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ソーサリー・ゼロ-16

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一〇三

 闘いを終えた君は、一息つく前に少女たちに怪我の具合を尋ねる。
 キュルケは火傷と打ち身を、タバサは擦り傷をこさえているが、いずれもたいした負傷ではないようだ。
「私の≪ファイヤーボール≫もタバサの≪エア・カッター≫も、足止めにしかならないんだもの。危なかったわ」とキュルケは言うが、
七大蛇の一匹を相手に短時間とはいえ互角に闘うなど、普通の人間ではまずなしとげられぬ壮挙だ。
 君はキュルケのことを、ただの放埓な快楽主義者かと思っていたのだが、大いに認識を改める。
 タバサは高揚も恐怖も示さぬあいかわらずの態度で、黙々と血のにじんだ手の甲を手巾で拭いている。
 この少女はまだ幼いといってもいい容姿なのに、最初から最後まで冷静な態度を保ち続けた。
 単に感情に乏しいというだけではなく、過去にも怪物相手に闘った経験があるのでは、と君は考える。
 キュルケにくらべて怪我が少ないのも、体が小さいからというわけではなさそうだ。

 ルイズは、月大蛇に絞めつけられた手足にどす黒い痣ができ、何ヶ所か筋を違えてしまっているが、裂傷や骨折はないようだ。
 あの怪物に襲われてこの程度の怪我ですんだのだから、奇跡的な幸運といってもよい。

 フーケ――学院長秘書のミス・ロングビル――はそれほど幸運ではない。
 左腕は肘が後ろ向きにねじ曲がり、口から流れる血には泡が混ざっている。
 折れた胸骨が肺を傷つけてしまったのだろう。
 意識を失い、その美しい顔は青ざめ、石像のように生気がない。
 フーケが腰から提げている雑嚢を調べてみるか(一五三へ)、それとも手段があるなら彼女を治療してやるか(一八七へ)?



一五三

 フーケは口から血を流して咳き込み、ときおり
「テファ……」と何者かの名前らしき言葉を呟くが、
君はかまわず雑嚢をさぐり、すぐに古びた書物を見つけだす。
 この世界の何者にも読めぬ文字――君の故郷アナランドの文字だ――で表題が記されたその本を手にとり、内容を確認する。
 本の記述は予想したとおりのものであり、かつて暗誦できるほどに何度も読んだ、非常に馴染み深いものだ。
 この本が≪エルフの魔法書≫などではないことを、君は知っている。
 この本は、アナランド以外の場所にあってはならぬものなのだ。

 本を背嚢にしまい、さらに雑嚢を調べると、宝石細工のメダルと、油の小瓶がみつかる。
 望むならば君のものにしてもよい。
「ちょっと、なにやってんのよ! 早くミス・ロングビルの手当てをしないと」と言うルイズだが、
君が手にした≪エルフの魔法書≫を見て言葉が途切れる。
「じゃあ、まさか、ミス・ロングビルが……≪土塊のフーケ≫?」
 ルイズは信じられぬといった表情で、地に伏したフーケを見つめる。
「まさか学院長の秘書が、噂の大怪盗だったなんてね」
 キュルケも驚きを隠せない。
「治療が必要。このままだと死ぬ」
 タバサはそう言うとフーケに≪治癒≫の呪文をかけるが、これはあくまで応急処置であり、死なせぬようにするためには学院に連れ戻り、
≪水≫系統の高位の魔法使いの手を借りる必要があるらしい。

 キュルケとタバサは意識のないフーケを青い竜――シルフィードという名のタバサの≪使い魔≫――の背に乗せると、自分たちもそれに跨り、先に学院に戻ると言い残して竜を飛び立たせる。
 残された君とルイズは、すっかり暗くなった森の道を歩いて、学院まで引き返さねばならない。二一二へ。



二一二

 ルイズに速度を合わせてゆっくり歩くが、月大蛇との闘いで傷つけられた彼女は、見るからに辛そうな様子で脚を引きずっている。
 見かねた君はルイズに手を貸してやることにする。
 君はルイズを抱きかかえるか(二三五へ)?
 それとも背嚢を体の前に回し、彼女を背負ってやるか(二四三へ)?



