あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

侍の使い魔-6

ヴィエストリ広場、そこは『火』と『風』の塔の間にある中庭である。
 普段日も差さないことから人の行き来も少ない、逆に決闘には最適の場所である。
 しかし、どこから噂を聞きつけたのかすでに広場は野次馬でいっぱいになっている。
「諸君!決闘だ」
 ギーシュはきざったらしくバラの造花を掲げている。
 周りからは歓声が巻き起こる。
 普段娯楽の少ないトリステイン魔法学院の生徒にとって決闘はある意味最大のショーかもしれない。
「ギーシュが決闘するぞ、相手はルイズの平民だ」
 銀時は自分が見世物にされてるようで、やれやれと頭を掻く。
 派手な喧嘩は好きだがこれは何か違うような気がする。
 いい加減平民と呼ばれるのにもなれてきた。
ギーシュは周りの歓声に答えて腕を振っている。
 ―いい加減さっさとはじめろよ。
 銀時はだんだんめんどくさくなってきた。

「とりあえず、逃げずに来たことは、ほめてやろうじゃないか」
「逃げねーよ」
 ギーシュの芝居がかった台詞に銀時はうんざりとした声で答える。
「さてと、では始めるか」
 とりあえず銀時は先手必勝で行くことにした。
 相手がどんな魔法が使ってくるか分からない以上先に動いたほうが有利。
 駆け出した銀時をみてギーシュは余裕の笑みを浮かべ、バラを振る。
 花びらの一枚が銀時の前に舞ったかと思うとそれは甲冑を着た女戦士のゴーレムとなった。
「なっ、こいつが魔法ってやつか」
「僕はメイジだ、だから魔法で戦う。文句をあるまいね」
「ねえよ」
 銀時は少しほっとした。
 まだゴーレムなら戦いようがある。
 ルイズみたいにいきなり大爆発を起こされるよりはましだ。
「言い忘れたが僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。従って、青銅のゴーレム、
 ワルキューレがお相手するよ」
「『青銅』ってゴー○ドセ○ントより下じゃねえか、ペガ○ス流○拳でも打てるのか?」
 銀時は軽口を叩きながら腰に手を当て居合い抜きの体勢をとる。
 スカッ
「あり?」
 ここでいつものあの感触が無いのだ。
 銀時の愛刀である『洞爺湖』が腰にかかってないのだ。
 この時銀時は思い出した。
 さっき飯を食うとき、邪魔だからという理由で腰からはずして厨房に置いてきたことを。
 すでにワルキューレは眼前に迫ってきている。
「あ・・え・・ちょっ・・まっ・・げふっ!」
 まずは顔面を殴られた、そして次に腹を殴られた銀時は地面に倒れる。
「なんだよ、もう終わりかい」
「へへ良いパンチしてんな、世界をねらえるじゃねえか」
 あきれるようなギーシュの言葉に銀時は今だに軽口で答える。
 ―今から『洞爺湖』取りに戻っていいって言っても無理だよな。
 今この状態でそんなことを言っても逃げる言い訳にしか聞こえないだろう。
 殴られた銀時は口から血が出ている。

「ギーシュ!」
 ギーシュを叫ぶように呼んだのはルイズだった。
「おおルイズ、悪いな君の使い魔をちょっとお借りしているよ」
「いい加減にして、大体ねえ、決闘は禁止じゃない」
「禁止されてるのは貴族同士の決闘だ。平民と貴族の決闘は誰も、禁止なんかされていない」
 ルイズは言葉に詰まった。
「そ、それは、そんなこと今まで一度も無かったから・・」
「ルイズ、君はそこの平民が好きなのかい」
 ギーシュの冷やかすような言葉にルイズは顔を真っ赤にする。
「誰がよ!やめてよね!自分の使い魔が怪我するのを黙ってみてられないだけよ!」

「ルイズ、心配してくれてるところに悪りいんだけどこいつは俺の『喧嘩』だ」
「だ!誰があんたの心配なんか・・」
「そうかい、お前意外に優しいなあとおもったんだけどよ」
「な!何いってるの!!」
 ルイズはさらに顔を真っ赤にして怒る。
「俺は俺なりの筋を通さねえといけねえんだ、悪いけど邪魔すんな」
「ギントキ!」
「何だ、はじめて会った時以来だな、俺の名前を呼ぶの」

 シエスタは走っていた。
 ―あの人に届けなきゃ。
 野次馬を書き分けシエスタは前に出た。
「ギンさん!!これを」
 シエスタは抱えていた木刀『洞爺湖』を投げた。
『洞爺湖』は回転して銀時の前に突き刺さった。
 銀時はニヤリと笑う。
「サンキュー、シエスタ」
「ほう、木刀か、良いだろうそれぐらいのハンデが無ければつまら無いからな。
 平民がせめてメイジに一矢報いようと磨いた牙だ、未だ噛み付く気があるのなら
 その木刀を取りたまえ。ま、もっともそんな物で僕に勝てるとは思えないが」
「だめ!絶対駄目なんだからね!それを握ったらギーシュは容赦しないわ!」
 ルイズは止めようとするが銀時は全く意に介さない。
「うるせえよ、キザ野郎」
 銀時は口について血をぬぐいながらゆっくりと立ち上がった。
「メイジだかチョコレートだかブリガリアヨーグルトだが知んねえけどよ
 ちょっと力があるからって無い奴のこと『ゼロ』だの『平民』だのって
 見下す権利があるのかよ」
 銀時の言葉を聞いてルイズやシエスタははっとする。
 銀時はもしや自分達のために戦っているのではないかと。
 銀時のいる地球は今、天人(あまんと)と呼ばれる宇宙人達に支配されている。
 その昔、銀時はそれに対抗して天人達と攘夷戦争で戦った。
 しかし、その結果は敗北。天人達は幕府を実質支配し、街を我が物顔で歩いている。
 別にそれはかまわない、銀時は桂のように『革命だ』『体制の打破だ』と言う気は
 到底無い。
 しかし、それでも周りにいる人間の命や尊厳が踏みにじられるのを黙って見てられる
 わけでもないのだ。
 それは異世界に来ても同じことだった。
「んなもん、誰にもねえんだよ、それをこいつで教えてやるよ」
 銀時は『洞爺湖』を手に取った。
 その時銀時の左手のルーンが光りだした。

