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ルイズと剣狼伝説第二部-12

ワルドはロムを蛇の様な目で睨み付けた。
「貴様・・・・・・・・、どうやってあそこから・・・」
濁った声で呟くと、ロムより先に飛び出してきた、銀色の螺旋が付いた車に目が付いた。
「まさか・・・・・・、そこにあるマジック・アイテムが!?」
「オイラはマジック・アイテムなんて名前じゃないぞ!悪党!!」
車から声が発せられる。そして車体から腕が伸び、足が伸びると立ち上がり、土がついた銀色の螺旋の根本から赤いバイザーが表れた。
「オイラの名前はドリル!ロッド・ドリルだ!」
ドリルが怒鳴り声をあげると、ワルドは絶句した。
(ば、馬鹿な!仲間が居ただと!?このアルビオンに!?いやしかし、どうやってあの鎖を!?)
ワルドが怪訝な顔で思考していると、ロムは目を見開き、口を開いた。
「ワルド!貴様よくもルイズを騙したな!」
礼拝堂に響き渡る声によって、思考から我に帰ったワルドは余裕の態度を取った。
「ルイズは貴様を信じていたんだぞ!それなのに貴様は人の命を踏みにじり、上に立とうとする者達に手を貸している!貴様等の愚行、天地が見逃しても俺は許さん!」
ロムは左手にあるデルフリンガーをワルドに向けて、怒りの声をあげた。
「信じるのはそちらの勝手だ!私には『力』が必要なのだ!世界を手に入れる為の『力』がな!」
ワルドは飛び上がり杖を振る。ロムもそれにあわせて飛び上がった。
「天空宙心拳!『旋風蹴り』!!」
「吹き飛べ!ガンダールヴ!!」

ロムはワルドに横薙ぎの蹴りを喰らわせようとするが、風の呪文『ウインド・ブレイク』に吹き飛ばされ、壁にぶち当たった。
「ロム!」
「大丈夫か!ロム!」
ルイズとドリルが同時に声をあげると、ロムは床に着地して声をあげた。
「いや、大丈夫だ!まだ戦える!」
ルイズはほっ、と安直の息を漏らす。しかし、まだピンチであることは変わりない。
「ロム!助太刀するぜ!」
ドリルが両手にあたるアームをガンガンぶつけながら勇むと、ロムは手の平を向けて制した。
「いや、こいつは俺一人に任せてくれ!お前はルイズを頼む!」
ドリルはルイズに顔を向けて目にあたるバイザーを点滅させた。
「ルイズ?この子?さっきお前が言ってた?」
「ああそうだ!俺の主だ!」
「・・・・・・・・。何だかよくわかんないけど、よっしゃあ!任せとけ!!」

