あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ときめきメモリアル0-10

ルイズの抱える『爆弾』が暴発しかねない勢いらしい。
最近、あまり構っていなかったのが原因の様だ。
マルコリヌからもたらされた情報によって、そのことを知ったぼくは、ルイズの心をケアする為に奔走した。
しかし、意外なところから差し延べられた手によって、ぼくはその責務から開放されることになる。
ルイズの婚約者を名乗るワルドという男が現れたのだ。
ぼくは心の中で年上のワルドさんに向かって両手を合わせた。
なんだか、最近のぼくは怖いくらいについている。今なら始祖ブリミルの御威光を感じられそうな気がした。
おまけにワルドさんはかなりの実力者で、王国内でそれなりの地位に就いているようだった。
この人ならルイズを幸せにしてくれるだろう。
そんなことをぼんやりと考える平和な日々は、トリステイン王国が姫殿下アンリエッタの密命によって、あっさりと瓦解した。
ぼくとルイズは政情不安定なアルビオン王国に赴き、一通の手紙を譲り受けなければならないらしい。よくわからないけど、いつの間にかそういうことになっていた。
ルイズは一国の姫殿下から密命を賜ったことに、素直に喜んでいた。
こうして、フーケ事件の面子にワルドさんを加えた一行はアルビオンに向かった。
しかし、困ったことに、アルビオンは政情不安定どころか内戦が勃発している有様だった。ここぞとばかりに活動を活発化させている山賊や空賊に襲撃されること計三回。世の中、なかなか思うようにはいかない。
人生の常だ。
結局、目的地のアルビオン王国が王都ニューカッスルに到着した時には、みんな、疲弊しきっていた。
まあ、命があっただけでめっけものだ。
それもこれも、全てはワルドさんのおかげだ。彼は襲来する賊を相手に、常に最前列で戦いつつ、おまけに仲間への気遣いも忘れない。男の度量というものを見せ付けられたぼくは、ワルドさんへ羨望の眼差しを向けた。
ルイズは恋する乙女になっていた。
最高の婚約者をもつルイズに、心からの拍手を送りたい。そんな、馬鹿げたことを考えた。
「恰好いいな、ワルド子爵殿は……」
ぼんやりと呟く男ギーシュに軽い嫉妬心を覚えたぼくは、やっぱり、小物だ。
アルビオン王国皇太子から目的の手紙を受け取ったルイズは、それでも浮かない顔をしている。
それも当然だ。明日、死ぬ人を前にして、大喜びできるやつなんていないだろう。
どうやら、アルビオンで起きている動乱は、内戦と呼ぶにはあまりにも一方的だった。
最後の砦である王都ニューカッスル城に控えるは王党派軍三百、対する貴族派反乱軍はその数およそ五万。
明朝、反乱軍による総攻撃が行われるらしい。間違いなく、ニューカッスル城は陥落するであろう。
戦争のことなんて、全く知らないぼくでもそれくらいは分かった。
しかし、彼等王党派の中に逃亡、亡命という選択肢を選ぶ人は誰一人としていなかった。
彼等は王家の誇りと名誉の為に死ぬつもりなのだ。
ぼくにはその気持ちを全く理解できないい。ただ、胸を打たれたのは確かだった。
決戦前夜、ささやかな祝宴が行われ、ぼくとワルドさんも参加することになった。
ギーシュを含む少女陣は与えられた寝室に閉じこもっている。なんとなくだけど、そうしたい気持ちも理解できた。
ぼくは、ウェールズ皇太子に尋ねた。
「あの、失礼ですけど……、その、怖くないんですか?」
「怖い?」
ウェールズ皇太子はきょとんとした顔をして、ぼくを見つめた。
「死ぬのが、怖くないんですか?」
「そりゃあ、怖いさ。当然だろう」
「では、どうして?」
「守るべきものがあるからだ。守るべきものの大きさが、死の恐怖を忘れさせてくれるのだ」
「何を守るんですか?名誉ですか?それとも誇りですか?」
ウェールズ皇太子は、遠くを見るような目で語り始めた。
「我々の敵である貴族派『レコン・キスタ』は、ハルケギニアを統一しようとしている。『聖地奪還』を旗印にな。
理想を掲げるのはよい。しかし、あやつらはそのために流されるであろう民草の血のことを考えぬ。興廃するであろう、国土のことを考えぬ。
民の未来こそが私の守るものだよ。私は彼等の明日の為に死ぬ」
ぼくはしんみりとした。他に何か方法はないのだろうか。もちろん、いくら考えても名案は浮かばなかった。
「アンリエッタに伝えてくれ。ウェールズは勇敢に戦い、勇敢に死んでいったと」
ぼくは頷いた。
「最後に一つだけ聞いてもいいですか?」
「なんなりと」
「あの手紙の内容は……」
ウェールズ皇太子はどこか寂しげに微笑んだ。
「それは秘密だよ」



