あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのデジタルパートナー 二話


 ルイズとメガドラモンのメガは、彼女の部屋に居た。
 メガが、使い魔と言うのがどう言う物か分からないから教えて欲しい。と言ってきたので、ルイズは丁寧に教える事にした。
 しかしそれは少々難航した。何故なら、そもそもメガは「魔法使い」すらも知らなかったのだ。
「大体は分かった。要するに、ルイズ様の身の回りの世話と護衛をすれば良いのか」
 飲み込みが早いメガが、使い魔の仕事を要約する。
 ルイズが自分の事は様を付けて呼ぶように、と言ったので素直に実行しているが、口調が変わっていないので少々違和感がある。
 ちなみに、感覚の共有は出来なかった。秘薬の探索も無理だろうな、と考えて話題には出さなかった。
「そう言う事よ。メガは洗濯とか出来……ないわね」
 メガの金属の腕を見て、ふう、とルイズは溜息を吐いた。
 何でそんなものを着けているのか、と言う質問に対し、メガは「元々こうだ」と答えた。
 最初は信じなかったルイズであったが、嘘を言っている風にも見えなかったので、そう言うものなのだ。と無理矢理納得する事にしたのだ。
 しかし洗濯に関するメガの返答は、少々ルイズを驚かせるものだった。
「出来るぞ」
「え?」
「やった事もある」
 前のパートナーに付き合わされた。とは言わなかった。言う必要をメガは感じなかったからだ。
「ほ、ほんと?」
「ああ。それなりに自信もある」
 ルイズが顔が綻ぶ。これも、未だかつて級友達が見た事の無いだろう表情だ。
 言う事を素直に聞いて、頭も良くて、強くて(多分)、洗濯も出来る。正しく夢の様な使い魔ではないか。
 ……感覚の共有は出来ないが。
 しかしそんな事は些細な事だ。ルイズは更なる期待に胸膨らませながら、一応聞いてみた。
「掃除は?」
 ルイズの質問に、メガは一度室内を見回してから答えた。
「これ位なら大丈夫だろう」
「わーい」
 メガの質問に、即行抱き着くルイズである。
 筋肉隆々だが自分が抱き着けば柔らかく迎えてくれる。我ながら素晴らし過ぎる使い魔を召喚したものだ、とルイズはまたしても笑いを堪え切れずに居た。
「ところでルイズ様。そろそろ眠りたいのだが」
 メガのお願いに、ルイズがそうね、と頷く。
「じゃあ一緒に……は、無理ね」
「床で良い」
「そ、そお? じゃあそうして貰おうかしら……」
 些か心苦しいルイズであったが、メガが本当に眠たそうな眼をしていたので、提案を受け入れた。
 調子に乗ってメガの頭におやすみのキスまでする。
 メガも特に咎めるでも抗うでも無く、それが「寝て良い」と言う合図なのだと受け取り、尻尾で身体を包んで眠りに落ちた。
 ルイズもそれを見届けて、服を脱いでから布団に潜った。
 そしてこれからの自分の生活に胸躍らせながら、夢の中に落ちていった。


 朝、メガの眼が覚める。
 起き上がると、ルイズはすーすーと寝息を立てて眠っていた。
 ルイズが寝ている傍には、服が脱ぎ捨てられている。
 これを洗えば良いのだろう。とメガは思い、三つの爪しかない腕で器用に集める。
 ……ここで問題が生じた。何処で洗えば良いのだろう?
 パートナーの洗濯を手伝っていた時は、冒険の所々、水場で洗っていた。
 どうしたものかとメガが悩み始めた頃、窓の外を一人の少女が洗濯物を持って歩いているのを見つける。
 彼女に聞こう。そう思い、素早くメガは窓を飛び出した。

「よいしょ、よいしょ」
 小さな身体で大量の洗濯物を運んでいるメイド、シエスタの前に突然竜が降りて来た。
 それだけならまだ良い。この学院ではよくある事だ。
 だが次の瞬間、シエスタが驚愕の声を上げる。
「洗濯が出来る場所を教えてくれ」
「しゃ、喋った!」
 シエスタのその反応に、メガはちょっとムッと来た。
 昨日も思ったが、俺が喋る事がそんなに変なのか?
 メガがそんな事を考えている内に、シエスタはある噂を思い出した。
「も、もしかして……ミス・ヴァリエールの使い魔さんですか?」
「ミスバリエル?」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール様です」
 そう言われ、ああ、とメガが頷く。
「そうだ」
「や、やっぱり!」
 あのゼロのルイズが、珍しい韻竜の子供を召喚した。
 その噂はメイド達の耳にも届いていたのだ。
「洗濯が出来る場所を教えてくれ」
「あ、はい。こちらです」
 先ほどと同じ言葉を繰り返したメガに、シエスタは答え、洗濯場への道案内をした。