「頼むぞ!」
ロムは床を蹴り再びワルドの立つ場所へ飛び込んでいった。


「平民がメイジ相手に勝てないことがまだわからんか!」
ワルドはエア・ハンマーを呪文を唱え、迎え撃とうとする。
「おい相棒!俺に任せておけ!」
「デルフリンガー!?」
『思い出したんだよ!!』
デルフリンガーが震えながら叫ぶ!ワルドは杖をロムに向けて振った。
エア・ハンマーが発動した。が、起こらなかった。
何故なら、エア・ハンマーはデルフリンガーの刀身に吸い込まれるように飲み込まれたからだ。
「・・・・!貴様・・・・!何をした・・・・!」
戸惑ったワルドが声を荒くする。
そして・・・・。
「そうかそうか、相棒は『ガンダールヴ』だったのか!自分の体を長い間変えてたからすっかり忘れていたぜ!!」
「デルフ・・・・、お前!?」
「これが俺の本当の姿だ!地下室の時から引っ掛かっていたけどよ、いやあ、あのヒゲヤロウが言ってくれたおかげで思い出したぜ!」
ロムが握っているデルフリンガーは、今まさに研がれたように光輝いていた。
「相棒がすげー奴だって事はずっと前から知っていたんだぜ!だけど忘れていた!」
「一体何の話だ!」
ロムが怒鳴るとデルフリンガーは豪傑笑いしながら答える。
「安心しな相棒!これからはちゃちな魔法は俺が吸い込んでやるよ!この『ガンダールヴ』の左腕、デルフリンガー様がな!」
興味深そうにワルドは剣を見つめた。
「なるほど・・・・、その剣であの鎖を切り捨てたか。『ライトニング・クラウド』を軽減させた時に気付くべきだった」
ワルドは薄く、不気味に笑うと首を横に振り、杖を構えた。
「ならばこちらも本気をだそう!最強の系統『風』。その強さ、身をもって知るがいい!」
「笑止!悪の呼ぶ風の前に、俺達が屈するする訳がない!」
ロムが斬りかかると、ワルドは軽業師の様にかわし、呪文を唱える。
「ユビキタス・デル・ウィンデ・・・・・・」
呪文が完成すると、ワルドの体は一つ、二つ、三つ、四つと増えていき、本体を合わせて五体となった。
「分身だと!?」
「ただの『分身』ではない。風のユビキタス、風は遍在する。風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する・・・・」
ロムははっとした顔になると奥歯を強く噛み、分身達を見回した。
「では!あの地下室で俺を襲ったのは!」
「無論、私の分身だ」
ワルドの分身の一人が白い仮面を取り出して顔に付ける。それを見たロムは心の奥から怒りが込み上げてくるのを感じた。
「さあ、行くぞ!風は遍在する!」
五体のワルドが一斉にロムに飛びかかる。さらにワルドは呪文を唱え、杖を青白く光らせた。
同時にドリルの後ろで二人の戦いを見ていたルイズの顔色が更に蒼白になる。あれはウェールズの胸を貫き、彼の命を奪った憎き魔法。
「『エアニードル』!危ないロム!!」
ルイズ叫ぶと涙が溢れる。思わず前に飛び出そうとするが、前にいるドリルに引き留められる。
「ルイズちゃん!ここはアイツに任せておけ!」
「どうして!あのワルドが五人もいるのよ!ロムが殺されちゃう!」
ドリルは赤いバイザーをギラギラ光らせながらルイズの顔を見た。
「ワルドだがタルトだが知らないけど、あんな奴にロムが負けるはずが無い!」
「どうして!」
「オイラは何時もロムと共に戦ってきたんだ!そのくらいわかる!」

ワルドの杖は細かく振動している。回転する空気の渦が鋭利な切っ先となり、ロムを襲う。
ロムはそれを剣で受け流しながら反撃の機会を狙うが、相手は五人。高速で動く五つの刃に隙は見当たらなかった。
「さすが伝説の使い魔!この位、受け流すのは容易いか!だが、何時までその体力が持つかな!?」


ワルドの刃がロムの左腕についた傷にかすると、ロムは苦痛を顔に浮かべて後に下がった。
ワルドは残忍な笑みを浮かべ、剣戟の中で問う。
「どうしてあの小さな娘一人の為に戦う!今!お前の命は尽きかけているのだぞ!お前程の力の持ち主ならばもっと高みを狙えるのに!!」
ロムは流しながら答えた。
「俺は私欲の為に戦うつもりは無い!命を救う為にこの力を使うと決めたのだ!!お前の様に人を踏み台して野望を叶えようと者を俺は許さん!」
ロムは後にある壁を蹴り、ワルド達を飛び越え、鮮やかに着地すると剣を構え、怒鳴った。
「今度は俺が問うぞ!何故ルイズを殺そうとした!婚約者では無かったのか!?」
「そんなこと!お前が知る必要はない!!力が手に入らぬのならば切り捨てるだけだ!!」
ワルドは杖を振るい嘲る様に笑う。
ロムの目付きが鋭くなる。
「そうか!ならば俺はお前を、ワルド!俺はお前を倒すぞ!!」
「やってみるがいい!あのような娘に同情を寄せるような貴様に、私が負けるわけがない!!」
ロムの叫びに答えてルーンが強く光る。
その輝きを受けてデルフリンガーは白銀の身体が輝く。
「相棒の心が震えていやがる!すげぇ!すげぇぞ!力がどんどんたまっていきやがる!!」
ロムの右手から剣狼が現れる。
ワルドは目を見開きながらそれを見た。
「剣が一本増えた所で何が変わる!こちらはまだ四つの刃が・・・・」
「ワルド!!!!」
ロムが礼拝堂に響き渡る声を出すと、ロムは右手にある剣狼と左手にあるデルフリンガーの柄同士を付ける。
「天空宙心拳!『二刀一刃』!!」
剣狼とデルフリンガーがくっついて一本の刀に二つの刃。円を描きそれを振り回し、構えを取る。
「子供だましか?その程度で!」
ワルドの分身の一人が突然弾け飛んだ。分身が居た場所にはロムが立っていた。
「いいぜ相棒!相棒の心の震えが俺を強くしている!」
「そして・・・・、剣狼もまた俺の心の力を糧にして輝く!受けてみろワルド!正義の二刀を!」
ロムに圧倒されてワルドの顔が歪む。ワルドの中に居る戦士の心が警戒音を鳴らす。

まともに戦えば・・・・・・・・、やられる!!

