あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

双月の女神 第三章

小鳥の囀りとともに床から目覚めるミカヤ。
朝日が窓から入り、すぐに意識が立ち上がる。
右隣の布団を被るルイズはまだ夢の中。
しかし、学生である以上、自分と違い、学業もある。
そろそろ起こそうと思い、ミカヤは一度背伸びをし、ベッドから出る。
優しく右頬を撫でつつ、ルイズの目覚めを促す。

「ルイズ、ルイズ。朝よ。そろそろ起きて。」
「ん・・・、うう~ん。」

身をよじり、ゆっくりと意識が覚醒してゆくルイズ。目を開ければ、そこには『女神』。

「あ、えと、あ・・・。」

今まで朝は自分だけだったためか、動揺するが、昨日のことを思い出し、一人頷く。
そう、彼女は女神。『ゼロ』と呼ばれ続けた自身が、この世界へと招いた自分だけの女神がそこにいる。
ならば、朝目覚め、なすべきことは―――

「おはようございます、ミカヤお姉さま。」

朝の挨拶からである。

「おはよう、ルイズ。」

陽光のような笑みで、ミカヤは応えた。





ファイアーエムブレム外伝 ~双月の女神~

第一部 『ゼロの夜明け』

第三章 『紅蓮の悪友』





扉を開け、身支度を終えた二人は寮の廊下に出る。
ミカヤは聖杖『マトローナ』を右手に持ち、腰に下げている左右のホルダーは光の魔導書を全て収めている。
ホルダーの頭には杖が一対ずつ。

「ミス・ミカヤ、何も完全装備でなくても。
魔法学院は安全なのよ?」

外では話を聞かれる可能性があるため、努めて『ミス・ミカヤ』と呼んでいる。
魔導書は武器であることはミカヤにすでに教えてもらったため、いぶかしげに訊ねるルイズ。

「ハルケギニアにはテリウスの精霊魔法が存在しないから、この魔導書は今の所複製できないわ。
それに複製もできない上位魔法もあるから、盗人が入り込んだりして盗まれるわけにはいかないの。」

特に上位魔法や最高位の光の精霊との契約を要する最上位魔法の魔導書も手元にあるため、これを盗まれれば
一巻の終わりである。

「それに、使い魔の役割は、主の護衛でしょう?
なら、何時でもルイズを守れるようにしておかないとね。」
「う、うん・・・。」

そう返したミカヤに、思わず赤面しつつ頷くルイズ。

使い魔の役割としてあげられるものの一つに、召喚者との感覚の共有があげられる。
視覚、聴覚を共有することで、使い魔を偵察、潜入をさせた際に、見ているもの、聞いているものを召喚者も把握できる
というもの。
しかし、人間を召喚したためか、あるいは別の要因があるのか、ルイズはミカヤと感覚を共有できていない。
二つ目は、召喚者の望む物の収集。
秘薬の原料になる薬草や鉱石等をその使い魔の知識、嗅覚で発見、召喚者に提供する。
これも異世界から召喚されたミカヤの知識に該当するものがある可能性は極めて低いため、これも除外。
最後に、最も重要な役割、それは召喚者の護衛。
これはミカヤの持つ魔法と、治療や様々な補助を可能にする杖の力ならば、十分に果たすことが出来る。

(それに、昨日から杖や魔導書に触れていると、使い方から精製
に必要な知識までもが手に取るように分かる・・・。)

恐らくこれは自身に刻まれたルーンの影響と推察する。
だが、このことはまだルイズには話すべきではないと考えたミカヤは、それ以上の思考を棄却した。
ちょうどその時、一人の女学生が別の部屋から出てくる。
紅蓮の炎を思わせるウェーブがかった髪と、艶のある褐色の肌の、成熟した女性と言っても遜色ない少女。
そのプロポーションはあまねく、同年齢の少女には理想ともいえるものだった。
ルイズの同期の学生―――『微熱』の二つ名を持つキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー
はこちらを見やると、一度驚いた表情を浮かべるものの、人の悪い笑みを浮かべ、挨拶をする。

「おはよう、ルイズ。」

たちまちに不機嫌な表情になるルイズ。

「おはよう、キュルケ。」

挨拶を返すが、如何にも嫌そうにする。

「貴女も恐れ多いことをしたわね。『サモン・サーヴァント』で『女神様』を呼んで、使い魔にするなんて。」
「うるさいわね。むしろあんたのほうがミス・ミカヤに対して無礼じゃない。」

使い魔は召喚者と一心同体。自分への侮辱はすなわちミカヤへの無礼と同義と考えているルイズは、キュルケを睨みつつ言った。
しかし、ミカヤはキュルケの心を読み、悪意はないことが分かる。
いつも心の中でルイズを気にかけている、素直になれない友人。
そう、苦笑を浮かべつつ納得する。
本人達に告げれば声を合わせて否定されることであろうとも。

「ミス・ミカヤ!貴女までもこの女は侮辱しているのよ!
笑い事じゃないわ!!」

それを見咎めたルイズは顔を真っ赤にし、抗議する。

「ごめんなさい、ルイズ。でも、彼女の言葉からは悪意を感じないわ。
ただ、二人の掛け合いが面白かったから、つい。」
「ミカヤお姉さま!!・・・・あ。」

ミカヤが苦笑混じりに漏らした本音に怒りの臨界点を突破し、テンションが高くなったルイズはつい、
『ミカヤお姉さま』と言ってしまい、気がついて顔をうつむかせた。
選りにも選って一番聞かれたくない相手に聞かれてしまったからだ。

