていた。
そうフーケの後を追っているのだ。
取りとめもなく会話をしていたとき、ふとロングビルが前から聞きたかったことを伊達に尋ねた。

「オトコジュクのイチゴウセイとは、確か学生のことでしたよね?
 皆さんは何歳くらいなのでしょうか?」

本当にたいした疑問ではない。些細な疑問だ。
老けた顔の人間が多いが、それは苦労しているからだろう。
おそらく20台半ば、そうロングビルは予想していた。

「そうだな。ほとんど20歳未満といったところか。
 富樫にいたっては16になったところかな。」

桃と雷電は不明だがな。
そう付け加えた伊達の台詞にルイズが反応した。

「わ、私より年下なのーーー!あの顔で?」

使い魔たちの濃い顔を思い返してしまったルイズは、あまりの衝撃に噴出してしまったのだ。
何食わぬ顔で伊達は付け加える。

「ああ、ただここの一年は384日で、俺達の一年は365日だったから少しずれるな。
 貴様らの感覚では、あと一つ年下と思ってもらってかまわない。」

あまりといえばあまりな台詞に、思わずタバサも持っていた本を落としてしまう。
その様子を眺めていたロングビルは、御者をしているにも関わらず噴出してしまった。



「わたくしの聞いた情報では、あの中にいるという話です。」

ミス・ロングビルがある廃屋を指差した。
さて、どうしようか?
そう考えていたルイズの目に思わぬ光景が飛び込んできた。
伊達が一人でさっさと小屋の中に入ってしまったのだ。
慌てて後を追う三人。
ミス・ロングビルは森の中へと偵察にいく、と言い残して姿を消した。

「ちょっと!無用心に入って危ない目にあったらどうするのよ!」

そう言って伊達の後を追った。

小屋の中で思わず伊達はうなっていた。
ここに人がいないことは、気配がないことから分かっていた。
(傍目にはそう見えなくとも)罠にも最新の注意を払っていた。
そうして、盗まれたという宝物を見やって、伊達はうなり声を上げたのだ。

盗まれたという伝説の杖と伝説の旗は、二つ並べておいてあった。
しかし、それは尋常の大きさではない。
旗の方は長さが15メートル×10メートルといったところか。
そして杖には、それをくくりつけられるようになっている。
極めつけは……

旗の中心部に大きく 男 と刻まれているのだ!!

(これは、戦中に紛失したといわれる、男塾幻の大塾旗!)

男塾の歴史に詳しい伊達だからこそ、その正体まで看破できたのだ!

そこにルイズが飛び込んできた。
文句を言おうとした矢先、地面が揺れ始めた。

土くれのフーケの帰還である。



外に飛び出した伊達とフーケが見たものは、絶望的な大きさのゴーレムに奮戦する
キュルケとタバサの姿だった。

その威容に伊達ですら息を呑む。
魔法が聞かないのを見てとったキュルケとタバサは一時撤退しようとしている。
それは、戦術的には正しい。
しかし、

「敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶのよ!」

心の底からそう信じているのだろう。
ルイズの目に恐怖はない。あるのは強固な意思だけだ。
そうだ!男塾の辞書にも敗北や逃走などという文字はない!

伊達はゴーレムの前に躍り出た

その光景をルイズは信じることができなかった。
体長30メイル近くあるゴーレムの攻撃を、たった一人の人間が受け止めているのだ。
槍の穂先とゴーレムの拳。
普通に考えれば前者が粉砕されて終わりだろう!
しかし、まるで時が止まったかのようにゴーレムの拳がピタリと止められている!

「嬢ちゃん!できることをしろ!」

伊達の檄が飛ぶ!
その言葉にわれに返ったルイズは、慌てて詠唱をしだす。

(私の魔法は全て爆発させてきた!なら!)

伊達が一合、二合、三合とゴーレムの攻撃をさばき続ける。
そこにルイズは、渾身の『錬金』をたたきつける。

爆発音がその場に走る

煙が晴れて見えたのは、半分以上体をえぐりとられたゴーレムの姿だった。

(なっ!)

思わず声をもらしてしまったフーケだが、慌てずゴーレムを再生させる。
しかし、今の再生に相当の魔力を費やしてしまった。
そのことを悔やんだ瞬間!伊達の鋭い声が飛んだ!

「嬢ちゃん!あそこの茂みを爆破しろ!」

そう、一瞬もれた気配を伊達臣人が見逃すはずがない。

その声を聞いた瞬間ルイズは迷わず魔法を使った。
そして、指示された茂みを爆破しようとした。



ルイズは、立ち上がった人影に自分の魔法が収束していくのを感じた。
剣を構えたようだが、たかが剣ごときで防げるはずがない。
そう確信していた。

キュルケとタバサは驚いていた。
即席で見せたルイズと伊達の連携も見事だったが、それよりもルイズの爆発の強さに驚いていた。
ゆえに、これで勝負がついたと確信していた。

おおおおおおおっ!
フーケの気合の声がほとばしる。

「デルフリンガー!気合を入れな!」

爆発は起こった!
しかし、その爆発はフーケの構えている剣に吸い込まれていく。
思わずデルフリンガーから声がもれる。

「くそ!虚無のエクスプロージョンとはこの体ではきついぜ!」

その瞬間ルイズの時間が止まった。

(私が虚無?ゼロのルイズとさげすまれていた私が虚無なの?)