「巻き起これ嵐!天空宙心拳!『風神』!」
声と共にロムは空中高く飛び上がり、竜巻が起きる!ワルドとその分身達は宙に舞う!そして、閃光瞬く間に切り裂かれる!
分身達は宙で消えたが、ワルド本体は地に落ちた。左腕と共に。

「悪を切り裂く正義の二刃!これが!」
「ガンダールヴ!」「天空宙心拳だ!」

「「成敗!!」」


ロムは着地すると同時によろめき、膝を付く。夜中、二度に受けた傷は、戦いの間に体力を奪っていたのだ。
ワルド立ち上がる事は困難だったがまだ生きていた。左腕を失い、身体中は風に切り裂かれ、左目は抉られてる。
ロムは力を振り絞り、立ち上がろうとしたが中々体が思うように動かない。
「相棒。あんな傷で無茶すればそれだけ『ガンダールヴ』として動ける時間は短いぜ」
デルフリンガーが説明した。
「ロム!大丈夫!?」
「しっかりしてくれよ!ロム!」
倒れるロムの横にルイズとドリルが心配そうな声を出して寄ってくる。
床に這いつくばったワルドは杖を強く握り、振るおうとする。
「くそ・・・・、『鍵』を・・・・・・・・・・・・前に・・・・・・・退散・・・・・・・・行けないとは・・・・」
途切れ途切れに何かをブツブツ呟きながら杖を振るおうとするが力が入らない。
その時、壁の穴から、巨体が飛び出し、虫の息のワルドの横に立った。
「あ、あんたは!!」
「貴様は・・・・」
「フーケ!」「デビル・サターン!」
ルイズとドリルが同時に叫ぶ。目の前には、デビル・サターン合体形態。その肩に足を伸ばして怪訝そうな表情で座るフーケがいた。
「こら驚いた。ロッド・ドリルまで居たんかい」
「それより旦那が虫の息やないか!!こいつらにやられたんか!!」
「あんた達、お喋りはそこまでにしておきな」
それぞれ喋り始めるデビル・サターンをフーケが宥める。そしてデビル・サターンの足下のワルドを見下ろした。
フーケはワルドにレビテーションの魔法をかけて宙に浮かせると、自分の隣に乗せた。
「しかし、ロム・ストールをここまで追い詰めているなんて流石旦那やな!それじゃ、後はワイらが」
デビル・サターンは力が弱まっているロムに手を伸ばそうとするがルイズとドリルが立つ。
「そう簡単にやらせるかよ!お前らの相手はこのオイラだ!天空宙心拳!」
「わ、私だって戦えるんだから!」
するとフーケやれやれて言った表情で呪文を唱え、デビル・サターンの頭の上に土の塊を落とした。
「あいたー!何するんですか姐さん!」
「引き上げるよ」
「はあ!?引き上げるって」
「ワルドはもう任務をこなしたみたいだからね」
フーケがチラリと横を見ると、そこにはウェールズの亡骸が無造作に倒れてあった。
「せ、せやけどこいつらに止めを・・・・」
「耳を澄ませてみな。馬の蹄と竜の羽の音が聞こえてくるだろう?」
確かに外から大砲の音、何かが爆発する音、戦う貴族の叫びや断末魔が聞こえてくる。
「後はあいつらに任せて私達はここを出るわよ。巻き込まれるなんて御免だからね」
「レ、レコン・サー」
デビル・サターンは悪魔の様な禍々しい翼を開くと、最初に入って来た穴から出ていった。ルイズとドリルはあっけにとられた顔でそれを見届けた。
「何があったんだあいつら?」
「わからないわよ。それよりもあいつらが言った事が本当なら!」
ドリルはロムの肩を支えて立ち上がらせると、ロムは少し力が抜けた感じで話を始めた。

「取り敢えず脱出すると言っても、ここは空の上だ。ドリル。穴を掘って避難するぞ」
「よっしゃあ!まかせとけ!」
そういうとドリルは変型すると穴を掘り始めた。その場にいるのはルイズとロムだけになった。
「ロム、どうするの?イーグル号はとっくに出港しちゃったし・・・・」
「ああ、王軍は直に敗れて貴族軍がここに攻めてくるかもしれない」
ロムがそう言うとルイズは無言で下を向いて暗い顔になる。涙が落ちて床に染みる
ロムはルイズの手を握った。