時間は少しさかのぼる。
 学院長室ではコルベールがオスマンに熱弁をふるっていた。
「始祖ブリミルの使い魔『ガンダールヴ』に行き着いた、というわけじゃな?」
「そうです、あの青年の左手のルーンは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』に刻まれた物と
 まったく同じであります!」
「で、君の結論は?」
「あの青年は『ガンダールヴ』です。これが大事じゃなくてなんなんですか!
 オールド・オスマン!」
 オスマンは異常にテンションの高いコルベールに少し引き気味ながら、慎重に
 判断するように言った。
 するとそこにロングビルが入ってきてヴィエストリ広場で決闘が始まったことを伝えた。

 決闘の現場にいたメガネをかけた青い髪の少女タバサは決闘には興味が無いのか
 本に視線を集中させている。
 今この場にいるのも隣にいるキュルケに半ば無理やり連れてこられたからだ。
 ただルイズの使い魔が木刀を手にした瞬間、彼女は初めて銀時を見た。
「あの人・・・強い」
「え、タバサ、何か言った」
 木刀を手にした瞬間、銀時の目が変わったのがわかった。
 それまでの死んだ魚の目から獣のような目に。
 シュバリエであるタバサだけが分かった。
 あの目は幾多の戦場を駆け抜けた歴戦の戦士の目であることを。

『洞爺湖』を手にした銀時にワルキューレが襲い掛かる。
 ワルキューレは再び銀時の顔面を狙ってパンチするがふっと銀時が目の前から消えた。
「遅せえ」
 いつの間にか銀時は横にいた。
 そして『洞爺湖』を思いっきりワルキューレの顔面に振りぬく。
 ワルキューレの頭部はあっさり砕け散った。
「そんな馬鹿な!!」
「嘘でしょう・・」
 ギーシュやルイズは驚く、いや、今この場にいるすべての人間が同じ気持ちだろう。
 青銅でできているワルキューレを銀時は木刀で打ち砕いたのだから。
 銀時も自分の体に起こった異変に驚く。
『洞爺湖』を持った瞬間から体が軽くなりいつも以上に力がわいてくる。
 ギーシュは慌ててバラを振る。
 花びらからワルキューレが6体生まれ、銀時の周りを囲むように襲う。
 しかし銀時の一振りで3体ものワルキューレが吹っ飛び動かなくなった。

 銀時の強みは常人を上回る身体能力と圧倒的戦闘経験から来る戦闘スキルだ。
 その上『ガンダールヴ』の力が上乗せされているのだ。
 常に多数相手に戦ってきた銀時にとってワルキューレが1体だろうと6体だろうと
 かわらなかった。
 最後の1体も銀時によって破壊された、戦闘が始まって1分もたってないかもしれない。
 周りは呆然としている。
「ひぃぃぃ」
 ギーシュは腰を抜かしている。
 そんなギーシュを見て銀時は
「はぁい、終了ォ、終わりィ、撤収ゥ」
『洞爺湖』を腰に納めたのである。
 このままギーシュをボコルこともできる。
 刀を突きつけて降伏を迫る事だってできるはずなのに銀時はそれすらしなかった。
「な、平民、僕に情けをかけたつもりか」
「情けだぁ、そんなもんお前にかけるぐらいならご飯にかけるわ。
『喧嘩』ってのはよぉ、何かを護るためにやるもんだろが、俺はもう護った」
「護ったって、君は何を護ったっていうんだ」
「俺の武士道(ルール)だ」
 そう言って銀時はギーシュに背を向けて歩き出した。
 途中にいるルイズの頭を触る。
「こいつの誇りもだな」
 その言葉を聞いてギーシュはひざを地面ににつけてうなだれる。
 ちっぽけなプライドを護ろうとしていた自分が到底勝てるわけ無かったのだ。
「僕の負けだ、完敗だ」
 ギーシュが自らおこなった敗北宣言により周りからは歓声が起こる。
 この場から出て行こうとする銀時にギーシュは言った
「待て、君は一体何者なんだ!」
 銀時はピクリととまり、振り返らず言った。
「俺は坂田銀時、ただの侍だ」

 遠見の鏡で一部始終を見ていたオスマンとコルベールは顔を見合わせた。
『ドット』とはいえ、平民がメイジに圧勝したのである。
「オールド・オスマン。早速王室に報告して指示を仰がないことには・・」
「それには及ばん」
 オスマンはきっぱりと言った。
 もしあの青年が本物の『ガンダールヴ』なら偉いことである。
 それを利用しようとするものもたくさん出てくるであろう。
 王室とて例外ではない。
 その上現段階では謎が多すぎる。
「ははあ、学院長の深謀には恐れ入ります」
「この件は私が預かる、他言は無用じゃ。ミスタ・コルベール」
「は、はい、かしこまりました」
 コルベールが出て行った後、オスマンはアゴヒゲを触りながら考える。
「しかしあのサムライという言葉どこかで聞いたような・・」

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