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ゼロの使い魔外伝‐災いのタバサ‐4


夜空に浮かぶ双月の光が魔法学院の本塔の外壁を照らし、そのそばを飛んでいる影を浮かび上がらせる。
影、土くれのフーケとその使い魔は宝物庫の壁の状態を確認していた。

「……魔法学院宝物庫の壁も、流石にあの攻撃には耐えられなかったみたいね」

本搭の壁には、綺麗に垂直の線が走っていた。
数日前、コルベールが生徒の使い魔から卵を奪おうとした際に使い魔が放った光が本搭に直撃し、そのまま真っ二つに切断されてしまったのだ。
それでも倒壊していない理由は綺麗に90度に切断されているからであろう。

「だけど、このままだとおねえさまのゴーレムでは無理なのね」

使い魔である風竜の言葉にフーケは頷く。
このまま切断されている場所をゴーレムに殴らせれば本塔ごと簡単に破壊できるであろう。
だが、フーケはゴーレムを作り出さなかった。いや、作らなかったと言ったほうが正しいだろう。
フーケが視線を壁から本搭の屋根へと向けると、そこには本来あるはずの屋根の変わりに、巨大な鳥が蹲っていた。
搭を切断した使い魔、ギャオスだ。
どうやらそこが気に入ってしまったらしく、ギャオスは夜行性のはずなのに微動だにせずその場で蹲っていた。
もしも今、宝物庫へゴーレムによる攻撃を行えば、その衝撃により目覚めるのは確実。
場合によっては襲撃されるであろう。

「やっとここまで来たのに」

フーケは忌々しげに呟く。

「だけど『破壊の杖』を諦める訳にはいかないのね」

フーケは腕を組み策を考え始める。
だが、これといった決定的な打開策は思いつけなかった。
そもそも既に目覚めている可能性もある。もしもそうならば早急に逃げた方が身のためであろう。

「おねえさま、今日は様子見だけにするのね。あの『災い』があそこから離れた時を狙ったほうがいいと思うのね。きゅいきゅい」

フーケは使い魔の提案を採用し、撤退しようと考えた。
その時、どこからか口笛の音色が辺りに響き渡った。
その音色を聞くと、今までピクリとも動かなかったギャオスは首を上げ、空へと飛び立ったではないか。
フーケと使い魔は大慌てで物影へと飛び込み身を潜める。
そんな一人と一匹の様子に、ギャオスはここに来たときから気づいていたがあえて無視した。
そんなことより、最愛の主に呼ばれた今、彼女の元へ向かうのが最優先事項である。
ギャオスはそう考えつつ、タバサの元へと向かって飛び立った。





私とあの子達は、キュルケ達と一緒に中庭へ移動していた。
流石にあの子達の大きさで室内で殺し合いを行うことは不可能だと判断したからだ。
あの子達の影で星や双月が見えなくなり、辺りは暗闇に包まれている。
だが夜行性のあの子達にそんなことは関係ない。
むしろ暗いほうがありがたかった。

「いいわねサイト、絶対に勝ちなさいよ」
「なあ、ホントにギャオスと戦わなくちゃいけないのか?」
「当然よ」

今から殺しあう相手であるルイズの使い魔、平賀才人は主人を説得しようといろいろ話しかけている。
だがルイズは説得に応じず、夜空を覆い尽くし、先ほどから心の声で私に声援を送ってくれているあの子達を見て闘志をさらに高めているようだ。
そんなルイズの様子を見て説得を諦めたのか、今度は私に話しかけて来た。

「ルイズには俺がよく言っておくからやめてくれないか?」
「そうよ、私からも言っておくからやめておきなさいよ」

キュルケにも説得をされるが、私は聞かない。
ギャオスを、大切な子共達を、目の前で『殺せ』と言ったルイズに、使い魔を殺されることがどういう気持ちになるのかを味わわせるまで許すつもりはなかった。

「これは決定事項」

私は二人にそう言うと、ルイズの方へ視線を向けた。

「どちらかが死ぬまで続ける」
「わ、わかったわ」
「彼が武器を使用することは有効。あなたが魔法で援護するのも許可する」
「そんなことしていいの?」

想定していなかったであろう言葉に驚きの表情を浮かべているルイズに私は頷く。
普通ならそんなことは許さないだろう。
しかし、彼女がどんな魔法を使おうとも爆発することは知っている。
だから使わせても問題はない、と私は判断した。

「わかった。じゃあ、始めましょう」

そう言うとルイズは杖をこちらへ向け構えた。
才人も覚悟を決めたようでキュルケが彼に渡した高いだけの剣を構えた。

「で、どれが相手?」

ルイズが空を見上げつつ聞いてくるが、私は首を降った。
戦うのは飛んでいる実戦の経験がない子達ではない。
それにあの子達はまだまだ子供だ。万が一の場合敗北してしまうだろう。

「じゃあどいつよ?」

そう聞かれ、私は先ほどとは別の音色の口笛を吹く。
辺りに口笛の音が響き、すぐに本搭の最上階で巣を作っていた子が青いリボンを揺らしながら飛んで来てくれる。
私が春の使い魔召喚の日に召喚した子、『シルフィード』だ。
シルフィードは私の背後にゆっくりと着地すると、会話しやすいように目の前に顔を降ろしてくれた。
私はシルフィードの鼻先を撫でつつ、あそこにいる人間を「殺して欲しい」と伝える。

「お願いできる?」

シルフィードは一瞬驚きの表情を浮かべた。
当然であろう。「その日がくるまで、人間だけは絶対に殺してはいけない」と全ての子にきつく言っているからだ。
だが迷ったのは一瞬だけで、シルフィードはすぐに了承の意を返してくれた。

「ありがとう」

私はシルフィードに僅かに笑みを見せる。
だがすぐにいつもの表情に変え、振り向きざまに才人とルイズに杖を向ける。
そして、高らかに叫んだ。

「シルフィード、殺して!」

私が叫ぶと同時に、子供達がトリステイン中に響きそうな雄叫びを上げた。
シルフィードは翼を広げ、才人に向かって突撃していった。





その様子を、ギャオス達にさえ見つけられないほど巧妙に隠れて観察する者がいた。

「……あんな怪物を召喚したとは、エルフ達が恐れるのも無理はないてことかしら?」

彼女の手に握られたビンの中には、ギャオス達が喧嘩した際に剥がれ落ちた肉片が入れられていた。

「まあ、これで少しは面白くなってきたってことかしらね」

そう呟くと、彼女は何処かへと去っていった。


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