あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのしもべ第3部-23

 食事が終わり、当てられた部屋に戻ってきたバビル2世。
「おかしいな、ぼくの超能力がすこし衰えているのかと思い、ルイズのおかあさんに試したが、普通に読めた。」
 納屋へ臨時にベッドを置いたような部屋で、うんうんと呻っていた。というか、まだ悩んでいた。
「つまりカトレアさんはぼくに心を読ませないなにかを持っているということだ。」
 ルイズたち曰く、カトレアは以前身体が弱かった、らしい。それを治すためいい薬が手に入ったので飲ませた。今は以前と性格が変わってしまっているという。
「つまりその薬がなにか彼女に影響を与えているというわけか。」
 いったいなんの薬だろうか?
 この世界はファンタジーな世界、魔法のある世界だ。テレパシーをきかなくするような副作用を持つ薬があってもおかしくない。この家の財力を見るとどんな薬でも地の果て海の彼方から集めようとするだろう。
「だが、ただ薬を飲んだというだけでは、ぼくの本名を知っていた理由がわからない。」
 そうだ。カトレアはたしかにあのとき「バビル2世発見」と言った。そればかりではない、ヨミの名も知っていた。アルベルトも、残月も知っていたではないか。マーズだのマーグだの、キラアスだのよくわからないことも言っていたが。とにかくカトレアはバビル2世たちのことを以前から知っていたのだ。
「これは直接会って問いただすしかないのかもしれないな。」
 そうと決めると話は早い。カトレアの部屋に向かうべく、ドアを開けると、
「さあ、ビッグ・ファイア様。はやく行きましょう」
 そこにはなぜか残月が待ち構えていた。
「……なにをしてるんだ、残月」
「なにを、とは。はっはっは。少し冷たいですなあ。今からカトレア嬢の元へ行かれるんでしょう?」
 隠しても無駄ですよ?と肘でつついてくる。
「いやあ、ヴァリエール家の病弱な次女の噂は耳にしたことがありましたが……まさかあれほどとは!ボン!キュッ!ボン!ですぞ、ボン!キュッ!ボン!おまけに清楚な雰囲気!良い、実に良い!パーフェクトですよ、パーフェクト!完璧超人なみに完璧です!」
 そこまで熱く語らなくともいいのではないだろうか?と思うほど熱心な残月。聞いているほうが恥ずかしくなってくる。
「ということで、夜這いに行くならぜひお供を…」
「べつに夜這いに行くわけじゃないよ。」
「またまたー。夜に、男が女の部屋を訪ねてですな、夜這い以外のなにがあると?わたしは胸だけで満足ですので…って、あれ?」
 こりゃだめだ。とバビル2世はすたすたと歩き出した。カトレアの部屋をよくは知らないが、透視をしていけばそのうち見つかるだろう。
じつに場当たり的な行動であった。
 と、バビル2世がぴたっと止まり、振り返る。
「そういえばアルベルトはどうしたんだ?」
 食後、別れて以来アルベルトの姿を見ていないことに気づくバビル2世。昼のこともあり、食事中もときどきエレオノールはアルベルトにガンを飛ばしていた。また何か揉め事を起こされてはたまらない。できれば居場所を知っておきたいのだ。
「ふーむ。見ていませんな。さては、一足先にカトレア嬢の元へ夜這いに!?」
「いや、それはないだろう。」
「そう決め付けてはいけませぬ。今頃あの乳を堪能していてもおかしくありません!」
 ばびゅーん、と腕をコの字に曲げて身を低くし走り出す残月。いわゆる横山走りだ。
「残月、カトレアさんの部屋の場所を知っているのか?」
 しかしその質問に残月は答えることなく、あっというまに姿を消したのだった。

 カトレアの部屋はあっさり判明した。
 爆発音の方向へ行くと、廊下に焦げた残月が転がっていたのだ。
「わが生涯に、いっぺんの悔い……なし」
 指をワキワキと動かしてから、残月が気絶した。実に幸せそうな顔だ。カトレアの乳でも揉んだのだろうか?
