あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのデジタルパートナー 一話


「――――――――! ―――――ン! ―――ラモン! ――ドラモン!!」
 遠くから声が聞こえる。
 それは今までに何度も何度も聞いてきた、とても大事な奴の声だった。
「メガドラモンッ!!」
 確かに自分の名を呼ばれ、意識が覚醒する。
 目の前には大事な自分のパートナーと、どうやら刺し違えたらしい、ムゲンドラモンの死体が転がっていた。
 ムゲンドラモンの身体は既に分解が始まっていた。その隣には、ムゲンドラモンを操り、このファイル島を我が物としようとしていた男が尻餅をついている。
 俺の身体を抱きかかえ、涙を流しながら俺の名前を叫んでいるのは、今まで苦楽を共にしてきた、パートナー。
 だがどうやら……その楽しくも苦しかった時間に終わりが来たらしかった。
「俺とした事が……ドジッち、まった、ぜ…………」
「喋るな! 今、今ケンタル医院に連れてってやるから!!」
「良いんだ……。自分の身体の事は、自分が一番分かってる。…………こんな形になってすまねぇがよ……」
 既に分解が始まっている身体を一度だけ見下ろし、確りと目の前のパートーナーを見つめる。
「お前に育てラれた、俺ノ人生…………ワるく、なかッタ、ゼ…………」
 最期の言葉を、ちゃんと発せたろうか。
 それだけが気がかりで、俺の意識は、闇に飲まれていった――――――。


 ゼロのデジタルパートナー 一話


 ルイズは思わず息を飲んだ。
 サモン・サーヴァントの魔法で何故か巻き起こった爆発の中から現れたその姿に。頭らしき物が僅かに俯いているが、翼を広げれば4メイル程に達するだろう、その『竜』に。
 しかし教師であるコルベールを含め、誰も見た事の無い種類の竜だ。
 上半身は逞しく、巨大な腕と頭。しかしそれに反して伸びる下半身には足の様な物は無く、ひょろっとした蛇の様な体がうねうねと動いている。
 そしてよく見ると、羽ばたいても居ないのに宙に浮いているではないか。
 誰もがルイズ同様に息を飲んでいた。
「ゼロのルイズが成功した……」
「おいおい、嘘だろ……?」
「ま、負けた……ゼロのルイズに……」
 煙が晴れ、その姿が完全に現れる。そしてまたしても、誰もが息を飲んだ
 腕と頭についているのは、漆黒に煌く金属。体の色は赤く、所々に生えている体毛は群青に染まっている。
 誰がどう見ても、立派な竜の(大きさからして)幼生であった。誰も知らない種族ではあるが。
 と言う事は、ルイズは竜を召喚するのと同時に、非常に珍しい種族を召喚した事にもなる。
 召喚を行った当人は、あまりにの感動に気を失いそうだった。
 漸く今まで自分を「ゼロ」と馬鹿にしていた奴等を見返せる。そう思うと自然と笑みが零れるルイズだった。
 そして、
「や、やったわ!!」
 高らかに叫ぶ。
 コルベールも柔らかに微笑んで―自分の生徒の成功に心から喜んで―促す。
「さあ、ミス・ヴァリエール。契約を」
 ルイズが頷き、自分の使い魔になる竜に向かって歩を進めた。


 メガドラモンは、正直かなり混乱していた。
 理由一。まず自分は、デジタルモンスターとしての死を迎えた筈である。
 理由二。周りの人間の多さ。
 こんな所だ。
 メガドラモンは目だけを動かして辺りの様子を窺う。皆が皆、驚いた表情で自分を見ている。
 次に自分の身体。
 今さっき正に致命傷を受けていた筈なのに、見事に完治している。
 分かっている事と言えば、どうやら自分が現実世界に来たらしい、と言う事くらいだ。
 ともかく、自分だけでは答えを導き出すのが不可能。と結論を出し、こちらに向かってくる人間の子供に聞いてみる事にした。


