あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

BUSINESS FAMILIAR YAMAZAKI

「社長!ついに王室から予算を分捕りましたよ!!」

「そう、よくやってくれたわ。早速今日から見積もりに入ってちょうだい。
わかっていると思うけど技術について公開は最低限に止めるのよ」

「主導権はあくまでわが社に、ですね」

「そういうこと」

一礼して社長室を去っていく社員の後姿を見ながらそっとため息をつく。
あれから十年、あの人のように成功率100%とはいかないけどなんとかここまで来れた。
わたしはゆっくりと彼との出会いを、そして別れを思い出した。



「全く、本当にルイズの使い魔は凄いわね~。
ゲルマニアだったらもう爵位の一つや二つは軽く買えるわよ」

「うるさいうるさいうるさい!」

キュルケが本気で褒めているのが逆に頭に来る。
確かにあいつは凄い、それは認めよう。
あいつの稼いできた金額は既に相当なものであり、教師も含めてわたしが学院一の資産家になってしまったほどだ。
だが・・・どう考えてもこれは使い魔の仕事じゃない!
キュルケとやり取りしているしている間に、冴えない風体の眼鏡の男が部屋に入ってくる。
どうやらあいつが帰ってきたようだ。
ドサッと音を立てた金貨の詰まった袋が机に置かれた。

「今日の収益です、ルイズさん」

「あら、また随分と稼いできたわね。今度はどんな仕事をしたの?」

「農村を農家の集まりとしてではなく、一個の企業として再編成しただけです」

「よくわからないわね・・・具体的には何をしたの?」

「作物の出来は天候によって左右される為、リスク低下の為に数種類の作物を育てることは常識ですが、
一個人や一家庭が数種類の作物の面倒を同時に見ることは作業効率の低下、熟練度の向上の妨げになります」

キュルケの質問に答える理由はない筈なのにあいつは律儀に応えてる。
こういう所もむかつく、ツェルプストーの人間なんて無視しろと何時も言っているのに。

「なるほど、そこで農村それ自体を企業化させてしまえば個人個人が一つの作物に集中出来るし、
運悪く天候の問題で担当した作物の出来が悪くても給金は出る、という訳ね」

「最も完全に固定給にすると労働意欲を削ぎ、品質の低下に繋がりますのである程度は担当作物の売り上げも給金に加味させます。
また作物の買い付けに来た商人にも個人としてではなく農村全体として交渉することにより、有利に交渉を進めることが可能です。
競争原理が無くなった業界は直ぐに腐敗し、堕落するものですが競争相手が多すぎると共倒れするものです。
この国における農村程度なら纏まった方が市場は健康になるものですよ」

あいつは何時もこの調子だ。
召喚されてからこの日まで使い魔らしい仕事など一度もしたことがない。
勝手に何処かにでかけては勝手に何かの仕事を見つけてお金を稼いで帰ってくる。

お金は確かに重要なものだ。
しかし金さえ稼いでくれば使い魔の仕事の代わりになっているなどと認めるわけにはいかないわ。
そうあいつに告げても返って来る答えは何時も同じだ。

「私はビジネスマンなのです。ビジネスをすることが私の存在意義である以上、私は存在する限りビジネスをし続けなければならないのです」


あいつをわたしが召喚してからもう数ヶ月がたっている。
そのたった数ヶ月でトリステインは徐々にだが変化していた。
貴族の力が落ちている、というより平民の力が徐々にだが増しているのだ。
その理由は簡単だった。
今まで貴族に頼りきりだったことを少しずつだが平民の手だけでなせるようになってきているのだ。
あいつがコルベール先生や何処かから連れてきた平民達と一緒に開発している「技術」なるものによって。


