あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

High cost of zero-5


学院長室にて、コルベールが老オスマンにギーシュとディディの決闘を報告していた。
「表向きはミスタ・グラモンが寸でのところでミス・ヴァリエールの使い魔に情けをかけあえて自ら引いた、という事になっております。」
「それで実際はどうなのじゃ? ミスタ・コルベール。」
「……剣を構えた彼女を見た瞬間、とても嫌な予感がしました。…そうですね、例えるなら誰かが私の墓の上を歩いたような…。
 恐らくその場にいた全員が感じたはずです。ミスタ・グラモンもそれを感じて引いたようでした。」
「墓の上を歩いた、か…ふむ…ミスタ・コルベール、おおよそその使い魔の見当がついたわい。」
「なんですと !? それは一体!?」
「わしの予想が正しくば……。」


「う…うん…。」
日の光を浴びてディディが目覚めた。ぼんやりとした視界であたりを見渡すと二つの人影が見える。
「シエスタ?」
「お目覚めになりましたか。今、ちょうど食事をお持ちしたところです。」
「ああ、ありがと。そういえばお腹ぺこぺこよ。」
「いっいえお礼なんて。こちらご迷惑をおかけしてすみません。」
「私が好きでやったことよ。あなたが気にする必要はないわ。」
「その通りよ。全く何であんなことをしたの !?」
ルイズも二人の会話に加わる。
「見ていられなかったからよ。ただそれだけ。」
「それだけでメイジに喧嘩を売ったっていうの !? ……あきれた。」
「でも凄いですよ。よく分かりませんが、ミスタ・グラモンが負けたなんて言うなんて。」
「そうよ、あの時何をやったの!」
ディディは戸惑いつつ答える。
「私は別に何もしていないわ。ただ凄んだだけよ。ああ怖かった。」
ルイズはその説明に納得していなかったが、これ以上話しても埒が明かないと思い、話題を変えた。
「ちょっと、それ食べたら出かける支度しなさいよ。」
「ん? 何処に行くの?」
「この首飾りの代わりを買いに行くわ。同じのがあるとは限んないけど。」
そういってルイズはぐにゃぐにゃと変形したアンクを取り出す。
「そうね。それはいい考えだわ。」
ディディはそこであることに気が付いた。
もうアンクは原型を想像するのも難しい。これ、こんなにグニャグニャにされたっけ?
「錬金の魔法で直そうとした。」
「……。」
「でも失敗した。」
「……。」
「爆発で余計に変形。」
「ごちゃごちゃ言ってないで、さっさと食べてしまいなさい!」


「ああ私、馬に乗るの初めてよ、ルイズ! まるで風になったみたいね!」
しかし、ルイズは「あまり喋ると舌噛むわよ。」と言いディディの言葉に取り合わなかった。
ルイズとディディを乗せた馬は町へ向かって駆け抜け抜ける。
「ルイズ。」
「今度は何よ !?」
「シエスタから聞いたわ。一晩中看病してくれたんだって?」
「使い魔の世話はメイジの役目だからよ。」
「ふふ、ありがと。ご存知? あなたって本当、いい人だわ。」
ルイズが「別に好き好んでやったんじゃない」と、言おうとした瞬間ディディが身を乗り出しルイズの頬にキスをする。
ルイズの両手は手綱でふさがっていたため、防ごうにも防げなかった。
「ななな、何するのよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ルイズは叫んだが、今度はディディが舌を噛むわよと言い、ルイズの言葉に取り合わなかった。

町へ到着と探し物はあっけないほど早く見つかった。
通りの端に陣取っていた露店の一つに、アンクの金細工は並べられていた。
ルイズがしゃがみこんでアンクを取り上げる。大きさも見た目も前のと殆ど変わらない。
「これ、いくら?」
露店の店主の男が答える。
「アンタにかい?」
平民の素っ気無い口調に貴族の誇りが反応しかけたが、なんとか押さえつけられた。もう無用な騒ぎはゴメンだ。
「違うわ。こっちによ。」
と言ってルイズはディディを指す。
男はディディをしげしげと眺めたが、やがて何か納得したように言った。
「アンタら綺麗だから代金はいいよ。持ってきな。」
この時は貴族の誇りがルイズを動かした。「それくらい払うわ。」と言うルイズ。
だが、人の好意は素直に貰っておくべきよ、とディディに止められる。
店主に礼を言い二人はその場を後にした。


それから時間の許す限り、二人は町を巡り歩いた。
途中で武器屋にも立ち寄ったが、ルイズが喋る剣を気持ち悪がったので何も買わず早々に立ち去った。
「ありゃ? 俺の出番これだけ? これはちょっとおかしくねーか?」
「黙っとれ、おめえのせいで客が逃げちまったじゃねえか。」