「ここは何処だ?」
「ッ!!」
 その場に居た全員―と言ってもメガドラモン以外だが―が怯む。
「しゃ、喋った!?」
「ま、まさか……ゼロのルイズが……」
「韻竜だ! 韻竜を召喚しやがった!!」
 周りの生徒からソンナバカナーとか、ウオースゲーとか、色々と歓声や喚声が上がる。
 その様子に一度だけビクッとしたメガドラモンだったが、改めて目の前の人間の子供に目を向ける。
 ルイズはまたしても感動のあまりに意識を手放しそうになったが、主人としての威厳を持って答えた。
「こ、ここは、トリステイン魔法学院よ!」
「トリステイン……?」
 パートナーに聞いていた「ニッポン」と言うのとは随分違う。
 それに周りの人間が着ている服も、自分のパートナーが着ていたのとはかなりの差があった。
 ……そう言えば現実世界では国によって、同じ人間でも色々違うと言っていた。そんな事を思い出し、メガドラモンはこう結論付けた。
 まず自分は、何らかの理由で現実世界に飛ばされた(パートナーがデジタルワールドに来たのだから、その逆もあるだろう)。
 そして此処は、自分のパートナーが住んでいた国とは違う国だ。
 あながち間違ってはいないのだが、メガドラモンは一番大事な部分を間違えてしまっていた。
「そうか。……それで、お前は?」
「私は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! わ、私があんたを呼んだのよ!」
 ……彼女が自分を呼んだのか。
 俺が死にかけている所を、彼女が呼んでくれたおかげで助かった。
 つまり、命の恩人だな。
 メガドラモン、賢くはあるがちょっと抜けていた。
「そうか。……それじゃあ、お前は俺の恩人だな」
「……? そ、そうよ!」
 何を言っているのか分からなかったが、とりあえず同意をしておくルイズであった。
 その後、外見に似合わず非常に大人しいメガドラモンと、ルイズは見事契約を交わした。
 メガドラモンの左手に現れたルーンをコルベールが興味深く見ていたが、軽くスケッチすると直ぐに皆を解散させた。
 各々が魔法で飛んでいくのを目にし、メガドラモンは少しギョッとした。
「人間は飛べないと、言っていたと思うんだがなぁ……」
 皆が居なくなったのを確認すると、ルイズはいきなりメガドラモンに抱き付いた。
 いつもゼロのルイズと蔑まれて来た彼女だ。立派、いや立派過ぎる使い魔を召喚出来て、心底嬉しいらしい。
「あんた、名前は?」
「メガドラモンだ」
「メガドラゴン? 聞いた事ない種族ね……。って、あんたの名前を聞いているのよ。種族名じゃないわ」
 そう言われ、メガドラモンはちょっと考え込んだ。
 言われてみれば、自分は自分だけの名前で呼ばれた事が無かった。
 数秒思案して、メガドラモンが口を開いた。


「メガで良い」
「分かったわ。メガね。……わ~、めがめが~」
 素晴らしい変わり身であった。今までは高貴なカンジ! と言うのを体現していたと言うのに、いきなり母に甘える赤子モードである。
 だがそんなルイズの至福の時を、メガドラモンが悪意無い発言でぶち壊してしまう。
「お前は飛ばないのか?」
 ビシッ。とルイズが固まる。
 そして、絞り出す様に言った。
「飛べないのよ……」
 それが恥ずかしいとか悔しい事なんだろうと直ぐに察して、メガドラモンは、
「そうか」
 とだけ言って、尻尾でルイズを巻き取り、背中に乗せた。
「な、何!?」
「掴まってろ」
 メガドラモンがそう言うや否や、風竜顔負けの速さで空を駆け始める。
「わー、わー!」
 あまりに速さにルイズがまたしても、感動で気を失いそうになるが、頑張って堪える。
 そしてメガドラモンの後頭部に生えている毛に顔を埋め、にやにやとだらしなく笑っていた。
 この使い魔となら、上手くやっていける。誰も自分を「ゼロの」ルイズなんて呼ばなくなる。
 そう確信し、今までの級友が見た事も無い笑みを浮かべ、ルイズは空を駆けていた。


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