あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

男達の使い魔 第二話

朝日とともに剣桃太郎は目を覚ました。
そして、自分が背を預けていたものに声をかける。

「ありがとよ」

すると、その竜はまるで人語を解するかのようにきゅいきゅいと声をあげた。
そうして立ち上がって少し体をほぐす。
野営による疲れはない。
もっとも、男塾一号生にこれくらいで疲れるやつはいないが。
そこまで考えたとき、少し離れたところで木を切る音や重いものをひきずる音が聞こえる。

(少し寝すぎたかな)

多少のばつの悪さを覚えつつも、桃はみなを手伝うべく、音のする方へと歩いていった。

「しかし、昨日はひどい目にあったよなぁ」

「まったくじゃ。飛行帽のやろう、前に家を壊したこと絶対根に持ってやがるわい」

「しかし、ここは面妖なところじゃのう。魔法なんてものが存在するとは思っても
 おらんかったわい。」

木を引きながら、秀麻呂、松尾、田沢の三人が会話をしている。
向こうのほうでは椿山が、その馬力を生かして、富樫や虎丸などと一緒に木を切っている。
どうやらJに飛燕と雷電は食料を調達しにいっているようだ。
伊達は一人で、その槍術を用いて石を切り出していた。
そこまで見渡したところで、今人手が必要なのは石の切り出しであると判断し、伊達を手
伝うべく歩き出した。

(魔法か。どれほどのものだろうな。)

そうして桃は、召喚されたときのことを思い出していた。




空気が凍るとはこのようなことを言うのだろう。この空気は炎蛇でも溶かせまい。
ついついコルベールは現実から目をそらそうと、自分らしからぬことを考えた。

(しかし、このようなことは前例がないので仕方のないことか。)

これが平民の一人であるならば、一応生物であることは間違いがないので、
迷わず契約をするように勧めたであろう。
しかし、これほどの人数の召喚となるとどうすればよいのか判断がつかない。

(そうだ。これがあった。)

そこで、コルベールは、懐から一冊の本を取り出して目をおとした。
太公望書房刊『異端召喚百選!これであなたも召喚マスター』(観余頭尼屠尼瑠无著)
大変古くかつ怪しい本ではあるが、記述内容に信頼がおけることは、
今までの経験が保証している。
そこにある記述を発見したコルベールは、思わずブリミルに感謝の祈りをささげ、
ルイズに声をかけた。

「ミス・ヴァリエール。何を固まっているのです。早く全員と契約しなさい。」

その声に、生徒たちは一斉に視線をコルベールに向けた。
マジですか!正気かあのコッパゲ。
そのようなざわめきが起こるなか、ルイズは引きつった顔でコルベールを眺めると声をあげた。

「ミ、ミスタ・コルベール。や、やり直しを要求します!
 第一、このような大人数では、誰と契約をしろ言うのでしょうか!」

話しているうちに、普段の調子に戻ったのか、ルイズは一気にまくし立てた。
それに、ルイズの発言には根拠があった。

(そ、そうよ。やり直しは正当な要求よ。メイジ一人につき使い魔は一つ。そう決まっているじゃない!
 それに、こいつら、何で裸の上に上着を羽織っただけなのよ!)

ルイズにとっての不幸は、コルベールが無駄に博識なことであった。

「もちろん全員とですよ、ミス・ヴァリエール。
 それに始祖ブリミルは数多くの使い魔を従えていたという信頼できる記録も残っています。
 人数が多少増えたところで何も問題はないでしょう。
 さあ、『コントラクト・サーヴァント』を済ませるのですぞ」

その言葉にルイズは肩を落とし、少しうつろな目をして祝詞を唱え始めた。

せめてファーストキスは、多少はまともそうなヤツで。
ルイズがそう思ったかどうかは定かではないが、祝詞を唱え終わると、鉢巻を巻いた男の方へと歩き出した。



(騒がしいな)

少しの間意識を失っていたようだ。
気配から、多人数に囲まれているのは分かっていたが、殺気などは感じないため、状況を把握することにした。
その時、集団の中から一人の少女が自分達の方に歩み寄ってくるのに気づく。
今の状況を把握するため、もう少し意識を失った振りを続けることにした。

「そうよ。これはあくまでも使い魔との契約なのよ。」

などと小声でぶつぶつ言っているようだ。
契約というと、こちらに何かさせるつもりなのだろうか。

(そういえば、ある中国拳法の奥義に、遠くから人を召喚する、という技があったがそのたぐいか。)

とうとう少女は自分の前に立ったようだ。
そこで薄目を開けようとした瞬間、唇にあたたかい感触がはしる。
どうやら接吻されているようだ。
思わず、目を開けると、もう少女は他のヤツのところに向かっていた。
そして、同じように接吻をしていた。
その、少しうつろな表情が気にかかるが、このままでは状況が掴めない。
そう判断した桃は、その少女に声をかけようとした時、手に痛みが走った。

(何だコレは?)

