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究極超人るいず 第3話.トリステイン一の無責任旅行の巻

第3話.トリステイン一の無責任旅行の巻

 風竜を従えたトライアングルメイジの少女――タバサは思う。
 最近の学院はたしかにヘンだ。
 ヘンだが……まぁ、これはこれで悪くないかもしれない、と。

 *  *  *

<タバサの日記>

○月△日

 ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが、無事に使い魔のゴーレム(本人いわくアンドロイド)と契約することに成功する。
これにより、ゼロ部(ゼロのルイズの使い魔以下略)の目的は達成されたため、対策本部は解散することになるだろう。何となく残念に思う。

○月×日

 ワルド先輩によれば、ルイズの使い魔R・田中一郎に刻まれたルーンは始祖ブリミルの使い魔”ガンダールヴ”の証らしい。
ここから類推するとルイズには虚無魔法の担い手としての素質があるとか。
ゼロ部を解散した代りに虚無部――虚無系統の魔法をルイズにいろいろ覚えさせて実験する倶楽部(命名・もちろんワルド先輩)が結成された。
メンバーは、ルイズ、キュルケ、わたし、そしてワルド先輩とR・田中一郎。明らかに厄介事に巻き込まれているはずなのに、なぜか苦にならない。

●月□日

 虚無の曜日と学院の創設記念日を利用して、今日からゼロ部改め虚無部のメンバーで小旅行に行くことになる。提案者はもちろんワルド先輩。
いわく「虚無の魔法を使いこなすために特訓だ! 特訓と言えば合宿、合宿と言えば旅行に決まっている!!」とのこと。
理屈はよくわからないが、学院外に行くのも気分転換にはいいかもしれない。行き先はルイズの実家の別荘地と決まった。
しかし、ワルド先輩もついてくるらしいがグリフォン隊の仕事はいいのだろうか。「だーいじょうぶ! 有給消化!」とか言っていたが……。
魔法衛士隊に有給休暇があったことが驚き。いや、むしろワルド先輩に有給が残っていたことに驚くべきかも。