今まで経験則によってのみ使われていた薬草などに関する知識を整理し、体系化し、余程の重病・重傷でない限り、
水のメイジに頼らずとも治療を行えるようにした。

火の魔法の補助程度にしか扱われてこなかった火薬を様々な秘薬の原料を合わせ改良することにより、
それ単独で火の魔法に匹敵する爆発を起こせるようにした。

またその火薬を元により高温の炎を起こせるようになり、
土のメイジの錬金に匹敵する純度の金属を作り出せるようにした。

タルブの村にあったという『竜の羽衣』を元に『蒸気機関』なるものを作り、
風の魔法なしで多くの物を速く、遠くまで運べるようにした。


今はまだ魔法の方が出来ることも多く、またその『技術』を扱える者も少ない。
だがこの調子でいけばいずれ『魔法以上のことが誰にでも出来る』日が来てしまうかもしれない。
そうなったら・・・メイジは、貴族は、一体どうなってしまうんだろう?
そしてその時、魔法の使えないわたしはどうしたらいいんだろう?

そんな風に悩みだした頃だった、あいつがわたしに『ビジネス』を持ちかけてきたのは。

「馬鹿にして!お前なんかわたしの使い魔じゃない!!
よりにもよってわたしに!魔法成功率ゼロのわたしにあいつの起こす新会社のメイジ代表をやれですって!!?」

「いいえ、少し違います。ルイズさんには「メイジ代表」ではなく、「貴族代表」を務めて欲しいのです。
そして何れは会社全体の代表になって頂きたい」

「うるさいうるさいうるさい!!」

「お取り込み中申し訳ありませんが、そこまでにして私の話を聞いちゃ貰えませんかね?」

突然現れた男はトリステイン貴族の代表として来たそうだ。
なんでもこいつを止めに来たらしい。

「今貴族の間ではあなたの噂でもちきりですよ、ビジネス成功率100%!!
どんな貧乏貴族でも必ず富豪にしてみせる男!!ってね。
しかし仕事をして儲けたお金でやってることが拙い・・・
あなたをこのまま放っておいたら貴族の優位性が失われちゃいそうじゃないですか」

「ナンセンスですなぁ。私達の『技術』が魔法を越えるのが怖いというのなら
魔法の腕と知識を磨き更なる高みを目指せばすむことでしょう」

「やはり説得は無駄ですか・・・ならば成功率100%の伝説はここで終了だ!!
ウインディ・アイシクル!!」

男が隠し持っていた杖ごと腕を振ると同時に氷の矢があいつに殺到する!
そしてそのままあいつの胸を氷の矢が貫く。
わたしはその様を見て腰を抜かし、その場にへたり込んだ。

「全く、魔法も使えない平民の分際で分を超えたことをしようとするからですよ。
あなた一人の存在くらい揉み消せるだけの力が私の主人にはあるのですから・・・
しかしあなたもあなたですよ?ミスヴァリエール」

呆然としていた私だったが話しかけられて男の方を向く。

「自分の使い魔が魔法の、貴族の誇りと優位性を消すようなことをしているのに黙って見ているとは。
それともそうなればいいと思っていたのですかな?魔法の使えないあなたに貴族の誇りなどある筈もありませんからねぇ」

その時わたしは激昂すると同時に叫んでいた。

「ふざけないで!ただ魔法が使えるということだけで保たれるようなものならわたしは貴族の誇りなんていらない!
平民が力をつけているというだけで失われるようなものならわたしは貴族の誇りなんていらない!
誇りは力によって生まれるものじゃない!力によって奪われるものじゃない!
ただ力があるというだけで自尊心を肥大化させてるあんたより、
より良い未来を作ろうとあいつと一緒に頑張っている平民の方がよっぽど輝いてた!
誇りに満ち溢れていた!!」

「貴族として生まれながらそれがわかるあなただからこそ私は私の後をあなたについで欲しいのですよ、ルイズさん」

聞き親しんだ声に振り向くと同時に私は息を飲んだ。
その胸には貫かれた穴が開いたままだった。
そして胸の穴から見えているものは肉体ではなく金属だったのだ!

