あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロの答え-01


『アンサー・トーカー』
それは予知や予測ではなく、答えを出す能力である。あらゆる疑問や問題に対して答えを出すことができ、その汎用性は異常なほどに広い。
よって突然目の前に光る鏡のようなものが現れても、彼はさして驚くこともなく、目の前の鏡らしきものが『異世界への扉』だと理解していた。

(別の世界か……)

この世界とは違う世界。
それに彼……デュフォーは惹かれるものを感じた。
ファウードの時と同じ。いやその時とはまた違う何か。
(ゼオンとの約束であった今までとは違う景色はもう見つけた。だがこれをくぐった先には、それとは違う景色があるかもしれない)
それはアンサー・トーカーとして得た『答え』ではない。ただの予感に過ぎない。
だがその衝動に従い、デュフォーは扉をくぐることに決めた。

―――そして物語は始まる。


~ゼロの答え~


「ん……」
異世界でデュフォーが初めに感じたのは唇に触れる柔らかい感触と吐息だった。
目を開けると唇を合わせている少女の顔が映る。
(……使い魔の契約の儀式か)
彼はアンサー・トーカーによって自分の置かれている状況を一瞬で理解した。
目の前の自分にキスをしている少女の名前がルイズであること。
あの鏡はルイズの使い魔召喚の儀式によって発生したものであったこと。
このキスは使い魔としての契約を結ぶためのものであること。
気絶している間にルイズが使い魔召喚のやり直しを求めたが却下されたこと。
契約とはいえファーストキスのためルイズは緊張していたこと。
そのため相手が気絶しているうちに済ませてしまおうと思っていたこと。
それらこの状況になった『答え』を一瞬でデュフォーは得ていた。
ルイズはデュフォーがよりにもよってキスの最中に目を覚ましたのに驚いたのか硬直している。
そしてお互いに唇を合わせ目を合わせたまま、時間が過ぎていった。

しばらくしてルイズが唇を離す。
「キ、キスの最中にいきなり目を覚ますんじゃないわよ!び、びっくりしたじゃない!」
自分からしたくせにルイズは顔を真っ赤にして理不尽なことを言う。
(こいつ頭が悪いな)
キスをしたから照れているという『答え』は得ている。だがそこに至るまでの過程がわからない。
そもそもあのキスは使い魔との契約を結ぶための儀式のはずだ。普通のキスとしてカウントするようなものではない。
(何故あいつは照れて……いやむしろ怒っているんだ?)
騒いでいるルイズを無視して、そこまで考えたところでデュフォーの身体に激痛が走った。
使い魔のルーンが刻まれている。痛みの原因については瞬時に『答え』を得た。だがその痛みによって一瞬だけ意識が飛んだ。
だから次の瞬間に起こったことにデュフォーは対応できなかった。
アンサー・トーカーといえども考えることができなければ『答え』は出せない。
「無視すんなーーーーーーーーー!!」
怒声とともに殴り倒される。倒れた先には一抱えほどの石が。後頭部を強くぶつけ、目の奥で火花が散る。
「え?え?えーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
暗くなっていく視界。何が起こったのか解らず混乱するルイズの姿が意識を失う前にデュフォーが見た最後の光景だった。

