あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

GTA-0_6

呪文を唱え、杖を振った。何度も、何度も。
主人として相応しい力を得る為に。服従させる力を得る為に。
だけど魔法が成功する事は無かった。全部爆発。全部失敗。
夕食を食べる気にもならず、そのまま部屋に帰ってベッドに直行。

……そしてそのまま眠ったのね。
朝日に照らされたベッドの中、私は自身の酷い格好を見ながら
昨日の出来事をぼんやりと思い出していた。

…あ。そうだった、今日は。
……使い魔を従えられない私が行って何の意味があるのよ。
それに、どうせ連れて行っても笑われるだけよ。私の使い魔は『 平民 』なんだから。
…今日はもう部屋に籠ってようかな。


ぐうぅぅぅ


……ひとまず朝食だけは取ろう。



今朝のキュルケ、珍しく大人しかったわね……。変な物でも喰ったのかしら。
そんな事を思いながら自室へと帰ろうとした、その時。
「ミス・ヴァリエール、少し宜しいかね」
コルベール先生に呼び止められた。何の用かしら。

クロード・スピード。忌まわしい私の使い魔。
まさか、こんなに早くあいつと対面するとは思ってもいなかった。
正直に言えば、もっと魔法を練習する時間が欲しかった。
…今の私にはあいつを従える力が無いから。

……本当にそうなの?
私は怖いから逃げてるだけじゃないの? あいつから、自分から。
…そうよ、私は誓ったはずよ。あいつを絶対に従えさせると。
あの男を服従させてメイジになるか、さもなくば……一生『 ゼロ 』で終わるか。
出来るとか出来ないとかじゃない。やるしか道はないのよ。そう…やるしか!



「親睦を深め合う」ですって? 笑わせるわ。私は戦いにきたのよ。
こいつを『 真の意味で 』私の使い魔にする為の戦いに。
覚悟は決めた。方法も決めた。後はやるだけ。
クロード…あんたは今日死ぬのよ。死んで私の使い魔になるのよ。
「…座りなさいよ」

「クロード・スピード。今からアンタに躾をしてあげる」
「…お前に出来るのか?」
正直、勝てるかどうか分からない。
私の魔法は折れた剣と同じ。本来の働きは為さない。
それでも…敵に突き刺すことは出来る。爆発だけは起こせる!
「心配しなくても良いわよ」
さあ…戦いの始まりよ!


当たらない、全く当たらない。狙った所で爆発しない。全部外れた。

まだよ! まだ距離はあるわ! 今度こそ当てる!

忍び寄る諦めと言う名の影を振り払う為、自身を叱咤する。
爆発に頼るなんて無様で、自ら魔法を成功させる意志を捨てるようで嫌だった。
だけど私にはこれしか、爆発させる事しか出来ない。
だから…弱音なんか吐かない! 呪文を唱えるだけよ!
「ルイズ! やめなさい!」
「五月蝿いわよキュルケ、邪魔しないで!」
ツェルプストー、今アンタなんかに構ってる暇は無いのよ! 今度こそっ!!


ぼふっ


な、何!? これは!
背中に何か柔らかい物が当たると同時に、私の腕を褐色の手が掴んだ。この手は…キュルケ!
「何するのよキュルケ! 邪魔しないで!」
「アンタ何考えてるのよ!? まわりが滅茶苦茶よ!」
「五月蝿いわね! 放してよ!」
「くっ、この大バカルイズ! こうよ!」
杖が!!
「ああっ!! 返しなさいよ、このバカキュルケ!」
「もうっ! ちょっとあなた達! ボサッと見てないで手伝いなさいよ!」
まだあいつを倒してないのに、こんな、こんな形で終わるなんて!
「放して! 触らないで!」
押さえつけられる体。湧き上がる屈辱。


また私は、勝てなかった。



「ん~。それではミス・ヴァリエール。何故あんな所で魔法を使ったのか教えてくれんかのぉ」
「…使い魔への躾です」
「ふむ、躾とな…。それにしては些か派手にやったもんじゃの」
「………」
「ふーむ……。とにかく、じゃ。今後は時と場所をよく考えて魔法を使わんといかんのう」
「はい…」
「まあ…なんじゃ。あまり思い詰めなさんな。まだまだ時間はあるんじゃからのう。
 ゆっくり躾ければ良かろうて」
「はい…」
「うむ、ではもう下がってよいぞ」
えっ…、もう終わり? 何の罰も無く、こんなに早く話が終わるなんて…。
「罰は…無いんですか?」
「うん? ミス・ヴァリエールは罰を所望か?」
「えっ、いや私は別に…」
「お望みならば仕方が無いのう。ワシが直々に…」
「でっ、では私はこれでっ!」

「オールド・オスマン……あのような言動は今後は謹んで下さい」
「ほっほっほ。少々度が過ぎたかのー」
「全く…。っ!?」
「ワシとしてはミス・ロングビルに色々お仕置きしたいのぉー。んんー、良いお尻」
「………」

「お、落ち着くんじゃ。こりゃちょっとしたスキンシップ…」
「オールド・オスマン。『お仕置き』が大好きなのでしょう? 存分にして差し上げますわ」
「いや、ワシが好きなのはされるよりするふごぁっっ!!」


学院長室から逃げるように出ると、私の視界に今最も会いたくない人間の姿が映った。
キュルケ…何でここに居るのよ。また私を笑いに来たの?
「どうだったの? ヴァリエール」
「お咎め無しよ…。アンタには関係ないでしょっ!」
今、私はアンタの相手なんかしたくないの。さっさと帰ろう。

「ルイズ、あなた昨日魔法の練習をしてたでしょ」

「 っ! なんでアンタが知ってんのよ!?」
「偶然見かけたのよ、偶然」
「……それでそれがどうしたのよ。アンタと何の関係があるのよ!」
「う~ん、そうねぇ…。今日の事と何か関係が有るかなあ、と思って」
「っ!」
何で分かるのよ!?
「どうやら当たりのようね」
「な、何を言ってるの? 何の事だかさっぱりねえ」
「…あんた嘘が下手ね」
「何ですって!」
「やっぱりね」
「あ」
な、何て事! ツェルプストーの口車に乗せられた!!
「…まあ、それはそれとして。ルイズ、あんたに言っておきたい事があるのよ」
「な、何よ」
人を虚仮にしてこれ以上何を言おうってのよ。

「……もしも、もしもよ。何か悩み事があるのなら相談に乗るわよ」

「えっ…」
「勘違いしない様に言っておくけど、別にアンタを助けようって訳じゃ無いわ。
 宿敵が度々騒ぎを起こして退学にでもなったら私が退屈するからよ」

キュルケ…あんた……。

「それじゃあね、ヴァリエール」
言いたい事があった。聞きたい事があった。だけど言葉に出来なくて。
去っていくキュルケの背中を見つめる事しか出来なかった。

問題は何も解決していない。使い魔を従える事は出来ず、魔法は失敗ばかり。
だけど…少しだけ気が楽になった。何とかやっていけそうな気がする。そして……嬉しかった。

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