あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの平面-6

 まるで空爆にでもあったかのようにメチャクチャになった教室から、
 騒がしい二つの音が聞こえていた。

「ちょっと! ……こ、こら、逃げるな!!」 

 ビ――――ッ♪

 一人はルイズ。
 言うまでも無く、この教室を爆撃した張本人である。
 甲高い声をやかましく鳴らす先には、一見して何も見当たらない。 
 そして、もう一人……
 その爆撃において、大乱闘ならば一撃で場外になりそうなダメージを
 受けたにも関わらず、『使い魔』という理由だけで
 後始末をやらされる羽目となった真っ黒平面戦士、Mrゲーム&ウオッチ。
 掃除するのを理解してないのか、
 彼は先程から、ルイズに劣らずのやかましいブザー音を楽しそうに鳴らし続けるだけで、
 ホウキを持っては素振り、
 ちりとりを持ってはそれで羽ばたく真似をするなど、
 すがすがしいほど遊んでいた。

 子供か、己は?

 いい加減に業を煮やしたルイズが怒るものの、
 まるで聞きやしない。
 なので捕まえてお仕置きしようとどこからか取り出したムチを振るうと、
 気づいたゲーム&ウオッチはイキナリ縦向き(薄っぺら)になり、
 ブザー音を鳴らして逃げ始めたのだ。

 逃げるウオッチと追いかけるルイズ。
 ゲーム&ウオッチがちょろちょろ逃げ回り、
 からぶったムチがすす塗れの床をブッ叩いていく。
 もはや雑音にも等しい声(音)をはきまくり、
 どったんばったんと暴れまわる二人…………実に、迷惑だった。
 その一方で、ある決意を胸に秘め、
 眼を覚悟の光で滾らせた一人の少年がいた。
 金髪で二枚目な顔立ち、
 名家グラモンに生まれしその名は、ギーシュと言った。
 彼は食堂にて昼食を終え、授業(ルイズのおかげで自習)を終え、
 『あること』を『ある生徒』に伝えるために、
 ここ――奇しくも、ルイズたちの暴れまわっている教室の下にある広場――で 待ち合わせをしている。

 待ち合わせている人の名は、
 ケティと、そしてモンモランシー。
 今、彼が付き合っていると噂になっている2人だった。

 ケティは年下の、
 モンモランシーは同級の、
 それぞれ可愛らしい女の子。
 彼以外誰もいないココに揃えば、羨ましいまでの両手に花。
 何時もの彼なら喜んで鼻の下を伸ばしたことだろう。

 だが、ギーシュの顔にはそんなだらしなさはどこにも無い。
 まさに今、戦地へと赴かんとする戦士のような、
 覚悟を腹に決めた男の顔だった。 
 額から一筋の汗が流れ、頬を伝って地面に落ちた。
 今、彼の緊張は最高潮まで上がっていた。 
 上の教室で起こっている騒動など、眼中に無かった――――文字通り。
 彼は決めていた。
 あの二人が揃ったその場で、
 本当に愛しているものを決めようと。
 しかし、その答えはもう既に決まっている。

 全ての女性には優しく接する。
 全ての女性は大切にする。
 ギーシュ・ド・グラモンを語るに、これは大前提だ。
 だからこそ、ギーシュは昨晩寝らずに考えた。
「今僕のしている事は、2人の女性を同時に傷つけているのでは?」と。

 だから決着をつけよう。
 彼らしくない思考が、
 なぜか昨日と今日に限ってよく働いていた。
「まぁ~て~!!」 

 ビ――――――ッ♪

 一方、教室では追いかけっこが激しさを増していた。
 いくら追いかけてもつかまらない、
 それどころか主人を挑発してさえいるこの使い魔に、
 ルイズは本当にぶち切れかけていたのだ。
 とうとう杖を取り出し、簡単な呪文を唱える。
 どんな呪文でもいい! 
 どうせ爆発しか起こらないんだから。
 ルイズが杖を振るうと、
 ゲーム&ウオッチの隣にある机が炎を上げて小さく爆発した。

 ビ――ッ!?

 隣にあったものが粉みじんになり、流石にヤバイと感じたのだろう。
 ゲーム&ウオッチガそろりと振り向くと、
 そこには舌打ちをして次の呪文に取り掛かるルイズ。
 もとい、修羅のごとき悪魔がいた。
 もう、2人とも掃除の事何ざ忘れている。
 次の爆発の一瞬、ゲーム&ウッチは爆煙に紛れて
 ためらい無く窓から飛び降りた。


 気配を感じたギーシュが振り向いた先に、 
 ケティとモンモランシーの姿が見えた。
 以外だった、2人は同時に来たのだろう。

「何のようですか、ギーシュさま」 
「…………」 

 現れるや否や、2人の立ち振る舞いは真逆だった。 
 柔らかな笑みで穢れの無い笑顔のケティ、
 無言で、それこそ射殺すような目つきのモンモランシー。
 彼は生唾を飲んだ。
 甘かった……っ! これから起こりうる事に対して、覚悟がまだ足りない!
 冷や汗がまた地面にぽたりと落ちた。
 それを見計らって息を大きく吸い込み、吐き出す。

 ギーシュは再び眼をぎらつかせ、
 並び立つ2人の顔を真剣な表情でしっかりと見据えた。

「実は……」

 言葉が、続かない。

「なに?」
「大丈夫ですか?」

 凄んだ声と、優しげな声。
 ああ、もう。なんて罪な男なんだ、僕は。 
 ただでさえこんな可愛い子らに心配を持たせているのに、
 これからさらに、片方にとってはとてもつらい経験をさせるなんて……

 眼を瞑り、心の中で自分に酔いしれる。
 だんだんと何時ものギーシュに戻りつつあった。

「ケティ、そしてモンモランシー。しっかりと僕の目を見て聞いてくれ!」 

 眼を光らせて、真面目な顔つきで言うと、
 2人が頬を赤らめてぐっと何かに飛ばされるようにのけぞった。
 もともと顔は悪くないだけに、
 引き締まった彼の真剣な顔つきは、女性を寄せ付ける何かがあった。 

 普段からこんな顔でいればいいのに……

 2人は偶然、同じコトを思っていた。


「僕は……僕は……」

 ギーシュがぐっと眼をつぶった。
 顔を傾け、苦しそうにゆがめている。
 ただ、2人の女性はそれが何を意味するか悟り、
 ただ次の言葉を無言で待った。

「僕はぐぁっ!!!?」
「!?」
「!?」 

 次の瞬間、2人の目に飛び込んだのは
 待ちわびた言葉を口に叫ぶギーシュではなく、
 上から降ってきた真っ黒い物体に後頭部から押しつぶされ、
 無残にも地面にキスしてしまっている
 間抜けなギーシュの姿だった。

 そして、その上に乗っかっている黒い人(?)は、
 こちらに気づくと陽気にビ――ッと鳴き、
 (おそらく)満面の笑顔で片手を振ってきた。

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