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Zero ed una bambola   ゼロと人形-10


 完全に日が沈み、静寂が支配するモット伯の屋敷。
 もこもこと土が盛り上がり地面からモグラが顔を出す

「ありがとうヴェルちゃん」
もぐもぐ
「あ、クヴァーシルちゃん」

 上空から一羽の梟が舞い降りる。

「そうなの?見回りに犬さんが4匹と衛兵が2人お外にいるんだ」

 ギーシュの使い魔、ヴェルダンデが掘った穴から這い出たアンジェリカは一緒についてきた使い魔たちに礼を言う。

「ありがとう。ここからは私一人で大丈夫だから。ここで待っててね」


 王子様はお姫様を助ける為、一人でドラゴンの砦に忍び込むのでした。



 感情の無い瞳でダットサイトを覗き、静かに翼のついた犬に標準を合わせる。


「おい、今なんか音しなかったがっ?」
「あん?別にしねーよ。それでなそいつがこういったんだ。あの予告は冗談ですってよ。おい聞いてんのかよ」

 二人一組で見回りをしている衛兵が返事をしない相棒を怒鳴りつつ振り向く。するとそこには胸から剣を生やした相棒の姿があった。

「な・・・?」

 その現実離れした光景に体が硬直する。眼前には可愛らしいメイドの少女が・・・

「こんばんは」

 少女は微笑む。それは死神の微笑みか。

「え、あ、こんばんは?」

 パタタタと響く小鳥のばたき、三つの閃光が衛兵の胸を貫き艶やかな華を照らす。

「あ、え?」

 紅き華が咲き誇る。命の華が枯れていく。
 枯れた華が地面へと朽ちる。

「犬さんゴメンね」

 四匹の犬の死骸をみつめて呟く。
 心臓を貫かれた衛兵は既に息絶えていた。アンジェリカはそれを踏みつけ、デルフリンガーを引き抜く。血色の鮮やかな水が溢れ出す。

「あ、が、てき、しゅう」

 風穴が三つも空き、今にも消えそうな蝋燭の炎を懸命に燃やし必死に足掻く。

「まだ生きていたんですか」

 アンジェリカは止めとばかりに衛兵に剣を突き立て、その炎を消す。

「悪い人をやっつけたら、ルイズさん誉めてくれるかな?」

 鞘に納められたデルフリンガーは何もいわない。

 アンジェリカは窓を開け、屋敷の中に侵入した。



「おい、そこのメイドちょっと待て」

 屋内を巡回していた衛兵がアンジェリカを呼び止める。アンジェリカは男に向かい合い、背中側へにAUGを隠す。

「あ、ちょうどよかったです。他の皆さんはどちらにいらっしゃるのですか?」

 アンジェリカは微笑みを崩さない。

「ん?二人、外の見回りで、俺も入れて5人が、ほれそこの待機部屋にいるぜ。あとの三人がどこにいるかはしらねぇが、おい?まさか逃げる気じゃねぇよな?」
「大丈夫です。だって・・・悪い人をやっつけに来たんですから」

 手馴れた動作でAUGを構える。
 魔法が横行するその世界において、その存在を知らなかったからと言って誰が彼を責められるだろうか。
 目の前に存在する幼い少女のその手に、数多の「死」が抱えられていることなど。

「は?」

 命の炎がまた一つ消える。

「おいどうした?うるせえぞ」

 部屋の中から怒鳴る声。

 アンジェリカは部屋の扉をそっと開け、銃口を覗かせる。

「何だ。おい・・・」

 声から位置を特定し、引き金を引き、部屋へ突入。
 タタタンと小気味よい音は駆けるアンジェリカの足音か、爆ぜるAUGの銃声か。
 一人目、ソファに座っている男の顔面を襲う。パン、と弾けて華開く三つの曼珠沙華。人間の命と引き替えに咲く赤き肉色の死の華。
 二人目、槍を持っているだけの男、構える隙など与えない。視線と共に銃口を向ける。為す術もなく鮮血を散らせる。だが生きている。苦悶の表情を浮かべ膝をつく。戦闘能力なし、狙いを変える。
 三人目、さっきの男が落とした槍を拾おうとする、ダメ。
 両腕に銃弾を四発叩き込む。
 生かしておくのは二人で十分、シエスタが何処にいるのか訊かないと、探すのは手間だから。後一人どこへいった?