夜。昏倒から目を覚ましたデュフォーは自分の寝ている場所がルイズのベッドであることをまず把握した。
次に『治癒』の呪文によって、後頭部への打撲は治療されていること。
最後にこの部屋の主であるルイズは机に突っ伏して寝ていること。
まだ少し痛む頭を振りながらルイズを起こすためベッドから降りる。
「起きろ」
「--------っ!?」
突然声をかけられたことに驚いたルイズがビクンと飛び起きる。
「な、なによ!なにごと!」
「起きたか」
「誰よあんた!なんで私の部屋に!?」
「お前頭が悪いな。お前が俺を召喚したことを忘れたのか?」
「ああ、使い魔ね。そういえば昼間召喚……って誰の頭が悪いですって!」
怒鳴り声とともに平手が飛ぶ。がデュフォーは何事もなくそれを避けた。
「っの、おとなしく殴られなさいよ!ていうかあんたの名前は?まだ聞いてないわよ!」
「デュフォーだ」
「デュフォーね。まあ平民だし家名がないのは当然か。でどこの平民?」
「別の世界だ」
「『ベツノセカイ』か、聞いたことない地名ね……って馬鹿にしてるのあんた!」
再び翻る平手。だがまたもスルー。
「別に馬鹿にはしていない。事実だ。お前の召喚で俺は別の世界からこの世界にきた」
「そんなこと信じられないわよ!あんたムカつくし!」
デュフォーは溜息をつくと、言った。
「お前頭が悪いな」
プチッとルイズは自分の頭の中で何かが切れるのを感じた。

数分後。何かが暴れまわったのか部屋は滅茶苦茶になっていた。
肩で息を切らしているルイズとは対照的にデュフォーは涼しい顔で窓に寄りかかっている。
「はぁはぁ、ま、まあいいわ。あんたが別の世界からきたとかはこの際置いておくとして。そういえば私のほうも自己紹介がまだだったわね。私の名前は……」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールだろ」
「え?おかしいわね、まだあんたに自己紹介なんてしてなかったと思うんだけど。契約の呪文を唱えたときはあんた気絶してたし」
「俺はアンサー・トーカーだ。あらゆる疑問や問題に対してに『答え』を出すことができる」
「はぁ?言ってもいないのに相手の名前がわかるぅ?そんな人間いるわけが……」
「お前頭が悪いな。わかると言っただろう。目の前に居る相手の名前は何だ?に対しても『答え』を出せるからアンサー・トーカーだ」
ビキッとルイズの顔に亀裂が走った。
「そ、そうなの。それじゃお互い自己紹介もすんだことだし、あんたに使い魔の仕事について教えてあげるわ」
「必要ない。あらゆる疑問や問題に対して『答え』を出せると言っただろう。使い魔の仕事とはなんだ?にも『答え』を出せるからアンサー・トーカーだ」
ビキビキッとルイズの顔に更に亀裂が入り、血管が浮き出る。
「ーーーーーーーーーーーーーーっ!落ち着け、落ち着け、私。相手は使い魔なのよ、ご主人様であるで私が使い魔が何か言った程度で簡単に切れちゃ駄目だわ」
でも次に何か言われたら切れよう。そして殺そう。
そんな物騒なことを考えてるルイズだったが、デュフォーはそんなルイズを綺麗に無視して窓の外を眺めていた。

「……今日はもう寝るわ。あんたとこれ以上話してると腹が立って眠れなくなりそうだし。あんたもそろそろ寝なさい」
「そうか」
ルイズはネグリジェに着替えるためブラウスと下着を脱ぎ始めた。が、デュフォーは見向きすらしない。気配でわかる。横目で見ようとすらしていない。
ルイズ自身、デュフォーのことを男として意識などしていないのだが、すぐ近くで着替えてるのにまったくの無反応というのは流石に女としてのプライドが傷ついた。
その理不尽な怒りも込めて叩きつけるかのように脱ぎ捨てた下着を投げつける。だがデュフォーは振り向きもせず外を見たまま下着を片手でキャッチした。
「それ!明日になったら洗濯しといて!あとあんたの寝るところは床だからね!」
「そうか」
ルイズとしてはてっきり床で寝ることや下着の洗濯を命令したことに反発すると思っていただけにやや拍子抜けた。
毛布を一枚投げ渡すと、それ以上言うこともないので、ランプの明かりを消してベッドに潜り込む。
目を閉じる前にデュフォーが床に横になるのが見えた。
こうしてデュフォーのハルケギニアでの一日目が終わった。


新着情報

取得中です。