ウェールズ皇太子は誠実で優しくて勇敢な青年で、だからこそ、彼が卑劣な裏切りによって殺害された事実は、ぼくを激昂させた。
「ワルド!お前だけは許さない!」
朝の光りに照らされたウェールズ皇太子の遺体を踏み付ける裏切り者に向かってぼくは吠えた。
ワルドの杖からは、ウェールズ皇太子の鮮血が滴っている。
ルイズ、タバサ、ギーシュ、キュルケがそれぞれ杖を握った。
しかし、ルイズだけは豹変したワルドに畏怖し、その顔は蒼白しきっていた。
王党派の貴族達は、城下に迫り来る軍勢に最後の抵抗をしている。
ワルドが残忍な笑みを浮かべた。
「許さない?冗談は止したまえ。君達五人でぼくを倒せるとでも言うのか?」
ぼくはデルフリンガーを引き抜いて、ワルドに切り掛かった。ワルドは剣戟をかわしながら、呪文を唱える。
ワルドの素早さは人外のものだった。
【サイバーファング】と【世界征服ロボ】を駆使したとはいえ、銀河系最強の知的生命体を退けたぼくと互角の戦いを繰り広げられる存在がいるなんて、にわかには信じられなかった。
だけど、これは現実だ。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
呪文が完成すると、ワルドの体から四つの影が滲み出た。
「分身…?」
「私は風系統のメイジだ。そして、彼等はただの分身ではない。風のユビキタス(遍在)……。風の吹くところいずことなくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する」
四人のワルドがルイズ達に襲い掛かる。
次の瞬間、虚を付かれたギーシュはワルドが放ったウィンド・ブレイクの衝撃波をもろにくらい宙を舞った。彼女の身体は窓ガラスを突き破って、今まさに苛烈な戦いが繰り広げられている戦場へと転落する。
「ニーシュ!!」
知らず知らずうちにぼくは彼女の真の名を叫んでいた。だけど、そんなことを気にしている暇はない。
ぼくは窓に駆け寄ろうとしたが、ワルドがその間に立ちはだかった。
「他人を気にしてるような場合じゃないだろう……?」
「邪魔だ、どけ!」
「ならば、ぼくを倒すがいい」
ワルドの右手から杖が突き出される。半身を退けて、それをかわしたぼくは渾身の後ろ回し蹴りをワルドの腹部に叩きつけた。
ワルドの体が石造りの壁まで吹き飛び、派手な音をたてながらその場に倒れ込んだ。
ぼくはデルフリンガーを鞘に納め、かわりに三本の筆を取り出した。
チャンスは今しかない。
「ワルド、確かに風は遍在する。だけど、同様に光も遍在する!」
「……なに?」
ワルドが怪訝そうな顔をした。
ぼくは心を落ち着かせ、穏やかに詠唱を始める。
心休まる声でないと、光の精霊が応えてくれない為だ。

「……我が名は小波。御元に仕えし、汚れなき心」

三本の筆に変化が起こる。

「……闇、包みしところに我は無し」

一本の筆が赤く輝く。

「……光、照らすところに我は在る」

一本の筆が青く輝く。

「……存在の証明を担いし偉大なる光の聖霊よ」

一本の筆が緑に輝く。

「……今、ここに集いて、悠久の時より紡がれし汝が御力を示されん」

三色が螺旋状に絡まりあい、白くまばゆい光を生成した。

「いでよ、聖霊の三原色!」

ぼくの筆から解き放たれた光がワルドごと分身を包み込み、一瞬にして、その姿を全て掻き消した。
色素を破壊された者は光の精霊の加護から弾き出され、存在そのものが消滅させられる。
ぼくの部活動奥義、精霊の三原色が色素破壊だ。

「……ワルド、風以外に遍在する存在を知らなかったあなたの負けだよ」

ぼくは、先程までワルドが存在した場所に向かって、小さく呟いた。

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