「なんだか入りにくくなったな。」
 だがここで引き下がるわけにもいかない。丁寧にノックをし、ドアを開ける。
「あによ。なんか用?」
 出迎えたのは不機嫌そうなルイズだ。杖を握り締め、姉を守るように立ちふさがっている。なにをしたんだ、残月。
「カトレアさんに用事があるんだ、ルイズ。」
「ちいねえちゃんに?」
 ますます顔が険しくなるルイズ。たぶん、残月が乳を揉んだんだろう。
「あらあら。いらっしゃい、バビル2世さん。」
 そんなルイズとは逆に、にこやかに迎えたのはカトレアであった。
「わたしに用事?なにかしら?わたしの書いた本がほしいのかしら?」
「いや、けっこうです。そうではなく、少しお聞きしたいことが。」
 そういうとカトレアは即座になにをいわんとしているのか気づいたのだろう。ルイズに
「この子達のお夜食を、コック長さんからもらってきてくれる?」
と人払いをした。ルイズは最初2人っきりにすることを嫌がっていたが、しょうがなくコック長の元へ向かった。全速力で。
「それで、何が聞きたいのかしら?」
「単刀直入に聞きます。なぜあなたはぼくのことを知っていたのですか?」
 ん~、と唇に指を当てて考えるカトレア。
「ん~。内緒♥」
「内緒?」
「だって、ほら、手遅れになってからいうものじゃない、こういうのって。3つそろえたらシズマドライブが完成するとか、父親を殺したのは実はウルベとミカムラ博士だったとか、草間博士の残したロボに関する重大な情報とか。」
「??」
「とにかく、いまはまだ言うべきときではないわ。いまわたしが全てを話すことはできないの。禁則事項なのよ。」
 どこの未来人だ。
「それじゃあ説明になってないじゃないですか。」
「そうね。でも逆に考えるべきよ。説明にならないことが、説明だって。」
「ですが、できれば手遅れになる前に教えてもらいたいのですが」
「うーん、そうね。じゃあひとつだけ。アルビ…」
「ただいま!」
 息せき切ってかけつけたルイズが、バーンとドアを開けて入ってきた。
「はい、ちい姉ちゃん。ペット用の夜食。」
 どかっとさらに山盛り積まれたペット用の餌を出すルイズ。よほど急いでいたのだろう。全身汗まみれで、肩で息をしている。
「ほら、ビッグ・ファイア。もう用事は終わったでしょ?いくら病気が治ったっていっても、ちい姉ちゃんはまだ体力はないんだから。」
 猫の子でも追い出すようにバビル2世をつまみ出すルイズ。まったく、すこしも重要なことを聞けていないのだが。
 結局なにをしにきたのだろうか?なんだか残月が気絶しただけのような気もする。

 翌朝、首都トリスタニアからヴァリエール公爵が戻ってきた。
 外見的な特徴をいうと、金髪の項羽であった。見るからに威圧感があるというか、覇王という感じである。
 そんな父親と、朝食をとるというのは非常に胃に悪い。おまけに王宮のほうでどうも揉め事があったらしく、公爵の機嫌は非常に悪かった。開口一番枢機卿をこき下ろし、侵攻を決めた宮廷を罵った。全身から怒りが噴出しているような有様だ。
 そんな状態でいくらルイズが自分の従軍許可を求めるべく説得を試みても、そりゃあ無理ってもんでしょ。 結果、ルイズは城に軟禁されることとなり、従軍は不可能となってしまった。つまり今回の帰省は完全に裏目に出てしまった。
 が、公爵は知らなかったのだ。ルイズにはいま、恐ろしい力が目覚めていることを。恐ろしい使い魔がついているということを。

 深夜。ドドーン、とヴァリエール家が大きく揺れた。
「な、何事だ!」
 寝入りばなで飛び起きた公爵が、とるものもとりあえず、上にマントを羽織り杖を持っただけという姿で廊下に飛び出した。
「どうした?火薬でも爆発したのか!?それともルイズがまた魔法を失敗したのか!?」
 たしかに、何かが爆発したとしか思えぬ振動であった。地の底が揺れたという感じよりも、なにかが城に激突して揺れた、という感じだ。
「だ、旦那様ッ!大変です、ば、化け物が!化け物が!」
 召使の1人が、まさに泡を食って駆け寄ってきた。化け物、化け物と繰り返すばかりでさっぱり要領を得ない。
「化け物が襲来したというのか!?」
