あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのしもべ12



「それで、ぼくたちをつけて何が目的だい?」
思わずたじろぐキュルケとタバサ。
キュルケは曲がりなりにも軍人の家系である。
タバサはすでに実戦の経験が人並み以上にある。
それが思わず後ずさるような迫力があった。
「な、なにって……」
別にやましいことがあるわけでもないのに口ごもるキュルケ。
「ダーリンがヴァリエールなんかと出かけるから、つい後をつけちゃったのよ。やましいことなんてこれっぽっちもないわ。」
ほらこれダーリンのために買ってあげたのよ、と剣を渡してくるキュルケ。残念だがなまくらである。
どうやら金貨500で購入したらしいが、それでもけっこうぼられていたりする。
「なら、ありがたくいただくことにしよう。」
遠慮ぐらいしろ、と言いたくなるぐらいあっさり受け取るバビル2世。すでに買ってあった剣と2本まとめて腰に挿す。
「気に入っていただけて?ヴァリエールなんかが買った剣よりよっぽどいいと思わない?」
正直どっちもどっちである。が、さすがにそれを言わない程度には常識がある。
それに、なにかの役には立つだろう。
「へえ、いいものもらったじゃない…」
地の底からわきあがるような殺意に満ちた声。
いつの間にか3人の横にルイズが立っていた。
「げえっ!ルイズ!」
「よかったわね、モテモテで。剣までもらえてさ。」
全く祝福していない調子で言う。ずかずかバビルとキュルケの間に入ると、出エジプト記のように二人が後退する。
「こ、好意でくれたものなんだから、そんな風に言わなくてもいいんじゃ…」
「好意ですって?」
ギロッとルイズがバビル2世をにらみつける。正直、ヨミの3倍は怖い。


「ビッグ・ファイア、アンタ心が読めるくせにこんなこともわからないなんてヴァーッカなんじゃないの!?この淫乱乳牛ゲルマニア女は、
アクセサリーと同じ感覚でアンタを手に入れたいだけなのよ!そのための餌を「好意でくれたものなんだから」ですって?読心魔法
なんて、ビッグ・ファイアにとっては船の車輪、野原の柱みたいな無用の長物もいいところのものなのかしら!?」
「なんですって!?」
目が座るキュルケ。なに舐めた口聞いてるんだこの洗濯板、と言いたげに上から見下ろしながら反論する。
「特殊な趣味の人間にしか相手にされないような、真鍮の柱よりも凹凸のない貧弱ボディの癖によくもそんな口が叩けたわね?
処女膜に蜘蛛が巣をはりそうな境遇で脳がいかれちゃったかしら?仮にも亜人を、人扱いしないような下劣な思想のヴァリエールは
他の人間も異性を道具扱いしてるって考えてしまうのでしょうから仕方がないでしょうけど、普通の人間にとっては愛する人に
尽くしたいという思いは当然のことなのよ?それをわかっているからダーリンは快くアタシの贈り物を受け取ってくれたんじゃないの。
そんな風に自分以外の人間を道具扱いするから、代々ヴァリエール家の人間はへっぽこなのよ。この凹面胸女!」
どさっと本を落とし、拾いもせず固まるタバサ。ルイズ以外にもダメージを受ける人間がここにいた。
「……ごめん、今のなし」
「……こっちこそ、ごめんなさい。」
ダメージを受けたタバサを見てお互い頭を下げあう。
「……よく考えたら、無節操に二人から剣を受け取るビッグ・ファイアがダメなのよね!」とルイズ。
「……そうね。相手が他の女ならともかく、よりによってヴァリエールの剣とってのが気に食わないわね」とキュルケ。
一方そのころタバサは?胸が大きくなるという体操をしていた。
「じゃあここはビッグファイアに決めてもらいましょうか!」
「むむ?」
「そうよ、アンタの剣でもめてるんだから!」
ずんずんずんと左右迫るルイズとキュルケ。確信した、この二人は間違いなく仲がいい!
タバサは黙々と体操を続けている。
剣はどっちもどっちだし、決め手にかけている。それにどうもこれは単純にいい剣を選べばいい、という話ではなさそうだ。

「さあ、これで決定権はビッグ・ファイアに移った!」
「アタシとヴァリエール、どちらを選ぶ!」
「答えてもらおう!」
「いざいざいざ!」
「「さあ、幻夜よ!返答やいかに!?」」
「そ、それは……」
「おい、うるせーぞ!/バカ女ども!/」
「あん?」「ぁあ?」
ヤクザが泣いて逃げ出すような形相でバビル2世は睨まれる。
「バカ…?」「女ども……?」
「ち、ちがう!ぼくじゃない!」頭の中でジャーンジャーンジャーンとドラの音が響き渡る。絶体絶命のピンチである。
「……剣。」
胸の前で拝むように掌を合わせて、押して戻してを続けていたタバサが指摘する。つーかこの状況でまだやっていたのか。
「人が寝てるところを起こしやがって……/」
「げぇっ!剣がしゃべった!?」驚愕するバビル2世。ディズニーのアニメか、この世界は。
「おでれーた!/何者だ、おめー!?/今までの使い手連中がかわいく見えるぞ!?/なんてぇ化け物だ!/ どーりで目も覚めるわけだ/」
使い手?使い手とは何だ?いや、それよりも、この剣はぼくの力を見抜いたというのか?
「それって、インテリジェンスソードじゃない?」
知性を持つ剣、インテリジェンスソード。珍しいことは珍しいが、この世界ではそれなりにありふれた存在だという。
「またあなたも変なもの買ってきたわね。」
「知らなかったのよ。こんな気色の悪いもの、すぐに返品するわ。」
どうやら人間並みの思考力をもっているらしい。となると、テレパシーは通用するのだろうか。
試しに、『おい、使い手というのはなんだ?』と送ってみる。『おでれーた!/』とすぐに返事が返ってくる。
『お前本気でなにもんだ?/今までの使い手でこんなことができたやつはいねーぞ!?/』
『いいから質問に答えろ。』
『それはまだ言えねーな。/オレが認めたら、教えてやってもいいけどよ/』
『そうか。別に黙っていてもいい。無理矢理心の中を読んでやるだけだ。』
『ちょ、ちょっと待った!/』 慌てて読心を静止してくる。
『そんなことまでできるのか、おめー!?/わかった、わかったよ!/説明してやるから耳かっぽじって聞きな/』
『隠しているようなら、へし折って塩水に漬けるぞ』
『……説明させてください/』


