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究極超人るいず 第2話.使い魔の正体の巻

第2話.使い魔の正体の巻

 読書好きな青い髪の少女――タバサは思う。
 最近の学院はやっぱりヘンだ。

 *  *  *

 衝撃の再会ののち、いかなる事態が起こったのかは、誰もが想像に難くはないだろう。

「ちょっと! 私と契約しなさいッ!!」

 コントラクトサーヴァントの呪文を詠唱し、ハリセン(どうやら、儀式を施して魔法の杖にしたらしい)を振りかざしつつ、あ~るに迫るルイズ。

「ああ~、いけません。婦女子がそんな風に簡単に唇を許しては」

 ボケボケした外見に似合わず、儀式の完成―ルイズの接吻をひょいひょいと身軽に避け続けるあ~る。


「はっはっはっ、元気があって大いにけっこう」

「……ワルド先輩」

「あら、いつの間にいたんですの?」

「さっきからだよ。こんなおもしろいことを見逃せないからね」

「グリフォン隊のお仕事は大丈夫なんですか?」

「だーいじょうぶ! 夜勤明け!」

 どうやら夜間の見回りでもしていたらしい。

「夜のお仕事ですから、昼間は学院の面倒をみてられます」

 ……いったい、いつ寝てるんだろう、このオッさんは。

「よっ、はっ、ほっ、さっ……」

「くっ、この、畜生、止まれっての!」

 一向に捕まらない自らの使い魔(予定)に業を煮やしたルイズは、別の呪文―たぶん聞いた限りではウィンドブレイク―を唱えて、あ~るの足止めをしようとする。

 さてここで問題。
 ゼロのルイズがウィンドブレイクのような真っ当な魔法を成功することがあり得るだろうか。
 答え。たぶん、いや、絶対無理。

 ちゅどーーーーん!!!

 この世界の真理に従い、ルイズの魔法は暴発して、爆発へと変化する。
 無論、対象となったあ~るを巻き込んで盛大に。

「あちゃあ、派手にやったわね」

「教室がボロボロ」

「し、仕方ないでしょ。事故よ、事故!」

 キュルケとタバサの呆れたような視線を、ルイズは無駄にエラそうなポーズで跳ね返す。

「おーい、大丈夫かね?」

 さすがに見かねたのか、ワルドが机や壁に埋もれたガレキの山に声をかける。

「大丈夫大丈夫。僕はとても頑丈だから」

 ガレキの山から、にゅるっとあ~るが顔を出す。


 が。

「そ、そうかい。大丈夫ってことはないと思うんだが……」

 なぜかそれを見て一同は引きつる。

「ちょっと、アンタ! 首が完全に後ろを向いてるじゃない!!」

「器用」

 珍しくタバサが感心したような声を漏らす。

「器用じゃない、異常よ!!」

 ルイズの怒声を尻目に、グリンと首を回すあ~る。

「な、直った!」

 シーーーン。

 あまりにもあんまりな光景に声も出ない一同。

「で、では諸君達者でな!!」

 カランコロン、カランコロンと木製サンダル(下駄と言うらしい)の靴音を響かせつつ、あ~るはいずこともなく去って行った。


 あの少年が現れて以来、どうにも学院の雰囲気が変わったように思えてならない。
 具体的に言うと、お祭り好きと言うかやたらと騒動事が多くなった気がする。

 もっとも、それがイヤか、と問われれば即答には窮するのだが。
 ……昔の自分なら、「うるさい」で切って捨てていただろうから、自分もちょっとは影響を受けているのかもしれない。

 そんなことを考えながら、タバサは使い魔とともにゼロ部――ゼロのルイズの使い魔(予定)を捕獲して、無事にルイズと契約させるための対策本部(命名・ワルド)――の部室へと足を運んだ。

 もっとも、このゼロ部、ご大層な名前がついているわりに、ふだんはあまりすることがない。
 せいぜい、あ~ると追っかけっこしたり、あ~るを折檻したり(主にルイズ)、あ~るのヨタ話を聞いたりするくらいだ。
 あ~るがいない時(授業中も含めてよくいなくなる)には、特訓と称してみんなで魔法をぶちまかしたり、ダベったり、ワルドからのさしいれをがっついたりするくらいだ。
 部員3名全員がうら若き少女なのにこれでいーのか、と言う意見もあるだろうが、この年ごろの少年少女なんて、異性の目がなければこんなモンだ
(ワルドは異性のうちには入らないらしい)。