 外を覗いたヴァリエール卿の顔がさっと青ざめた。娘たちの部屋がある辺りへ、巨大な化け物鳥が着陸しているのだ。
 みると固定化で完璧に防御を行っている外壁が完全に粉々になっている。この鳥がぶつかり破壊したのだろう。なんという威力だ。
 その光景を見て、公爵は階段を駆け下りた。化け物に娘が襲われている。その純粋な思いが、公爵を突き動かしていた。
「あなた!」
 降りる途中で、カリーヌ公爵夫人と合流をした。カリーヌはかつて着ていた甲冑を身につけている相変わらずすばやいことだ。
「我ら夫婦が揃えば!」
「大怪鳥の一羽や二羽!」
 娘たちの名を呼びながら、怪鳥が破壊した建物に踊りこむ。
「エレオノール!カトレア!ルイズ!」
 だが、返事はない。そもそも近くに控えていたはずの召使の姿も、カトレアの可愛がっていた動物たちもいない。
「ええい!あの化け物に怯えて皆逃げ出したか!」
「あなた、あれを!」
 カリーヌ公爵夫人が、怪鳥を指差して叫んだ。黒い何かが首元にひっついているのが見える。
「る、ルイズ!」
 そう、怪鳥の首元にしがみついているのはルイズであった。それを見て、公爵はなにごとが起こったのかを察した。
「ルイズ!この鳥は貴様の使い魔か!」
 娘が魔法学院で進級をしたことは聞いていた。進級した、ということは使い魔との契約に成功したということだ。
「おのれ~!よくもわしらをたばかったな!」
 ギリギリと奥歯をかみ締め、ルイズを睨みつける公爵。公爵夫人は逆に、一言も発さず杖を振り上げた。
「ま、待て、おまえ!いきなりそれは…」
 カリーヌの動きに気づいた公爵が、青ざめて動きを制する。
「あなたは黙っていてください。」
「い、いや、カリーヌ。その、何もお前がやる必要はあるまい。わしが説得するから、杖を降ろしなさい。だろう?な、なあ、ジェローム」
 カリーヌの後ろで、鎧を着込んで待機している老執事に同意を求めるが、
「あ、いけませぬ。私、すこし用事が…」
 この緊急事態になんの用事があるというのだ。そそくさと逃げ出す執事。それを合図に、召使や衛兵がどこかへ消えてしまう。
「元はといえばあなたが甘いからあの子が付け上がるのです。今回の件も、あとであなたに謝れば許してもらえると甘い考えを持っているに違いません。場合によっては召使たちにけが人が出ていたかもしれないのです。ここはきちんとしつけなおす必要があります」
 そして呪文を、よく通る声で詠唱し始める。
「使い魔ということは、主人の盾も同然。盾を吹き飛ばすのはこれも道理。このような大きな盾を吹き飛ばすにはこの程度の風は必要」
 間に真空の層を有する、巨大なカマイタチ台風を生み出すスクウェアスペル「カッタートルネード」だ。
 カリーヌが、杖を振り下ろそうとしたそのとき。
「がうぅぅ!」
 とつぜん、黒い影が杖を持つ腕めがけ襲い掛かった。
 そのまま杖を奪うと、瓦礫と化した建物の中をぴょンぴょン飛び跳ねていく。
「な、なにものです!?」
 背後に今まさに現れようとしていたカッター・トルネードが消滅した。月光が降り注ぎ、杖を奪った何かを照らし出す。
「く、黒豹!?」
 公爵が黒豹を打ち落とすべく、同じく杖を振り上げた。しかしその瞬間、黒豹の身体の一部が伸び槍と化して公爵に襲い掛かった。
「うわわっ!」
 通常ならば杖を落とすなどありえない。しかし、気が動転していたのだろう。まるでドットメイジのように大きく杖を振りかぶってしまっ
たのだ。そこをつかれ、杖を弾き飛ばされた。弾かれた杖は瓦礫の向こう側に飛んでいってしまった。
「お父様、お母様、ごめんなさい!お叱りはあとでうけます!」
 怪鳥の上から、ルイズが叫んだ。
「今は黙っていかせてください。どうしても追いかけてくるというのなら、こちらにもそれ相応の覚悟があります。」
 杖を弾かれ、奪われ、呆けたようにその言葉を聞いていた2人が、ようやく我にかえった。
「い、いかん!いかんぞ!そんなことは許しません!」
 しかし、ルイズは公爵の返事など聞く必要がないと、怪鳥へ号令を下す。崩れ落ちた瓦礫全てを吹き飛ばすような豪風を起こし、怪鳥が飛び上がった。その怪鳥の足へ、杖をどこかに放り投げた黒豹がとびつき、溶け込んだ。