(ルイズ、俺は必ず君を守ってみせる。生きて帰ろうトリステインへ)

「ま、待ってくれよヴェルダンデ!君は何処まで穴を掘るつもりなんだね!」
主であるギーシュの声も耳に入らず、どんどこ穴を掘り続ける巨大モグラ。
それを必死でしがみつくギーシュ。
呆れながらそれを眺めるキュルケは、土がかからないようにモグラと間を開けて歩いている。
ちなみにタバサは途中で引き返して行った。
「あ~あ、これじゃ土まみれじゃない。ギーシュ?あんた何処まで行くつもりなのよ」
「そ、そんな事はヴェルダンデに聞いてくれ!待ってくれったら!ねぇ!」
キュルケが呆れた感じでふう、とため息をつく。
「ねぇ、ギーシュ。私もこんな所で長居したくないの。土遊びなんかしてないでに早く・・・」
トンネルの壁が、腹の奥まで震えるような音が聞こえる。その音はだんだん大きくなり、トンネル内の震えも激しくなってくる。
「ねぇギーシュ!これって!」
次の瞬間、ギーシュとキュルケの間に突如銀色の、禍々しい形をした螺旋が姿を現した。突然の轟音に振り向いたギーシュの顔が真っ青になる。
「うわああああああああああ!!銀色のトンガリイイイ!見ろ!言ったじゃないか居るってええ!?!」
目に血を走らせ、三○矢雄二張りの甲高い声でギーシュが叫ぶと、驚いたモグラは突如穴を掘るスピードをあげた。ギーシュも必死の形相で穴の中を駆け上がる。
「は、早く逃げるよ!ヴェルダンデ!ぎゃあ!トンガリがこっち向いたぁ!らめぇ!そこは掘らないでぇ!あああアアッー!」


敵の襲撃に構えていたロムとルイズの隣の地面が盛り上がる。
「なんだ!ドリルか!?それとも・・・」
二人は警戒を強めて地面を見つめる。
ポコッと床石が割れ、巨大モグラが勢いよく飛び出して来た。
「ヴェルダンデ!?」
ルイズがモグラを見てその名を叫ぶと、今度はお尻を両手で押さえながら土まみれのギーシュが続いて飛び出して来た。
「ひーーーん!誰か助けてー!」
「ギーシュ!!」
二人が同時に叫ぶと、今度はドリルが飛び出してきて、人型に変型した。
「おいロム!大変だ今そこに敵が!」
「来るな!僕のそばに近寄るなーーー!」
着くなりじたばたと床に這いつくばり悲鳴を出すギーシュ。顔中涙と土が混じって端正な顔が台無しだった。
「まてドリル。彼は敵じゃない」
「そ、そうなのか。オイラてっきり下から攻めてきた奴だと思って追いかけ回しちゃったぜ」
その横からキュルケが顔を出す。ケホ、ケホっと土埃にむせて周りを見回すとロムと目があった。
「あら、こんな所に居たのね!」
「キュルケ!君達はどうやって!?」
ロムが声を出すと、穴から出て服に付いた土を払うとここまで来た経緯を話す。