「てめぇ!」

 たった今開けた扉、丁度死角となっていたその影から最後の一人がクローゼットをアンジェリカ目掛けて引き倒す。
 だがアンジェリカは、何も持っていない左手でそれを支えて押し返した。


 そんなバカな、自分でも引き倒すのに苦労したものを容易く、垂れ下がった暖簾を押しのけるような動作で返せるわけがない、こんな小さな少女が。
 男のアンジェリカを見る目に恐怖が沸き出でる。 自分は、今何を相手にしていると言うのだろうか。

「くそ!何なんだてめぇ!」

 男は己の剣を鞘から引き抜こうとする。緩慢な動作、アンジェリカは疾風のごとく相手の懐にもぐり込み、左拳を腹に深々と突き刺す。それなりに鍛えていたはずの筋肉の鎧も役には立たない。思わず膝をつき前のめりに倒れこむ。
 アンジェリカはその後頭部へAUGの銃口を突きつけ……。

「てめぇ、モット伯の屋敷に、手ぇ出してどうなるのかわかってんのか?」

 両腕を撃ち抜かれた男はそうはき捨てる。
 アンジェリカは何も言わない。たった今殺した男の腰に差された剣の柄をとる。

「お、おまえ、まさか!」



 まだ息のある男に見せ付けるように再び剣を振り下ろし、脳漿を撒き散らす。

「シエスタちゃんはどこですか?」

 天使のような美しい声が男の鼓膜を揺らす。眼前に広がる惨劇とはミスマッチな美しい声が・・・

「もう一度聞きます。今日連れてきたはずの、私と同じ髪の色した女の子です。どこにいるんですか?」

 血に濡れた剣で男の頬をなぞる。

「い、今の時間帯、ならモット伯の、部屋に、いるんじゃないか?」

 ガチガチと歯が鳴り、声が震える。

「そうですか」

 アンジェリカは少し考える素振りをみせる。
 チャンスだそう判断した男は激痛を堪え、アンジェリカから剣を奪い取ろうとその腕に掴みかかる。
 右腕は使えないが左腕ならまだ動く、痛みを我慢すれば・・・。

「あぅ?なんでぇ?」

 アンジェリカの腕を掴むことなど叶わぬ夢。あるべきところに腕はないのだから。

「腕ぇ、俺の腕がぁああああぁぁぁあ!」

 アンジェリカの左手の甲が淡く光る。

「うるさいですよ」

 喧しい男の声に眉をひそめるが、それだけだった。
 アンジェリカの脚が軽やかなステップを踏み、優美に剣が舞う。
 くるくると男の頭も舞う。降りしきるは血のシャワー。

「あんまり汚したら怒られちゃう」

 服が汚れぬように歩き出す。
 人間の骨を砕いた剣は既にボロボロ、投げ捨てて部屋をでた。
 AUGの残弾確認・・・あと10発。



「デルフ?」

「ここだ小娘」

 壁に立てかけておいたデルフリンガーが答える。

「あと三人と一番悪い人、合計四人残ってます。早くやっつけてましょうね?」

 アンジェリカはそうデルフリンガーに笑いかける。

「ああ、だが小娘、おめえは戦っちゃいけねぇんだよぅ」
「ルイズさん喜んでくれるかなぁ?」

 デルフは、その言葉がアンジェリカ届かないと知ってもそう呟かざるを得ないのであった。
呟かざるを、得なかった。



 その短すぎる蝋燭、その身を減らしてまで何を照らすのか。命の炎が激しく揺らめく・・・。




Episodio 10

L'inizio, una missione di liberazione
開幕、救出作戦


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