「あ、あんた・・・その身体は!?」

「かつて一人の男がいました。
彼はどんなビジネスでも成功させることが出来る自分の力を誇りに思いその力を振るい続けた。
しかし彼は死ぬ直前まで気づくことが出来なかったのです。
どんな力を持っているかということよりも、どんな力の使い方をするかということの方が重いということを・・・
彼は悔やみました、もう一度、今度は本当の誇りを持てるビジネスがしたい!と。
そしてその願いは鋼鉄の身体を持つことで適ったのです。
そして男は皮肉なことに・・・最強のビジネスマンとして蘇ったのです!!」

あいつは懐から妙な眼鏡を取り出してかける。
するとあいつの髪が逆立ち身体全体から光を放ちだす!

「マジカル戦闘モード!ヤマザキFOZ!!」

「どうあっても貴族に逆らうか!平民に生まれた運命に抗う愚物がぁ!!」

「何の努力もしない人間に限って”運命”などという言葉を使いたがる。
生まれた時から答えが出ているくらいなら・・・最初から老人として生まれてくればいい!」

「戯言を!もう一度食らえ!!ウインディ・アイシ」

しかし放つ直前にあいつは男の前から消えうせ背後へと移動していた。

「0.0023秒遅い!!」

「な、なにぃ!?」

「名刺スラッシュ!!」

杖を切られて逃げていく男に構わずわたしは彼に、ヤマザキに駆け寄る。
わたしが側によっても彼は倒れたまま起き上がろうとはしなかった。

「どうやら今のが最後の力だったようですね。
最初は貴族の代表からのつもりでしたがこうなっては仕方がない。
私が死んだ後のことの指示はコルベール先生に出してあります。
時期が早まりましたが新会社の社員達のことを頼みましたよ、ルイズさん」

「無理よ!わたしになんか・・・わたしになんかヤマザキの代わりは出来ない!」

「ええ、そうですね。私の代わりは不可能でしょう」

「!」

「しかし私にもあなたの代わりはやはり不可能なのですよ。
そしてあなただけが出来る、トリステインの、ハルケギニアの次代を担う者達の中心に立つことが、
貴族と平民、魔法を使えるものと使えないもの達が協力して作り上げる新世界の中心に立つことが」

「わたし、だけが?」

ヤマザキはゆっくりと頷きながら続ける。

「あなたは貴族として生まれながら魔法が使えない・・・
そのことはあなたにとって屈辱なことなのでしょう。
しかしそのお陰であなたは貴族としての誇りを持ちながら魔法を使えない平民の気持ちも分かる唯一の人間になれたのです。
これは他の誰にも持ち得ないあなただけの『力』です。
どうか・・・その力を正しく・・・使って・・・・・・」

「ヤマザキ!」

「どうやら・・・本当に・・・げんか・・・い・・・」

徐々にヤマザキの声が小さくなっていく。

「気にし・・・いでくだ・・・元から・・・前の・・・界でも・・・限界・・・
ただ・・・もう一・・・家族に・・・会いた・・・・・・」

「!!」

わたしは祈った。
もう二度と魔法が使えなくていい、もうずっとゼロのルイズのままでいい。
召還の魔法なんてあるのかどうか知らない。
だけどお願い、彼の、ヤマザキの最後の願いを叶えて・・・


そうして彼は召喚した時と逆に光る鏡の中に消えた。
その後彼がどうなったかはわからない。
わからないがわたしには何故か確信があった。
わたしの魔法は相変わらず成功率0%なのだがあの時の魔法だけはきっと成功した、と。

彼が消えてからわたしは彼の遺言どおり、彼の作った新会社の社長に就任した。
貴族からは魔法が使えないということで、平民からは貴族だということで、
そして両陣営から若すぎるということで反発を受けたがコルベール先生やシエスタの協力もありなんとかやってこれた。
しかし未だに貴族と平民の対立は激しい、それを融和させるなんてきっと誰にも出来ない難事業だ。
けどあの人が、ヤマザキが何時か言ったわ。

「不可能を可能にする作業を"ビジネス"と呼ぶのですよ」

と。
ならばわたしはそのビジネスを成さなければならない。
それがあの日、ヤマザキに誓った「次代を担う」ことなのだから・・・


BUSINESS FAMILIAR YAMAZAKI 完



-「企業戦士ヤマザキ」のヤマザキ を召喚

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