「あっはははははっ!『お姉さま』、て何よ?
もしかしてそういう趣味なわけ?貞操観念も『ゼロ』だなんてねぇ?」

案の定、言葉尻を取り、からかうキュルケ。

「ツェルプストーッ!!違うわよ!」
「ルイズ、そのぐらいにしておきなさい。からかいを助長するだけよ。」

顔から蒸気が出かねない勢いで怒りをぶつけるルイズをたしなめるミカヤ。
うう、とうなりつつも、矛を下げる。

「ふふ、そうしていると出来の悪い妹の面倒を見る姉ですわね。」

あくまでからかうようにしつつも、その光景を微笑ましく感じたキュルケ。
ミカヤに諭された手前、怒鳴りはしないものの、睨みつけるルイズ。

「さて、そろそろ自己紹介をしなければ本当に無礼になりますわね。
私はキュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。
そちらのミス・ヴァリエールと同期にあたります。
キュルケと呼び捨てで構いませんわ。」
「分かりました。ではキュルケと呼ばせてもらいます。
私はミカヤ。ミス・ヴァリエールの使い魔になります。」

互いに笑顔で自己紹介を済ませると、どちらからともなく握手を求めた。

「では、ミス・ミカヤと。
私の使い魔もお目にかけますわ。フレイム、いらっしゃい。」

キュルケに促され、後ろから紅い鱗に覆われた人よりやや大きな巨躯の、尻尾に炎を宿した、竜と見紛う立派なトカゲが
姿を現す。
ミカヤを見ると、知力が高いのか、フレイムと呼ばれた大トカゲは
恭しく一礼。

「フレイム、あなたにも分かるのね?ミス・ミカヤが敬意を払う
べき存在ということ。」
「それってサラマンダー?」

フレイムの頭を撫でるキュルケに、面白くなさそうに質問するルイズ。

「そうよ、この鮮やかで大きい炎の尻尾の火トカゲは間違いなく、
火竜山脈のサラマンダー。
素敵でしょ?私の属性にぴったり。」
「あんた、火属性だもんね。」

後にミカヤも知るが、ハルケギニアでもこれだけ立派なサラマンダーは非常に稀で、召喚者のキュルケの実力が
相当のものであることを証明していた。
それが分かるため、ミカヤの召喚者とはいえ、面白くないルイズは
キュルケをふん、と睨む。

「ええ。私の二つ名は『微熱』のキュルケ。ささやかに燃える情熱は微熱。
でも、男の子はそれだけでイチコロなのですわ。」

そう言って区切ると、ミカヤとルイズを見比べて一つ。

「最も、ミス・ミカヤの神聖な魅力には劣るかも知れませんが。
ホント、『ゼロ』のルイズには勿体無いくらい。」

ルイズへの皮肉を挟みつつ、心からそう謙遜しているキュルケに苦笑するミカヤ。
ルイズはその皮肉に怒りが沸騰寸前にまであがり、顔が赤くなっていた。

「ミス・ミカヤ、少し、よろしいですか?」
「何でしょう?」

耳打ちするような姿勢でたずねて来たため、ミカヤは顔をキュルケに近づける。

「・・・・・ミス・ミカヤを召喚できたことは、きっとあの子の心の支えになります。
ルイズのこと、どうかよろしくお願いいたしますわ。」

ルイズには聞かせられない、「悪友」を自認する本音を聞き取られないように言うキュルケ。

「・・・・・分かりました。」

それに微笑をもって応えるミカヤ。
それを確認し、満足の笑みを浮かべるのは一瞬。すぐさま意地の悪い笑みに切り変わり、ミカヤから離れる。

「じゃ、お先に失礼。お・ね・え・さ・ま。」

ルイズとミカヤに皮肉たっぷりに言ってみせ、フレイムを伴い、その場を後にした。

「きぃぃぃぃっ!!なんなのあの女!
火竜山脈のサラマンダー引き当てたからって、偉そうにッ!」

完全に姿が見えなくなると、とたんに怒りを爆発させ、金切り声を上げるルイズ。

「あら、ルイズは私じゃあ不満なの?」
「ち、ちがうの、ミカヤお姉さまッ!
私はただ、あのツェルプストーが・・・!」

しかし、苦笑しながらのミカヤの切り返しに動揺し、わたわたとしてしまう。

「ルイズ、貴女が邪険にするほど、彼女は悪人ではないわ。
恐らく私の目が確かならば、彼女は得がたい友人になるはずよ。」
「・・・・・でも、ツェルプストーは私達ヴァリエール家にとって
天敵以外の何者でもないわ。」

ルイズとキュルケは先祖代々からのいさかいを受け継いでいる。
その血筋故か、ルイズのヴァリエール一族は、隣国ゲルマニアの貴族であるキュルケのツェルプストー一族に妻、ないし夫を
寝取られ、その度に血で血を洗う争いを繰り広げてきた。
ミカヤが言うほどにルイズは割り切れるものではなかった。
それでも、ミカヤは彼女に優しく助言する。

「でも、心には留めておきなさい。
からかいつつも彼女は常に、友人を思いやることが出来ている。
彼女のことをもっと大事にしなさい。」

そうして、桃色のブロンドをすくようにやさしく撫でる。

「・・・・最も、お互い面と向かっては素直にはなれない
でしょうけどね。」

そんな言葉を聞き、ルイズは頬を赤くしつつ、そっぽを向く。

「・・・・・それでも、キュルケは私の敵ですわ。」

あえて敬語を使い、拗ねて見せると、歩き出した。

「食堂へ案内します。ついて来て下さい。」
「・・・・・本当に、素直になれないのね。」

後ろを振り返らずに呼ぶルイズに、思わず微笑ましく感じた
ミカヤは溜め息混じりにそっとつぶやき、彼女の後に続いた。

新着情報

取得中です。