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Zero ed una bambola   ゼロと人形-06


「あの、ごめんなさい。ついおかしくて」
「おかしいだと!貴族の僕に?平民風情が!」

 謝るアンジェリカに対してギーシュは怒鳴る。

「そもそも君が軽率に壜を拾い上げるのがいけないのだ!」
「あの、貴族様。申し訳ありません」

 シエスタがアンジェリカをかばうようにでてくる。

「何だ君は? その髪の色、そうか君の妹なんだね? ともかく貴族に対する礼儀を知らないようだね。この僕が姉妹共々礼儀ってやつを直々に教えてやろう」

 ギーシュはそういって胸の薔薇に手をかけようとした。


 一方のルイズといえば、最初は傍観を決め込んでいたものの、何やらた不穏な流れになっているのに気付き席を立とうとする。
 ルイズがギーシュを止めようとした時、それよりも早くギーシュとアンジェリカ達の間に割り込む影があった。

「そこまでにしてもらえないか、貴族の坊ちゃん」

 その影の正体は、マルトーだった。
 彼は平民だ。平民が貴族に勝てないことなど身に染みてわかっている。だから陰口を叩くことはあっても、表立って争うとは思わない。

「君はコック長のマルトーだったね。魔法の使えない平民が何のようだね」

 いつもなら見てみぬ振りをしていたはずだ。そして傷を舐めあう。そうやって今まで何人の仲間が泣いてきたことか。

「魔法?魔法なら俺にも使えるぜ」
「なにぃ?」
「俺はコックだ。料理で食べたやつを幸せにする魔法をかけているのさ」
「何を馬鹿げたことを」

 馬鹿げたこと。確かにマルトー自身もそう思っている。だが自分の作ってくれたものには幸せの魔法がかかっていると言ってくれた少女がいた。魔法が使えるんだ。だったら小さな少女ぐらい守れてもいいではないか。
 過去の記憶のためか、膝が震えそうになる。今にも喚き出したい衝動に駆られる。
だが彼は一人ではなかった。

「ちょっと。ギーシュやめなさいよ」

 ルイズがマルトーに加勢し、シエスタとアンジェリカの前に立つ。ギーシュはそれを見て鼻で笑う。

「ゼロのルイズかい?魔法が使えない同士、仲良く庇い合うのかい?」

 周囲から笑い声が聞こえる。だがそんな様子を快く思っていない者もいた。キュルケはその一人だ。

「もう、ルイズったらしょうがないわね」
いつもだったたら傍観していただろうが、ルイズと可愛いアンジェリカの為だ。そう思い席を立つ。
「待って。私も行く」
「あらタバサ。どうしたの」
「あのサラダはおいしい」

 キュルケはルイズとタバサのために、タバサは料理(マルトー)のためにそれぞれギーシュの前に立ちふさがる。

「キュルケなんであんたまでくんのよ!」
「別にあなたのため何かじゃないわよ。可愛いアンジェちゃんのためよ」
「サラダ・・・」

 ギーシュは自分の前に立ちふさがる彼女達を見て苛立ちながら呟く。

「君達、一体何のつもりだい?貴族である者が平民の味方をするのか?」
「貴族?あんた、自分が貴族っていえるの?貴族っていうのは平民に威張り散らすだけの存在じゃないわ!」
「ゼロのルイズがご丁寧に貴族について御講釈かい?」

 ギーシュはそういって笑う。

「あたしもルイズと同じ意見ね」
「同感。みっともない」
「な、何だと!」

 追い討ちをかけるようなその言葉に怒りが頂点に達したのか、薔薇の花を振り上げた。

「ギーシュ・・・」

 しかしその手が降ろされることはなかった。

「モンモランシー! いつから居たんだい?」

 思わずギーシュはモンモランシーのもとへ駆け寄る。だが彼女はギーシュを避ける。

「モンモランシー、どうしたんだい?さっきのことをまだ根に持ってるのかい?」
「ケティとのこと?あのことはもういいわ。わたしだってやりすぎたと思ったの。だから・・・」
「そうか!許してくれるんだね!」

 ギーシュがモンモランシーの手をとろうとする。しかし彼女はその手を避ける。

「モンモランシー?」
「一部始終見させてもらったわ。ギーシュ、あなた最低ね」

 そういってモンモランシーは静かにその場から立ち去る。
 呆然とそれを見送るギーシュだったが、我に返り叫びだした。

「ま、待ってくれ!モンモランシー!」

 ギーシュがいなくなると場の雰囲気が一変し、また食堂に喧騒が戻る。
 全身に汗をびっしょりかいたマルトーがその場に座り込む。それをみたシエスタが慌てて駆け寄る。

「大丈夫ですか!」
「おう、大丈夫だぜ」

 そういって立ち上がる。

「貴族のお嬢さん方、ありがとうな」
「あの、私からもお礼を言わせて頂きます。ありがとうございました」

 そういってマルトーとシエスタが頭を下げる。

「べ、別に。アンジェのためにやったんだからね!」
「ルイズ、素直じゃないわね」
「う、うるさいキュルケ。ところでアンジェ。あんたもお礼を言いなさいよ」
「はい、ルイズさん。あの、マルトーさん、シエスタちゃん、ありがとうございました」

 アンジェリカは頭を下げる。

「いいアンジェ?危なくないと思ったら逃げても別にいいんだからね。誰も責めたりはしないわ」
「はい、ルイズさん。でもあの程度の人だったら私でもやっつけられますよ?」
「アンジェちゃん、いい?メイジに平民は勝てないのよ。余程の実力がないとね」
「でも、私、ルイズさんのお役に・・・」
「ああもう、この話は終わりよ。」

 何やら話がややこしい方向に行きそうなのでルイズは話を強制的に打ち切る。

「ああもう!お昼の時間が終わっちゃうじゃない。まだろくに食べてないのに」

 全てギーシュのせいだわ、そうルイズは呟く。

「何だったら何かお好きなものを作りましょうか?」

 昼を食べていないというルイズにマルトーはそう申し出る。

「ほんと?じゃあお願いするわ。えーとね、クックベリーパイがいいな」
「ルイズさん、クックベリーパイがお好きなんですか?」
「ええ、わたしの好物よ。アンジェは何が好きなの?やっぱりケーキ?」
「ケーキも好きですけどパスタの方が大好きです」
「パスタが大好きなの?じゃあアンジェリカちゃん。今度作って差し上げますね」
「アンジェちゃん。パスタはパスタでもどういうのが好きなの?」
「わたしの好きなのは・・・」

 少女達の会話に花が咲く。マルトーはそれを見ながら厨房へ戻った。彼の優しい魔法をかけるために。



Episodio 6

Magia gentile
優しい魔法


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