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男達の使い魔 第三話半

その日、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは娯楽に飢えていた。
タバサと二人で暇をつぶしていた彼女は、騒ぎを聞きつけると、タバサを伴い真っ先に駆けつけた。
騒ぎを見物するなら、特上席で。
そう考えた彼女は、シルフィードに乗せてもらうことにしたのだ。

タバサはお気に入りの本を読んでいた。
タイトルは
太公望書房刊「今日からあなたも漢方マスター!」(観余頭尼屠尼瑠无(ミョズニトニルン))著
である。
タバサ本来の目的の役にこそ立たなかったものの、素晴らしく実用的な本であるのは間違いなかった。
惜しむらくは、この本が数千年前に書かれたものであり、著者その人に会って話を聞けないことくらいだ。
他の誰でもない、自分の親友のキュルケの頼みだからこそ腰を上げたのだ。

そして彼女達は聞いた。そして見た。

天をも揺るがすようなエールを。

そして、素手でありながら、ついにはメイジをも倒してしまった少女の姿を。

最後の瞬間二人は思わず目を見張った。
メイドの少女が、実際の何倍にも大きく見えたのだ。

そして……



シエスタが目覚めたとき、見知らぬ天井と、心配そうにこちらを見つめている多くの視線があった。

(あれ?ここは?)

確か自分がギーシュという貴族に勝利して、歓声を受けたところまではおぼえている。
しかし、その後の記憶がない。
そこで、シエスタは近くにいた無精ひげを生やした男に声をかけることにした。
その男は、確か自分を応援してくれた男の一人であることにシエスタは気づいていた。

「あの、すいません……」

その声に気がついた男は、慌てて大きな声をあげた。

「おーい!お嬢さんが起きたぞ!!」

その声と共にルイズが、そして応援してくれていた男達が一斉にこちらを振り向いた。
無事に起き上がった姿を見たルイズは、何か言おうとして、そして言葉をなくした。
彼女が背負って闘ったものには、ルイズの名誉も含まれているのだ。
今は、照れ隠しに怒鳴る時ではない。
貴族として、感謝をする時だ。
だからルイズは行動にでることにした。
ただ、黙ってシエスタを引き寄せて、ありがとう、とささやいた。

そうして少し間時間がとまる。
男達も何も口を出さない。
今、主役はこの二人であると分かっているのだ。

その行動に呆然としていたシエスタではあるが、当初の目的を思い出した。
そこで、どうして自分がここにいるのか、そして大怪我をしていたはずなのにどうして治っているのかを尋ねることにした。



そうして、彼女達の会話が一段落したところで、今度は男たちも会話に加わることにした。
彼らのうち大半は普段女性と接触する機会がまったくなく、扱いに慣れていない。
そのため、あらかじめ飛燕が質問係として選ばれていた。
男塾一号生の中で、もっとも女性受けしそう、という理由だけでだが。

「シエスタさんでしたね。私は飛燕といいます。はじめまして。
 そこにいるヴァリエール嬢の使い魔として働いているうちの一人です。」

などと、和やかに自己紹介を行った後、男達の一人一人を簡単に紹介した。
そうしていよいよ話は本題に入る。

「シエスタさん。あなたの祖父は、もしかして、大豪院邪鬼と名乗っておられませんでしたか。」

どうして祖父の名前を知っているのですか、と逆に聞き返したシエスタは気がついた。
男達がみな涙を流していることに。
不思議とその涙は美しかった。

その後、彼らは夜遅くまで話し込んだ。
彼らが祖父の後輩であると聞いた彼女は驚いた。
ただ、話しているうちに、彼らの纏う空気が祖父のそれに似ていることに気がついたシエスタは納得した。
年代が違う、世界が違う、そういった違いを跳ね除けて納得したのだ。
いつしかルイズも加わり、話は進んでいった。
彼らは、この世界に来てからの祖父の話に、時には涙を流し、時には大笑した。
一方、ルイズとシエスタもまた、彼らの破天荒な日常や戦いを楽しんだ。

そして夜がふけていった。



同じ夜、キュルケは自室のベッドで静かに横になっていた。
普段の彼女ならば、今頃恋人の一人でも自室に招いて、微熱に身を焦がしていただろう。
しかし、ここ数日はそういう気分にはなれなかった。

ギーシュと決闘したときのシエスタの姿と、まさしく全身全霊をかけて声援を送るルイズの使い魔たちの
姿が頭の中にこびりついて離れないのだ。

あれ程までに誰かを思いをぶつけることができるのだろうか。

キュルケの悩みはそこにある。
自分が今までしてきた恋に悔いはない。
全て、自分をいい女にするために必要なことであったからだ。
ただ少しだけ寂しいのだ。

(まあ、恋人ではないけどタバサがいるからいいか。)

そう結論付けた彼女は、今日はタバサのところで女同士の会話でもしよう、と考えて立ち上がった。


タバサの興味は、実務的なところにあった。
具体的にはシエスタの使った真空殲風衝だ。
あの時、彼女からは魔法の力をまったく感じなかった。

(人は鍛えればあそこまでできる。)

その現実に、タバサは希望を持った。
自分もあそこまでできれば、母を治す薬を取り返すことができるかもしれない。
普段のタバサなら考えないような過激な考えではある。
そう本人も自覚はしているが、止めるつもりはない。
少なくとも、希望は見えたのだから。

そこまで考えが及んだとき、部屋のドアから声が聞こえた。
キュルケだ。

そうして夜はゆっくりとふけていった。



男達の使い魔 第3.5話 完



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