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『使い魔くん千年王国』 第十二章 買物

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今日は『虚無の曜日』、つまりは休日だ。
ルイズは、朝の着替えと朝食を終えると「町に行くわよ!」などと言い出した。
欲しい物を買ってくれるということらしい。どういう風の吹き回しか。
「いろいろ必要なものも欲しかったところだ。ちょうどいい、行こう」
学院に篭ってばかりでなく、そろそろ外界の様子も観察する必要がある。

(鞭ばかりでもなんだしね…効いてなかったけど。
 それに、こういうことで恩を売っておかないと、なんというかよくわかんないけど、
 『赤い』ことをされそうな気がするのよね…)

ルイズは『蛙男』ケロヤマの夢を見てから、ある種の霊感……
というより『危険察知能力』が向上している。
(どーせなら魔法も使えるようになればいいのに。使い魔の方が凄いメイジってなんかイヤ…)

「お出かけですか? 『我らのメシア』」
「おはよう、シエスタ。『御主人様』がぼくに何か買ってくれるそうでね。
 これから街へ出かけるところだ」
「かしこまりました。すぐ馬丁に馬を用意させます」
メイドのシエスタは、いまやマツシタの熱心な『信者』だ。
あの『蛙男』みたいな高等な従僕…『使徒』、という事なのだろうか。
魔法の一つも使えない平民のくせに…いや、私も使えないのよね…。

「でもメシア、あなたのような偉大な方が使い魔だなんて」
「いやいや、人の上に立つ者は『全体の奉仕者』でなくてはね。いい修行になる。
 かんしゃく持ちの小娘の子守ぐらい、どうということはないさ」
「さすがですメシア! このシエスタ、メシアのためなら何でもいたします!」
「ははは、じゃあぼくたちがいない間の部屋の掃除でも頼もうか」
なんかすんごい聞き捨てならないこと言ってない? ていうか仲良すぎよ!
……ってなんで私があいつにツンデレしなきゃならないの! もう!


二人が学院をだいぶ離れたころ、青い髪の少女『タバサ』は、
自分の部屋で趣味の読書を楽しんでいた。
『虚無の曜日』は彼女が他人に邪魔されず読書に没頭できる、特別な日である。
普段から本を呼んでばかりで、他人とのコミュニケーションは最低限なのだが。

いきなりドアが激しくノックされる。
「タバサ! タバサいる!? タb」
この声はタバサの唯一と言っていい友人、キュルケだ。でも五月蝿いので『静音』。
しかし『開錠』でドアを開けて入ってくる。

こっち来るな蒸し暑い無駄乳の発情年増め顔が近いんだよ気持ち悪い。その巨乳を見せつけるな。

「…」「……!」「…」「………!!!」「」「…」
ジェスチャーが激しくて風と唾と熱気が来る。仕方ない、『静音』解除。
「っタバサ! 『シルフィード』に乗せて! ルイズたちを追いかけなきゃ!!」

どうやらルイズとマツシタが学院の外へ出かけたのを目撃したらしく、
タバサの使い魔である風竜『シルフィード』で追いかけて欲しいとのことだ。
「あの子たちすごく面白いのよ! 外で何をしでかすか見ものじゃない!」

まあ仕方ないかとタバサは立ち上がり、窓の外を向いて風竜『シルフィード』を呼び出す。
「あの使い魔…ユニーク」
「確かにユニークだけど、あなたがそれを言っちゃダメよ。よくわかんないけど」
お約束なネタにキュルケのつっこみが入った。


獣を操る『ヴィンダールヴ』のルーンのおかげで、馬は小さな松下を乗せてすいすい走る。
「こら、待ちなさいマツシタ! 御主人様を置いていくな!」
2時間ほど馬に揺られると、大きな町が見えてきた。
トリステイン王国の王都、トリスタニアだ。

やってきたのはトリステイン最大の通り『ブルドンネ街』だが、
道幅は5メイルほどしかない。まあ、中世レベルのヨーロッパもどきはこんなものだろう。
通りの脇には露店や商店が並び、馬車や人間が忙しげに行きかっている。
ちょっとはぐれると迷子になりそうだ。