 *  *  *

「「「ぶわっちっちっちっち!」」」「きゅいきゅい!」

 ゼロ部の部室(いつの間にかワルドが学院から使用権をぶんどって来た元物置小屋。いったいどんなコスい手を使ったのだろう)から、飛び出してくる3人の少女と一匹の風竜。

「か、かなり暑いだろうとは予想してたけど……」

「地獄」

 ようやく初夏に差しかかったばかりだと言うのに、ここ数日は異様に天気がよく、まるで真夏のような陽気だ。
 元が物置だけあって、ゼロ部の部室には窓も小さめのものがひとつあるだけだ。
 さすがに火トカゲはヤバいと言うことで、フレイムは外に出しておいたのだが、それでも蒸風呂のような暑さだった。

「おーい、何してるんだい、そんなところで?」

 おりよくワルドが顔を見せる。
 しかし、本当によく学院に来るが、ちゃんと仕事してるのだろうか、この男は。

「ワルド先輩、部室が暑くて使いものにならないんですの」

「何? 換気用のマジックアイテムは作動させたのかね?」

「あーーーそういうものもありましたわね」

 埃が溜まったときのために、窓の近くに風のマジックアイテムが設置されていはずだ。
 コルベール師の発明品のひとつだが、役に立たないことで有名な彼の発明品の中ではマシなほうだろう。

「迂闊」

 装置を作動させようとするタバサをルイズが止める。

「いえ、ワルド様、あのマジックアイテムはダメです。
あれはすぐサボるので魔法でせっかんしたら動かなくなりました」

「あたりまえだ!」

 ルイズの失敗魔法は破壊力だけはラインクラスなのだ。

「な、なんてことするのよ、ルイズ!」

 キレたキュルケがルイズをポカポカ殴る。何気にタバサも参加しているあたり、じつはけっこう恨んでいるのかもしれない。


「しかし、暑いと言っても、我慢できないくらい暑いものかね?」

 どーれ、と部室に入っていくワルド。

「うわっちっちっ……」

 一瞬悲鳴があがったが、すぐに無音になる。

「あら」

「とても静か」

「ま、まさかワルド様、中でノビてるんじゃあ……」

 3人は顔を見合わせると扉を開けて中に足を踏み入れる。

「「「ワルド先輩!」」」

 部室の中には……

「あ~、なかなかいい按配だな、こりゃ」

 タオル片手に半裸でサウナを堪能するバカ1名。

「あ、アホか~~~!!」 スパーーーーン!

 今日もルイズのハリセンは絶好調だ。
 *  *  *

「よし、わかった。今日は部室での活動は無理だな」

 キリッとした表情でワルドが宣言するが、頭にでっかいコブをこさえているので、あまり様にはならない。


「こんな悪条件で部活などやってられん。今日は泳ごう」

「ええっ!?」

「聞いてない」

「フッ、わかってないわね、あなたたち」

 キュルケとタバサが驚く中、余裕の笑みを浮かべるルイズ。

「”いきあたりばったり”! これがワルド様の人生方針よ!!」

 さすが幼なじみにして婚約者、ワルドのことをよくわかっている。

「……ルイズ、言ってて、頭痛くならない?」

「……少し」

 *  *  *

 ”もしかして女子の着替えシーンが!?”などという期待を華麗にスルーし、水浴着に着替えた一同は、学院裏の水練所前に集まっていた。

「にしても、今日はあ~るのヤツ、見ないわね」

 ガサッ!

 噂をすれば影と言うか、いかにも怪しい音が……。
 ふり向けば、茂みから突き出た車輪ふたつ。


「あれって、あ~る君の”轟天号”とか言う乗り物じゃないか?」

「そのやうですね」

 …………。
 しばし顔を見合わせるルイズとワルド。

「こらっ、R・田中一郎!」

 ぐわしっと茂みが揺れて、自転車を掲げたあ~るが姿を現わす。

「どーしてわかったんだ?」

「バカめ! 君がいると電波がピーンと飛んでくるのだ」

「なるほど……奥が深い」

「「「「深くない、深くない!」」」」

 ともあれ、こんな暑い日に追っかけっこするのもおっくうなので、水練所にあ~るも誘うことになった。


「だめだと言ったらダメだ! 今はウチのサークルが特訓中なんだ!」

 水練所――水系統魔法訓練所には、先客が陣取っていた。
 どうやら水系統を得意とする生徒のサークルが自主的に自習(と言う名の水遊び)をしていたらしい。

「この学院の生徒が、学院の施設を使って何が悪いんだね!?」

 リーダーらしき少年に、ワルドが抗議するものの。

「君は誰だい?」

「学院のOBだ!」

「じゃあ、生徒じゃないな」
 ざんねん! ワルドのこうぎはむこう!