「お、おええええ!逃がすなぁぁぁぁ!地の果てまでも追いかけろぉぉぉぉ!どうせルイズは魔法学院に帰るのだ!かまわん、今すぐ我が軍に総動員令を出せ!学院と戦争になってもかまわん!」
 隠れている召使いたちに号令を下す。岩を持ち上げたときのフナ虫のように、召使たちは一斉に散らばって行く。伝令が、跳ね橋めがけ馬でかけていく。跳ね橋を上げ下げするゴーレムが、鎖を引き下げていく。
 だが、次の瞬間、ゴーレムの握る鎖の色が変化した。錬金により、一瞬で鎖が柔らかい土に変化したのだ。支えを失った橋が、直立してから、ゆっくりと倒れていく。
「フン!」
 そこへ赤い竜巻が襲い掛かった。竜巻はゴーレムと、跳ね橋をボロクズのように吹き飛ばした。ゴーレムと橋、門の破片が、行く手をさえぎるように山と積み重なった。
「残念だが、追跡させるわけにはいかんのでな。」
 公爵が声の方向、竜巻が飛んできた方向を振り向くと、そこにはルイズがつれてきたという従者の姿があった。その男は、杖もないのに腕から赤い竜巻を発射し、馬のいる厩舎や、あるいは屋敷の食料庫、金庫などを吹っ飛ばしていく。これでは追いかけようにも軍資金も、兵糧も、馬も、なにもなくなってしまう。掘り起こすにしても1週間はかかるだろう。すでに戦が始まっているころだ。
「ごめんなさいねー☆」
「……うぅ……恥ずかしい」
 瓦礫となった屋敷が、見る間に土に戻っていく。先ほど鎖を錬金で土くれに変えたものと同一人物だろう。
「なにものだ!」とそちらへ再度顔を向けた公爵は、なんというか信じられないものを見た。とても凄い、ものを、見たんだ。何を言って
いるかわからないと思うが、けっしてアニメなんかじゃない。本当のことだった。
 ピンクブロンドと、金髪の、20代後半の女性が2人、妙な格好とポーズをして立っていたのだ。
 ピンクブロンドのほうは髪と同じピンク色のドレスを身に纏っている。ただしスカートの丈が短い。ドレスというよりは衣装という感じだ。
 金髪のほうは紫のドレスを着ている。こちらもスカートの丈が短い。
 2人に共通していることは、顔を隠すために仮面舞踏会でつけるようなマスクをつけていることだ。
「魔法少女、プリティ・コメット!」ピンクブロンドの女性が高らかに宣言する。
「ま、魔法少女…ぴ、ピクシー……メテオッ!ぅう……」金髪の女性がものすごーく恥ずかしそうに、うつむき加減にいう。
「2人そろって」
「えっと、あ、アロンソ・キ・ハーナ?だっけ?」
 ジャッジャーンと、背中合わせに改めてポーズをとる2人。幼女なんかが見るアニメの主人公って感じだ。
「………なにをやっているんだ、2人とも。」
 どう見てもエレオノールとカトレアな魔法少女コンビに、冷静に突っ込む公爵。というか20代後半で魔法少女は犯罪である。
「あ、赤の他人です!」
「そうですわ。私たちは、正体不明の魔法少女コンビなのです。ゆえあって、ルイズに加勢します。」
 それにしてもこのピンクブロンド、ノリノリである。
「ここまで屋敷が壊れては、ルイズの追跡なんて不可能でしょう?というわけで諦めてください。」
「ぅう……もうお嫁に二重の意味で行けない…。」
 はっちゃけまくりのピンクブロンドに対し、なるべく顔を合わせないように後ろを向く金髪。 
「というわけで、私たちはルイズの助っ人に向かういます。たぶんエレオノール姉さまとカトレアは、さっきの鳥にふっ飛ばされちゃったと思いますから、1ヶ月ぐらいしたら帰ってくるはずです。安心してください。」
 そしてピンクブロンドは、屋敷を竜巻で破壊した男に手を振った。
 合図を受け、男は信じられないような速さで庭を駆け抜け、魔法少女を抱えると、そのまま塀を飛び越えた。まるで妖精のようなすばやさと跳躍力だ。
「……これは、何の罰ゲームだね、ジェローム?」
 先ほどまで寝ていた屋敷が、すっかり土と石ころになったのを見ながら、公爵がつぶやいた。だが誰もその呟きに答えるものはいなかった。みんなそれどころじゃなかったのであった。

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