二人がトリステイン魔法学院に帰り着くと、巨大な門の足元でオールド・オスマンとミスタ・コルベールが待ち構えていた。
これは今更ながら決闘の件を問われる思ったルイズは馬から飛び降りて思わず身構える。
ディディも続いて鞍から降りたが、こちらはいつも通りゆるりと構えている。
「あー、緊張しなくても良いぞ、ミス・ヴァリエール。」
ルイズに一言声をかけると、オスマンはディディに目を向ける。
「初めまして、というべきかの。わしはこの学院の学院長を勤めさせてもらっとるオスマンという者じゃ。
 噂よりも随分べっぴんさんじゃなァ。ミス・ディディ……いやミス・デス。」
「……バレちゃった。でも頃合いね。もう時間もないし。」
「もっと早く名乗って下されば、こちらの対応も変っていたのじゃが。」
「わざと隠してたのよ。私の事を嫌ったり、逃げようとする人は多いわ、怖がらせたら悪いじゃない。」
「アンタのような美人から逃げようとする者なぞ、居るのかい? ミス・デス。」
「この学院じゃ、あなたが一番私から逃げてる時間が長いわ、オールド・オスマン。」
「ははは、まだまだやることがあるのでのう!」


思わぬ事の成り行きにルイズが目を丸くする。
「オールド・オスマン、ディディをご存知なんですか?」
「もちろんじゃとも、ミス・ヴァリエール。彼女の真の名は『デス』。色々なものの死、万物の死、じゃ。」
「はぁぁ?」
「古の魔術書にこうあった。『100年に一度だけ死は肉体を持ち、人間として生きる』とな。
 ミス・ヴァリエール、恐らく数ある化身の一つじゃろうが、おぬしは死を呼び出し、死を使い魔としていたのじゃ。」
「ではあの決闘でミスタ・グラモンが引いたのは――。」
「ふむ、その場にいたものは皆、良い経験をしたの。己の死と向き合い、死の顔を見たのじゃ。」
ディディが口を開いた。
「良い経験をしたのはあなたたちだけじゃないわ、私もよ。ありがとうルイズ。
 三日間だけだったけど、とっても楽しかったわ。でももういかなくちゃ。あまり長くはいられないの。」
「何言ってるの? もう学院へ着いたのに、どこへ行こうっていうのよ。」
「ルイズ、あなたなら今度こそ素敵な使い魔を召喚できるわ。あなた達の神が地上を歩いてた頃から世に在ったデスの名にかけて。」
「だから何言ってるのよ!」
ルイズの声はかすかに震えていた。
「また、いつか会いましょう。……でも、私も、死にたくない……ルイズ……。」

そしてルイズ、コルベール、そしてオスマンが見守る中
再び学院の門を潜ることなく、死の化身ディディは息絶えた。
物言わぬ肉体を横たえて。


ルイズを初めとするメイジ達たちが住む星の遥か彼方、まさに宇宙の果てのあの世へと続く道をディディの魂は歩いていた。
ディディの本体たるデスは彼女の魂を見つけ、問いかける。
「お帰りなさい。さてお話を聞こうかしら。向こうはどうだった?」
「とても素敵だったわ! 授業を受けたり、馬に乗ったり!
 男の子とケンカもして怖かったけど、それも含めて楽しかったわ! でも……。」
「始めに言ったわよね? たった三日だけとはいえ生命を得たのなら、死という代償を支払わなくてはいけない。」
「そうね。短い間で死んじゃったとはいえ、得たものはゼロじゃないものね。あ、ゼロといえばデス。」
「何?」
「私、向こうじゃ人間の女の子の使い魔だったのよ !? 案外、私たちの弟のドリームも人間に捕まってるのかも知れないわ!」
「あるあ……ねーよwww。」

たった三日間の思い出を語りつつ、二人は彼岸の国へと歩いていく。

真っ赤に目を腫らしたルイズが、ブツブツと何かいいながら前へと進み出る。
「使い魔のクセに主人を放り出して行くなんて……いいわ、あんな奴なんかよりずっと良い使い魔を召喚してやる……。」
使い魔を失ったルイズは特例としてもう一度、召喚とコントラクト・サーヴァントの儀式を許可された。
ルイズは力強く詠唱した。
「宇宙の果てのどこかにいるわたしの僕よ! 神聖で美しく、そして、強力な使い魔よ! 我が導きに、答えなさい!」
どかんといつもの通り起こる爆発。そして爆煙が晴れたとき、そこにいたのは……。
「なな、何が今度こそ素敵な使い魔を召喚できるよーッ! あの女嘘ついたわねーッ!」
「ちょwwwまた人間wwwwwうぇうぇwwwwww」
「おまwwwwどんだけ平民好きなんだよwwwww」
「らめえww平民召喚しちゃらめらのぉぉぉぉwwwww」

突如、異世界に召喚された平賀才人は状況を把握できず、キョロキョロと辺りを見ながら
「何? ここどこ? あんたら誰?」と言うばかりだった。

終わり。


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