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『使い魔くん千年王国』 第十四章 怪盗フーケ(中編)

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案内役のミス・ロングビルが手綱を引く学院の馬車に揺られ、
ルイズ、キュルケ、タバサ、松下の一行は『土くれのフーケ』のアジトらしき廃屋を目指す。

「『近く』と言っても、片道馬車で半日もかかるとはな。悠長なことだ」
「山道……シルフィードに乗っていけばすぐ…だけど、目立つ」
「準備もあったし、着く頃には夕方ね。
 貴族の邸宅へ『お仕事』に出るフーケと鉢合わせしなけりゃいいけど」
「その時こそ、フーケをその場で取り押さえるの!」
「ああーはいはい、できればね。『土のトライアングル』よ、相手は」

「しかし、貴族以外にもメイジはいるのか?」
「もとは貴族でも、勢力争いで追放されたり没落したりして金とコネがなくなって、
 平民に身を落とす奴らもいるの。でもプライド高いから正業に就かないで、
 盗賊や雇われメイジになることが多いのよ」
再就職に選り好みはしていられない、ということもないのか。
魔法という特殊技能があるから、活用すればいろいろできそうなものだ。

「そういえば、たしかミス・ロングビルもそのクチよね。
 …ねねね、何で貴族の名を捨てたの? 恋愛絡み?」
「やめなさいよ。あんたの祖国じゃどうか知らないけど、トリステインじゃそういうのは失礼よ!」
「実力はどれぐらいだ? フーケに対抗できるなら心強い」
苦く微笑むロングビル。
「私は『土のラインレベル』です。残念ながら、皆さんほどの力もありませんよ」


馬車で半日は退屈だ。話し好きなキュルケが、雑談がてらいろいろな情報を聞き出す。
「でも、『魔界の杖』ってどんな形なの? オールド・オスマンは
 『随分昔に預かって、しまいこんだままじゃから、忘れた』なんていってたわ」
「『箱』の形状は調べてあります。その箱にも固定化魔法がかけてあり、この『鍵』でしか開きません」
ミス・ロングビルが『箱』の絵と『鍵』を見せる。これも学院からの借り物だ。
「取り返せないと、王宮から学院の管理責任を問われます。威信も下がります」

太陽がかなり傾いた頃、薄暗い森の奥の廃屋に着いた。
もとは炭焼き小屋らしい。小さなログハウスのような感じで、周囲にまだ薪が積んである。
物陰に潜んで周囲の様子を伺うが…。
「ちょっと冷え込んで来たわね…さっさと秘宝を奪還して帰りましょう。
 置いてあればの話だけど、ここまで来て無駄足踏むのはごめんよ」
キュルケが空中に小さな火を点けて、明かりと熱にする。
「泊りがけの任務かあ。私、野宿なんてしたことないわ」

小屋の中にも周りにも、特に気配はない。『仕事中』ということか。
「じゃあ、私とマツシタくんで偵察。タバサはルイズとミス・ロングビルを守って」
「…了解」
むくれるルイズを置いて、二人は慎重に小屋へ向かう。罠は見つからない。
「いい、じゃあ開けるわよ」
「よし」
ぎぎぃ、と音がして小屋の扉が開いた。



「ぷわっ、ホコリっぽい! カビ臭いし、蜘蛛の巣が張ってるじゃない、もう~」
「ところどころに新しい足跡がある。誰かのねぐらではあったようだな」
キュルケとマツシタは、火で照らしてして小屋の中を捜索するが、なかなか見つからない。

「……ねえ、ミス・ロングビル。タバサ。…言いにくいんだけど」
物陰にいたルイズが、頬を染めながら口を開く。
「何かしら? ミス・ヴァリエール」
「……『お花を摘み』に行きたいのですけれど」
「………私も。心配」
まあ、『お花を摘みに』ですって? 貴族はこんな時も優雅な振る舞いを忘れないのね。
「ええ、二人ともあまり遠くに行ってはダメですよ。危険ですから」
ロングビルはにっこり笑って許可する。

「本当にあるのかしら、秘宝なんて。無駄足踏まされたの?」
「…『杖』がなくても、フーケの『盗品』があれば、密かに失敬するつもりだったが…」
「まあ、計算高いのねマツシタくん! それはいい考えだわ」
この人選は大丈夫だったのだろうか。
と、小屋の隅の棚からガタガタと音がする!
「「!! 敵?!」」
「……いや、この箱は…」
その時、小屋の外から絹を裂くような悲鳴が!!


「で、で、出たわね!」
ルイズたちの前に、突如フーケの『土のゴーレム』が現れた!!
タバサが『風』の魔法で攻撃するが、相当な威力にも関わらず効果は薄い。
『風』では『土』に敵わないのだ。多少のダメージはあるが、すぐ修復してしまう!

「ミ、ミス・ロングビル!! 逃げて!」
ゴーレムを挟んでルイズたちの反対側にいたロングビルは、杖を構えながら後退するが、
ゴーレムは巨大な足を上げて踏み殺そうとする!
「こ、このっ! こっちに来なさい!」
ルイズが開き直って爆発魔法を撃つが、狙いが定まらない!

「きゃああああああああああああ!!!」
無情にも、ミス・ロングビルはゴーレムに「ぐしゃり」と踏み潰されてしまう!! 即死だろう。
「いやああああああああああ!! ミス・ロングビル!!!」
騒ぎを聞いたキュルケとマツシタは、中で何かがガタガタしている『箱』を抱え外に出るが、
小屋の前で彼女が死ぬ瞬間を見てしまう。
しかし、彼女は最期に『鍵』を投げて、マツシタに渡したのだ。
もうもうと土煙が立ち昇る…。

土のゴーレムの肩には、『黒いローブの大柄な男』の影があった…。


「な、なんてこと! うぷっ、気持ち悪い…ルイズ! タバサ! 無事なの!?」
「一時撤退」
タバサは口笛を吹き、森に潜ませていたシルフィードを呼び寄せる。
全員シルフィードに乗り、上空に退避した。
「なんとも儚いことだ。だが、おかげで『魔界の杖』は奪還できたぞ」
「ま、マツシタあ…そ、それ中に何が入ってるの? 杖がガタガタ動くものなの?」
「この『鍵』で開けられるんだったな。よし……(カチリ)」

箱の中から出て来た『魔界の杖』は、かなり奇妙な形をしていた。
長さは松下の背丈よりやや短いが、古い木製の杖で、前側には奇怪な蛮族の顔が彫り付けられ、
トーテムポールのように縦に顔が連なっている。また上に行くほど太く、下に行くほど細い。
さらに上で二つに枝分かれし、その先には老人の『干し首』に似た異様な頭部が各々付いている。
ご丁寧にも頭部には長い白髪が植えつけられており、目鼻立ちがはっきりしないのが余計不気味だ。
しかも、これが生き物のように自律的に跳ね回るのだ。

「うわっ…すごいデザインね。魔界というか南方の蛮族みたい」
「たしかに魔力を感じるけど……悪趣味ね」
「おお…これは『占い杖』じゃないか!」

(つづく)

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