剣の説明によると…。
名をデルフリンガーと言い、6000年前に作られた由緒正しい剣である。
かつてガンダールヴと呼ばれた虚無の使い魔が使っていた伝説の剣であるらしい。
もっとも6000年間のことはほとんど忘れてしまっているとのことで、
『塩水に漬けるぞ』
と脅されても、『いや、マジで覚えてないんだって!/ちょ、信じて!/』と繰り返すのみであった。
まあ、知りたいことには答えたのでよしとしよう。
『つまり、ぼくはガンダールヴで、ガンダールヴを呼び出した魔法使いは』
『ああ、虚無の魔法使いだってことだ。/あのお嬢ちゃんがそうだってのかい?/おでれーた!/』
『で、ガンダールヴというのは』
『異世界から召喚されてるのは間違いないな。/おれっちもよくわかんねーけどよ。/で、そのルーンの力で、あらゆる武器を使いこなすこ
とができるってわけだ。/別名神の左手、あるいは盾。/』
『虚無の魔法というのはどうやれば身につくんだ?』
いままでルイズは爆発こそ起こすことができるが、それ以外は全く駄目である。
考えるに、虚無の魔法を取得するにはなにか特別な方法が必要なのではないだろうか?
それはサッカー選手になるのにいくらバットを振っても無理なように、他の4系統と異なり特別な手段を要するのではないだろうか?
『爆発は初期の虚無の魔法だな。/独学で爆発させてるのかい?/おでれーた!/』
なんでも虚無の魔法は、たとえば爆発、幻影、記憶の消失などの効果を持つらしい。もっともこれはごく初段階の魔法であるらしい。
呪文詠唱の長さで威力が決まるが、途中でやめても比例してそれなりの威力は出る。
全て詠唱するにはかなり時間がかかるらしい。
『他の4系統とペンタゴンを組むといえば組むし、こいつ一つで対になっている、とも言えるな。/』
『どうしても覚えたきゃ始祖の祈祷書でも読むんだな』と言うとデルフリンガーは『もう休むぜ、相棒』と眠ってしまった。


剣でも眠るのか、と妙な感心をしていると、
「どうしたのよ?ぼーっとして」とルイズが聞いてきた。
「いや、剣を決めたんだ。」
と言ってデルフリンガーを出すと、ルイズの目が輝き、キュルケはなんともいえない表情をした。
「どうせならしゃべる剣のほうがおもしろいからね。」
今後、この世界や虚無について聞き出すのもそうだが、いつの間にか相棒にされていたからにはしかたがない。
なによりこの世界で3つのしもべのような存在を手に入れたことが大きかった。
『3つのしもべか……』
ロデム、ロプロス、そしてポセイドン。
いったいどこにいるのだろうか?この世界にいるのか、元の世界にいるのか、それすらもわかっていない。
『とにかくここが異世界だということがこれではっきりした。そして虚無の魔法使いであるルイズが僕を呼び出した。』
ルイズを見つめると、なぜか顔を赤くして横を向いてしまった。そして、
「さ、帰るわよ!」袖を掴み、馬まで引きずられた。
『呼び出した以上、ルイズならばぼくを帰すことができるかもしれない。それにはまず始祖の祈祷書とやらを手に入れる必要がありそうだな。』


そのころ、ガリア王国ラグドリアン湖―――
タバサことシャルロットの母親が幽閉される屋敷が傍立つ広大な湖。
その湖の様子が変わった。
魚が突然暴れだし、次々岸に乗り上げて、死んでいく。
まるでレミングスの集団自殺である。
湖の色が中心から茶色くにごりだし、たちまち全体に広がっていく。
泡がぼこぼこと湧き上がる。地震のように湖面が揺れだし、小波が徐々に大きくなって、普段では届かぬような岩を洗いだす。
突然、盛り上がる水面。
暗闇の中、巨大ななにかが湖面へ浮上したのだ。
目が妖しく輝く。なにかと連絡をとっているかのように明滅を繰り返す。
やがて北へ移動し浜へ上陸すると、その異形があらわになった。
20メイルを超す巨人。いや、30メイル近い。
全身に亀の手のような貝がびっしりこびりつき、あるいは藻が生えている。まるで海坊主だ。
それは行く手をさえぎる樹木を意に介せずなぎ倒し、やがて地平線の彼方へと消えた。
残念なことに、この光景を見ていたのは気を病んでいたタバサの母親だけであった。
だが、後に残る巨大な足跡と、なぎ倒された木は周辺住民の間にあっという間に伝わり、ラグドリアン湖の怪物―ラグッシーーとして
後の世で村おこしに使われたのは言うまでもない。



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