 ……まったく頼りにならなかった。

「ねえ、あなた、ちょっと浸かるだけでもダメかしら?」

 このままではラチがあかないと見たキュルケが、お色気でリーダーを懐柔する手に出る。
 ただでさえプロポーションのいいキュルケだが、露出の多い水浴着を着ているため、その豊満な胸元や悩ましいヒップが露骨に男性の目を引きつける。

「ふむ……」

 生真面目そうなリーダーの鼻の下が伸びる。

「そうだな、ちょっと浸かるくらいならと……」

 やったーー!と小躍りしてプールに急ぐ三人娘。

「ん?」

 リーダーの視線がタバサとルイズに向けられる。

「こらこら、初等部の子は入っちゃいけないよ」

 ズルッ……。

 あんまりな言いようにズッコケるルイズたち。確かにふたりともかなりの幼児体型ではあるが……。

「い、言ったわね! この、もっこりパンツ!!」

「も……」

「レディがそんな下品なこと、口走ってはダメだーー!」

 リーダーがルイズの言葉に打ちひしがれるより先に、ワルドの怒声が響く。

「ワルド先輩、いったいどっちの味方なんですか!?」

 呆れたようなキュルケの問いをよそに、そそくさとプールに入ろうとするあ~る。

「では、失礼しまして……」

 もちろん、お約束どおり、詰め襟は脱いでいない。


「こ、こら、格好でプールに入るヤツがいるか!」

「バッカモーーーン!」

 リーダーに続いてワルドも叱責の声を上げる。

「プールに浸かるのにタオルを持って入るのはマナー違反だぞ!!」

「それは銭湯」

 すかさず切り替えすタバサ。……ハルケギニアに銭湯ってあるのだらうか?

 (あー、ハイハイ。そんなことだと思いましたよ)

 どことなく徒労感を感じつつ、仕方なくルイズがツッコミを入れる。

「このスカタ~ン! プールには上着を脱いでから入りなさーい!!」

 スパーーーン!!!

 あの召喚の日から妙に手になじんでいるハリセンが、勢いよくあ~るのドタマを張り倒す……が、今回はちょっと勢いが強過ぎたようだ。

「や、いたいじゃないか」

 クルンと、すでにお馴染みになったあ~るの首の180度回転が、180度で留まらず、360度、あるいはそれ以上の角度で回りきり……ポロッと首がモゲた!

「ヒッ……って、何よ、これ?」

 一瞬、殺人を犯してしまったのかと肝を冷やしたルイズだが、すぐにあ~るの首の断面から何やら歯車やらワイヤーやらがのぞいているのに気がつく。

「……ゴーレム?」

「もしくは自動人形の類いと推察」

 キュルケとタバサも恐る恐る覗き込む。

「アンタ、平民じゃなくてゴーレムだったの?」

「”ごーれむ”じゃないよ、アンドロイドだよ」

 自律機械がどうの良心回路がどうのと言っているが、ルイズは無視して、あ~るの身体にに関節技――コブラツイストをかけている。

「うるさい、アンタなんかゴーレムで十分よ」

「トホホホホホ……」


 仲良く(?)じゃれているふたり尻目に、溜め息をつくワルド、キュルケ、タバサの3人。

「しかし、あ~る君がゴーレムだったとはなぁ。ゴーレムだったら、あの異常な頑丈さや怪力も……」

「首が回ったり常識がなかったりすることも納得できますわね」

「意外とつまらないオチ」

 うーーーーーーーーーーーーーむ。

「ちょっ、ちょっと、それでいいんですか? 納得するんですか!?」

 訳知り顔でうんうん頷いている3人にも、水メイジたちのリーダーが食って掛かる。

「何か問題でも?」

「問題だらけじゃないですか! そもそもこの由緒あるトリステイン魔法学院に、貴族でもメイジでもない、100歩譲って平民ですらない、ゴーレムが入学して来てるんですよ!?」

「なんだと! そんなこと我々に責任はないぞ!」

 (こ、これだからこの悪奴先輩と会話するのはイヤなんだ……)

 リーダーは、今さらながら学院OBワルドにまつわる噂話、というか悪評の数々を思い出す。

 ともあれ、ガックリくるリーダーたちを尻目に、ゼロ部の3人娘+アルファは、存分に水練所のプールで水遊びを堪能できたのだった。 

 *  *  *

追記.

 あ~るの首はいとも簡単に元に戻った。歯車や部品が2、3飛んでいたが、本人が気にしてないので平気だろう。

追記その2.

 ルイズはあ~るの首がモゲているあいだに隙をついてキスをし、使い魔の契約を済ませていた。
その直後、左手に使い魔の刻印が刻まれ、あ~るは「イタイ、イタイ」と騒いでいた。
ゴーレムにも痛覚があるのか、と興味をもったタバサが聞いてみたところ、「うむ、手にケガをしたら痛いに決っているじゃないか」と答える。どうやら、知識で知ってるだけらしい。

~「第3話.トリステイン一の無責任旅行の巻」につづく ~

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