「なかなか活気がある町のようだな」
「トリステインの都だもの! あそこに見えるのが王城よ」
おのぼりさん気分で歩く松下を、ルイズが店の方へ連れて行く。
「さ、何が欲しいの? 何でも言ってごらんなさい! ……予算は100エキュー以内でね」
この世界の物価はよく知らないが、シエスタやマルトーたちの話では、
大体120エキューもあれば平民なら1年間の生活費になるらしい。
貴族の財布の中身としてはそれなりだ。ただ足りるかどうか…。

「まずは『秘薬』だな。学院の物を調達するにも限度がある」
「武器とかはいらない?」
「魔法がかかっている品なら話は別だが、ぼくは剣など使わない」
「それ、どっちも結構高いのよ。服や杖ならいいかなと思ったけど」
ルイズは少し渋るが、「安いやつならいいわよ」と言って松下を案内する。

二人は汚い裏路地『チクトンネ街』へと入っていく。
「あの四辻にあるのが『ビビビンの秘薬屋』よ」
いかにも秘薬屋らしい怪しげな店だ。軒先に変な干物やら薬草やらが吊り下がっている。


二人は『ビビビンの秘薬屋』に入る。
昼間だと言うのに薄暗い。種種雑多な薬の臭いがして、ルイズは眉をしかめる。
「なんか凄い臭いね……誰かいないの? 客よ!」
声をかけると出て来たのは、長細い顔に二本の前歯、ぴょんと突き出た8本の口ひげ、
臭くて汚らしいローブに身を包む、一見ルンペン風の怪しげで卑しげな男。

…我らが『ビビビのねずみ男』です。どう見ても。

(なんかネズミっぽい奴ね………そういえばギーシュの奴、生きているかなあ。
べ、べつにあんな奴どうだっていいじゃない! 気にしてるわけじゃないんだからねっ)

「へへへへへ、うちは真っ当な商売してまさぁ、貴族のお嬢様。
 お上に目を付けられるようなことなんか、毛の一筋もありませんや」
「今日は客よ。別にあんたを取り締まりに来たわけじゃないわ」

箱入りの美少女貴族の上客! ふはっと鼻息を荒くした主人は、
ぼったくってやろうとたっぷり愛想を使いだした。
「へへへへへへへへへへへ、そりゃ大変失礼をいたしやした。
 何がご入用で? ベラドンナ草の粉、マンダラゲ、イモリの黒焼きに大鴉の心臓。
 ことによっちゃご禁制の『惚れ薬』なんかもございますぜお嬢様。うっひひひひひひ」

「買うのはこの子よ。ほら、何が欲しいの?」
と、松下を促すルイズ。
「はああ? こりゃおでれーた! このお坊ちゃんが秘薬をお求めですかい?
 あの、失礼ですが弟さまで?」
「……私の『使い魔』よ。まあ従者見習いね」
「おでれーた! おでれーた!」
どこかで聞いたようなリアクションで驚く主人。

「きみ、いまから言う物が揃うかな? 予算は100エキューしかないが、
 なんならあとでこっちへ請求してもいい」
「ちょっとお……」


松下はルイズが青い顔をするのにかまわず、さまざまな秘薬を買い付けた。
揃わない分は後で送品してもらうことにする。

「へっへへへ、今日は商売繁盛。隣の武器屋の方も、
 毎日うるさくしゃべって営業妨害だった錆びた剣を、
 けっこうなお値段で引き取ってくれたお客様が来たしよお」

それにしてもこのねずみ男、順応性の高い奴である。店を二軒も我が物にしている。
そしてさようならデル公。きみのことはしばらく忘れないよ。
「でも、剣を買った奴もさっきの餓鬼も、手の甲に『ルーン』ってやつを彫り付けてたなあ。
 流行ってるのかな? 今年の流行ファッション?」

二人が店を出ると、路地の向こうからキュルケとタバサがやってきた。
「やっほー、お二人さん。デートは順調?」
「何がデートよ! こいつに買物をさせているの。…というかあんたたち、学院から尾行してきたの?」
「まあね。で、何買ったの? 惚れ薬とか?」
「ちょうどいい、きみたちも資金を出してくれ。御主人様の小さな財布では足りないようだ」
「マ・ツ・シ・タああああああ!!」
「あははははははは!! あ、マツシタくん、この娘はタバサ。
 口下手だけどよろしくね~」

その後、四人は街中を歩き回り、一日中買物と遊びを楽しんだ。
タバサは本を読んでばかりだったが、似たところのある松下に少し興味がわいたようだった。


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