 ルイズたち虚無部のメンバーは、学院から馬車で半日弱ほどの場所にある、保養地に来ていた。

「雄大な自然、おいしい空気! うーーん、たまには田舎でノンビリするのもいいわね」

 日ごろは何かと男出入りが絶えないキュルケだが、こういうひなびた場所で骨休めをするのも悪くないと感じる。

「静かで快適」

 静謐な環境を好むタバサにとっても、この山間の保養地はヒットした様子。
 一方、ワルドとルイズは木の吊り橋から渓谷を眺めている。

「いい風景だ……。ここはいつ来てもいいところだね」
 ――カランコロン、カランコロン……

「毎年、ウチの避暑はココですからね」
 ――カランコロン、カランコロン……

「心が安らぐよ」
 ――カランコロン、カランコロン……

「同感です」
 ――カランコロン、カランコロン……

「山の中のこの静けさがいいね」
 ――カランコロン、カランコロン……

「人ごみの喧騒とは無縁ですしね」
 ――カラコロ、カラコロ、カラコロ、カラ……

「「だぁーーーーっ、やかましいわ!!」」

 ……どうやら、背景に響いていた効果音は、あ~るが走り回るゲタの音だったらしい。

「まったく……落ち着きがないわよ、アンタ」

「な、何もすることがないよ~」

 まぁ、誰も構ってやらなかったので寂しかったのかもしれない。

「だから、麓で荷物番してなさいって言ったのに……」

「いやはや、全部持って来ちゃうとはね」

 人足でも数人雇って運ばせるつもりだった一行の荷物を、なんとあ~るはひとりで抱えてここまで歩いて来たのだ。


「だいたいアンタ、その足元は何なの!?」

「…………?」

 ルイズの問いにじーっと足元を凝視するあ~る。

「木だよ?」

「アンタ、バカ!? 橋の材質を聞いてるんじゃないわよ!」

 ズッコケかけるものの根性で持ち直すルイズ。

「いい? これから別荘まで山道をタップリ歩くのよ? そんなサンダル履きで行くつもりなの、アンタ? フライの魔法も使えないクセに……」

 自分もフライは使えないという事実は、この際心の棚にしまっておく。

「それなら、だいじょーぶ。登山用のゲタ持って来たよ!」

 ご丁寧にも、底にスパイクのようなものがついた木製サンダル―ゲタを見せびらかすあ~る。……なぜに、これほどまでにしてゲタに執着するのだろうか。

「フッ、さすがだね、あ~る君。それなら問題はなさそうだ」

 脱力しているルイズたちを尻目に、ウンウンと頷いているワルド。

「さぁ、遅くならないうちに、そろそろ別荘へ向かおう!」

 *  *  *



 「アッ!」
 ……と言う間に、ヴァリエール家別荘に到着する一行。

 とは言え、シーズンオフなので使用人などの姿は見えない。一応、管理人が月何回か手入れに来ているはずだが、今日はいないようだ。

「よーーーし、今夜はここに泊まろう!」

 ワルドの掛け声とともに、別荘に足を踏み入れる虚無部の面々。

「それにしても、よかったんですか、ワルド先輩? ルイズのお父君には、断わっていないのでしょう?」

 キュルケの心配をルイズが切って捨てる。

「だーいじゃうぶ、お父様のものは私のもの、私のものは私のものよ!」

 とりあえず中は清潔に保たれているようだが……。

「……食料がない」

 シーズンオフのせいか、食料庫の中身は空っぽのようだ。

「タバサ、麓の村まで、シルフィードで買い出しに行ってもらえる?」

 キュルケがタバサに依頼しているところで、あ~るが騒ぎ出す。

「ごはんだ! ごはんをたこう!」

 うれしそうに叫びながら、背中の特大背嚢から、見慣れぬ文字が書かれた袋を取り出す。
何でも、あ~るの故国の言葉で”産地直送 ササニシキ”と書かれているらしい。ササニシキとは、”米”という穀物の種類で、とくに美味しい品種なのだとか。

「ふふふ、折角の旅行ですからね。フンパツしてみました~」

「いや、それはいいんだが……調理できるのかね、あ~る君?」

 ワルドの問いに不思議そうに首を傾げた後、あ~るは背嚢から鍋のようなものを取り出す。
袋からあけた米を入れてシャカシャカ水洗いし、いくらか水を入れて蓋を閉め、先端が金属製の紐のようなものを自分のお腹にカチッと接続する。

「このまま30分待てば、ごはんがたけるよ?」

「あ、あぁ、そうなのかい。ご、ご苦労様」

 奇妙な鍋―電子炊飯器を大事に抱えて正座するあ~るを尻目に、額を突き合わせて相談する一同。

「アレって、あ~るがいつも食べてる”おにぎり”とか言うものの材料よね? 人間が食べても大丈夫なのかしら」

「けっこう美味」

「食べたの、タバサ!?」

「夜食にもらったことがある」

「ふーむ、それじゃあパンの代わりはそれでいいとして、オカズがいるわね」

「女の子が”オカズ”とか言っちゃいかーーーん!!」

「……そういう意味じゃないから、ワルド様」

 いずれにせよ、タバサが村まで副食類を調達に行くことには変わりはない。


 ――1時間後。

 あ~るが炊いたごはんと、タバサの買って来たおかずは(はしばみ草のサラダを除いて)、おおよそ好評のうちに、みなの空腹を満たすこととなった。

 で、食後にみなが居間に集まって、まったりしている時間。

「………?」

 頭をブンブンと振っているあ~る。

「ん? どうしたの、あ~る?」

「どうも頭の中がカラカラする」

 確かに、微かに「カラカラ」と言う音が聞こえているような気もする。
 アンドロイドという特性を活かして(?)、首をぐるぐる回したり、高速で前後に振ったりするが、直る気配はないようだ。

「これで頭をたたいてみやう」

 例によって背嚢から取り出したのは、金属製の棒……いや、棍棒?

「何、それ?」

「粉砕バット。何でも粉砕できるよ」

 言いながら、自分の頭をバットでガキンゴキンと殴るあ~る。

 本来は痛々しくて見ていられないはずの光景なのだが、このメンバーはあ~るの非常識な頑丈さに慣れているため、誰も気にしていない。

「あっ、そう……ほどほどにしときなさいよ」

 ま、平民の武器なんてどうでもいいか……と思いつつ、妙に惹きつけられるものを感じて目が離せないルイズ。

(そう言えば、”ハリセン”のときの例もあるし……)

 あとで強制的に貸してもらおう。使い魔のものは主のもの、だし。

 ちなみに、ハリセンを自らの”杖”にして以来、学院でルイズを侮る者はいなくなった。
 なぜか?
 ……おそらく、ルイズの失敗魔法である爆発の威力が飛躍的に高まり、さらに狙いが絞れるようになったのも、一因ではある。

 しかしながらもっと大きい要因は、ルイズをバカにした者に、詠唱するより速くハリセンによる一撃をくらわせるようになったからだろう。
 運動神経はせいぜい人並程度のはずのルイズだが、ツッコミを入れるときだけは異様に素早く的確に動けるようになっていたのだ。

 紙製の扇による打撃とは思えぬほど、ハリセンチョップは痛く、何よりも精神的なダメージがデカい。詠唱中なら、下手すると舌を咬むこともある。
 いつしかルイズは、ワルド以来の問題生徒(マッドスチューデント)と恐れられるようになっていた。

 問題児扱いはあまりうれしくないが、侮られるよりは100倍マシだ。
 もし、あの”ふんさいバット”とやらを使いこなせれば、自分メイジとしての実力――そして、ツッコミ役としてのポジションもさらに格段に上がるような気がするのだ。

 ガイン、ゴイン……ポロッ!