「へ~、器用なんですね~」
 シエスタが感嘆の言葉を漏らした。
 メガは大きな樽に水を入れて貰い、その上で両手で服を破らないように掴み、尻尾でぱちゃぱちゃと服を洗っている。
 その姿は外見と雰囲気に似合わず、何処か可愛らしくもあった。自然とシエスタが微笑みを浮かべる。
 一着を洗い終えた所で、メガの腕が止まった。
「……どうしました?」
「面倒だ。……どうせだからそれも貸せ」
 ルイズの服を樽の中に入れ、尻尾で巻き取ったシエスタの分の洗濯物も一緒に入れる。
 更に自分の尻尾を樽の中に入れ、振り回す。
 するとどうだろう。樽の中で渦が発生し、洗濯物の汚れが見る見る内に取れていく。
 時々逆回転する事により、見事に揉み洗いの効果を生み出していた。
「す、凄いですわ!」
 シエスタがまたも感嘆する。
 そんな様子を見て、メガは思う。最初は偶々無いだけなのかと思っていたが、違ったようだ。
(……現実世界には、洗濯機って無いんだな)
 正しいのだが、やはり間違っているメガであった。

 その後、メガはシエスタと協力して脱水を行った。
 シエスタに感謝されつつ、メガは自分の洗濯物を抱えてルイズの部屋に戻って来た。
 見ると、ご主人様はまだすーすーと寝息を立てている。
 既に辺りからは人間達の声なども聞こえる。
 身の回りの世話。と言う事は起こすのも入るんだろうな、と思い、メガはルイズの綺麗な寝顔を軽く尻尾でペチペチと叩いた。
「んん~……」
「ルイズ様。朝だ。起きろ」
 起きない。メガは困った。これ以上は手荒くなる。
 仕方無いので起きるまで尻尾で叩くする事にした。
「う~……あ、スパゲッティ」
「何を……、ッ! UGYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!」
 メガが叫びを上げる。咆哮と言っても良い。
 どんな夢を見たのか、ルイズが自分の顔を叩くメガの尻尾に思い切り噛み付いたのだ。
 学院中に叫び声が響き、流石にルイズも目を覚ます。
 尚その後、隣室の生徒達に「ゼロのルイズが使い魔を怒らせた」と噂を流された事は、言うまでもない。


 流石に服を着せてもらうのは出来ないと踏み、ルイズは自分で着替えた。
 その間、何度も何度も噛んだ事に対し謝っていたが、メガは「大丈夫だ」と答えるばかりで、余計ルイズを不安にさせた。
 だが部屋を出ようとした時にメガが何も言わずにルイズを背に乗せてくれたので、もう一度ルイズはごめんなさいを言って、メガの首を抱き締めた。ちゃんと弱くだ。
 二人が部屋を出ると、部屋の前でルイズより背の高い褐色の肌で燃えるような赤い髪の女が立っていた。
 一番目と二番目のブラウスのボタンを外して凶悪な胸元を覗かせ、それによって元より溢れている色気が殺人的な威力を見せている。正常な女性とデジモンには関係の無い所だが。
「おはようルイズ。朝っぱらから迷惑な子ね」
「ほっといてよね」
 キュルケのからかいに、メガの背でルイズが頬を膨らませる。
「ふぅ~ん、で、その子が貴女の使い魔、ねぇ……」
 目を細めて、キュルケがメガを見つめる。
 メガはと言えば、キュルケでは無く、その隣の生物に興味があるようだ。
「そうよ。あんたのサラマンダーなんかとは比べ物にならないんだから!」
 へん。とルイズが無い胸……ではなく、未だ育つ可能性があるかもしれない胸を張って、鼻を伸ばす。
 その言葉に、珍しくキュルケが、確かにね。と頷いた。
「私のフレイムに文句があるワケじゃないけど、そんな立派なのを召喚するなんてねぇ……貴女が」
「きゅるるるる」
 先ほどからメガが見つめていたキュルケの使い魔、フレイムがのそのそとメガの前に歩いてくる。
 メガも頭を下げて、フレイムの頭を軽く小突く。ちなみに高度も一緒に下がっているので、ルイズが落っこちるなんて事は無い。
 きゅるる。グゥゥゥ。きゅるるるる。ウァガ。
 二匹の謎のやり取りに、ルイズもキュルケも興味深そうに見入っていた。
 暫らくすると、メガが身体を起こし、フレイムがキュルケの傍に戻った。
『なんて?』
 二人の問いが重なる。
「貴方の事、つまり俺を兄貴と呼ばせてくれ。それと自分の主人とも是非仲良くしてくれ。……だそうだ」
 メガが軽い説明をする。
 まあ、とキュルケがフレイムの頭を撫でる。ルイズは前半については勝ち誇ったように、後半については渋るようにと、実に難しい表情をしていた。
 そんなこんなで、主人の争いは使い魔同士の微笑ましいやり取りによって、いつの間にか消沈していた。