二四三

 初めは自分で歩けると言い、君の申し出をつっぱねるルイズだが、何度も説得するうちにやがて
「そ、そこまで言うのなら……あんたの顔を立ててあげるわよ」と言って、
君の背中にしがみついてくる。

「ねえ」
 君に背負われてからしばらくして、ルイズは君に話しかける。
「あんた、メイジだったのね。あれだけの≪ファイヤーボール≫は、キュルケでもそう簡単には作り出せないわ。 どうして今まで黙っていたの?
魔法を使えないわたしを気遣ったつもり?」
 彼女の静かだが怒りを秘めた真剣な口調に、その場しのぎのごまかしは通用しないと悟った君は、正直にすべてを話すことに決める。

 それから数十分のあいだ、君はいつになく饒舌かつ熱心に、君自身のこと、故郷のことを語り続ける。
 シエスタやマルトーたちを相手に披露する、いつもの笑い話や冒険談とは口調がまるで違う。
 この見知らぬ異郷の地で、誰かに本当の自分を知ってほしかったという思いもあるのかもしれない。
 君は語る。
 邪悪な大魔法使いに≪諸王の冠≫を奪われ、法も秩序も国民の士気も崩壊の一途をたどる、祖国アナランドのこと。
 祖国を危機から救うため、≪諸王の冠≫の奪回という危険な任務を、剣士にして魔法使いでもある君が自ら買って出たこと。
 シャムタンティ丘陵、魔の都カレー、バク地方、ザメン低地などの危険に満ちた土地を横断し、大魔法使いの居城であるマンパン砦まであと少しというところで、
このトリステインに召喚されてしまったこと。
 任務は極秘のものであるため、ルイズたちに対しても身の上を偽らざるを得なかったこと。
 この世界における魔法使いの特殊な立場を知り、自身も魔法の使い手だとは言い出しにくくなってしまったこと。
 この手で全滅させたはずの邪悪な七大蛇が、なぜかは解らぬが生き返り、この世界に居ること。

 ルイズはときどき質問を挟みながらも、君の話に熱心に聞き入っている。
 月がひとつしかなく星々の並びもハルケギニアとは違う、異世界から君が来たということを最初は信じなかったが、君の真剣な態度と言葉は説得力に満ちている。
 それに加えて、つい先刻闘ったばかりのハルケギニアの幻獣とは異質な怪物どもの存在も、話の信憑性を高めている。
「それじゃあ、その冠は今でも、悪い奴が持っているの?」
 君はそうだと答える。
 大魔法使いは≪諸王の冠≫の神秘的な力をものにし、『さいはての毒虫の巣』と呼ばれる混沌としたカーカバードを統一したうえで、
怪物と悪漢どもによる最強の軍団を作り出すつもりなのだ。
 そうなれば、アナランドだけではなく≪旧世界≫と呼ばれる大陸のすべての国家にとって、大いなる脅威となるだろう。
「わたしが、わたしがあんたを召喚したせいで……?」
 ルイズが君の耳元で力なく呟く。
 彼女は君を召喚してしまったことに対して、少なからぬ自責の念を抱いているようだ。

 ルイズを慰めるか(四八へ)?
 無言で先を急ぐか(一四六へ)?



四八

 確かに、このまま君がこちらの世界に留まり続ければ≪諸王の冠≫はアナランドに戻らず、大魔法使いはカーカバードを統一し、 ≪旧世界≫の自由の民のあいだに恐怖を振り撒くことだろう。
 極端な言い方をすれば、彼女の召喚魔法のせいで、いくつもの国が滅びるかもしれぬのだ。
 しかし、君はこの小さな少女を責める気にはなれない。
 故意に自分をを≪使い魔≫として召喚したわけではないのだから、ルイズが責任を負うような問題ではない。
 それに、自分がこの世界に来てからまだ一週間ほどしか経っておらぬのだから、もと居た世界にたいした影響はないはずだ、と慰めの言葉をかける。

 君の言葉を聞いたルイズは、
「ごめんね。でも、あんたが早く帰れるように、わたしも協力するから……」と、君の耳元でささやく。
 いつもは高慢な『ご主人様』が謝罪の言葉を口にしたことに、君は耳を疑う。
 その後も歩き続け、学院の門にたどり着いたところでルイズをそっと降ろす。七七へ。


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