そのため弱まったエクスプロージョンはデルフリンガーに喰らいつくされた。
しかし、フーケに反撃にうつる余裕はない。



全員の注目がフーケとルイズに集まった瞬間ゴーレムの動きが止まった。
しかし、伊達臣人にはその一瞬で十分だった。

(普通に破壊してもすぐに再生できる!ならば……)

「闘・妖・開・斬・破・寒・滅・兵・剣・駿・闇・煙・界・爆・炎・色・無・超・善・悪・殺・凄・卍・克・哀・喣

 覇極流 気張禱!」

その言葉を唱えた瞬間、伊達の筋肉が大きく膨れ上がる。
そして槍を用いて大きく飛び上がった伊達は、全身全霊をこめて突きを繰り出す。
一、十、百、……
すさまじいまでの速さの突きの連続に、ゴーレムの体が次々と粉砕されていく。
しかし、気張?の限界も近い。
そしてついに千に達したとき、気張?も限界を超えた。

「覇極流 千峰塵!」

だがそのときには、ゴーレムなどかけらも残っていなかった。


そして伊達は最後の力を振り絞り、槍を土くれのフーケに突きつける。

「王手(チェックメイト)だ。」

疲れなど微塵も見せずにそう告げた。



「なっ!ミス・ロングビル!」

土くれのフーケのフードを脱がすと、そこには見知った顔があった。

「やれやれ。ばれちまったかい。」

取り繕う必要がなくなったフーケは、素の口調でそう返す。
正直、限界だった。

「さて、あんた達。あたしを突き出すのかい。
 なら、好きにしな。」

その台詞にルイズは思わず詰まる。
これ程の悪名を鳴り響かせた土くれのフーケだ。
突き出されることが死を意味することが分からないはずがない。
もっと往生際が悪ければ、何も感じることなく官憲に突き出せるのに。
ルイズは思わずそう感じてしまった。

「一つ聞こう。なぜ先ほどのゴーレムの攻撃には殺気がなかった?」

伊達がフーケに尋ねる。
思わぬ質問についフーケは本音をもらす。

「……あんた達が家族に似ていたからさ。」

その重い言葉に場の雰囲気が重くなる。
誰もなにも言い出せないその状況を破ったのは、やはり伊達だった。
フーケを縛っていたロープを断ち切ると

「行け」

と短く答えた。
思わず全員の視線が伊達に集まる。
フーケも意図が分からず伊達に目をやる。

「俺の槍は女は殺さん。たとえ間接的にもだ。
 それに……守るべきものがあるのだろう?」

そう告げると、くるりと回れ右をして歩いていった。
見逃す、という意思表示だろう。
その台詞と態度に思わずルイズも笑みをこぼす。

今回は、無事フーケから宝物を取り戻した。
それで十分ではないか。

そんなルイズと伊達の様子に、キュルケとタバサも従うことにした。
わざわざ自分でこの事件の後味を悪くする必要はないのだ。



「待ちな!」

そう言ってフーケは、魔法を吸い取って、白く光り輝くようになったデルフリンガーを投げつけた。
思わず取ってしまったルイズは意図が分からずフーケを見つめる。

「そいつはデルフリンガー。魔法を吸い取るインテリジェンスソードさ。
 詳しいことはそいつ自身に聞きな!あんたの魔法の手がかりになるかもしれないしね。」

そう言ってフーケは去っていった。


ルイズは考える。

(私の魔法はさっき虚無と言われた。私は虚無なの?)

そうしてルイズは手元の剣に目を落とした。
デルフリンガーは白く輝いていた。

男達の使い魔 第四話 完





NGシーン

雷電「こ、この一撃はまさか!」

虎丸「知っているのか雷電!」

雷電「これぞまさしく、中国において古代より伝わる阿矩檄」

かつて、宋の時代、阿矩檄(あ・くげき)という武侠がいた。
弱い者を助け、強いものをくじくその姿勢は、たいへん好感を持たれたと言う。
彼について特筆すべきことは一点。
その尋常ではない握力であった。
彼によって握りこまれた拳の破壊力たるや凄まじく、
今で言う米国はネバダという場所で打ち放った一撃は、半径数キロにも及ぶクレータ
を作ったという。
その彼が晩年に言った言葉がある。
それが、「破壊力=スピード×体重×握力!」という公式だ。
このエピソードが日本とハルケギニアに伝わり、この公式を忠実に再現するものの必殺技が
「握撃」と呼ばれるようになったのは有名な事実である。
民明書房刊「花山薫、その人生」(平賀才人著)



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