凝視すると、左手の甲には、大団旗などにも示されてる男塾の紋章が、光を放ちながら刻まれていった。
最後に「男塾総代」と刻まれたところで、その紋章は光るのをやめた。
他の者を見渡すと、みなそれぞれ違う場所に紋章が刻まれているようだ。
人によって痛みが違うのか、虎丸などは、尻を押さえているのが確認できる。

「終わりました。」

その時、先ほどの少女が、教員とおぼしき人物に何か報告しているのが見えた。
桃はそちらの方を向くことにした。




ややヤツレタ感のあるルイズが、コルベールに終了を告げる。
そのやつれ方に同情しないといえば嘘になる。
キスのキの字も知らない少女が、いかにも汗臭い男たち数十人とキスをしたのだ。
コントラクト・サーヴァントとはいえ、自分をごまかすにも限界があるのだろう。
しかし、この誇り高い少女にそのような同情を見せるのは、侮辱になる。
そう考えたコルベールは、生徒達を解散させることにした。

解散を告げられた生徒達は、おのおの会話をしながら、空を飛んで帰路についた。
その会話に、ルイズを馬鹿にするような発言は極めて少ない。
女生徒の多くなどは、同じ女として同情する、などといった会話を繰り広げている。

そうしてコントラクト・サーヴァントの会場に残ったのは、男塾一号生たちと
ルイズにコルベールのみとなった。
明らかに事情を把握していない様子の集団を、ルイズ一人に任せるのは酷である
いかにヴァリエール家の三女とはいえ、これだけの集団の面倒を一人で見れる訳がない
そうコルベールは判断したのだ。

「さて、それでは歩きながら事情を説明しましょうか。」

そうして不審な男達の集団に声をかけた。
これだけの集団の面倒を見るには、学院長の支援が必要だと判断したコルベールは、
オールドオスマンのところへと向かって歩き出した。


「うむ。事情は把握した。こちらからもわかる範囲で君達を支援しよう。」

「助かります。」

そうしてオールドオスマンと桃は握手をした。
来る途中互いの情報を交換したルイズにコルベールは真剣に頭を抱え込んだ。
これだけの集団が、全員そろって異世界から来たというのだ。
彼らでなくても頭を抱えたくなる話である。
しかも、その責任のうち半分くらいはルイズにあるのだ。
……もう半分は、(話を聞く限りでは)あからさまに怪しげな光に、集団で飛び込むという
暴挙に出た彼らにあるのは間違いないが。
一方、塾生たちはというと

「な、なんだってーーー!!」
「ごっついのう」
「鬼ヒゲたちもおらんし、これぞまさしく鬼の居ぬ間になんとやらじゃな」

などと、実に多様な反応をしていた。
もっとも、驚いてはいるものの、悲観はしていないようだ。
ヴァイタリティーあふれる彼らにとっては、むしろ教官たちのいないことの方が大切なようだ。

自分が考え込んでいてもしょうがない、と結論を下したコルベールは、
オールドオスマンに判断を預けることにした。
事情を聞いたオスマンは、いくつかの条件とともに、彼らの学院への滞在許可と
帰還方法の捜索を手伝うことを約束した。
その一つが、常に誰か一人はヴァリエールの使い魔としてふるまうことであるのは言うまでもないだろう。
宿舎については、今余裕がないことをオスマンが告げると、田沢と名乗った男が

「宿については俺たちが自分で建てましょう」

というので、任せることにした。
どうやら、後ろに立っていた男達の顔が引きつったことに気がつかなかったようだ。
とりあえず、本日は使い魔用の小屋で休むように伝え、翌日朝の鐘の音が二回なったら
ルイズとコルベールも含めてここに来るように言い渡し、本日は解散となった。



使い魔召喚の件から後、調子を崩され通したルイズは、普段の彼女からは信じられないことではあるが、
大変おとなしく話を聞いていた。
……むさ苦しい男達の集団に紛れ込みたくない、というのが本音かもしれないが。
とりあえず、お休みとだけ使い魔達に告げると、次々と野太い返事が返ってきて、更に疲れがました。

(美しく、神聖な使い魔を召喚するはずだったのに!どこが狂ったのよ!
 始祖ブリミルよ。これはあまりにも過酷ではないでしょうか。)

部屋に戻った彼女は、ひとしきりベッドの中で悪態をつくと生まれて初めて始祖ブリミルをののしった。
だが、思っていたよりも疲れていたようだ。
10分もたつと静かな寝息が響き渡った。


一方男達は、使い魔用の宿舎でわらの上に横たわっていた。
既に爆睡するものも多い。
歯軋りといびきが響き渡って、使い魔たちが寝づらそうにしているにも関わらずだ。
そんな中で1頭の竜が静かに立ち上がった。

(こんな環境じゃ寝れないのね~きゅいきゅい)

などと思ったかどうかは定かではないが、とりあえず外で寝ることにしたようだ。
昼のうちに見つけた特等席に向かうと、既に先客がいた。

「月が綺麗だとは思わないか?」

そんな風に男が声をかけてきた。
同感したのかどうかは分からないが、きゅいきゅいと竜は鳴くと、男に近寄った。
少なくとも、悪い男ではないと思われたようだ。
竜が腰を下ろすと、男は一言断りをいれてから、竜に寄りかかった。
会話は何もない。
しかし、不思議と安心できる空気に、男と1頭の竜はいつの間にか眠りだしていた。

男達の使い魔 第2話 完




NGシーン

雷電「こ、この術はまさか!」

虎丸「知っているのか雷電!」

雷電「これぞまさしく、中国において古代より伝わる杵有漢」

かつて、唐の時代、杵有漢(しょ・うかん)という拳法の達人がいた。
国士無双と詠われた彼は、同時に多くの敵を作っていた。
多くの敵に四六時中付けねらわれるのに疲れた彼は、秘奥義神毬送りをもとに一つの奥義を生み出した。
この奥義によって、自分の代わりに戦ってくれるもの、見張りをしてくれるものなどを呼び出した彼は
以降平穏な人生を送ったという。
この故事がハルケギニアに伝わり、召喚となったのは、杵有漢に対する尊敬があったからである、
というのは、雌威璽の始祖武利彌瑠が書いているように、あまりにも有名な事実である
民明書房刊「召喚、その全て」(平賀才人著)



新着情報

取得中です。