それにしてもどうやってここまでたどり着いた?横を見ると水のルビーに鼻を押し付けてフガフガと鳴くモグラにポカポカと殴るルイズ。なるほど、どうやら宝石の匂いを辿ってここまで来たらしい。
「それより早くここから脱出するぞ。敵がもう迫っている」
ロムが話を切り出すとキュルケと我を取り戻したギーシュがきょとんとした顔になる。
「脱出って任務は?ワルド伯爵は?」
「ワルドは・・・・裏切り者だったのよ・・・・・・・・」
奈落に落とされたような暗い顔でルイズが頷く。
「とにかく目的の手紙は手に入れた!後は帰るだけだ!」
「・・・・よくわからないけど緊急事態みたいね。下でタバサが待っているわ。早く行きましょ」
それぞれが穴に潜って行く。残ったのがルイズとロムだけになると、ロムはふと気付いた顔になり、礼拝堂に戻っていく。ルイズは焦った顔になってロムを呼ぶ。
「ロム!どうしたの!早く逃げないと」
ロムが向かって行ったのはウェールズの亡骸であった。安らかに眠って欲しいという願いを込めて、目を閉じて黙祷する。
彼の思い人、アンリエッタの形見の品になる物は無いかと彼の体を探ると、指に嵌めた大粒のルビーに気付く。アルビオン王家に伝わる風のルビーであった。
彼の指からルビーを外すと、右手で強く握り、穴にの方へ向く。
「俺は、貴方の事は忘れません。貴方の意志を必ず姫に伝えます」
ロムは呟いた。
「貴方とは、ずっと繋がっています」
ロムは一礼して穴に駆け戻った。
穴の前でルイズとドリルが待っていた。キュルケに聞いた所、下で待機している風竜はこれ以上乗ると地上まで持たないらしい。
ルイズが戸惑いを見せる。すると、ロムがルイズの肩に手を乗せて言った。
「マスター。俺とドリルはここで残って別の脱出方法を探す」
「そんな!まだ敵がいるのよ!」
ドリルは笑って答えた。
「オイラ達は頑丈だからさ、そう簡単にはやられはしないって。安心して帰ってもいいぜ!」
「これを、姫様に渡して置いてくれ」
そう言ってルイズに風のルビーを握らせる。ルイズは絶句してしまう。
「そして伝えてくれ。『ウェールズ皇子は勇敢に戦った』と」
ルイズは黙り込み、口元をもごもごさせる。
それをポケットに居れる。そして泣きそうになったが、ロムの前で泣くのは嫌だったのでぎゅっとつむって我慢した。
そして少しずつ目を開くと、ロムは微笑みながらこちらを見ていた。


「俺達は必ず生きて帰る。そう、必ずな。だから、マスターも生きて帰ってくれ」
ロムはそう言ってルイズの頬に軽くキスをする。
使い魔からのそれに、ルイズは驚いた。でも、沸き上がってきた感情は、怒りとかでは羞恥心では無く、別の物だった。

今まで感じた事が無い、いや、あるのかな?確かそれは
「さあマスター!時間が無い!そろそろ行ってくれ!!」
ルイズははっとした顔になると穴に足を伸ばす。
そして大声で言う。
「絶対に帰って来なさいよ!絶対だからね!」
ルイズはひゅっ、と穴の中に潜って行った。
ロムとドリルは、先程ドリルが作った別の穴に潜っていく。穴に潜った瞬間、礼拝堂に王軍を打ち破った貴族派の兵士やメイジが飛び込んできた。

ドリルがロムの言った通りに穴を掘ると、大陸の真下にたどり着いた。雲が回りで付きまとい、下が良く見えなかった。
「なあ、ロム結局あの子はお前のなんだったんだ?」
ドリルが疑問を言うとロムは即答した。
「主さ」
「主?」
「ああ、下についたら教えるよ」
「・・・・へぇ。じゃあここからどうするんだ?どうやって下に行けばいいんだ?」
ロムは顎に手を付けて答えた。
「飛び降りる」
「・・・・やっぱりそうなるのかよ!嫌だぞオイラ!空中でバラバラに分解するなんて!」
「ケンリュウと合身する。お前はその後ろにしがみつく形でな」
ドリルは渋々、受け入れると、ロムは剣狼を勇ましく掲げた。
「よし行くぞ!剣狼よ!我に力を!」

風竜はルイズ達を乗せてぐんぐんスピードをあげる。雲と空の青い中、アルビオン大陸が遠ざかる。
ギーシュやキュルケはルイズに色々質問する。でも疲れたからと言ってはぐらかし、浅い眠りについた。
頭の中で色んな出来事、出会った人達の顔が浮かんでくる。
・・・ウェールズは、死んでしまった。愛する人を残して。でも自分は生きている。助かった喜びと悲しみが入り交じる。
風竜が速度をあげ、強い風が頬をなぶる。その風がやたら心地よくつ、生きている事を実感させてくれる。
心動かす事が沢山あったけど。
裏切り者のワルドの事。
死んでしまったウェールズの事。
レコン・キスタの事。
これら全てを王女に伝えなければいけないこと。
いろいろあって悲しんだけど、今は何も考えずに風に吹かれたかった。

頬に熱い感触が残っている事に気付いた。あの、生意気にも主の頬にキスした使い魔の感触が頬に残っていた。
でも、妙に心が安らぐ。悲しい出来事ばかりで傷ついた自分の心が癒されていく。心に風が吹いているのを感じた。

異世界からの 正義の風を

ルイズと剣狼伝説第二部 完

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