あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

レンタルルイズ6

数千度、それは人間の腕など一瞬で炭と化す温度であり、いかに冷血な人間であろうとも例外ではない。
結果、ワルドの腕は一瞬のうちに炭と化し砕け散った。
身を焼く激痛に耐え、前を睨み、片膝をつき、現存する腕で杖を拾い直したワルドにみかんは告げる。
「ワルドさん…こうさんして」
その言葉に、その眼に迷いはない。
年端のいかない少女の決意を固めさせるにいたらせたのははたしてワルドであろうか、それともルーンであろうか?
「反則じゃないかな?みかんちゃん」
その決意を、圧倒的不利な状況を前にしても、しかしワルドは笑みを浮かべた。
もっとも、当初のようなさわやかさは欠片もない、醜くひきつった笑みだ。
「こうさんして」
二度目の言葉。
それに違いがあるとすれば、込められた殺意。
どれだけ卑劣な人間であっても誰かを殺すということは倫理的道徳的に一線を画すものがある。
ルイズにはそれを受け入れる覚悟はない。
のどが渇くのはオルトロスの火炎のせいばかりではないだろう。
「残念だが…降参はできない」
その一言にみかんは目を細め、呼応するようにオルトロスが唸る。
「どうしても?」
「ああ、どうしても、だ。それに…」
「?」
「降参する必要もない」
今度のそれは、引き攣ったりなどしていない、不敵な笑み。
どういう意味だろうか?
単なる虚勢だとは思えない。
平然と毒を盛るような人間である、何かしらの罠のような策略を張り廻れせているのかもしれない。
「ワルド、どういう意味?」
「そのままの意味だよ、僕のルイズ。もうすぐここには戦争のために艦隊がやってくる。そしてこのあたりを全て吹き飛ばす手はずになっている」
「なんですって?!そんなことしても何の意味もないじゃない!!戦争なんてする必要ないでしょ?!もうここには王国軍はいないのよ?!」
返事は、含み笑い。
「それは違うよルイズ、戦争はあったことにならなきゃいけない。毒殺なんかじゃメンツが立たないだろう?」
「じゃぁ、じゃぁなんでこんなひどいことしたの?!彼らは、戦うことを望んでたわ!!こんなの卑怯よ!!卑劣よ!!」
「事情があるんだよルイズ、今は言えないけどね」
会話を遮りみかんが警告をする。
「もういい?こうさんするの?しないの?」
みかんに向きなおったワルドは、得意げに語りだした。
「本当ならね…」
「?」
「もうとっくに砲撃は始まってるはずなんだよ。この広場一帯にね?それを僕が待ってもらうように頼んだんだ。君たちを説得する時間が欲しくってね」
「だから何なの?」
ワルドは、その杖をわきに挟み、親指と中指を交差させる。
「つまりね…こういことさ」
パチンと、指がなると同時に、耳をつんざく轟音が鳴り響いた。
「ワルド!!あんた何したのよ?!」
大気事態が震えているかのような轟音の中、乾いた音が聞こえる。
「GYAAAAAAAAA!!」
「オルトロス!!」
硝煙の中にたたずむ男は冷酷に告げる。
「とっくに我々レコン・キスタの戦艦による包囲は完了してるんだよ。これはエンジンを雲の中で休めていた戦艦が一斉に動き始めた音さ。そしてこの銃声は、君たちの頼りの綱が倒されたことを証明する音だ」
血を流すオルトロス、それに寄り添うみかん。
オルトロスはもう戦えそうにはない。
みかんは、結果を張り続けなければならない。
ルイズはそもそもなにもできない。
「どうかな、二人とも、降参してくれないだろうか?」
「誰が…!!」
強がっては見たものの、万策尽きたことには変わりない。
仮にワルドを倒せたにしても砲撃の雨の中生還できるとは思えない。
「ルイズ!!降参してくれ!!君の才能が僕には必要なんだ!!」
才能?…ああ、そうか。私には才能があったんだっけ?
ルイズは、その杖をワルドに向ける。
「ルイズ?何をしているんだい?」
「あんたのいう才能、試してみたくなったのよ…レビテーション!!」
「なっ…--!!」
ワルドを狙ったそれは、しかし足元を吹き飛ばした。
決意を固めたルイズ、冷汗を流すワルド。
はたしてどちらが有利な状況なのだろうか?
「ワルド、降参してくれない?」
沈黙は、オルトロスの声が弱まっていくことによってより強まっていく。
「これは、少々分が悪いな。ルイズ、君は改めて迎えに来ることにするよ。フライ!!」
「待ちなさい!!」
飛び去るワルドに向けられた爆撃は確かな威力をもってはいたが、当たらなければ意味がなかった。
「逃げられたわね…。みかん!!オルトロスは大丈夫?!」
振り向けば、そこには水の魔法を行使するみかんがオルトロスを癒していた。
弾丸が貫通していたことが幸いだったのだろう。
ガンダールヴとして強化されたみかんの治癒は傷を一瞬でふさいでいく。
「あんた、水の属性魔法が使えたの?!」
「うん、れんしゅうしたらつかえるようになったの。それより、どうしよう?ルイズお姉ちゃん」
砲撃はもうすぐだろう。
空が戦艦で黒く染まり始めていた。
圧倒的火力をもってしてこのアルビオン王国軍を一瞬で壊滅させたことにしたいのだろう。
「建物に入りましょう?外よりはきっと安全だわ」
外よりは、安全なはず。
二人は惨劇の場所に戻ってきた。
できればもう見たくないというのが本音ではあったが、最後にウェールズ王子に別れを告げておきたかったのだ。
「ウェールズ王子…」
先ほどまでの気迫など微塵も感じられなかった。
みかんはオルトロスの背に力なくうなだれている。
ルイズも同じようなものだ。
すっと、ウェールズの目を閉じさせる。
途中、指輪が目にとまった。
せめて姫様への形見にしようと、一応ことわったうえでそれを外し、ポケットに入れた。
「これからどうする?」
せっかく形見を手に入れたにしてもここから帰れなくては意味がない。
「にげなきゃ…」
そんなことは分かっている。
ワルドがどういった風に逃走したのかは分らないが、おおかた仲間の戦艦に合図でも送ったのだろう。
実際指ひとつで戦艦を動かしていた。
「だからその方法をっーーー!!」
大地をうがつ爆音と体全体で感じる揺れが砲撃の始まりを知らせた。
ルイズもみかんも、オルトロスを抱きかかえるようにして耐える。
豪雨のようにつづけて着弾する砲弾と耳がおかしくなるほどの大砲の音。
視界の隅にキュルケの姿が移った時はとうとう頭までおかしくなってしまったのかと思った。
いよいよもって死ぬのかと、キュルケに手をひかれているとあたりが真っ暗になった。
やはり自分は死んでしまったのかと、ルイズは意識を手放した。

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