 食堂でもメガは実に大人しかった。
 最初ルイズは、子供で小さいとは言え、韻竜を食堂に入れて良いものか。と悩んだが、見せびらかしたいと言う珍しいものを手に入れた時の、誰にでもある感情が打ち勝ち、連れて行く事にしたのだ。
 床で食べさせようかとも思ったが、なんとなく餌付けをしたい気持ちがまたもや打ち勝ってしまう。ルイズはメガを自分の隣に控えさせ、適当なものを与えながら自分も食事をした。
 隣の生徒がビクビクしながら食事をしていたのは言うまでも無い事である。
 食事も無事に終わり、ルイズはメガの背に乗って悠々と学院内を移動する。擦れ違う生徒達の視線が非常に心地良いルイズであった。
 もう誰も自分を『ゼロ』とは呼ばない。そう思っていたルイズだったが、その考えが大きな間違いだったと気付くのに、そう時間はかからなかった。
 例によって例の如く、ミス・シュヴルーズの授業でルイズが盛大な失敗をやらかしたのだ。
 勿論彼女は『ゼロ』と揶揄され、使い魔を召喚しただけでは『ゼロ』の汚名は消えない。自分が使い魔に見合う能力を手に入れなければならないのだと、否応無しに気付かされた。
 そんな授業の後、片付けをしているルイズとメガ。
 ルイズはちらちらとメガを窺いながら、掃除をしている。メガは自分に落胆していないだろうか。失望していないだろうか。そんな考えは浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
 だがメガは、無表情で自分に与えられた仕事をこなしている。と言っても、メガの表情は極端でなければ上手く読み取れないので、無表情かどうかは分からないが。
 暫らくして遂に痺れを切らしたルイズが口を開いた。
「ねえ、メガ。どう思う?」
「……何をだ?」
 掃除の手を止め、メガがルイズに顔を向ける。
「その……私を、よ。『ゼロの』ルイズを」
「……ああ」
 少し考える素振りを見せてから、メガが口を開いた。
「悪く無い」
「ば、馬鹿にしてるの!?」
「いや。そうじゃないさ、決して。……じゃあルイズ様、なんでお前はあれが悪い事なんだと思う?」
「え?」
 今まで言われた事も無い言葉。ルイズは少し戸惑った。
 メガは魔法の事を知らなかった。それに今も詳しくは知らないだろう。だからこんな事を言ってるのだ。そんな風に考え、ルイズが言葉を探していると、
「他の人間が魔法を失敗すると、ああなるのか?」
「――あ」
「お前だけなんだろ? だからルイズ様は『ゼロのルイズ』と呼ばれている。だが、それは悪い事か? 
俺が思うに、あれはお前がまだ未熟だからだ。そしてお前は、他の誰とも違うチカラを持っている。ルイズ様……お前、今まであの技の練習をしてきたか? してないだろ。だからそんな風に思ってるんだよ」
 ぽつぽつと、少しだけ面倒臭そうに、メガは語る。
 普段のルイズならとっくに激昂して反論している所だが、不思議と聞き入っていた。
「だから安心しろ。お前はきっと、誰にも負けないマホー使いになれる」
 メガの言葉には根拠は無い。だが、確かにそうだ。有り得るかもしれない。と言う『希望』は、その言葉の中に確かにあった。
 そうだ。とルイズは頷く。自分がああやって爆発を起こすようになってから、自分は鍛錬を怠っていなかっただろうか? あの術を、極めようとしただろうか?
 確かに今思えばあの術は失敗なのかもしれない。だが、あんな突然の爆発は、誰も起こせない。自分しか出来ない。
 なら、例えそれが失敗の結果なのだとしても……極めてみる価値はある。ルイズはそう思った。
「ありがと、メガ」
 ルイズの感謝の言葉に、メガは少しだけ微笑んだように見えた。
「ところでルイズ様。このガラクタ共だが、マホーで片付けようとしたら失敗しました。と言って、ぶち壊すのは駄目か?」
「あんた天才ね」
 メガの頭を撫で、ルイズが杖を取り出そうとするが、メガがそれを止める。
「俺がやる。爆発が悪い事ばかりじゃないって、教えてやるよ」
 そう言うと、ルイズを自分の背に乗せ、メガ教室を出る。
 確り俺の背中に隠れてろ。メガがそう言うと、廊下から教室に向けて両腕を翳した。

「ジェノサイドォォォッ! アタァァァァァァァァックッ!!」

 メガの叫び。その次の瞬間、ルイズの失敗魔法とは非にならない爆音が響いた。
 ルイズは後に知る事になるが、これこそがメガことメガドラモンの必殺技「ジェノサイドアタック」である。
 メガの両腕から射出された生態ミサイルは、「YEEEEEAAAAAAAAAA!!」と奇声を上げながら教室の中心の床に激突し、爆発したのだ。
 そうとも知らずにルイズは、メガが何らかの強力な先住魔法を使ったのだろうと、更なる期待に胸躍らせた。
 尚、その後教室の机や椅子を破壊する所か、床をぶち抜き、壁を粉砕して大きな風穴を作るまでやってしまったルイズ――正確にはメガだが――が、かなりの叱咤を浴びた事は、やはり言うまでも無い事である。
 更なる余談だが、その存在が幻とされる韻竜を召喚したルイズに気を良くしたヴァリエール家が、勿論その損害費を全て負担した。


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