「……直った」

 ルイズが物思いにフケっている間に、あ~るによる頭部への”せっかん”も一段落ついたようだ。

 タバサだけは、あ~るの耳から金属製の部品のようなものがこぼれ落ちたことに気づいていたが、あえて指摘することせずに部品だけを拾っておくことにする。

 *  *  *



 翌朝。
 今日も今日とて、河原でルイズの虚無魔法の実験に精を出していた虚無部のメンバーだったが、いきなり空が曇ってきたことで再びひと悶着が起こる。

「あらら、これは……」

「雨になる」

 ――あし、あなろい……あせけ、さもあい……

 黒雲を凝視しているふたりを尻目に、腰ミノ一丁で槍のようなものを手に踊り狂うワルド。ちなみに、スポポンと気の抜けた太鼓の伴奏はあ~るだ。

「何やってんですか、ワルド先輩?」

「いや、せっかくなので、南方の蛮族に伝わる雨乞いの儀式でも、と思って」

「人心を惑わせるようなこと、しないでください!!」

 建前上は婚約者ということになっているルイズが柳眉を逆立てる。
 10年前に会ったころは、もうちょっとカッコいいお兄ちゃんだと思っていたのだが……。
 いったい誰のせいでこんなスチャラカになってしまったのだろう。

 ……心にでっかい棚があるルイズに乾杯。

 ゴロゴロゴロ……

 そうこうしている間に、ついには雷の音まで聞こえてきた。

「む!」

「「「あ、たぶん同じこと考えてる?」」」

「みんなーっ、あ~るからはなれろーーーーっ!」

 ピシャッ!
 どっかーーーーーーん!!!

 ワルドたちの予想どおり、川原でボーーーッと突っ立っているあ~るに、雷が落ちた!

「いやぁ、金属製のあ~るのことだし、避雷針代りにできるかと思ったけど……」

「本当にそうなってしまったわね」

「予想の範囲内」

 3人娘の誰もあ~るが死んだとか心配していないのを、薄情と見るか、信頼の証と見るべきか。
 落雷のショックに、倒れてぴくぴくしていたあ~るだが、やがてすっくと立ち上がる。

「うきゃッ、うきゃきゃ!!」

「あ、野生化した」

「ユニーク」

 いや、タバサさん、それ貴方のセリフじゃないから。まぁ、確かに似てるけど。


「うきゃきゃきゃきゃーーーーーっ!!!」

 ぶすぶすと煙を吐きながら、奇っ怪なポーズをとるあ~る。心なしか、いつもより目つきも悪い。

「む! おもしろい。これは私に対する挑戦だな」

 スチャッと腰の杖を抜き放ち、剣のように構えるワルド。

「さあ、かかって来たまえ。我が名はジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。生まれてこのかた無敗を誇る……」
「うきゃーーーーーッ!」

 スパコーーン!

「な、名乗りの途中で蹴るとは何事だーーーっ!」

 不意打ちの蹴りがまともに側頭部に決まったせいか、さすがのワルドも我を忘れてあ~るを追い回す。

 まがりなりにも魔法衛士隊の隊長ワルドの連続攻撃を、あ~るは素手&素足でさばいている。そのままふたりは河原の土手を駆け上がる。

「あ~るって、ゴーレムとしては、実は運動能力超優秀なんじゃない?」

「でも愚か」

 濡れた足場に滑って、見事にひっくり返るあ~る。

「くけぇーーーーっ!」

 奇声を発しつつ、自分の何倍もありそうな大岩を持ち上げる。

「さすが私の使い魔、すごい怪力ね!」

「……見当違いのところに投げてる」

 やっぱり大したことないかも、と落ち込むルイズ。


 そうこうしているあいだに、ふたりの戦いに変化が見られた。

「あっ、ワルド先輩が杖を取られたわ!」

「マズいわね、あ~るのヤツ……」

「え? どうしてよ?」

 不思議そうに聞き返すキュルケに、ルイズは説明する。

「ただでさえ雷の落ちやすい体質なのに、金属製の杖なんか振り回してたら……」

 ピシャッ! ドドーーーーン!!!

「一歩、遅かった」

 再び落雷に打たれて動かなくなるあ~る。

「フッ、終わった……戦いはいつも虚しい。そう思わないかい、シンジくん?」

「誰がシンジくんですか!」

 わけのわからないワルドのセリフに律義にツッコミを返すルイズ。
 多少は心配になって駆けつけたキュルケ&タバサだが……。

 ムクッ。「――やあ。」

 どうやら、あ~るは無事だったようだ。



<タバサの日記のつづき>

●月■日

 あのあと、ルイズ推薦の温泉に入った。
 温泉……あれはイイものだ。
 途中、R・田中一郎が乱入してきてハチャメチャになったが、機会があれば、ぜひもう一度入ってみたいと思う。
 もちろん、今度もみんなで。


~「第4話.水の女の巻」につづく~

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